【Live Information】
小学生のころ、みんな一度や二度は「早くおとなになりたい」と思ったことがあったでしょう。
(こどもの目から見て)お金はいっぱい持っているし、なんでも好きなものが買えるし、好きなところへ遊びにいける。
反面、「こんなのだったらおとなになりたくないな」と思うこともありました。
その理由のひとつは、「おとなになると、いま人気のある歌手や曲への興味をなくしてしまうのか」ということだったんですが。
でも充分すぎるほどの年齢になっている今の自分は、歌手の名前くらいは聞いたことがあるけれど、米津玄師や藤井風の曲なんて全然知らないですもんね。(あいみょんの曲なら、少しはわかる)
もしかして、自分が「なりたくない大人」になってしまったのかな
いや、知らないことに対する好奇心がなくなってはいない(と思う)から、まだまだ大丈夫です
そんなわけで、今日も相変わらず1960年代末期の音楽についてです。
不世出の天才ギタリストと言われているジミ・ヘンドリックス。
この世を去ったのは1970年ですが、未だに彼の音楽から放たれる輝きの眩さはまったく変わりがありません。
彼の革命的とも言える演奏は、「ジャズの帝王」マイルス・デイヴィスからも高く評価されていました。
ぼくは、ギタリストとしてのジミはもちろん大好きですが、コンポーザーとしてのジミもこれまた大好きなのです。
その中でも「真夜中のランプ」の醸し出す雰囲気には、いまだにしっとりと酔ってしまいますね。
全編を通じて流れるハープシコードの音色、雰囲気がなんともいえず内省的、神秘的であり、でもどこか郷愁を感じさせ、タイトル通り漆黒の闇の中にひっそり灯るランプのようにも感じます。
このハープシコードを弾いているのはジミ自身。
歌詞に出てくる「真夜中のランプ」とは、いろんなものを失った主人公にわずかに残された「希望」、あるいは「命のともしび」のことであるような気がします。
このハープシコードから静かな明るさを感じるのは、そのせいでしょうか。
イントロの、ギターとハープシコードの絡みが醸し出している雰囲気で、一気に曲に惹き込まれます。
親しみやすい曲調だけれど、コード進行がとても印象的です。
ブルージーなジミのボーカルは、ちょっと詩の朗読をしているような趣もあります。どこかボブ・ディランを思わせるようなその歌いっぷりには生々しいジミ自身が滲み出ているようで、これまた愛着を感じるのです。
ギターは、いつものことながら、「ジミ節」全開です。
ワイルドでエキセントリック。
そのくせどこか繊細で、ジミにしか歌えない「歌心」満載。
そしてなんといってもワウ・ペダルの使用が大きな特徴です。
まだワウ・ペダルが使われ始めて間もない当時ですが、ペダルの踏み方を早くしたり遅くしたり、あるいはトレモロ・アームとコンビネーションで使ったりと、ジミはすでにこれを自分のものにしている感じがします。
女声コーラスもこの曲の大きな特徴です。
曲にエモーショナルな雰囲気をもたらしているばかりか、サイケデリックな雰囲気すら生んでいます。
プロデューサーのチャス・チャンドラーは、この曲にバッキング・ボーカルを入れることを決め、黒人女性ボーカル・グループ「スウィート・インスピレーションズ」を起用しました。
このスウィート・インスピレーションズのリード・シンガーはシシー・ヒューストン。そう、あのホイットニー・ヒューストンのお母さんなんですね。
最近の音楽にはやや疎いぼくではありますが、1960~70年代のロック(だけじゃないですけど)への愛着はそれを補っても余りがあるもの、と改めて思っている次第であります。
[ 訳 詞 ]
[ 歌 詞 ]
◆真夜中のランプ/Burning of the Midnight Lamp
■シングル・リリース
1967年8月19日(イギリス)、1968年9月2日(アメリカ)
■演奏・歌
ジミ・ヘンドリックス・エキスペリエンス/Jimi Hendrix Experience
■プロデュース
チャス・チャンドラー/Chas Chandler
■作詞・作曲
ジミ・ヘンドリックス/Jimi Hendrix
