【Live Information】
6月8日(水) 羽野昌二&ニンニ・モルジア 岡山ライブ(at 岡山Ark)。
羽野昌二ホーム・ページ
羽野昌二wiki
フリー・ジャズのドラマーとして国際的に知られている羽野昌二さん。
もちろんお名前はかなり以前から存じ上げています。
その羽野さんが、シチリア島出身でニューヨーク在住のギタリスト、ニンニ・モルジア(Ninnni Morgia)さんと日本ツアーを行い、その一環として岡山でもライブをするから、オープニング・アクトとして手を貸してほしい、と友人のサックス奏者赤田晃一くんから連絡が入ったのが、5月の下旬でした。
羽野さんと共演する可能性も込みで、ということで。
赤田くんは、普段はオーソドックスなジャズや子供向けの演奏など幅広く活動していますが、実は根っからのフリー・ジャズ・チルドレン。音楽に対する目覚めがフリー・ジャズだったというから、彼の魂に宿るものがなんであるか想像に難くない(いや、想像を絶する、といったほうが適切かも)。
赤田くんとは、いきさつは忘れたけれど、フリー・ジャズの領域で共演することもしばしばで、ぼくの「自称なんちゃってフリー・ジャズ」に対しても寛容に受け入れてくれています。
フリー・ジャズを「インチキ」「でたらめ」と評する向きがあるのは知っています。
ぼくは、山下洋輔トリオの「キアズマ」によって、初めてフリー・ジャズに触れました。
わけのわからない、楽器による絶叫のような音楽でしたが、強烈なパワーとエネルギーには何かが揺さぶられた気がしました。
それ以後とくに積極的にフリー・ジャズにのめりこむことはなかったのですが、逆に嫌悪感を持つこともなく、むしろ副島輝人氏の「日本フリー・ジャズ史」を興味深く読んだり、アバンギャルドな音楽に対しても、上っ面だけではありますが、軽い好奇心を持っていました。
赤田くんとの、フリー・ジャズでの数回の共演から、自分なりに消化できたのが、
「なにからフリーになるのか」ということです。
コード進行から、リズムから、構成から、和音から、メロディーから、もしかするとすべてから。。。
ぼくは、相手の音から感じたものを感じたまま出すことしかできません。でも、どんな音をも意識して出したいな、とは思っています。
単なるメチャクチャだと、自分の手癖に行きつき、結局おなじフレーズのループになってしまうような気がします。そしてそれは、規制の枠を破壊してゆこうというフリー・ジャズの理念からは大きく外れていると思うのです。
ライブ当日のリハーサルは、羽野さんがお店のドラムをいったんバラし、組み立て直すという作業から始まりました。
羽野さんはぼくらに「長くなってすまないね」と声をかけ、ドラムセットに相対しています。さながら職人です。
リハーサル後、ぼくと赤田くん、「Tres」というユニット、そしてニンニのソロ、羽野さんのソロ、赤田&羽野デュオ、最後にニンニ&皆木デュオ、という構成でライブが進行することになりました。
羽野さんは、「しょっちゅう見れるものじゃないから、みんな前へ来て」と声をかけ、すこし自分について語ったあと、おもむろにソロ・パフォーマンスを始めました。
それは羽野さん自身の「歌」でした。技術的にも素晴らしいドラミングでしたが、はっきりした自己主張と巨大なエネルギーをセットに注ぎ込み、最後は火を噴くような、強烈な演奏でした。
赤田くんが入りデュオになると、相乗効果なのか、壮大なバトル(でも戦ではないんですね)が展開されました。
偉大な先輩を前にしても、一歩も引くことのない姿勢は、やはりさすがです。
汗をほとばしらせ、顔を真っ赤にし、持てるものをすべてさらけだそうとしているかのような演奏にはやはり引き込まれます。
そして、ぼくとニンニとのデュオ。
ぼくは、エフェクターは一切使わず、プラグをアンプに差し込むだけ。
こちらを見ているニンニに指でOKサインを送ると、彼は一瞬笑顔でうなづき、ギターを弾き始めました。
