レゲエ界の重鎮Dennis Bovellの力を本当に感じる事のできたブエノスアイレスの旅。MAUとDennisが出会ったのは、新宿レゲエバー「OPEN」で毎月のように演奏していた頃、店主の工藤晴康氏が「Dennisが新しいミュージシャンを探しているから」という事で「MAU」を推薦してくださった。
Dennisはその時は東京スカパラダイスオーケストラのNewCDのプロデュースを頼まれて来日。成田到着と同時にいきなりレコーディングスタジオで会い、そのまま2日間に渡るご機嫌なセッションとなった。録音を終えてイギリスに戻ったDennisは自分の家のスタジオで、その音源に様々な音を加えて完成したCD、それが「Jazz Dub Dub Jazz」だ。PowerShovelより世界同時発売になった。これがその時のレコーディングセッションのプロモーションDVD。
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この時私たちの演奏を絶賛してくれたDennisは
「
君たちの音楽は間違いなく世界中に受け入れられる。NY、イギリス、スペインそしてアルゼンチンにも行くべきさ。もし行く時はいくらでも友達を紹介するよ。 」
その言葉がまさか、3年後にこういう形で実現することになるなんて・・・。Dennis、そしてOPENの晴康さん、本当にありがとう!
ブエノスアイレス行きの1ヶ月ほど前にFaceBookでトシキがDennisに「アルゼンチンへ行くよ。」とメールしたところ「あのCDがとても好評だから君たちの事を紹介したい。」と先日のDJ、音楽プロデューサーのMartinとDancing Moon>というスカバンドを10年以上続けているトランぺッターのHugo Lobo(ウーゴ・ロボ)にコンタクトをとってくれた。
メールをやりとりすると、Martinは私たちを快く受け入れてくれて、ブエノス到着の翌日にはラジオ局出演が決定。なんだ?なんだ?と思っているうちに「5月は毎週日曜にNiceto というブエノスアイレスで一番大きなクラブに出演しているから、吹きに来て。」とHugoにも誘われた。どんな事になるのかさっぱりだけど、演奏する機会がもらえるだけで有り難い、とホイホイと約束する。
Dancing Moonはスカバンドで一番有名なグループ。たいていのレゲエ好きな奴らは知っている。日本のスカパラのようなもの。
日曜の9時からのショーで、7時半くらいにサウンドチェックがあるから来て下さい、と言われ、場所もわからないまま・・・・。ブエノスアイレス在住で、到着からずっとで私たちの世話をしてくださっている高野さんご夫妻がかろうじて場所はご存知だったので、一緒に着いて来てもらう事になった。若者がほとんどのオールスタンディングのクラブ、タンゴとジャズが大好きな彼らは「クラブミュージック」は初体験。
「さっちゃんたちのお蔭でクラブデビューしちゃったわ。」
とにかく大荷物のTReSと高野ご夫妻の一行はバスを乗り継いで、約束の「Niceto Club」に到着。入り口で警備員に挨拶すると楽屋まで連れて行ってくれた。
楽屋の冷蔵庫にはビール,水、コーラが常に補充されていた。
初めて会うミュージシャンたちばかりで誰がだれだかさっぱり。もちろん、リーダーのウーゴだってFBで挨拶をかわした程度(それも前日に)。何の曲を一緒に演奏するのか、アレンジはどんなのか、と不安は募るばかり。私たちが入る事を他のメンバーは知っているのか知らん,etc....
Martinにラジオ局で尋ねたときは「ジャズの曲をウーゴがスカでアレンジしているんだよ、だから譜面もちゃんとあるから大丈夫さ。」
え~?ジャズの曲???スタンダード?Rioはまだスタンダードは3,4曲しか演奏したことないし~~(汗)。
「ソロがまわってきても、知らない曲は吹けないよ。俺やだな~~~。」
「これも良い経験だから、とりあえず楽器持って乗り込もう!譜面もあるらしいから、行けばなんとかなるさ。」
広い楽屋に通されたが、まだウーゴが来ていない。そこへ一人、また一人とミュージシャンたちが。今日のライブは9時ごろにオープンして、9時半からウーゴのお父さんのバンド(お父さんは有名なフォルクローレのバティスタ(ドラマー)で歌う)が出演することになっていた。だから、どちらのバンドのミュージシャンなのかもよくわからないまま、みんなと握手してご挨拶。しかし一体何人のバンドなんだろ?
