ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

テッド・ローゼンタール・トリオ ライブ・アット・ルネスホール

2015年09月29日 | ライブ

【Live Information】

 
 最近ちょくちょく寄っている喫茶店があります。
 アップライト・ピアノが置いてあったりして、ときどきジャズのライブなんかもやっています。
 音楽好きのママさんがひとりで切り盛りしていて、「珈琲」という漢字が似合うお店です。
 そのお店で、「テッド・ローゼンタール・トリオ」のライブのフライヤーを見かけました。
 ママは、以前そのトリオのライブを聴きに行ったそうで、「絶対いいよ!」と自信をもってすすめてくれました。
 

 テッド・ローゼンタールの名前はもちろん耳にしたことがあるし、このトリオは昨年も岡山に来ているし、演目が「ガーシュイン曲集」でもあるし、ママのイチ押しでもあるし、で、これはもう行かねばならない。
 そしてもうひとつ。
 ぼくは、大阪のベーシスト・中村尚美ちゃんと「Vivant(ヴィヴァン)」というベース・デュオを組んでいますが、テッド・ローゼンタール・トリオのベーシスト・植田典子さんは、相棒の尚美ちゃんの旧友でもあるのです。



 

 ライブ会場の「ルネス・ホール」は、もともと日本銀行岡山支店として1922年に建設された建物で、2005年からは文化・芸術の創造拠点ホールとして運営されています。
 客席数は約300。天井が高く、独特の響きと雰囲気をもったホールです。








 テッド・ローゼンタールは、セロニアス・モンク・コンペティションで優勝したのち、ジェリー・マリガンのグループで活躍。「ヘレン・メリルが最も信頼を寄せるピアニスト」だと言われていました。
 植田典子は、20代の頃からニューヨークで活動し、ケニー・バロンやルー・タバキンと共演するなど多彩な活動歴をもつ実力派ベーシスト。
 このトリオのレギュラー・ドラマーは、ウイントン・マルサリスやロイ・ハーグローヴのサポートなどでも知られるクインシー・デイヴィスですが、今回は急遽ティム・ホーナーが起用されました。





 ライブは、「素晴らしい」の一言でした。
 テッドのピアノは優美で歌心にあふれているばかりか、豊かな音楽性が感じられるアレンジも素晴らしかったです。とくに「ラプソディ・イン・ブルー」は圧巻でした。
 植田さんのベースは、抜群の安定感があり、そのうえでちゃんと自分のサウンドを奏でていました。テッドが大きな信頼を寄せるのも当然でしょう。
 ティムは、技術的にも音楽的にも素晴らしかったですが、それ以上に音量のバランスが見事でした。きっとしっかり全体を俯瞰しているのでしょう。
 三人のサウンドはとても調和がとれており、しかもよくスウィングしていて抜群に心地よいものでした。



 

 打ち上げの席では植田さんとも打ち解けた話ができました。
 その時に、植田さんのアンプが不調なので、翌日以降一週間ほどは代わりにぼくのアンプを使っていただく、という話がまとまりました。
 実は、中村尚美ちゃんとの出会いは、「アンプ貸してください」だったのですが、その尚美ちゃんと大の仲良しの植田さんとも初対面でアンプをお貸しする話になるとは、不思議というか、縁は異なものというか。。。



 

 翌日の会場は、岡山シンフォニー・ホールです。テッドのトリオと岡山フィルハーモニック管弦楽団が共演するのです。
 アンプを持っていくという「大義名分」のおかげで、リハーサルも見ることができましたし、昨夜はまったく会話のチャンスがなかったテッドやティムとも少し話せました。
 このトリオ、三人ともとても気さくなんです。
 ティムは「オハヨウゴザイマス」「アリガトウゴザイマス」がすっかり板についている感じ。
 テッドもとても穏やかです。昨夜のMCではゆっくり喋ってくれていましたが、きっとすこしでも分かりやすく聞こえるように、という気配りだったようです。
 ぼくはリハーサルだけ見学して引き上げたのですが、それだけでもとても贅沢な気分を味わうことができました。





 音楽と関わるということは、人と関わることでもあります。
 またひとつ思い出に残る出来事に巡り合えて、ちょっとした幸せを味わえた二日間でした。
 来年も、テッド・ローゼンタール・トリオのライブを聴く機会がありますように! 






