ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

第11回倉敷ジャズストリート

2019年11月05日 | 随想録

【Live Information】


 倉敷で演奏のある日は早めに出かけて、鶴形山に上がります。
 ここのところの慣わしです。
 景色を眺めたり、神社やお寺の境内をぶらぶら歩いたり、ここで遊んだ(ワルさばかりしていた)子供のころを思い出したり。そんなことをしているうちに、とても澄んだ気持ちになってゆくのが自分でも分かります。
 よく晴れた秋の、午前中の静けさとやわらかな眩しさ。11月第1土曜の朝に味わうこの雰囲気は格別です。



鶴形山中腹にある観龍寺。秋の朝、ここで過ごす静かな時間が大好きです。








観龍寺から臨む倉敷市街


 毎年11月の第1土・日曜には、倉敷市の美観地区およびその周辺で「倉敷ジャズ・ストリート」が行われています。
 倉敷ジャズは、ぼくにとっては「やっぱり自分は倉敷の子なんだ」ということを思い出させてくれる日です。
 そしてその気持ちは年々強まってゆきます。
 不思議なものです。倉敷で生まれ育ちはしましたが、もう人生の3分の2は倉敷ではないところに住んでいるのに。。。
 そしてもうひとつ言うと、(とくにミュージシャンとしての)自分の在り方を自然に省みることができる日でもあります。    


 今年は、倉敷ジャズの会場のひとつである「倉敷物語館」に用意された特設ブースから放送されるFMくらしきの番組に、日ごろ共演機会の多い(もちろん今年の倉敷ジャズでも共演する)美淋つゆ子さんとともに呼んでいただきました。
 倉敷の老舗ジャズ・クラブ「アヴェニュウ」の二代目、琢真くんに「いろんなネタで思いきり喋ってください」と言われていたので、存分に喋り倒しました。そして倒した上におおいかぶさってさらに耳元で言葉を繰り出し続ける勢いで喋りました。
 たぶん快晴の秋、三連休、演奏前、イベント感等々がごちゃまぜになっておかしなテンションになっていたんだと思います。(^^;)
 次の日、琢真くんに
 「皆木さんよ~~~うしゃべっとったなあ」
 と真顔で言われました。(^^;)
 一瞬「ハッ」としました。 (ああああまた世間様に口がうまいとかよくしゃべるとか言われる(T-T)
 そしてオソルオソル尋ねました。
 「・・・それは、、、苦情・・・?」
 この質問は杞憂だったようです。www ああよかった。。。(T▽T)
 美淋ちゃんの声がもっと聴きたかった方のためにもうひとつ。
 彼女は「ふたりが同じ調子でワイワイやったら雰囲気がガチャガチャになるから」という理由があったので、スペースがある時にムリなく話すという態勢を
取っていたそうです。さすが。
 もっとも彼女は出演前にビール2本飲み干したあと、「眠くなってきた~」とか言ってました。ママカリの干物を齧りながら。www    



豪快にwビールを喇叭呑みする美淋嬢。片手にはママカリの干物。こうなると「綺麗なオッサン」ですwww
 

 物語館のステージでもぼくのMCは快調で(自分で言うのもアレですが)、今回の倉敷ジャズはエネルギーの8割を喋りで使い果たしてしまいました。
 その物語館でのステージでのこと。
 MCで「誕生日の方」か「遠方から来た方」にちっちゃなプレゼントをお渡しする、という仕込みをしていたんですが、なんと差し上げた方(ご夫妻)は、お二人が言うには「追っかけなんです」。
 実は、何年か前の倉敷ジャズでぼくの演奏を気に入ってくださって、それ以後いつも倉敷ジャズに来てくださっているそうなんです。
 偶然そういう方にプレゼントが当たったことにとてもビックリなんですが、なんとそのご主人の方は米子のビッグバンドでベースを弾いていて、名前がぼくと同じく「ヒデキ」なんだそうです。 二度ビックリ
 なんだか感激してしまいました。



