minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

人に歴史あり part3

2009年10月31日 | 家族の日常
長い人生を振り返ってみると、あの時あの人が言った何気ない一言で自分の人生が変わったという瞬間が人にはそれぞれあると思う。

ベーシスト坂井紅介さんの日記をたまたまmixiで紹介されていて読んで驚いた。私も同じような経験をしてミュージシャンの道に進もうと決心したからだ。

プロのミュージシャンとしてやっていけるのだろうか?そんな不安を抱えて仕事をした時に酔っぱらった先輩ドラマーが言い放った一言で彼は「プロになります!」と決意したそうな。酔っぱらった先輩は翌日何にも覚えてはいなかったらしい(苦笑)。(詳細は紅日記でお読みください。)

ハロウィンだけど、全く関係なく「人に歴史ありpart3」で私の話もさせて頂く事に・・・。

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「運命の出会い?」

中学、高校と吹奏楽コンクールに出場し、ブラスバンドにどっぷりと時間を費やす青春の日々。今ほど巨大化されていなかったコンクールで他の学校の演奏をゆっくり堪能した少女(私です)には「憧れの学校」があった。

「T大学付属高等部」・・・ここは毎年コンクールで全国大会で優勝する有名私立学校。特に中3の時に聞いたT大学付属高等部の演奏は圧巻だった。大好きなホルストの「木星」で金縛り状態に。「よっしゃ、大学はT大学に行くぞ!」私立大でかなりお嬢様、お坊ちゃま学校だったが、親の負担なんか全くおかまいなし。今思えば相当な親不孝娘だな。

大学受験の2次試験(面接)で

「あなたは将来どんな人になりたいですか?」
「はい、世界にはばたく人になりたいです。」
「ほ~。それにしては英語の点数が一番悪いですね・・・。」

やばい!これで試験は落第か・・・と思いきや「T大学英米文学科」にみごと合格。「世界にはばたく人」って何だそりゃ?と、とにかく大学時代に自分の生き甲斐のようなものを見つけよう、と心に決めていざゆかん。

この大学に来た目的はあの憧れの吹奏楽に入部する事でもあった。ところが・・・見学初日に愕然。だって、あまりにもヘタ●ソなんだもん。よくよく聞けば、あのコンクールに出ていた高校生のお兄さん、お姉さんたちはみんな某国立系音楽大学に行っちゃったらしい。とほほ、まあ仕方ないや、ほかをあたろう。と大学の中で唯一の音楽サークルへ入部する事に。

ソプラノサックスを持っている、というだけでスカウトされたバンドは山下達郎のコピーバンドだった。
「この中に入っているサックスのイントロとかをコピーして吹いてくれない?」
『Pop in time』という六本木ピットインでのライブレコードを手渡された。

これが私と土岐英史氏との運命的な出会いになった。

「格好いいサックスだなあ。この人はジャズを演奏してないのかしら?」そう思っていた矢先、某ジャズ雑誌で土岐さんがNewYorkで録音してきたばかりのLP「City」の宣伝が載っているではないか。おおお、このタラコのような唇は土岐さんだ!さっそく近所のレコード屋で購入。New Yorkの香りがぷんぷんする。これがジャズなのね。ああ、生でこのサックスを聞いてみたい!!と想いはつのり・・・新宿のタローという店に単身乗り込んだ。ジャズのライブに行くのはこれが初めて。汚い階段をあがると、暗くて狭い店内。どう見ても女子大生が単身で来るようなところではなかったが、私には土岐さんしか見えないからへっちゃら。メンバーは井野信義b、高瀬アキp、Steve Jacksonだったと思うが、とにかく生の音に感動しっぱなし。

演奏後に買ったばかりのLPを持ってドキドキしながらも土岐さんに話しかけた。
「あの~、これにサインしていただけますか?」
「いいですよ。買ってくれたんだ、ありがとう。」
「私もサックスを吹くのですが、どうやったらアドリブがとれるようになるんでしょうか?」
「俺、布田で教えているんだけど、明日ちょうどレッスンだから見学に来れば?」

えええ?そんな、嬉しすぎるゥ~~。憧れのサックス奏者から直接習えるなんて!!この時の私、目がハート型になっていたと思う。たぶん。(つづく)

人に歴史あり part2

2009年10月29日 | 家族の日常
今日はNHK FM の収録で渋谷へ。ジャズ評論家の児山紀芳さんの「Jazz Tonight」で「オーネットコールマンデビュー50周年特別企画」という事で私が喚ばれたのだ。いいのでしょうか?私なんかで・・・(汗)。Jazz Tonight