■録音メンバー
ジミ・ヘンドリックス/Jimi Hendrix(vocals, guitars, harpsichord)
ノエル・レディング/Noel Redding(bass, backing-vocals)
ミッチ・ミッチェル/Mitch Mitchell(drums, backing-vocals)
ザ・スウィート・インスピレーションズ/The Sweet Inspirations(backing-vocals)
■チャート最高位
1967年週間シングル・チャート イギリス18位
■収録アルバム
スマッシュ・ヒッツ(1968年)/Smash Hits
エレクトリック・レディランド(1968年)/Electric Ladyland
【Live Information】
※お越しの際はマスクをご持参ください。
また、状況によっては中止にせざるを得ないこともありますので、お店にご確認ください。
諸々よろしくお願いします。
2月4日(金) 中止になりました
岡山 ピアノ・バー
岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
【出 演】 美淋つゆ子(piano)、皆木秀樹(bass)
【料 金】 1000円(飲食代別途)
【演 奏】 21:00~、22:00~ (2回ステージ)
2月5日(土) 中止になりました
岡山 パラディ
岡山市北区幸町3-10 友沢ビル4F (tel 086-801-3492)
【出 演】 入江美佐子(piano)、皆木秀樹(bass)、本田暁之(drums)
【料 金】 飲食代+ミュージックチャージ500円
【演 奏】 21:00~ (3回ステージ)
2月14日(月) 中止になりました
岡山 ピアノ・バー
岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
【出 演】 西真理子(piano)、皆木秀樹(bass)、池田拓史(drums)
【料 金】 1000円(飲食代別途)
【演 奏】 21:00~、22:00~ (2回ステージ)
2月17日(木) 中止になりました
岡山 ピアノ・バー
岡山市北区野田屋町1-11-10 清水ビル3F (tel 086-222-8162)
【出 演】 山本博之(piano)、皆木秀樹(bass)
【料 金】 1000円(飲食代別途)
【演 奏】 20:00~、21:00~ (2回ステージ)
2月19日(土) 中止になりました
岡山 GROOVY
岡山市北区田町2-5-23 (tel 086-221-7721)
【出 演】 山本博之(piano)、皆木秀樹(bass)
【料 金】 2000円(飲食代別途)
【演 奏】 20:00~ (2回ステージ)
2月23日(水)
倉敷 アヴェニュウ
倉敷市本町11-30 (tel 086-424-8043)
【出 演】 笹倉明子(piano)、皆木秀樹(bass)、本田暁之(drums)
【料 金】 1000円(飲食代別途)
【演 奏】 20:00~、21:30~ (2回ステージ)
【Live Information】
たまたまつけっ放しにしていたテレビから突然飛び出した、ギターの咆哮。
ワイルドに音を歪ませた、切れ味鋭いギターのカッティング。
ブルースをベースとした、ハード・ロック黎明期の香りがぷんぷん漂うリフ。
画面に映っているのは、サントリーの強炭酸水「THE STRONG」のコマーシャルです。
使われている曲は、ファットボーイ・スリムの「ヤー・ママ」だそうです。
しかし、1960年代後半のロックをこよなく愛する者たちの頭の中は、違う曲名、またはバンド名がよぎったことでしょう。
もしかすると、「おおっ!」と思わず歓声が漏れたかもしれません。
その曲名とは、「ザ・ケトル」。
ジョン・ハイズマンが率いたイギリスのジャズ・ロック・バンド、コラシアムの名盤「ヴァレンタイン組曲」の冒頭に収められています。
コラシアムが結成されたのは、ニュー・ロックやアート・ロック華やかなりし1968年。