ニンニとはもちろん初対面。
リハのあと、拙い英語で「君はアンディ・ガルシアに似ているね」と話しかけたくらいで(笑顔でThank Youと言ってくれた)、打ち合わせ一切なし。まさに出たとこ勝負です。
言葉もろくに通じないし、じつはとても不安だったのですが、相手の音をしっかり聴き、そのまま受け入れること、普段の自分のままナチュラルに弾くことだけを決めてステージに上がりました。
いざ音楽が始まってみると、不安も忘れ、ひたすらニンニのギターに反応できたような気がします。
自分からも感じたことを感じたまま発信できたし、ぼくのやっていることにニンニが絡んできてくれたのも確かに感じることができました。
おそらくニンニもいつもどおりの自分を出してくれたように思います。
(後日、お客さんのひとりから、「素晴らしかった、ふたりで創りあげているのがとても伝わってきた、という意味の感想をいただきました)
最後は羽野さん、赤田くん、Tresのふたりもステージに上がり、6人でフリー・セッション。心地よい緊張感の中、無事ライブは終わりました。
演奏後、ニンニが笑顔で手を差し伸べながら近寄ってきて、ひとこと「Beautiful」と言ってくれました。
びっくりです。同時に「通じ合うことができたんだなあ」と思って、とても嬉しくなりました。
「ぼくはフリー・ジャズはよくわからない。だから、君の音を聴きながら『ぼくが出したい音はなんだろう』と自分に尋ねていたんだ」と下手な英語で話すと、大きくうなずいてくれました。
フリー・ジャズは、相変わらずなんなのかよくわかりません。
でも、相手と響きあうことをステージ上でもしっかり意識していれば、言葉はなくても意思の疎通はできるんだ、ということを実感することができました。
それだけでも、本当に貴重な体験をさせてもらえたと思っています。
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6月8日(水) 羽野昌二&ニンニ・モルジア 岡山ライブ(at 岡山Ark)。
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フリー・ジャズのドラマーとして国際的に知られている羽野昌二さん。
もちろんお名前はかなり以前から存じ上げています。
その羽野さんが、シチリア島出身でニューヨーク在住のギタリスト、ニンニ・モルジア(Ninnni Morgia)さんと日本ツアーを行い、その一環として岡山でもライブをするから、オープニング・アクトとして手を貸してほしい、と友人のサックス奏者赤田晃一くんから連絡が入ったのが、5月の下旬でした。
羽野さんと共演する可能性も込みで、ということで。
赤田くんは、普段はオーソドックスなジャズや子供向けの演奏など幅広く活動していますが、実は根っからのフリー・ジャズ・チルドレン。音楽に対する目覚めがフリー・ジャズだったというから、彼の魂に宿るものがなんであるか想像に難くない(いや、想像を絶する、といったほうが適切かも)。
赤田くんとは、いきさつは忘れたけれど、フリー・ジャズの領域で共演することもしばしばで、ぼくの「自称なんちゃってフリー・ジャズ」に対しても寛容に受け入れてくれています。
フリー・ジャズを「インチキ」「でたらめ」と評する向きがあるのは知っています。
ぼくは、山下洋輔トリオの「キアズマ」によって、初めてフリー・ジャズに触れました。
わけのわからない、楽器による絶叫のような音楽でしたが、強烈なパワーとエネルギーには何かが揺さぶられた気がしました。
それ以後とくに積極的にフリー・ジャズにのめりこむことはなかったのですが、逆に嫌悪感を持つこともなく、むしろ副島輝人氏の「日本フリー・ジャズ史」を興味深く読んだり、アバンギャルドな音楽に対しても、上っ面だけではありますが、軽い好奇心を持っていました。
赤田くんとの、フリー・ジャズでの数回の共演から、自分なりに消化できたのが、