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北木島ピース・フェスティバル

2015年09月27日 | 自分のライブで



【Live Information】



 今年の9月は、土曜日の19日から23日の秋分の日まで、5連休でした。
 5日間とも気持ちのよい快晴で、イベント目白押しの各地とも大賑わいだったようです。
 
 
 ちかごろ、安倍政権の方針に危惧を抱く多くの人々が、デモなどで積極的に意思表示をしたり、ネットなどを使って情報を収集・発信したりと、あらためて平和への強い思いを新たにする日々が続いています。
 戦争が起きることは絶対に避けなければならないのは言うまでもないことです。
 ほとんどの方々は、平和であることを大事に思っていることと思います。
 そんな中、9月19日から20日にかけて行われた「第1回 北木島ピース・フェスティバル」で演奏してまいりました。
 
 
 北木島は、岡山県の最西部にある笠岡市の南約15kmに位置する笠岡諸島にあります。
 かつては良質の花崗岩(=北木石)が採れることで知られた北木島ですが、近年は過疎化が進んでいて、人口も1100人あまり。
 しかし、なんとか島を興していこうと島に根を張って奮闘している方々もおられます。
 「北木島ピース・フェスティバル」は、そんな方々の手によって企画、開催されました。
 
 
 このイベントは、「非核平和宣言都市」である笠岡市から世界平和を発信するとともに、荒れ果ててしまった島の楠海水浴場の再生を目指したものです。
 各地から参加したいろんなミュージシャンやパフォーマーが、島民とともに一夜を過ごし、飲み、語り合いました。
 ぼくは、大阪から参加したジャズ・バンド「トルネード・ボンバー!」のリーダーでギタリストの箕作元総(きさく・もとふさ)さんから声をかけていただき、「トルネード・ボンバー!」にベーシストとして参加させていただきました。
 
 
 笠岡市の伏越港から乗ったフェリーでは、やはりフェスに参加する舞踏家の小谷野哲郎さんと一緒になり、いろいろ珍しい話を聞かせていただきました。
 北木島に着くと、車で楠地区まで行きます。
 海水浴場には急勾配の細道を通らねばならないのですが、楽器その他の大荷物を抱える身では通行もままなりません。
 そこで、島の方の好意で漁船に荷物ごと乗せていただき、海上から楠海水浴場へ上陸します。
 コントラバスを抱えて漁船に乗るなんて、生まれてはじめて。
 青い海と空を間近に感じ、ワクワクしながら漁船に乗り込みました。


 
 コントラバスを抱いて漁船へ。
 
 
 楠海水浴場に上陸したのが15時半頃。
 すでにステージでは演奏が行われています。 
 そう広くない楠海水浴場は、三方が海に囲まれています。あちこちに、各地から来た参加者のテントが張られていて、砂浜では子供たちが遊んでいます。
 島の方々が、獲れたての海の幸を焼いてくれています。
 空はどこまでも青く、海との境目がわからないくらい。


 
 「トルネード・ボンバー!」のステージ。


 
 
  

 
 浜辺にいたヤギと、コントラバスで対話(^^;)
 

 


 「トルネード・ボンバー!」の出番は23時くらいですが、地元から参加しているバンド「おきしとしん」に急遽加わることになり、薄暮のステージに上がりました。
 

 

 
 「おきしとしん」とともに。
 

 
 フェスの主催者、クニさんも「おきしとしん」のメンバー。
 
 
 日が落ち、あたりが真っ暗になります。
 海の向こうの、ほのかに見える民家らしい灯りが郷愁を誘います。
 波打ち際に行くと、かすかに聞こえるステージの音楽と、砂浜を洗う波の音だけ。
 真っ暗な砂浜にひとり座っている女性がどこかに電話していました。大事なひとと話していたのかな。
 
 
 

 

 
 