ジャズやブルースの要素を大胆かつ積極的にロックと融合させようと試みた彼らは、プログレッシブ・ロックの草分け的存在のひとつとも言われています。
コラシアムがデビューした頃のロック・シーンはまさに混沌、そして百花繚乱。
ジャズやブルースのほか、クラシックや前衛音楽などの多様な音楽や、サウンド面以外にも、例えば照明だったり、アートポップ、ドラッグなどのさまざまな要素が取り入れられ、次から次へと新しい音楽が生み出されていました。
まさにロックの可能性が芽を吹いた、「春」の時代です。
コラシアムが創り出した音楽は、自由で創造的だったこの時代の空気に呼応したもので、荒々しい生命力にあふれていると言えるでしょう。
そのコラシアムの代表作が「バレンタイン組曲」です。
もう遠い過去になりましたが、ぼくの高校生時代は、みんなFM放送で流れる音楽を録音(エア・チェック)して、大事に何度も聞いていましたね。
なにせ、新品のレコードなんてそんなにしょっちゅう買えないですから。
当時は「週刊FM」や「FMレコパル」などFM雑誌がいくつもあって、その番組表にはオン・エアされる曲とその長さまでが載っていたので重宝しておりました。
このカセット・テープに録音できる残り時間がこれだけだから、この曲をここに録音して、、、なんてよくやってましたね。
あるとき、いつものようにFM雑誌を隅々まで眺めていると、NHKのリクエスト番組でコラシアムのバレンタイン組曲(曲のほうです)がオン・エアされるのを見つけたんです。
ロック雑誌「ミュージック・ライフ」でもちろんコラシアムの名だけは知っていたので、「これはチャンス、どんなものか聴いてみよう!」とばかりラジカセで録音したんです。
結果その存在感に圧倒されて、ほどなくレコード屋さんでアルバム(もちろん中古でした)を買ったというわけです。
アルバムのオープニングは、「ザ・ケトル」。
荒々しく尖ったギターのカッティングは、一挙にトップ・ギアに入った感があります。
野性味あふれるベースと縦横無尽に叩きまくるドラムスの荒々しいプレイは、むしろ初々しく、そして清々しい。
まさにハード・ロックです。
続く「エレジー」はサックスによるリフとソロが印象的な、やや陰のある小品といったところでしょうか。
3曲目は、オルガンとホーン・セクションで仄暗く彩られる「バッティーズ・ブルース」。ビッグ・バンド・サウンドを彷彿とさせるヘヴィーなブルースです。
そして、マイナー・ブルースの変形である「機械のいけにえ」。
ロック・ビートとシャッフル・ビートが交互に現れたあとは原始的なリズムの洪水です。いちどフェイド・アウトしてからフェイド・インしてくるのですが、これはビートルズが「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」で使った前衛的な手法です。
レコード盤時代ではここでレコードを裏返し、再度レコード針をレコード盤にゆっくり落とすのですが、そのB面すべてを使って録音されているのが、アルバムのタイトル・ナンバー「ヴァレンタイン組曲」です。
ジュリアス・シーザーの最後の3ヵ月をテーマにしているこの曲は、16分49秒にもおよぶ大作です。
もともとロックの曲は、ポップなメロディと強調されたビートを持つシンプルな作りのものが多く、3分程度の長さの曲が大半を占めていました。
ところが1960年代も中盤になると様々な試みが行われるようになった結果、長尺の曲でないと表現しきれないケースが増えてきました。即興演奏を重視するバンドのインプロヴィゼイションは必然的に長くなりますが、芸術性や多様な表現を追求するバンドの作る曲は構成が複雑になって10分を超えることも珍しくなくなってゆくのですね。
当時を振り返ってみると、ジ・エンド(11分43秒、1967年ドアーズ)、イン・ア・ガダ・ダ・ヴィ・ダ(17分05秒、1968年アイアン・バタフライ)、スプーンフル(16分44秒、1968年クリーム)、ブードゥー・チャイル(15分00秒、1968年ジミ・ヘンドリックス・エキスペリエンシス)、神秘(11分52秒、1968年ピンク・フロイド)、4月の協奏曲(12分10秒、 1969年ディープ・パープル)など、大作の出現が目立ちます。