私はラジオを聴くという習慣がないので、ピーター・バラカン氏が「Palpitante」を何度かかけて下さった番組も、児山さんの番組も全く知らなかったのだけど、聞けば、この番組に関わって40年だそうです。オーネットも前回来日した際、出演されているというのでびっくりです。歴史ある凄い番組なんですね~。

「難しい事は一切ありませんので、お好きなようにしゃべってくださいね。」

ジャズの評論家だけあって、打ち合わせを一切やりません。その場で話を展開していく、というフリースタイル。児山さんが用意されたオーネットの曲が先日の梅津さんと演奏した曲だったり、私のリクエスト曲をかけていただいたり・・・その合間にとりとめもなくオーネットの事やら出産の事やら話していたら、終わってみれば「時間が15分ほどオーバーしてしまいました。」と担当ディレクターが焦り顔。私はさっさと失礼しましたが、きっと今頃必死で編集作業が行われていることでしょう。べらべらと余計な事まで喋りすぎて・・・すいません(汗)!

放送は11月14日夜11時から。興味のある方はぜひ!

人に歴史あり

2009年10月28日 | 家族の日常
サンジャックでの「Plays Ornette Coleman vol.2」はベースの参加によって、ますます深いものになった。前回よりもさらにオーネットに近づけた感じ???先日「還暦ライブ」を行ったばかりの梅津さんも絶好調。やはり素晴らしいミュージシャンです。

クラリネットがあんなに大きな音のする楽器だったなんて目からウロコ!梅津さんは国立音大でクラリネット専攻だったから流石随所でクラシックの香りがぷんぷん。しかも、ラストに演奏した梅津さんのオリジナル「発端は破綻」という曲もタイトルはただの駄洒落(ハ短調で始まるから・・・)だけど、タイトルからは想像できないめちゃめちゃ感動的な美しい曲だった。

還暦ライブの時にチューバの関島さんが作成した、という梅津本・・・これがまたまた面白い内容で、思わず私も1冊購入してしまったw。梅津さんのNewYork武者修行時代の話がめちゃめちゃ面白いのなんの。営業妨害になるといけないので詳しくは書けないけど、ローランドカークのライブを観に行ってドラマーが次々にステージ上で首になって、客席で順番待ちをする新人ドラマーたち。挙げ句の果てには最後のセットでアートブレイキーが「俺じゃ、だめかい?」ってやって来て・・・・・とか、日本料理屋でアルバイトをしている時にミンガスが来店して、驚いていろいろな料理をサービスしたら全部たいらげ・・・etc.etc....いやあ、これは2000円だす価値のある貴重なインタビュー本だわ(興味のある方は関島さんのHPから購入できるようです)。

自分が60歳になったときにこんなに元気で演奏していられるのだろうか・・・一抹の不安が。林栄一さんや土岐英史師匠、みんなみんな還暦なんだなあ。恐るべし還暦ジャズメン!まだまだ私なんてひよっこだなと感じた一日だった。

火曜日は西荻サンジャック

2009年10月25日 | 家族の日常
超難関だった英語の「Slep Test」の合格通知が届く。やった~~~、これで国から奨学金が降りる。親孝行な息子に感謝しつつ、神社にもお礼参り。これで、本格的にスペイン語の勉強ができるね。岡崎でいただいた「NHKスペイン語会話」(1年分!)がなんとも嬉しい。親子でがんばろう!!!とやる気満々。

さあ、次のライブは火曜日の西荻サンジャックです。先日還暦ライブを行った梅津和時さんと永田利樹とのトリオ。以前、久原大河祭りで梅津さんとDUOで「Plays Ornette Coleman』をやらせていただき、大好評につき、第2弾です。

Ornette の曲以外も今回は少し交えつつ楽しくやりたいと思いますのでぜひ足をお運びくださいませ。3人併せて159歳か~~~!!




復活!!「オケラ五世優勝す」

2009年10月22日 | 映画、本、芝居関係
ジャズ好きタクシーの運転手だった多田雄幸氏がニューポートジャズフェスティバルの映画「真夏の夜の夢」を観て、セロニアス・モンクの「ブルーモンク」の演奏のシーンとオーバーラップする「ニューポートシングルハンドヨットレース」に感動。全財産を投げ打ってヨットを購入、そしてレースへ・・・・。

沢木耕太郎さんの「馬車は走る」という本で多田さんの事を知ってから、この本に出会った私たち。「面白い人が世の中にはいるなあ・・・」そんなある日、ぺーぱーむーんのマスターから電話が。

