【Live Information】
最近ちょくちょく寄っている喫茶店があります。
アップライト・ピアノが置いてあったりして、ときどきジャズのライブなんかもやっています。
音楽好きのママさんがひとりで切り盛りしていて、「珈琲」という漢字が似合うお店です。
そのお店で、「テッド・ローゼンタール・トリオ」のライブのフライヤーを見かけました。
ママは、以前そのトリオのライブを聴きに行ったそうで、「絶対いいよ!」と自信をもってすすめてくれました。
テッド・ローゼンタールの名前はもちろん耳にしたことがあるし、このトリオは昨年も岡山に来ているし、演目が「ガーシュイン曲集」でもあるし、ママのイチ押しでもあるし、で、これはもう行かねばならない。
そしてもうひとつ。
ぼくは、大阪のベーシスト・中村尚美ちゃんと「Vivant(ヴィヴァン)」というベース・デュオを組んでいますが、テッド・ローゼンタール・トリオのベーシスト・植田典子さんは、相棒の尚美ちゃんの旧友でもあるのです。
ライブ会場の「ルネス・ホール」は、もともと日本銀行岡山支店として1922年に建設された建物で、2005年からは文化・芸術の創造拠点ホールとして運営されています。
客席数は約300。天井が高く、独特の響きと雰囲気をもったホールです。
テッド・ローゼンタールは、セロニアス・モンク・コンペティションで優勝したのち、ジェリー・マリガンのグループで活躍。「ヘレン・メリルが最も信頼を寄せるピアニスト」だと言われていました。
植田典子は、20代の頃からニューヨークで活動し、ケニー・バロンやルー・タバキンと共演するなど多彩な活動歴をもつ実力派ベーシスト。
このトリオのレギュラー・ドラマーは、ウイントン・マルサリスやロイ・ハーグローヴのサポートなどでも知られるクインシー・デイヴィスですが、今回は急遽ティム・ホーナーが起用されました。
ライブは、「素晴らしい」の一言でした。
テッドのピアノは優美で歌心にあふれているばかりか、豊かな音楽性が感じられるアレンジも素晴らしかったです。とくに「ラプソディ・イン・ブルー」は圧巻でした。
植田さんのベースは、抜群の安定感があり、そのうえでちゃんと自分のサウンドを奏でていました。テッドが大きな信頼を寄せるのも当然でしょう。
ティムは、技術的にも音楽的にも素晴らしかったですが、それ以上に音量のバランスが見事でした。きっとしっかり全体を俯瞰しているのでしょう。
三人のサウンドはとても調和がとれており、しかもよくスウィングしていて抜群に心地よいものでした。
打ち上げの席では植田さんとも打ち解けた話ができました。
その時に、植田さんのアンプが不調なので、翌日以降一週間ほどは代わりにぼくのアンプを使っていただく、という話がまとまりました。
実は、中村尚美ちゃんとの出会いは、「アンプ貸してください」だったのですが、その尚美ちゃんと大の仲良しの植田さんとも初対面でアンプをお貸しする話になるとは、不思議というか、縁は異なものというか。。。
翌日の会場は、岡山シンフォニー・ホールです。テッドのトリオと岡山フィルハーモニック管弦楽団が共演するのです。
アンプを持っていくという「大義名分」のおかげで、リハーサルも見ることができましたし、昨夜はまったく会話のチャンスがなかったテッドやティムとも少し話せました。
このトリオ、三人ともとても気さくなんです。
ティムは「オハヨウゴザイマス」「アリガトウゴザイマス」がすっかり板についている感じ。
テッドもとても穏やかです。昨夜のMCではゆっくり喋ってくれていましたが、きっとすこしでも分かりやすく聞こえるように、という気配りだったようです。
ぼくはリハーサルだけ見学して引き上げたのですが、それだけでもとても贅沢な気分を味わうことができました。
音楽と関わるということは、人と関わることでもあります。
またひとつ思い出に残る出来事に巡り合えて、ちょっとした幸せを味わえた二日間でした。
来年も、テッド・ローゼンタール・トリオのライブを聴く機会がありますように!
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