さて「ヴァレンタイン組曲」ですが、タイトルの通り三つの主題から成り立っていて、それがメドレー形式で切れ目なく続きます。
いろんなものが詰め込まれていて、息をもつかせない感じですね~
緊張感あふれるオルガンで曲が始まるのですが、そこにギターとヴィブラフォンが絡んできて、たちまちハードなジャズ・ロックが展開されます。
もちろんバンドの大きな看板であるジョン・ハイズマンは、ここぞとばかりに叩きまくっています。
これがまたアツいといいますか、濃いといいますか、とてつもない存在感なのです。
続いて登場するのは、ディック・ヘクストール=スミスのサックスです。
ソロになるとテンポはフリーとなります。音色には艶があり、スピリチュアルな感じさえ漂っていて、まるでジョン・コルトレーンを思わせる世界を構築しています。
これを引き継ぐのが、デイヴ・グリーンスレイドの激しいソロです。
荒れ狂うオルガンの洪水から一転、教会カンタータを思わせる荘厳なコーラスをバックに、再びヘクストール=スミスがジャジーに、そして徐々にエキセントリックにソロを繰り広げます。
エンディング前にはベース・ソロに引き続きジェイムス・リザーランドのギター・ソロが始まりますが、ここからはまさにギターの独壇場。
徐々にボルテージは高まり、ついにクライマックスを迎えるのです。
いくつもの場面が劇的に展開してゆき、オルガン、サックス、ギターのソロもたっぷり聴くことのできる、実に濃密な16分49秒です。
上段 左から デイヴ・グリーンスレイド、右=ジョン・ハイズマン
下段 左から ディック・ヘクストール=スミス、トニー・リーヴス、ジェイムス・リザーランド
このアルバムには、全体を通してブリティッシュ・ロックならではの重々しい雰囲気が漂っています。
それでいて革新的で、新たな領域を開拓しようとする気概のようなものも感じます。
とくにキーボードのデイヴ・グリーンスレイドと、サックスのディック・ヘクストール=スミスの存在は際立っているように感じますね。このアルバムが醸し出す雰囲気には欠くことができないと思います。
そしてやっぱり言及せざるをえないのが、ジョン・ハイズマンです。
彼は、当時のイギリスではジンジャー・ベイカーなどと並び称されていた存在でしたが、その評判にたがわぬ圧倒的なドラミングです。
ドラム・ソロこそないけれど、一貫してエネルギッシュに叩き続けるハイズマンのドラムは、やはりバンドの重要なカラーであり、さらには1960年代後半の「時代の雰囲気」を体現しているといってもいいのではないでしょうか。
◆ヴァレンタイン組曲/Valentyne Suite
■リリース
1969年11月
■演奏
コラシアム/Colosseum
■プロデュース
トニー・リーヴス、ジェリー・ブロン/Tony Reeves, Gerry Bron
■録音メンバー
【Colosseum】
ジェイムス・リザーランド/James Litherland(guitars, lead-vocals)
ディック・ヘクストール=スミス/Dick Heckstall-Smith(sax, flute④)
デイヴ・グリーンスレイド/Dave Greenslade(organ, piano, vibraphone, backinng-vocal④)
トニー・リーヴス/Tony Reevws(bass)
ジョン・ハイズマン/Jon Hiseman(drums, machine④)
■収録曲
SIDE-A
① ザ・ケトル/The Kettle(Heckstall-Smith, Hiseman)
② エレジー/Elegy(Litherland)
③ バティーズ・ブルース/Butty's Blues(Litherland)
④ 機械のいけにえ/The Machine Demands a Sacrifice(Litherland, Heckstall-Smith, Pete Brown, Hiseman)
SIDE-B
