Flying Lotus - You're Dead!

洋楽レビュー/感想。
聞いてるといつの間にか極楽に行ってしまうような、
多種多様の膨大なサンプリングに彩られた濃厚で濃密で病的で狂気に溢れた、
アブストラクトヒップホップ/エクスペリメンタル/Nu-Jazz作品


◆Flying Lotus - You're Dead!
Mastodonに影響を受けたというプログレメタル要素と、
様々な電子音や音源からサンプリングした音が詰め込まれていて慌しい感じの序盤は、
「Cosmogramma」の延長線にあるような雰囲気なのですが、
あそこまで音が闇雲に詰め込まれている感じはなく、
頭でしっかり整理して音を並べてる感じですし、
中盤からはチルウェイヴ/ヒップホップ成分が増えてる事もあり、
音数も減っていきダークですがメロウでしっとりしていて、
後半はJazzanova辺りに通じる感じすらあるので、
全体的には昔のプログレ/ジャズをテクノで解釈して再構築したような感じになっており、
「死」という一つのテーマを貫きながら、
曲のバリエーションが多いので、
いろんな側面が見える/聴けますし、
全20曲なのに40分にも満たない作品という事で、
各曲短いのであっという間に過ぎ去っていくので、
走馬灯が駆け巡るような感じになっていて、
一聴すると断片的でバラバラのように各曲聞こえるものの、
全部聞き終えると、
ピースが合わさって大きな絵になっているような、
不思議な整合感と気持ち良さと充実感があり、
白黒映画に突然色が付いていくような不思議な感覚もあるし、
聴けば聴くほど魅力が増していく濃くて興味深い作品ですね。

ジャズにロックにスト2などのゲームの音など様々なジャンルの音源から採った、
多種多様の幅広い膨大なサンプリングの使い方と並べ方、
電子音や生音の加え方など、
曲構成のセンスは天才的で、
実験的で攻撃的かと思えば、
細密で知的でメロウだったり、
病的なまでに不穏で内省的だったりと、
短い時間の中に、
いろんな情感や感情が濃厚に凝縮されており、
「圧巻」という表現がピッタリですし、
親、友達、John ColtraneやMiles Davisなどへのレクイエムやリスペクト、
死に対する畏敬の念も感じるという、
濃厚で濃密で病的で狂気に溢れた濃い内容で、
全部聞き終えた時の満足感が「Los Angeles」に最も近いのもあり、
個人的には「Los Angeles」以降で一番魅力ある作品だと思う。良作！

※↑のMVはグロ成分あるので苦手な方はご注意を！