貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

鳴く蛙から 飛ぶ蛙

2019-12-30 11:19:30 | 日記

鳴く蛙から 飛ぶ蛙

令和元年12月30日

 朝から買い物へ。

歳末から年始の準備。

慌ただしさがスーパーにのみ

溢れている感じ?

 二度目の蓑虫庵の入口をくぐる。

 一回目は、大阪から地元に

移られた退職された方、

ユーモアあふれる案内で

印象深い。

 今回は上品で明朗な女性の方。

初回の話をすると、Tさん。

すぐ携帯で連絡を取ってくだ

さる。

 伊賀市の役所勤めをさらに

続けておられるという。

 「蓑虫庵」には、

2基の芭蕉句碑がある。


  すぐ出合うのが、古池塚。

               

「古池や 

  蛙飛ひこむ 

   水の音」  。

 円窓は正風開眼を表し、

下部に蛙の浮き彫りがある。

 これは一回目撮影。


 

 句碑は、深川の草庵に建てら

れていたものを、昭和初期当時

の庵所有者菊本直次郎により

移建。

  句は、貞亨3年(1686)芭蕉43歳

3月下旬、深川芭蕉庵での作。

季語は「蛙」で春。

 支考の『葛の松原』によれば、

芭蕉はまず「蛙飛こむ水の音」

が浮かび、上五を得なかった

ところ、其角が「山吹や」と

提案したが採らず、

「古池や」に定めたという。 

 当時「蛙」に「山吹」は

月並な付合用語(連想語)に

過ぎず、

 また蛙は『古今和歌集』の

仮名序に、

「花に鳴く鶯、水に住む蛙

の声を聞けば」

とあるように、古来、蛙と

いえば「鳴く蛙」を詠むのが

伝統であった。

 芭蕉はその伝統を打ち破り、

池に「飛ぶ蛙」を詠んだところ

に、斬新で独創的な新境地を

開く。

 蛙の飛び込む音によって、

静寂の世界に動きが与えられ、

またもとの静寂にかえると

いう微妙な境地をとらえた

即興句で、閑寂・幽玄な

古池の詩情をとらえる。

 句意は、

「静かな春の日、水を湛えた

古池がひっそりと静まりかえ

っている。

 すると、ポチャンと蛙の

飛び込む音がした。

 一瞬あたりの静寂は破れ、

またもとの静寂にかえる。」

 見事な自然の世界の描写!