☆皆さん、「なんだよ、今週の封切り作品の感想じゃないのかよ」と御思いでしょう。
私、可愛い幼女が殺されるような映画は不愉快で観れないのです(『告白』)。
また、『セックス・アンド・ザ・シティ』シリーズは見たことなく、この間、ビデオでテレビシリーズを見てみようかなとも思ったのですが、シリーズが何シーズンもあって、挫折した次第です^^;
それから、『孤高のメス』は、うちのバァちゃんが見たがっていたので、その内、一緒に行きます。
で、本日は、香取慎吾主演の『座頭市 THE LAST』を見てきました。
◇
かつて、香取慎吾が、NHKの大河ドラマ『新撰組!』の近藤勇を演じていたとき、評論家の遠藤浩一氏が、香取慎吾の怒鳴るときの声が、大人になり切れない子供の駄々のようだ、とか言っていた。
遠藤氏は、評論家でもあり劇作家でもあった福田恆存氏を敬愛してもおり、俳優としての香取慎吾の発声がどうしても許せなかったのだろう。
当時、ネット上で交流のあった私は、遠藤浩一氏の、そんな主張に対し、「香取慎吾は、若手のタレントの中では骨があるほうですよ」などと擁護していたものだが、
確かに、遠藤氏の指摘は的を射ており、私は、その後、今日まで、香取慎吾になんとも中途半端な思いを抱かされていた。
しかし、今回の香取主演の『座頭市』、見事な演技を見せられた。
作品全般に対しての不満はあれど、香取慎吾の演技は素晴らしかった。
最初の竹林での、敵の集団からの逃走シーンからして、非常に不恰好で、リアルだった。
おそらく、目の見えぬ者の逃走とはこのようなものなのだろうと合点がいく「ドタバタ走り」だ。
その後の殺陣もリアルだ。
そこには、それまでの勝新やビートたけし、綾瀬はるかの演じたような、市の居合いの斬れ味はなかった。
強い、強いが、自らも血を流し傷を負う、心にさえも傷を負う男の姿があった。
そこが、この作品の評価のポイントなのである。
香取慎吾の演技に代表される人物造詣には、有名役者(石原さとみ・反町隆史・倍賞千恵子・加藤清史郎・中村勘三郎・高岡蒼甫・工藤夕貴・岩城滉一・原田芳雄・豊原功補・寺島進・宇梶剛士・柴俊夫)を揃えているにも関わらず、そこに個性の様式化・定型化はなく、あたかもプロレタリア文学の如き土臭ささえも感じ、作品を重くしている(仲代達矢だけは、不気味なくらい、ケレン味たっぷり^^)。
しかし、それ故に、物語をエンターテイメントにする志向がないらしく、幾らでも面白くする要素があるのに、妙に退屈な作品になってしまってもいた。
生々しい物語もいいのであるが、要所要所で、市の鮮血飛び散るようなシャープな殺陣が見たかった。
クライマックスで、役人の行列、ヤクザ集団、そして村人が一箇所に終結するのだが、その40,50人を一気に斬り伏せるような強さを、私は座頭市に求めている。
それでこそ、市と、市が愛したタネとの悲恋も強調されるってものなのだが・・・。
市と、豊原功補演じるヤクザの親分の用心棒との一騎討ちは、なかなかの緊張感があり、なおかつ、動きに手作り感(用心棒のカメラの裏を回る意表の突き方)があったが、やはり爽快感がない。
大親分との戦いも、タネを殺した仇との決着も、市のやられ方も、なんか定石とは異なり、物語終焉のサッパリ・スッキリ感がない。
もしかして、この監督には、そのような快感を物語に織り込む才能がないのかも知れない。
(2010/06/06)
私、可愛い幼女が殺されるような映画は不愉快で観れないのです(『告白』)。
また、『セックス・アンド・ザ・シティ』シリーズは見たことなく、この間、ビデオでテレビシリーズを見てみようかなとも思ったのですが、シリーズが何シーズンもあって、挫折した次第です^^;
それから、『孤高のメス』は、うちのバァちゃんが見たがっていたので、その内、一緒に行きます。
で、本日は、香取慎吾主演の『座頭市 THE LAST』を見てきました。
◇
かつて、香取慎吾が、NHKの大河ドラマ『新撰組!』の近藤勇を演じていたとき、評論家の遠藤浩一氏が、香取慎吾の怒鳴るときの声が、大人になり切れない子供の駄々のようだ、とか言っていた。
遠藤氏は、評論家でもあり劇作家でもあった福田恆存氏を敬愛してもおり、俳優としての香取慎吾の発声がどうしても許せなかったのだろう。
当時、ネット上で交流のあった私は、遠藤浩一氏の、そんな主張に対し、「香取慎吾は、若手のタレントの中では骨があるほうですよ」などと擁護していたものだが、
確かに、遠藤氏の指摘は的を射ており、私は、その後、今日まで、香取慎吾になんとも中途半端な思いを抱かされていた。
しかし、今回の香取主演の『座頭市』、見事な演技を見せられた。
作品全般に対しての不満はあれど、香取慎吾の演技は素晴らしかった。
最初の竹林での、敵の集団からの逃走シーンからして、非常に不恰好で、リアルだった。
おそらく、目の見えぬ者の逃走とはこのようなものなのだろうと合点がいく「ドタバタ走り」だ。
その後の殺陣もリアルだ。
そこには、それまでの勝新やビートたけし、綾瀬はるかの演じたような、市の居合いの斬れ味はなかった。
強い、強いが、自らも血を流し傷を負う、心にさえも傷を負う男の姿があった。
そこが、この作品の評価のポイントなのである。
香取慎吾の演技に代表される人物造詣には、有名役者(石原さとみ・反町隆史・倍賞千恵子・加藤清史郎・中村勘三郎・高岡蒼甫・工藤夕貴・岩城滉一・原田芳雄・豊原功補・寺島進・宇梶剛士・柴俊夫)を揃えているにも関わらず、そこに個性の様式化・定型化はなく、あたかもプロレタリア文学の如き土臭ささえも感じ、作品を重くしている(仲代達矢だけは、不気味なくらい、ケレン味たっぷり^^)。
しかし、それ故に、物語をエンターテイメントにする志向がないらしく、幾らでも面白くする要素があるのに、妙に退屈な作品になってしまってもいた。
生々しい物語もいいのであるが、要所要所で、市の鮮血飛び散るようなシャープな殺陣が見たかった。
クライマックスで、役人の行列、ヤクザ集団、そして村人が一箇所に終結するのだが、その40,50人を一気に斬り伏せるような強さを、私は座頭市に求めている。
それでこそ、市と、市が愛したタネとの悲恋も強調されるってものなのだが・・・。
市と、豊原功補演じるヤクザの親分の用心棒との一騎討ちは、なかなかの緊張感があり、なおかつ、動きに手作り感(用心棒のカメラの裏を回る意表の突き方)があったが、やはり爽快感がない。
大親分との戦いも、タネを殺した仇との決着も、市のやられ方も、なんか定石とは異なり、物語終焉のサッパリ・スッキリ感がない。
もしかして、この監督には、そのような快感を物語に織り込む才能がないのかも知れない。
(2010/06/06)