倉敷物語館でのステージ



本栄寺でのステージ



本栄寺ではスタージから客席を「逆」撮影。
    

 ぼくは(まあこんなとこに書くことでもないけど)人間関係の作り方が非常に下手くそで(いっけんよく喋るように見えて、です)、そのことでしょっちゅう自分で自分の気持ちを重くしています。
 正直に言えば、ぼくのことがイヤな人はムリに寄ってきてもらわなくて大丈夫なのですが、こちらから寄って行く時は、やっぱり「うまく会話しなければ」とか「イヤな気持ちにさせないように」とか、そんなことが重圧になって、よくおかしなことになってしまうのです。この土日はとくに妙なテンションだったのでよけいに騒がしかったかもしれません。
 「あ~ウルサイうっとーしー」的な気分になった方がいたらゴメンね。
 顔を見れて、話ができて嬉しかっただけなんだから、許してください。    


 いくつかの会場に聴きにも行きましたが、その中に「ああ、今の自分はまだ生ぬるい」ということを気づかせてくれたピアノ・トリオがありました。演奏を聴いているうちに気持ちの中の火種をかき立ててもらいました。
 やっぱりぼくはまだまだ伸びたいし、いい音を出したい。そんな自分の気持ちが再確認できてよかったです。    


 大阪から友達が倉敷ジャズに出演しに来ていて、彼らは2日夜の物語館セッションに参加してました。
 どんな気持ちかをメールで尋ねてみたら、「ビビッて控えでふるえてる」との返信が。
 そこでさっそく冷やかし半分激励半分で様子を見に行ったのですが、なんだかよくわからないうちに自分がセッションに出ることになってしまって、血の気が引きました。
 ぼくはセッションがキライなのです。
 正確には「セッションがキラい」というより、「他人を気にしたり必要以上にプレッシャーを感じたりするあまり、周りから良く見られたくてあせって余計ないいカッコをしてしまう自分」が大嫌いだからです。
 すると、その場にいたあるベーシスト君が「シンプルな演奏を心がけている皆木さんの演奏を聴いたことがあるけど、あれは素晴らしかったです」と言ってくれました。「そうだったなあ。。。あの時は"自分のことより全体の音"っていう意識だけだったからなあ」とその時のことを思い出しました。するとセッションで組むメンバーが若い子ばかりだったので、「支えることだけ考えよう、お父さん的プレイに徹しよう」と思えてきたのです。そこでグズグズ言うのはやめにして、ステージに上がりました。
 ぼくにそういう温かい言葉をかけてくれたベーシスト君、ありがとう。
 彼は髪型からすると、実はとてもありがたいお坊さんなのかもしれないwww
 でもそのベーシスト君、控えでワイワイ言ってる時に「あ、ボク"Moanin"を弾かないといけないので・・・」と言ってソソクサと立ち去ろうとしたから、 「オレとモーニンどっちが大事なんじゃコラ」と聞くと、間髪いれず笑顔で 「モーニンです(^^)」と涼やかに言い放って、颯爽と消えてゆきました。 www



2日夜の、倉敷物語館でのセッション
   

 3日は、関西から来ている友人たちのバンドを聴きに(会いに)倉敷へ。
 大阪から来ているフュージン・バンド「T-est Pattern」は、前夜のセッションで「ビビッていた」ベーシストとドラマーの所属するバンドです。
 播州からは、亡きボス有末佳弘さん繋がりの面々が。
 合い間にジャズストリート本部に顔を出してみると、実行委員で倉敷の老舗ジャズ・クラブ「アヴェニュウ」を経営する松本琢真くんがちょうどバナナのかぶり物をかぶったところでした。
 これがきっかけで、「われもわれも」「きみもかぶってみようwww」な感じで、さっそくバナナ大会(?)が始まりました。



~倉敷に集ったJazz Bananas~


 ①チョコバナナになりたくてチョコを齧るたくまバナナ。さすがに着こなしが一番自然。
 ②年に一度のジャズストリートに対する熱い想いをポーズで表す森永"モーリー"バナナ。
 ③MCバナナ。よくしゃべる。くさりかけのB級品。(ぼくです
 ④イケメンの3S級フジノバナナ。3Sの称号に誇りを抱き威風堂々。
 ⑤通りすがりのZippersのベースKAZUさん。ムリヤリなコスプレの依頼に快くのっかってくれてみんな大ウケ。

 
 参加バンド、参加ミュージシャンとも過去最多を数えた今年の倉敷ジャズ・ストリート。
 3連休で好天との予報もあいまってか、美観地区の混雑も例年以上だったように思います。
 来年は、ひさびさに自分のバンドでエントリーしてみようかと思っています。



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