 
 ステージでは、「ぬくだま」「別所誠洋」「SUMI MADZITATEGURU」「中村好伸」「The Famili」「藤條虫丸」「岩本象一」「櫛田寒平」「DJ ROM-PIN」など、さまざまな演者の演奏、パフォーマンスが続きます。
 MCでは、平和を訴えるメッセージも聞かれましたが、押しつけがましいものではありませんでした。どなたも淡々と自分の思いを等身大に語っていたように思えました。

 
 
 出演者には夜食の親子丼がふるまわれました。
 
 
 22時すぎからは、フェリーで一緒になった小谷野さんのパフォーマンスです。
 小谷野さんは、舞台を砂浜の焚火のそばに移し、ユニークなひとり芝居を見せてくれました。
 その後、「トルネード・ボンバー!」もステージの上がり、闇の中での演奏を終えました。
 すべてのプログラムが終わったのは、25時半。
 砂浜を包む、優しい一体感と、心地よい疲れ。
 あとは、テントに中で眠るだけです。


 

 
 演奏は夜中の1時半まで続きました。

 
 深夜4時頃、ふと目覚めました。
 外に出てみると、息を呑むような満天の星空。
 海からはただ波の音。
 時折り聞こえる、語り合う声。
 ただ存在するだけのこの島こそ、平和の象徴なんじゃないか、そんな気がしました。


 安倍政権擁護派と「戦争反対」を唱える人々のあいだでの口汚い罵り合いには、実はうんざりしています。
 平和を語る同じ口の一方から発せられる罵詈雑言、ここからは平和は生まれないんじゃないかな。
 声高に平和を押しつけなくても、ここにはすでに平和がある、そんな気持ちでした。
 いろんな表現方法があります。どれも正解だと思います。でもぼくは、この深夜の砂浜で感じた、「共に生きる」平和に、静かな感動を覚えました。
 
 
 翌朝は、スタッフ、演者、参加者すべてが力を合わせての撤収作業。
 ぼくは、昼から岡山市内で演奏するため、9時のフェリーで笠岡市に戻りましたが、他のみんなは白石島に場所を移して打ち上げを楽しんだようです。
 
 
 
 島の朝日。


 
 朝の浜辺。


 願わくは来年、第2回のピース・フェスティバルが行われますように。
 そしてその時は、ぜひまたあの星空と深夜の波の音を体感してみたいと思います。


 

 

 

 

 
 帰りの船上より。

 

コメント (2)
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2015年10月のライブ予定

2015年09月21日 | 演奏スケジュール
                                         ♪秋晴れの瀬戸内海。空も、海も、島も、美しい。



【Live Information】 



 
 10月2日(金) 
  岡山セカンド・シンプソン
 (岡山市北区表町3-15-15 2F tel 086-234-5009)
  ♪美淋つゆ子(organ)、皆木秀樹(bass)
  
  【料 金】1500円(飲食代別途。学生は学生証提示で500円割引)
  【演 奏】21:00~、22:00~(2回ステージ)
   ※シットイン可


 10月3日(土) 
  岡山GROOVY
 (岡山市北区田町2-5-23 tel 086-221-7721)
  ♪山本ヒロユキ(piano)、皆木秀樹(bass)
  【料 金】3000円(飲食代別途)
  【開 演】20:00~ (2回ステージ)


 10月11日(日) 
  まちかどJAZZ LIVE IN 早島 (都窪郡早島町早島駅前広場)
  ♪藤原和泉&ブラックスネイクス [藤原和泉(vocal)、山本俊(mandolin)、内山行生(ukulele)、松下シンスケ(drums)、皆木秀樹(bass)]
  【料 金】無料
  【演 奏】15:00~20:00(ブラックスネイクスは18:50から約40分)
   ※雨天の場合:北側ござ倉庫


 10月16日(金) 
  岡山セカンド・シンプソン
 (岡山市北区表町3-15-15 2F tel 086-234-5009)
  ♪森啓子(vocal)、古山修(guitar)、中村哲(drums)、皆木秀樹(bass)
  