①ヴァレンタイン組曲/Valentyne Suite
a) 第1主題ー1月の追求/Theme One - January's Search(Greenslade, Hiseman)
b) 第2主題ー2月のヴァレンタイン/Theme Two - February's Valentyne(Greenslade, Hiseman)
C) 第3主題ー緑なす草原/Theme Three - The Grass is Always Greener(Heckstall-Smith, Hiseman)
■チャート最高位
週間アルバム・チャート イギリス15位
【Live Information】
メリル・ストリープの素晴らしい演技で知られる『プラダを着た悪魔』。
この映画のオープニングは、ニューヨークの最前線で働くキャリア・ウーマンたちの、身支度を整えるシーンです。
ハードな一日に備え、朝起きて身にまとう服は、まさに「戦闘服」。
生き馬の目を抜く街とも言われるニューヨークで生きている女性たちは、着替えの時でさえアグレッシブです。
そんな場面で軽快に、そして生き生きと流れる曲が、KTタンストールの「サドゥンリー・アイ・シー」です。
KTタンストール
この曲は、2004年にリリースされたKTタンストールのデビュー・アルバム『アイ・トゥ・ザ・テレスコープ』に収録されており、同年8月にこのアルバムからのサード・シングルとしてリリースされました。
翌2006年6月に公開された映画『プラダを着た悪魔』ではオープニングに起用され、映画のヒットとともに彼女の評価をいっそう高めました。
KTはこの曲で、2006年のアイヴァー・ノヴェロ賞の最優秀ソング部門を受賞しました。
パンク・ロック黎明期に出現したパティ・スミスは、1977年にデビュー・アルバム「ホーセス」を発表しました。
「ホーセス」は絶賛され、それによってパティは「パンクの女王」と呼ばれるようになります。
「ホーセス」のアルバム・ジャケットには、ロバート・メイプルソープが撮影したパティの有名な白黒写真が使われていますが、この写真に感銘を受けたKTが書いた曲が「サドゥンリー・アイ・シー」なのです。
パティ・スミス「ホーセス」
歌詞には、美しさと大きな存在感を持つ女性を見て、「これが私のなりたい姿」だと突然悟った、ひとりの女性の心境が表されてます。
自分を変え、人生を変えていこうと未来に立ち向かっている女性たちにとっては、とても心強いメッセージなのではないでしょうか。
心もち歪ませたグルーヴィーなギターのカッティングと軽快なリズムは、たちまちテンションを上げてくれます。
KTの歌声には、自然な「伝えたい思い」が満ちているように感じます。同時に、優しくて、甘い。
ポップ・ロックのエッセンスが詰まったようなメロディーは、フレンドリーでほんの少しセンチメンタル。そのブレンド具合がなんともいえず温かくて、慌ただしく時間に追われていつの間にか何かを感じる力が鈍っている自分の心に響きます。
『プラダを着た悪魔』は、ぼくの好きな映画のひとつです。
なんといっても、エンディングで一瞬だけ見せるメリル・ストリープの微かな笑み、これを観るだけでも価値があると思います。
「サドゥンリー・アイ・シー」は、『プラダを着た悪魔』のほかにも、テレビ・ドラマ『アグリー・ベティ』の主題歌としても使われています。
ちなみにKTは、この曲でドラムを担当しているルーク・バレンと2008年に結婚(2013年離婚)しています。
<歌 詞>
<訳 詞>
◆サドゥンリー・アイ・シー/Suddenly I See
■シングル・リリース
2005年8月29日
■歌・演奏
KTタンストール/KT Tunstall
■作詞・作曲
KTタンストール/KT Tunstall
■プロデュース
スティーヴ・オズボーン/Steve Osborne
■録音メンバー
KTタンストール/KT Tunstall(vocal, guitar, Synthesizer-bass, percussions)
ルーク・バレン/Luke Bullen(drums, percussions)
