オランダの天才サックス奏者が来日。みんな、オランダ人だと「キャンディ●ルファー」だと思っているけど、ブブブ~~~。残念でした、Raaf Hekkemaで~す。私にとってはオーネットコールマンにお会いした時くらいの興奮度なんですが。とりあえず、お聴きください。サックス界のパガニーニです。
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このCDを南アフリカの生徒のAnthonyから貰った時には本当に驚愕した。こんな事ができるのか?サックスで????何この音は?何だこのテクニックは???しかも彼が作ったパガニーニFor Saxの譜面もあるらしい???恐るべし Raaf Hekkema。
すぐにAnthonyはオランダに住む彼の元にメールを送り、まだ手動で作成していたパガニーニの楽譜集も私の誕生日にプレゼントしてくれたのだった。なんて良い生徒に恵まれているんだろう。
しかし楽譜集を見て愕然。だって、サックスの譜面なのに無限に高い音が書いてあるし、3度のハモリが書いてある・・・。もう一度CDと聴き較べると、譜面通りに吹いているのだ。ひええええ。これはもう人間業ではない。
それからRaaf Hekkemaの譜面とにらめっこして何ヶ月か格闘したが・・・やはり私にゃ、到底無理。1ページ目でギブアップ・・・(汗)。Mr. Hekkemaはサックスの神様か?とひたすら尊敬。以前、興奮してこのブログでも紹介したのでご存知の方もいるかも。そんな彼が自分の木管5重奏団のツアーで来日するという情報をAnthonyが南アフリカからメールで教えてくれたのだった。
おおお、それはぜひコンサートに行きたいな~、とスケジュールを調べていたらなんとFace Bookにいるではないの。さっそくメールを出したところ「僕もあなたの音楽を聴きました。ぜひ日本に行ったら私たちのコンサートにいらしてくださいね。招待しますから。」と紳士っぷり満載のお返事を頂き有頂天になった。だって、あのMr.パガニーニだぜ!神様に近いサックス奏者だ。ところが、予定を聞いてみるとなんと私のPit inn 2daysのある日ではないか!!あああああああ(涙)。またyoutube観て我慢するしかないのか。
そんなこんなで「今回は自分のギグと重なっていて行かれないのですが、もし何か東京で困った事があれば連絡ください。」と返信して、すっかり忘れていたのだ。すると昨日、銀座の仕事に行く途中で一通のメールが・・・。
「明日日本に到着したらランチでも一緒にどうですか?」
うぉ~~~、あのHekkemaからじゃん?!あまりに突然すぎるよ~と思いながらもスケジュールをチェックしてみると、一応仕事はない。これは神様が「サックスの神様に会いに行くべし」と言ってるのだな、と確信し『私、英語超下手ですけど・・・』と今更のように言い訳しつつ、品川駅で待ち合わせする事になった。
朝7時に起床。息子の朝食とお弁当を作って、そのまま彼の譜面を取り出して朝からもう一度彼のパガニーニ作品集を全曲聴きながら、会ったらあれを聞いてみよう、あそこも教えてもらいたい、などと山のように質問が溢れて来てドキドキウキウキソワソワ・・・・。
しかし、慣れない(というか殆ど行った事のない)品川駅。ランチってどこに行けばいいんだろ?好き嫌いはあるのだろうか?Twitterで聞いてみたり、ネットで探したりして、結局駅から近い「お好み焼き屋」に連れて行く事にした。
港南口で待ち合わせをしたのだが、Raafのほかにメンバーも一緒らしい。オランダ人は背が高いしすぐにわかった。ハ~イ!と手を振ってご挨拶。ひええ、大男たちが5人もいるよ。ただでさえ顔覚えが悪いのに、名前なんか覚えられない。Hekkemaさんだけでも緊張するのに・・・などと思いながら、大男たちを従えてすたすたと歩き出した。
本当は待ち合わせた場所からすぐの場所だったのにもかかわらず、舞い上がって反対方向の出口まで・・・「あ、ごめん、またさっきの出口に戻ります。」とせっかく降りたエスカレーターをもう一度上がり、Uターン。ひょえ~、私なにやってんだか。「池袋なら得意なんですけどね~」などとひたすら謝りつつ、頼りないサザエガイドはようやくお好み焼き屋にたどり着いた。その間、お店に2回も電話したが。
「あ、さきほどお電話下さった方ですね。」とお店の人にいきなり言われてしまった(汗)。予約はとれない店だったから店の前のベンチで待たされる。この間に渡されたメニューをHekkemaさんに説明するのが大変。小麦粉と、キャベツと、豚と~、ホットケーキみたいな~~~、などとモゴモゴしていてふと横のメンバーを見たら、しっかり英語のメニュー持ってるじゃん。早く言ってよ~~~(泣)。
とりあえず、時差ぼけオランダ軍団は腹ぺこだったようで、「おいしい!美味しい!」と初めての味を喜んでくれた。でもよくよく聞いたらあさっては大阪でコンサートがあるようなので、わざわざ東京で大阪名物お好み焼きに連れて行くこともなかったのかも・・・。ま、いいか。
食事中に彼のパガニーニ譜面集をカバンから取り出す。メンバーもびっくり。
「これって、まだきちんと販売されてないときのじゃん。どうやってゲットしたの~?」
よくよく聞いたら、現在は正規の出版社から発売されているらしいが、私の持っている本は一冊づつHekkemaさんが手作業でコピーしたものだそうな。Anthony、本当にありがとう。一生の宝物にするからね!!