「なにからフリーになるのか」ということです。
コード進行から、リズムから、構成から、和音から、メロディーから、もしかするとすべてから。。。
ぼくは、相手の音から感じたものを感じたまま出すことしかできません。でも、どんな音をも意識して出したいな、とは思っています。
単なるメチャクチャだと、自分の手癖に行きつき、結局おなじフレーズのループになってしまうような気がします。そしてそれは、規制の枠を破壊してゆこうというフリー・ジャズの理念からは大きく外れていると思うのです。
ライブ当日のリハーサルは、羽野さんがお店のドラムをいったんバラし、組み立て直すという作業から始まりました。
羽野さんはぼくらに「長くなってすまないね」と声をかけ、ドラムセットに相対しています。さながら職人です。
リハーサル後、ぼくと赤田くん、「Tres」というユニット、そしてニンニのソロ、羽野さんのソロ、赤田&羽野デュオ、最後にニンニ&皆木デュオ、という構成でライブが進行することになりました。
羽野さんは、「しょっちゅう見れるものじゃないから、みんな前へ来て」と声をかけ、すこし自分について語ったあと、おもむろにソロ・パフォーマンスを始めました。
それは羽野さん自身の「歌」でした。技術的にも素晴らしいドラミングでしたが、はっきりした自己主張と巨大なエネルギーをセットに注ぎ込み、最後は火を噴くような、強烈な演奏でした。
赤田くんが入りデュオになると、相乗効果なのか、壮大なバトル(でも戦ではないんですね)が展開されました。
偉大な先輩を前にしても、一歩も引くことのない姿勢は、やはりさすがです。
汗をほとばしらせ、顔を真っ赤にし、持てるものをすべてさらけだそうとしているかのような演奏にはやはり引き込まれます。
そして、ぼくとニンニとのデュオ。
ぼくは、エフェクターは一切使わず、プラグをアンプに差し込むだけ。
こちらを見ているニンニに指でOKサインを送ると、彼は一瞬笑顔でうなづき、ギターを弾き始めました。
ニンニとはもちろん初対面。
リハのあと、拙い英語で「君はアンディ・ガルシアに似ているね」と話しかけたくらいで(笑顔でThank Youと言ってくれた)、打ち合わせ一切なし。まさに出たとこ勝負です。
言葉もろくに通じないし、じつはとても不安だったのですが、相手の音をしっかり聴き、そのまま受け入れること、普段の自分のままナチュラルに弾くことだけを決めてステージに上がりました。
いざ音楽が始まってみると、不安も忘れ、ひたすらニンニのギターに反応できたような気がします。
自分からも感じたことを感じたまま発信できたし、ぼくのやっていることにニンニが絡んできてくれたのも確かに感じることができました。
おそらくニンニもいつもどおりの自分を出してくれたように思います。
(後日、お客さんのひとりから、「素晴らしかった、ふたりで創りあげているのがとても伝わってきた、という意味の感想をいただきました)
最後は羽野さん、赤田くん、Tresのふたりもステージに上がり、6人でフリー・セッション。心地よい緊張感の中、無事ライブは終わりました。
演奏後、ニンニが笑顔で手を差し伸べながら近寄ってきて、ひとこと「Beautiful」と言ってくれました。
びっくりです。同時に「通じ合うことができたんだなあ」と思って、とても嬉しくなりました。
「ぼくはフリー・ジャズはよくわからない。だから、君の音を聴きながら『ぼくが出したい音はなんだろう』と自分に尋ねていたんだ」と下手な英語で話すと、大きくうなずいてくれました。
フリー・ジャズは、相変わらずなんなのかよくわかりません。
でも、相手と響きあうことをステージ上でもしっかり意識していれば、言葉はなくても意思の疎通はできるんだ、ということを実感することができました。
それだけでも、本当に貴重な体験をさせてもらえたと思っています。
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