☆レイトショーで観てきたのですが、明日も早よから仕事っちゃ。
なんで、短いエントリーですまないっちゃ^^(長次郎の真似^^;)
・・・いい作品だった。
明治時代の、日本の国土の最後の空白地帯を埋める測量作業に魂を賭けた男たちの物語。
同時期に山岳会も剱岳初登頂を目指しており、陸軍測量隊は、陸軍の名誉をも背負って剱岳に挑む。
陸軍のメンツばかり意識する陸軍首脳…、測量隊隊長の柴崎(浅野忠信)の奥さん(宮崎あおい)の可愛らしさ…、
物語は、そんな風に分かりやすく進んでいく。
私は最近、芸術を気取った、もしくは、新趣向を志向した複雑な作品の多い中で散文的に段取りを踏まえた作品を好む傾向にある。
だから、測量を始めてからの、山の危険を丹念に描いて、こちらの気分を盛り上げていくような、この作品の演出が好感であった。
手触りとしては、『明日への遺言』(クリック!)のような直球の作品であった。
何よりも、作り手が山に造詣が深いようで、実に、荘厳に、美しく、険しく山々を活写してくれていた。
実に高さの演出(撮り方?)が見事で、見ていてヒヤヒヤさせられた。
見ている者にそう思わせるのって、当たり前のようで、難しいんだよ。
吹雪にさらされる主人公たちは本当に吹き飛ばされそうなので、私は腹が冷えた^^;
つまり、この作品は、記号的に「山」を映しているのではなく、情感揺り動かす「高い山」を描いてくれているのだ。
記号としての「吹雪」ではなく、体感としての「吹き飛ばされそうな冷たい暴風」を表現してくれている。
紅葉緑葉入り混じる尾根の美しさ・・・。
雲海を照らす夕日の、息を飲む美しさ・・・。
『2001年 宇宙の旅』のモノリスのように唸り続ける山々・・・。
◇
この作品、構造的に、駄作『真夏のオリオン』と似ている。
大いなる大自然の中で、目的を持って二つのチームが競い合うのである。
最終的には、お互いは力を認め合う。
『真夏のオリオン』においては、その見せ方の無理矢理さで失敗した。
しかし、今作品においては、両者をむき出しの勝負にさせなかった(抑制の美学)ので、そのエンディングの掛け合いで清々しい思いをさせられた^^
私、実は、登頂以後の後日譚が長く、観ていて何度も蛇足のように思ったのだが、最後の山岳会のリーダー(仲村トオル)のスポーツマンシップと、それに対しての測量手たちの返答に感動した。
「陸軍的名誉」を逃した測量手たちは、山岳会のスポーツマンシップ・・・、そう、「スポーツ」の勝ち負けによって、また別の「名誉」を得ることになった。
◇
山の案内役(シェルパ)・長次郎を演じた香川照之は、完璧だった。
物語の冒頭、初対面の柴崎を富山駅に迎えに行き、そこから歩いていく様が遠景で映し出されるのだが、その歩き方からして既に「山男」であった。
◇
最後に、この作品の欠点を記しておく、
時に、作り手、もしくは演者の「視線」が、作品上の対象への角度と合っていないことがあった。
例えば、柴崎に剱岳の絵を見せる長次郎を見守る奥さんの微笑みの向きがおかしかった。
落石を見守る長次郎の視線の角度がおかしかった。
他にも、そういったことが無数にあり、観ていて、見るリズムがちょっと崩れた^^;
(2009/06/26)
なんで、短いエントリーですまないっちゃ^^(長次郎の真似^^;)
・・・いい作品だった。
明治時代の、日本の国土の最後の空白地帯を埋める測量作業に魂を賭けた男たちの物語。
同時期に山岳会も剱岳初登頂を目指しており、陸軍測量隊は、陸軍の名誉をも背負って剱岳に挑む。
陸軍のメンツばかり意識する陸軍首脳…、測量隊隊長の柴崎(浅野忠信)の奥さん(宮崎あおい)の可愛らしさ…、
物語は、そんな風に分かりやすく進んでいく。
私は最近、芸術を気取った、もしくは、新趣向を志向した複雑な作品の多い中で散文的に段取りを踏まえた作品を好む傾向にある。
だから、測量を始めてからの、山の危険を丹念に描いて、こちらの気分を盛り上げていくような、この作品の演出が好感であった。
手触りとしては、『明日への遺言』(クリック!)のような直球の作品であった。
何よりも、作り手が山に造詣が深いようで、実に、荘厳に、美しく、険しく山々を活写してくれていた。
実に高さの演出(撮り方?)が見事で、見ていてヒヤヒヤさせられた。
見ている者にそう思わせるのって、当たり前のようで、難しいんだよ。
吹雪にさらされる主人公たちは本当に吹き飛ばされそうなので、私は腹が冷えた^^;
つまり、この作品は、記号的に「山」を映しているのではなく、情感揺り動かす「高い山」を描いてくれているのだ。
記号としての「吹雪」ではなく、体感としての「吹き飛ばされそうな冷たい暴風」を表現してくれている。
紅葉緑葉入り混じる尾根の美しさ・・・。
雲海を照らす夕日の、息を飲む美しさ・・・。
『2001年 宇宙の旅』のモノリスのように唸り続ける山々・・・。
◇
この作品、構造的に、駄作『真夏のオリオン』と似ている。
大いなる大自然の中で、目的を持って二つのチームが競い合うのである。
最終的には、お互いは力を認め合う。
『真夏のオリオン』においては、その見せ方の無理矢理さで失敗した。
しかし、今作品においては、両者をむき出しの勝負にさせなかった(抑制の美学)ので、そのエンディングの掛け合いで清々しい思いをさせられた^^
私、実は、登頂以後の後日譚が長く、観ていて何度も蛇足のように思ったのだが、最後の山岳会のリーダー(仲村トオル)のスポーツマンシップと、それに対しての測量手たちの返答に感動した。
「陸軍的名誉」を逃した測量手たちは、山岳会のスポーツマンシップ・・・、そう、「スポーツ」の勝ち負けによって、また別の「名誉」を得ることになった。
◇
山の案内役(シェルパ)・長次郎を演じた香川照之は、完璧だった。
物語の冒頭、初対面の柴崎を富山駅に迎えに行き、そこから歩いていく様が遠景で映し出されるのだが、その歩き方からして既に「山男」であった。
◇
最後に、この作品の欠点を記しておく、
時に、作り手、もしくは演者の「視線」が、作品上の対象への角度と合っていないことがあった。
例えば、柴崎に剱岳の絵を見せる長次郎を見守る奥さんの微笑みの向きがおかしかった。
落石を見守る長次郎の視線の角度がおかしかった。
他にも、そういったことが無数にあり、観ていて、見るリズムがちょっと崩れた^^;
(2009/06/26)