■収録アルバム
アイ・トゥ・ザ・テレスコープ(2004年)/Eye to the Telescope
■チャート最高位
2005年週間シングル・チャート アメリカ(ビルボード)21位 イギリス12位
2005年年間シングル・チャート イギリス69位
『プラダを着た悪魔』オープニング
2010.3.26 Live at 9:30 Club, Washington D.C.
【Live Information】
実はぼくのCD棚には、レッド・ツェッペリンの公式アルバム全10枚がそろっています。
でも、意識して買い揃えたわけではないのです。
例えば、大好きなバンド「ビートルズ」もイギリス盤オリジナル・アルバムを全部持っていますが、これは明らかに「欲しくて買い集めた」ものなんですね。
ツェッペリンのことは、ロック・ファンとしてはもちろん好きですが、「大好きなバンド」と思ったことは一度もありません。
聞いただけでその曲のタイトルを全て当てられるわけでもないし、アルバムのタイトルを全部言えるわけではないし、バンドにまつわるエピソードをたくさん知っているわけでもないし(もちろんある程度は知っていますが)。
といって、もちろん嫌いなわけでもありません。
やっぱり敬意を込めて「偉大なバンド」だと認識していますし、好きな曲や好きなアルバムはいくつもあります。
『ミュージック・ライフ』『guts』『ザ・ミュージック』など、当時の貴重な情報源だったロック雑誌にはツェッペリンの記事が載っていなかったことはなかった、と言っても過言ではないくらいでした。だから知らず知らずのうちにツェッペリンに関する知識が刷り込まれ、愛着めいたものが心に積もっていったのかもしれません。ちょうど巨人戦中心の野球中継を観ているうちに巨人ファンになってしまうように。
レッド・ツェッペリンの音楽に最初に触れたのは中学時代です。
1970年代中頃ですね。
ヨシダくんという、ロックに詳しい友人がいました。
彼にはたくさんのロックのレコードやロック・バンドについて教えてもらいました。
ヨシダくんはお母さんとふたり暮らしでしたが、お母さんが飲食店を経営されていて夜はいらっしゃらなかったので、遅い時間に遠慮せず遊びに行くことができたんですね。
彼の家には当時珍しかった家庭用ビデオ・デッキがあったり、当時のぼくの目には「たいへんなマニア」に映るくらいのいろいろなレコードがありました。
そんななかである夜聴かせてもらったのが、レッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」のシングル・レコードだったんです。
パワフルに迫ってくるギター・リフは「かっこいい」の一言でしたが、一番ビックリしたのは、ちょっとアバンギャルドぽい中間部のフリー・インプロヴィゼイションでした。
よく分からない。
分からないんですが、その自由で常軌を逸した(と当時は思った)プレイと呪術的とも言える異様な雰囲気に、ビックリしつつも文句なく惹き込まれたんです。
たぶんその夜は、「胸いっぱいの愛を」が入っているアルバム「レッド・ツェッペリンⅡ」を借りて帰ったはずです。
「Ⅳ」(いわゆる『フォー・シンボルズ』)も、よく聴きました。
あの名曲「天国への階段」をはじめ、「ロックンロール」「ブラック・ドッグ」などの有名曲が散りばめられていたからです。
レッド・ツェッペリンといえば、ぼくとしてはまずはジョン・ボーナムのドラミングです。ズッシリとした重量感のある音色がたまらなく気持ち良いのです。「レヴィー・ブレイク」なんかがその最たるものではないでしょうか。
ブルースに影響されたハード・ロック・バンドのイメージが強く、そういう曲の中にも好きな曲はたくさんありますが、フォークとかトラディショナルの影響を吸収昇華したアコースティックな曲も大好きです。「天国への階段」はもちろんですが、「サンキュー」がとくに胸に響くんです。心に沁み入る感じがするとでも言ったらいいのかな。
ロバート・プラントの、メタリックな質感を持つ独特の歌声も印象的です。パワフルなシャウト、アコースティックな曲にもよく映える声質、攻撃的で自由度のある唱法で、半世紀を超えるロックの歴史の中でも稀有なボーカリストとして称賛されていますね。
もちろんジミー・ペイジの個性的なギターと彼が生み出す数々のギター・リフ、ジョン・ポール・ジョーンズのボトムをしっかりと支える堅実なベースがあればこそのツェッペリン・サウンドですが、スルーできないのは時折りジョン・ポール・ジョーンズの弾くオルガンやピアノの存在です。
レッド・ツェッペリンの曲の中で好きなものは、「胸いっぱいの愛を」「サンキュー」「移民の歌」「天国への階段」「ブラック・ドッグ」「時が来たりて」「永遠の詩」「レイン・ソング」などなどです。
こうしてみると、「ファン」と言われてもしかたないくらいお気に入りの曲がありますね。
