ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

苦さと甘さ

2017年07月09日 | 価値観
【Live Information】 


 20代~30代の頃は、
 黒人の演奏するブルースやR&Bは、あまり聴かなかった。
 ぼくには濃すぎて、そして苦すぎたからだ。
 そのかわり、エリック・クラプトンやマイク・ブルームフィールド、あるいはレッド・ツェッペリンなどのブルース・ロック(いわゆるホワイト・ブルース)は好んで聴いた。
 ジャズでは、例えばセロニアス・モンクも、濃すぎてピンとこなかった。


 それが今では、アレサ・フランクリンやダニー・ハサウェイなどなどを、普通に「カッコいい」と思って愛聴している。
 耳が肥えたのか、感覚が育ったのか。
 
 
 こどものころは、コーヒーの香りは好きだけれど、飲むには苦かったので、甘くて飲みやすくするために砂糖とミルクは欠かせなかった。
 おとなになって、コーヒーの強い味をすんなり受け入れられるようになって、はじめてコーヒー本来のおいしさを感じられるようになった。
 砂糖とミルクを入れるということは、コーヒー本来の薫りを消すことで、飲みやすくしたコーヒーは、コーヒーっぽいけれど別の飲み物になっていたのかもしれない。
 おいしいかまずいかは別として、
 砂糖とミルクを入れたものしか飲んでいないのに、コーヒーについては語れない。


 こどものころは、ピーマンはそんなに好きではなかった。あえて野菜炒めに入れる意味がわからなかった。
 でもおとなになると、あの苦さが野菜炒めにないと物足らない。


 ブルースやジャズやR&Bも、かつてはぼくには濃すぎて苦すぎた。
 白人の演奏するブルース・ロックとかがちょうどよかった
 でもそれは砂糖入りのコーヒーのように、本来の濃さが消されているものなのかもしれない。
 苦いからといって、ピーマン抜き作った野菜炒めのようなものかもしれない。


 ブルースやジャズやR&Bなどの、ルーツが黒人音楽にあるものは、やはり黒人が演奏しているものにその本来の魅力があるのだと思う。
 コーヒーに砂糖とミルクを入れるということは、実はコーヒーをわざわざまずくして飲んでいるようなものなのかもしれない。
 




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コメント
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