「さっちゃん、あの、多田さんが飲みに来たんだけど、会いに来ない?」

あれよ、あれよと言う間に多田さんの世界に引き込まれ、オケラ号の上で多田さんと一緒にブルーモンクを何度演奏しただろう。挙げ句の果てに、一緒にニューポートまで連れて行ってもらってNew Yorkでライブデビューを果たし、更にはニューポートでも演奏する事ができ・・・。

私たちにとって宝物のような、この本が廃刊になっていたので誰か復刻させないのかな~~~と思っていたら、遂に出たのです。

スポーツライターの小林信也さんが編集し復刻に携わってくださいました。彼のHPで購入できるようです。定価は1500円。

まだ読んでいない方も、もう一冊持っていてもいいかな、という方もぜひぜひこの機会に。多田さんの暖かい人柄とジャズとヨットに対する愛情、様々なエピソードが沢山詰まったお薦めの一冊。最後に酒井真知江さんや甥の健一さんのエッセイも入っています。天国の多田さん、良かったね・・・。

小林信也事務所

血は争えない・・・

2009年10月21日 | 家族の日常
やらなくちゃいけない事が沢山あればあるほど、寄り道したり遊びたくなるのが人間の性。息子が試験前になると何かに熱中しだす。実は私も同じ。ツアー当日の朝に上のような写真サイトを友人から教わって遊んでみたら、新澤くんに「さちさん・・・暇ですか?」と突っ込まれてしまった(汗)。暇じゃなくても簡単にできるので興味ある方はここをクリック!おもしろ写真

さて、前回の留学試験の前は将棋に凝りだし、その前はサッカーゲームにはまっていた息子。今回の中間試験は・・・・なんとルービックキューブ!

ルービックキューブといえば私が大学時代に一世を風靡していたが、暗~~~いイメージがあって、全く興味を示さなかった代物。だって、初めてキャバレーのビッグバンドのトラで鴬谷へ行った時、30分交替ステージの休憩時間に赤いジャケットを着たおじさんたちがみんな黙々と楽屋でカチャカチャ回していたんだもの・・・。あんな暗いもん、絶対私はやらないぞ!と心に誓っていたのに。

それを息子は近所のドンキホーテで1800円も出して買って来た。説明書と格闘しながら初日に1面をクリアし、2日目には全面をクリアしていた・・・。お前、そこまでの集中力があればSlep Testも試験勉強もしっかり勉強してくれ~~!と言いたかったがぐっと我慢。

人から教わるよりも教えたがり(誰に似たんだろう?)の息子は

「母ちゃんもやってみなよ。」
「いいよ、絶対無理だし。」と断る私に無理矢理教え込もうとする。
「一面だけなら簡単なんだよ」という甘い言葉につられ、よっしゃ・・・とやりだしたら3日くらいたってようやく何も見ずに1面がクリアできるようになった。

そうなると、やはり次も揃えてみたい。しかし試験勉強中の息子に教わるのは悪いし説明書を読むのも面倒くさいし、何度も同じ事を聞くと鬼のように怒るし・・・。

「何度同じ事言わせるんだよ。ったく。高校の同級生たちなんか一度教えたらすぐに覚えるぞ。」

若さが違うんじゃ~~!と思いつつも、あれ?なんだかこんな光景を前に観たような・・・。

そうだ、先日私の母が遊びに来て、携帯の使い方が解らずに私や息子に習っていた、あのときの光景そっくりなのだ。

いくら教えてもメールが打てない母の物覚えの悪さにイライラし、あとは頼んだぞ、と息子にバトンタッチしたのだが・・・やはり母と子、物覚えの悪さは遺伝だったのか。ああああ。

そんな母が何日かたって遂に・・・
「ようやく私もメールが打てるようになりましたよ。」というメールを息子に送って来た。やった、凄いじゃん!

「メールが送られて来たのはいいけど「タイトル」のところに文章が全て入れてあって、本文には何も入っていないんだよ。あんなに教えたのに・・・。これじゃメールが打てるようになったって言えないよ。」

息子はため息を漏らしていたが、ちょっとづつでも人間は進歩しているのだ。今度、母に会ったら・・・今なら優しく褒めてあげられそうだ。

ブラボー!愛知

2009年10月19日 | 家族の日常
たった2日のショートツアーだったが、お天気にも恵まれ(やっぱ晴れ女)ブラボ~~~!!!