  【料 金】1500円(飲食代別途。学生は学生証提示で500円割引)
  【演 奏】21:00~、22:00~(2回ステージ)
   ※シットイン可


 10月17日(土) 
  第7回 吹田ジャズ・ゴスペル・ライブ 
  ♪トルネードボンバー! [大西美沙(vocal)、箕作元総(vocal, ukulele, banjo)、金井優貴(guitar)、生島大輔(bandneon)、皆木秀樹(bass)]
   14:00~ GALERY×CAFE BAR ケセラ (大阪府吹田市元町7-13 tel 06-6170-9123)
   16:00~ イタリア料理プリマヴェーラ (吹田市内本町1-21-12 tel 06-6319-3907)
   18:00~ 内本町コミュニティセンター西館2F多目的ホール (吹田市内本町2-2-12 tel 06-6319-3395)
   20:00~ Music Kitchen Space Calm (吹田市高浜町10-20 tel 06-7503-9837)


 10月18日(日) 
  第7回 吹田ジャズ・ゴスペル・ライブ 
  ♪トルネードボンバー! [形部由夏(vocal:Wine Bar RYTHMEのみ)、箕作元総(vocal, ukulele, banjo)、金井優貴(guitar)、生島大輔(bandneon)、皆木秀樹(bass)]
   16:00~ 本場北インド料理FOOD BAZAAR ~フードバザール~ (吹田市内本町3-1-1 tel 06-6381-8677)
   18:00~ GALERY×CAFE BAR ケセラ (大阪府吹田市元町7-13 tel 06-6170-9123)
   20:00~ Wine Bar RYTHME(リトゥム) (吹田市内本町2-1-5 tel 06-6317-1117)
   21:00~ Wine Bar RYTHME(リトゥム) (吹田市内本町2-1-5 tel 06-6317-1117)


 10月22日(木) 
  倉敷アヴェニュウ
 (倉敷市本町11-30 tel 086-424-8043) 
  ♪秋山文緒(piano)、船越稔(drums)、皆木秀樹(bass)
  【料 金】500円(飲食代別途)
  【演 奏】20:00~、21:00~、22:00~ (3回ステージ)


 10月23日(金)
  京阪電鉄イベント
  大阪 京阪渡辺橋駅

  ♪トルネードボンバー [箕作元総(vocal, guitar)、金井優貴(guitar)、生島大輔(bandneon)、皆木秀樹(bass)]
  【料 金】
  【演 奏】19:00~ (3回ステージ)


 10月24日(土) 
  岡山 喫茶壱番館
 (岡山市北区表町3-9-22 tel 086-233-1560)
  ♪秋本節(vocal, guitar, others) with 藤原和泉&ブラックスネイクス [藤原和泉(vocal)、山本俊(mandolin)、内山行生(ukulele)、松下シンスケ(drums)、皆木秀樹(bass)]
  【料 金】前売2500円(1ドリンク付)、当日3000円(1ドリンク付)
  【時 間】開場18:30、開演19:00 


 10月25日(日) 
  倉敷木庵
 (倉敷市川西町18-23 tel 086-421-9933)
  ♪皆木秀樹(bass) ほか
  【料 金】飲食代のみ
  【演 奏】18:30~、19:30~ (2回ステージ)


 10月28日(水) 
  倉敷アヴェニュウ
 (倉敷市本町11-30 tel 086-424-8043) 
  ♪Sachiko(vocal)、古山修(guitar)、中村哲(drums)、皆木秀樹(bass)
  【料 金】500円(飲食代別途)
  【演 奏】20:00~、21:00~、22:00~ (3回ステージ)


 10月29日(木) 
  岡山セカンド・シンプソン
 (岡山市北区表町3-15-15 2F tel 086-234-5009)
  平賀マリカ マンデルシーニ・ツアー in 兵庫・岡山
  ♪平賀マリカ(vocal)、岩崎恵子(piano)、田中ヒロシ(drums)、皆木秀樹(bass)
  
  【料 金】4000円(飲食代別途。学生は学生証提示で500円割引)
  【演 奏】21:00~、22:00~(2回ステージ)






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