今にして思うと、最初は「有名なバンドだから」「ロック通の人はみんなツェッペリンを知っているから」という軽い理由でツェッペリンのレコードを買っていたのかもしれません。またその自覚があるから好きなバンドを問われた時に「ツェッペリン」と答えたことがなかったのでしょう。
でも、思い返してみて気づいたことですけれど、やっぱり「ツェッペリンが好き」だからレコードやCDを買い続けていたんでしょうね。
【Live Information】
年末に突発性難聴に見舞われました。
音がこもったように聴こえる症状を自覚したんですが、年末年始の慌ただしさの中で病院にも行けず、ダッシュで買いに行ったビタミン剤でどうにか持ち直しております。
元旦は無事に早起きして、近くの百間川の土手(実はここは日の出がよく見える穴場なのです)で初日を拝み、気分を一新。
一新すると行動的になったかというとそんなこともなく、じっと引き篭もり、シアワセな気分で静か~に元日を過ごしました。
いわば、コタツの中のネコ状態ですね。
音楽を聴きたいという欲求もありません。
そのかわり、ひたすら焚き火動画を流しておりました。
薪のパチパチはぜる音は最高です。
実は焚き火は趣味のひとつなのです
実はぼくは、毎年お盆に法事はしていること、なにかと忙しいことを言い訳に、長らく墓参をしていませんでした。
ほんまにバチ当たりなことです
ところがこの正月、急にお墓参りをしたくなったのです。
でもとりあえず行けるとこまで行ってみよう、分からなかったらドライブをしたつもりで帰ってこよう、と決めて、2日の朝9時半ころに出発しました。
かつて高梁川にあった渡し舟の舟着き場「水江の渡し」がありました。
渡し舟は、船頭さんが竹竿で漕いでくれるもので、時代劇でよく見かけるあれです。
ぼくも子どもの頃に乗ったことがあり、そのことを懐かしく思い出しました。
水江の渡し 船着き場
ふと道端を見ると、酒津八幡宮があるという表示があります。
「これはお墓参りがわりになるかもな、ついでに初詣がわりにも」と思って行ってみることにしました。
墓地があると思い込んでいたところから逆方向に、高梁川に沿って車を走らせると、小高い山の上の方にお宮が見えてきました。
正式には「川嶋ノ宮八幡神社」というんだそうです。
天暦元年(947年)に宇佐八幡宮から八幡大神を、天暦2年には宗像三神を勧請したという、古くからある神社です。
空には雲ひとつなく、数日前の冷え込みがうそのような日です。
お宮へ続く石段は、415段。
境内に着くころにはジャンパーを着ていると汗ばむくらいでした。
ひんやりとした空気がとても心地よい。
その道の先の景色は記憶にありませんでしたが、ふと「どうせここまで来たのなら」と思い、車をその道の方へ進めてみました。
すると、なんとほんの数分で墓地に着いたんです。
もうこれは八幡さまのお導きかもと心の中で手を合わせつつ、無事にお墓参りを済ませることができました。
線香もあげ、親父やご先祖さまに挨拶もし、「また来るね」とお墓に声をかけ、さあ帰ろうとばかり車に乗り込んだ時のことです。
「Memories of You」はジャズの名曲です。スピーカーから聞こえてきたのは、ジャズピアニスト渋谷毅さんの演奏によるものでした。
胸がいっぱいになった気がしました。
とても嬉しかったな。
倉敷市南東部が臨めます
山陽自動車道が見えます
【Live Information】
今年は年男。
そして、今年から来年にかけて、身の回りのいろんなことがほぼすべて変わります。
これだけガラリと変わることって、あまりないことかもしれません。
正直、たいへんですし、重圧を感じます。
でも、文字通りの「新たな人生」が楽しみでもあります。
なんとなくワクワクもしています。
今年のテーマは、(いや、"今年"ではなく、"今の"でもあるんですが)
人の話を、最後まで聞く。聞き終えたあとは、先に自分が答えを出さない。また頼まれてもいないアドバイスはしない。
肩書き学歴等ではなく、"その人自身"と付き合う。
分け隔てしない。(例えば、紹介するなら全員を同じように紹介するし、お菓子をあげるならその場にいる人みんなに同じようにあげる、ってことです。当たり前のことなんですが、当たり前ではないできごとをたくさん目にしますので、改めて心に刻んでおこうと思います)
小さな約束を守る。
そして、少しずつでいいから音楽も深く勉強し、一歩一歩いい音に近づいてゆきたいと思っています。
そうそう、身近にコロナ感染者が出ても、まず「お大事にね」と思える人間でいたい、とこれは固く心に誓っています。
そんなわけで、今年も楽しく生きてゆこうと思います。
今年の初日の出。令和4年元旦の岡山の日の出は7時13分。
雲で見られないかも、と思っていましたが、今年も初日を拝むことができました。
令和4年1月1日