日々雑感 ~写真と思い~

今日と言う日は、二度と来ない。 
だから今日を大切に・・そんな私のデジカメ散歩 

* バスの中で・・優柔不断な私 *

2012年04月27日 | 雑感

買い物があったのでデパートへ行った。  帰りの時刻表をコピーして行っていたので、10分待てばバスが来た。
前から3番目の席に座れた。 
「私の前には停留所で最初に並んでいた若いお母さん。 ベビーカーの両方の取っ手にはリュックがかけてあり、3歳位な子が座っていた。
だっこ紐に入っていた子供を降ろした途端ぐずりはじめた。  あんまりだったらとカバンの中の、孫の為にと入れてあるぺこちゃんの飴を確認していた。
母親はカバンから何やらだして子供に渡すと静かになった。 食べる昆布だった、あの。 偉いなこの選択。 子供にはこんなとき、食べ物が一番。

間もなくおばあちゃんが乗って来られたので「どうぞお座り下さい」と席を譲った。 「沢山荷物持ってはるのに、いいいんですかありがとうございます」
席の前に二つの大きな紙袋を持っていたので、多分誰もが座っていても仕方ないと思ってくれるに違いないけど、
立っている人が母親だったらと思えば、座っておれなくてすぐに代われる。
前で子供を乗せたままのベビーカーは通路を大きくとっていた。 人も結構多い。  我が孫を見るように向かいの席の女性は目を細め愛想していた。
降車する人が次々・・横にならなければ通れない、あるいは荷物を持っている人は大変通りにくい場所になって嫌な顔をしながら通る人もいた。
こんな時はお互い様。 2人の子供を大変だなぁと周りは見ていたに違いないが、その雲ゆきが変わって行ったのは、母親に言葉が無かったからである。
人が通るたびに、すみませんとも言わず堂々と何って顔して全然平気な母親、我が娘にならすぐに「すみませんって言わないと」と言う。
いや愛ちゃんや娘でもすみませんは言う、こんな時。 

りゅっくを背負ったおばあちゃんが「ありがとうございました、助かりました」と言い、降りたので再び彼女の後ろに座った。
「すみません」「すみませんご迷惑をかけて」 たったこれだけのひと言があれば、状況が分かっている人たち「いいえ」にこっとされるに違いない。
何人通っても、半分嫌な顔をしながら、ある時は「後ろから出ます、通れないので開けて下さい」と声を出し開けてもらい前に来て料金を払った人もいた。
母親は何って顔をしている。 (言ってあげようかな・・こそっと「ベビーカーは悪くないけどね、でもこう言う時はすみませんってひと言言ったらみんな
気持ち良く通っていってくれるわよ」「すみませんと会釈するあなたを、子供さんに見せるのもいいお母さんの背中になるわよ」とか言ってあげようか迷った。
受け入れるだろうか、それとも嫌な顔をするだろうか・・迷った。 
これからも彼女はこんな場面を繰り返すことは間違いない。 言ってあげた方が彼女の為なのに。 
人と人の潤滑油だ、すみませんも。 堂々としていていい訳は無い。 「すみません」 たったこの一言で、充分に相手に伝わるのだ。 

話しかけた。 「大変やね2人、娘も2人いるし良く分かるわ」 少し笑顔で頭をこくりとした。 脈はあるかも・・と思ったが、それだけしか言えなかった。
おじいちゃんが乗って来たので「どうぞもう近くで降りますから」 さっと立ったら「ほんじゃぁかけさせてもらおうかな」座ってくれた。 
素直に言って下さると、言ったこちらもほっとする。  代わる勇気、譲られたとき素直に座るのも勇気。 素直はある意味美徳だと思うけど。
おじいちゃんが「おおきに」と言い降りて行った。 立っている私よりずっと上の年齢の方が何人かそばにいたので「どうぞ」と言ったが座らなかった。
誰も座ろうとしないのでまた私が座る事になった。 遠慮しているのか、それとも大きな荷物二つ持つ私に遠慮して座らなかったのか。

前の母親は降車ボタンを押した。 「大変ね降りるのも」「はぁ」 だっこ紐で下の子をひょいと抱えて立ちあがった。 取っ手に両方リュックがかかって
どうやって降りるのだろうと思った。 大変だ、電車と違ってバスは。 娘からもそう言った話を何度か聞かされた事がある。
「後ろ開けて下さい! 前が通れませんから」 母親は大きな声で言った。 誰にも降りますからちょっと通らせて下さいとも言っていない。
前に立っていた人は、気まり悪かったに違いない。  前が通りにくいのは、あなたもだけど皆さんそうなのよ。
「すみません、ちょっと通して下さい」それくらい言えば、誰もが状況を分かっているからよけてもくれるのに。 手を貸してくれただろうに。
真ん中のドアから降りて、走って前へ料金を払いに来た。 結構誰もがあっけにとられた感じだった。

ボブヘアに白の鳥打帽、紺と白のボーダーの半袖、とっても似あっていた理知的な美しい顔をした母親だった。 停留所で待っていたときから
(素敵なお母さんやわぁ)って眺めていたのだが。 ちょっと外れた、いや大分。
私が降りるので立ちあがった時、私の対面座席でお友達とずっと話していた2人が「代われなかった私たち恥ずかしいね」と言うのが聞こえた。
バスの中では、席の譲り合いで気持ちはありながら迷いながら乗っている人は多いと思う。 寝たふりをして自分の気持ちをころしている人もいる。
もい自分の父親なら、母親なら・・そう思うと、きっと誰も立たせない。  自分の膝が痛くて座っている時等、そんな言い訳も出来ないし座っているのは辛い。 

母親に言ってあげた方が良かったのに。 自分が嫌な思いをすることになっても、聞いた母親はいつかそれを実行するかも知れないのに。
優柔不断な私、それは日常茶飯事だけど。 こんなとき、言える勇気が欲しい。 自分の娘になら言う・・そう思って言ってあげれば良かった。