そのままステージでサウンドチェックが開始。ステージ上にある譜面をのぞくと・・・キャバレーとかダンスバンドでよくあるような、リフとコードだけが書いてある譜面。それほど綿密なアレンジは一切書いてないじゃん(涙)?
ウーゴも到着し、挨拶をかわす。
「今日はテイクファイブを一緒に演奏してもらうよ。でも4拍子でリズムはスカだから。」
えっ?Rioは「曲は知っているけど・・・」と不安そう。私もあの曲はあまり演奏した事がない。しかも4拍子?テイクファイブじゃないじゃんw。
どんなアレンジなんだろ~、と思っていたがいざリハーサルで喚ばれ、音を出すと譜面とは全く違うリズムだ。ウーゴのなまりあるビートにみんながきちんと合わせているのだ。長年やっているだけあるな~~~。と関心しているうちにテーマが終わり、いきなり私にソロがまわってきた。どこでソロをとるのかもわからないので少し焦ったが、次にRioに回ったときはすでに要領を得ていてRioのほうがきちんとソロをとっていたのにはびっくりw。そしてこのバンドの要のようなアルト(バリトンも吹く)奏者のめちゃめちゃ上手いおじさん(といっても、私より2つ下だったけど・・・汗)Ruben Mederson がRioの横について優しくアドバイスしてくれているのが有り難かった。
まるでお父さんのようにRioを優しく見守ってくれるRuben。
「俺のバリトンはヤナギサワなんだ。お前のバリトンは古いセルマーでめずらしいやつだね。」
などと、リハーサルでかなりRioと親しくなった様子。「今日は腰が痛いからあまりバリトンが吹けないんだ。」ああ、だから赤いビールケースのようなものにバリトンをのっけて吹いていたのか。腰を痛めてサックスを吹くのは本当に辛いことを私も知っているが、彼は本番ではバリバリ吹きまくっていた。アルゼンチン人の体力は半端じゃないぞw。
リハーサルが終了し、Hugoが「このあと、君たち3人で1曲演奏してくれない?」
ちゃんと私たちのコーナーを作ってくれていた。うれし~。やっぱりこの曲・・・
急遽「Simone's Ska」を演奏する事に(上記のCDの一曲目)。もともとDennisの娘が作ったベースラインに私が勝手にテーマもどきをのっけて(ダブルホーン)遊んだものだったが、今回のために「TReS」用に永田利樹がアレンジし直していた。
ともかくブエノスアイレスのレゲエ界でもこの曲は人気だったので、ラジオ局でもMartinが1曲目にこの音源をかけてくれた。
「ではドラムを一緒に入れてくれないかな?」と頼むと
「じゃあ、スカなら俺が叩くよ。」とHugoがドラムを叩く事に。Hugoもデニスのようにマルチプレーヤーなのか?
ドラマーになったHugo Lobo。
そのまま、私たちのコーナーは一度もリハーサルをせずにいきなり本番で演奏する事になってしまった。大丈夫なのか~~~~汗???と冷汗をかいているうちにお父さんのフォルクローレバンドが始まった。
楽屋口から会場をのぞくと、人,人,人・・・一体何人くらいの人なの?とMartinに聞くと「1000人以上は来てるね。」ひえ~~~!!
歌いながら叩きまくるお父さんのフォルクローレバンドもやはり大所帯だった・・・w。
さあ、次はいよいよDaning Moodの出番だ!!!どうなる?(つづく)