貴重なパガニーニ楽譜集(お宝)にサインをゲット!
「大事にしたほうがいいよ。凄く貴重で後で価値がでるからね。」とバスクラ奏者が私にウインク。その本にサインをしてもらい、お好み焼きのソースがつかないようにさっとしまったが、すでにボールペンで間違えて書き込みしちゃってた・・・(汗)。
「昔、この1曲だけコピーしてブランフォード(マルサリス)にあげた事があるんだ。でも、しばらくしてメールが来て「俺には無理だ」って。」
やっぱね~、ブランフォードですらあきらめちゃったのね。私に演奏できる訳ないのだ。でも練習した事は無駄だとは思っていませんけど(きっぱり)。
とにかく、Hekkemaさんは思った以上に優しい紳士だった。
「大学とかで教えているんですか?」
「いや、僕は一度も生徒をとった事がないんだよ。教えるのは苦手でね。」
いやはや、こんな私が生徒を持っていていいのだろうか?と恥ずかしくなるくらい謙虚で真面目そうな人。
メンバーの人たちも日本の今回の震災の事についてもいろいろと心配してくれていたようで、東京はどうだったの?と聞かれたけれど、微妙な問題を語るほどの英語力がないから、自分の言いたい事がきちんと伝わったかどうだか・・・。こんな時、フェローンとだったら心で通じてしまうのだけど、初対面だし、オランダ人の英語って聞き取りにくいし...汗。しかし、Hekkemaさんの英語はフェローンの英語くらい聞き取り易かったな。あちこち世界中を旅している人ほどゆっくりと伝わるように英語を話してくれる。
しかも最後に「Sachiの分は僕がご馳走するよ。」ええ???神様におごって頂いていいのでしょうか?と一瞬ためらったけどすぐに「御馳走さまでした~~~!(ちゃっかり)。」
今朝の9時に成田に到着して、ホテルに着いてぐったりの2人がここでリタイア。あとの3人はJet Ragを直すためにも寝ないで観光しよう、と頑張る気マンマン。「じゃ、浅草にでも行ってみますか。」と私が提案して浅草観光に。私だって浅草なんて殆ど行ったことないんだけど・・・(汗)。
浅草にたどりつくまでに、再び品川駅で沢山のドジっぷりを披露しつつ、サザエ観光は品川駅をようやく出発。Hekkemaさんは3度目の来日だそうで、浅草も私より詳しいんじゃない?という感じだったけど、Suikaカードの買い方も初めて知ったし(って、私が)、浅草はJRじゃなくて京浜急行というので直接行けるのも解ったぞ。しかしまあ、頼りないガイドでつくづくHekkemaさんたちが気の毒。とほほ。
「あなたも浅草によく来るんですか?」
「いいえ、東京に住んでいる人たちはそれほど来ないです。お正月だけ来る人が多いかしら。」
「じゃ、あなたも今年のお正月に来たんですか?」
「いいえ、私は10年くらい前のお正月に。」
「ではこんなに沢山の人たちはどこから?」
「おそらく中国、韓国、そして東京以外の日本人が多いのではないでしょうか?」
仲店で「日本語、中国語」の放送が流れていたのでびっくりしつつ、ろくでもない解説だな、と自分にあきれつつもつたない英語で必死に説明しついに浅草寺にたどり着いた。これってお決まりコースでしょ?人力車に乗っちゃえばよかったのかなあ。
「ここで気になるところに煙をかけるんですよ。」というとすぐさま髪の毛に全員が煙を・・・(苦笑)。
仲店をひやかしつつ、お参りをし、最後は甘味処へ。白玉あずき、ところてん、くずもちの3種をオーダーし、ただのお茶をガブガブと飲む。甘くないところてんが一番気に入ったようだった。
Hekkemaさんにも12歳と9歳の息子さんがいて、ギターとドラムをやり出したそうな。自分のトリオでギター,ドラムというグループもあるのだが、いずれは息子たちとメンバーが入れ替わるだろう、とバンドメンバーがドキドキしているらしい。「家族で演奏できるっていいよね!」と意気投合。さらに「僕は1/4インドネシア人の血が流れているんだよ。」と教えてくれた。お母様がインドネシア人のハーフだそうな。だからアジアが大好きなんだそうです。知らなかった~。
帰りの浅草線乗り場もウロウロと迷いながらようやくたどり着き、「あとはわかるから、じゃ、来週ね!」とお別れした。ふ~~~~、私も時差ぼけじゃないけどぐったり。そのせいで今度は自分の電車の乗り場を間違えたり、降りる駅を過ごしてまた戻ったり・・・・ほとほと自分が嫌になったけど、神様に会えたから、全て良しとしよう。
来週のピットインに神様たちご一行はオフだから聴きに来て下さるそうです。いやはや、なんとも・・・・嬉しいやら緊張するやら。
Raaf Hekkema率いる木管五重奏団
[Calefax] Japan tour スケジュールはここで。
お口直しにもう一発!
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明日はお昼から下北沢の音倉でトーク&ミュージックのイベントです。ミュージシャンたちもトークに参加するのかな?まったく内容を把握していないので恐縮ですが、何が起こるかわからないのがなんだか面白そうですねw。ぜひ遊びにいらしてください。4時からで~す。