行きの富士山には雪が結構つもっていたのに、帰りは雪が解けて夕暮れの赤富士(それだけ真夏日だったという事)。なんて美しいんだろう。日本人でよかった~と思えるひととき。コスマスは週に1度は富士山の周辺まで登りに行ったりドライブに行くそうな。「もう一度、山頂ライブやってよ~~~」とコスちゃんにせがまれているが100万円もらってももう行きたくない!というか、もう無理(涙)。

さて、半田市のプライベートライブだが、日本画家のS先生のご自宅で行われた。100人のお客様がぎっちり。これでプライベート?恐るべし愛知県。1年に2回づつ様々なライブを行っているそうだが、10回目の記念すべき日をmingaで演奏させてもらえるなんて幸せな事だ。

若い人からお年寄りまでノリノリで食い入るように聞いて下さって「元気がでました~~!」と杖を持った方が今にも踊りだしそうな明るい笑顔で喜んでくださったり、こちらが元気を沢山もらえた至福の時間だった。こちらこそ、素敵なエネルギーをありがとうございます!

そして宿泊は第2の故郷、岡崎のS邸へ。夜中なのに親戚の方々が手打ちそばや採れたて野菜のご馳走を用意して待っていてくださった。ひえ~~~、そうと知っていたらS先生のお宅でのご馳走をたらふく食べて来なければよかったけど・・・と思いつつも美味しい料理攻めについつい手を伸ばし・・・完全に2キロは太った。

帰る前におばあちゃんの畑に野菜を収穫に行き、これでもか!というほど野菜をもらってお土産だらけで無事帰宅。mixiの畑で収穫するより遥かに楽しい(当たり前)。本当にお世話になりました。愛知県に足を向けて眠れません。まだ今日の結果は知らないけど、もうこうなったら、中日の応援をするぞ~~~!裏切り者と呼ばないでね。

愛犬いっちゃんのサラダバー

帰りの赤富士山

戸田奈津子と月間若松!

2009年10月17日 | 映画、本、芝居関係
「字幕の中に人生」戸田奈津子さんの本。字幕という習慣があるのは日本独特の文化、字幕の仕事をしたいと思い続けながら20年、ようやく念願がかなったきっかけとなった映画は「地獄の黙示録」(コッポラ)。字幕をつけるときの苦労や英文を例にあげてのちょっとしたコツが書いてあったり、キューブリック監督のやり方についていけなくて仕事を降りた話・・・など面白い話満載。今まで誰もが当たり前のように思って見ていた字幕の裏側を淡々と綴った名著だった。

ああ、映画にどっぷりつかりたい気分。先日のブラジル映画「カルトーラ」に引き続き、トシキを誘って昨日は若松孝二監督の「実録あさま山荘への道程」を銀座に観に行った。公開の時に行けなかったのだが、渋いたたずまいのシネパトスという映画館で、なんと「月刊若松!」をやっている。2人で行くと「夫婦50割引」が使えるしねw。

めったに行かない銀座をブラブラするのも楽しかったがシネパトスのある建物が地下通路になっていて、そこだけ未だに昭和の香りというか、大阪の串上げやのような赤提灯が入っていたりと魅力的な飲み屋がずらっと並んだ建物だったのにまずびっくり。いいなあ。

連合赤軍の連中がどうして、あさま山荘に立て篭ったのか。あの事件の裏側に焦点をあててぐいぐいと事実をえぐり出す。「総括」という恐ろしい現実、まるで子供のリンチ・・・永田洋子の恐ろしい表情・・・。

自分はまだあの時代に小学1年だったからほとんど訳もわからずに母親が興奮しながらテレビで報道に齧りついていたのだけが蘇る。いろいろな事を考えされられた凄い映画だった。

終わってから監督のトークショーが用意されていて主役俳優たちが出て来て質問コーナーもあった。永田洋子役の女優さんは映画の中とは全く違う優しい表情でびっくり。流石女優だな。

若松監督は「あさま山荘の事件を扱った警察側からだけの映画を観て、本当に腹が立った。だからあれの逆の映画をきちんと撮ろうって心に誓ったのです。あの映画のおかげでこの映画が撮れたので、今は感謝してますけどねw。」

一方的な警察側だけの映画に対抗したおかげで、この映画にはほとんど「警察」が出て来ない。「権力」の圧力に必死に抵抗しながら世の中を変えて行こうとするあの時代の若者たちがどんどんおかしくなっていって、最後は仲間たちに刃を向けて行く。ちょうど中国の「文化大革命」のようだね・・・と利樹がつぶやいた。正義という名分がどこかで歯車が違ってしまうと、悲惨な集団リンチのようなものにすり替わって行くという恐ろしさ。

「こういう事件をなかった事にしないで、きちんと見つめ直す事が大切なんです!」と若松孝二監督は力説。若松孝二はやはりただ者ではない、エネルギーに満ち満ちたおやじだった。

洋画も日本映画もこういう素晴らしい監督や字幕を作る裏方さんたちに支えられているんだと思うと嬉しくなった。