ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

ハルゼミ鳴く

2011年06月04日 | 
 今日は晴れましたね。
 晴れると虫が活動します。今日はハルゼミが鳴きました。ハルゼミはいつも梅雨の時期、お日様が差してくると鳴き始めます。図鑑によると松林にいるらしい。なるほど、川の向こうの山には赤松が生えていて、そのあたりから声は聞こえます。もうセミが鳴いている、温暖化の影響だ、と思った人がいますが、今頃鳴くセミなのです。

 地面の近くに巣を作る蜂を見つけました。



 マルハナバチの仲間のようです。時々飛び立っては花粉を足に付けて帰ってきます。さっと巣穴に入ってしますので、写真に収めるのに苦労します。虫の写真て難しすぎ!



 巣穴はこんなところ、放置した板と地面のすきま。

 蜂を撮っている間に近くにいたものを撮った。


 コアオハナムグリ?飛んできて頭にとまった。


 マミジロハエトリグモ?かわいいと人気者。かなりのジャンプで機動力抜群。息を吹きかけて落とす時には糸の命綱を使う。



虫の穴の話 その2

2011年05月26日 | 
 木を食う虫は木工屋の天敵です。

 蜂が巣を作っていた穴は明らかにカミキリムシの開けた穴です。木工屋的には害虫カミキリムシは大まかに二種類あるといえます。それは生木を食う奴と「死んだ」木を食う奴です。
 生木を食ったか、切られた木を食ったかは見た目ですぐ分かります。生木の方は穴が大きく、私の小指がスポスポ入るくらいで穴の色も黒い。これは明らかに木が生きていて、動物で言う生体反応があるからだと思います。虫にかじられた時に木が生きていて樹液がそこに染み出たから穴が黒いのではないかという、これは本当に調べたわけではなく、私の単なる勘です。この穴が困るのは、木目や木の組織などに無関係に縦横無尽に虫が食べ散らかすので材が台無しになることです。材木関係者では「テッポウ」と呼ばれています。私は今まで材木を扱っていて、この虫の生きている幼虫に出くわしたことは一度もありません。



 木が切られてから、あるいは枯れてから付くカミキリムシももちろんいて、上記の虫とは明らかに種類が違います。こちらの虫は木が伐採されて樹としての命が終わった後にやってきて卵を生みます。卵は皮に産むようなので、卵を産まれないように、取れる皮ははがすのですが、上手く取れない皮もありますし、荒皮はとっても薄皮が残っていれば虫が入ってしまうこともあります。かと思うと全く虫が付かないこともあります。その原因は木を切った時期やその後の管理など、条件はいくつか考えられます。幼虫はしばらくは皮を食べ、やがてシラタ(辺材)に入り、場合によっては赤味(芯材)まで食べ進みます。せめてシラタで止まっていてくれればいいのに、赤味まで虫食いになると材としては使い道がなくなります。
 こんな幼虫です。かなりのアップ。ちょっとウマソウな気もします。飢饉になったら食べてみようと思います。




 この虫が入った板はカリカリと虫が木をかじる音が聞こえることがあります。硬い木をかじることのできるこの虫の口は一体どんなしくみなのでしょうか?その研究でトンネル工事にでも応用できる技術でも開発できそうです。食べ物の中で暮らす気分はどんなものでしょう。ギネスブックには世界一長生きの虫として、何十年も木のなかにいた幼虫が載っています。切っも切っても虫のつけたトンネルが取りきれないと、がっかりとなります。不覚にも虫に気づかず製品を納めてしまい、お客様に「虫が出たよー」といわれることもあります。無垢の家具がお好きな方は虫のことでそんなにお叱りになる方は少ないのが救いです。農薬もあるそうですが、あまり使いたくありません。
 カミキリ類で虫が出る、ということはすなわち成虫が羽化したということです。その穴に蜂が巣を作るわけです。やっと話がつながりました。
 カミキリムシが開けた穴を蜂が利用するということに、連綿とした自然の営みを感じずにはいられません。穴に巣をつくる蜂もいろいろいるはずです。だいぶ前、草刈機のエンジンがどうしてもかからず修理に出したところ、不調の原因は蜂がマフラーに巣を作ったせいだということがありました。先日も久しぶりにエアガンを使ったところ、筒先から黄色いものが噴出しました。やはり蜂が巣を作っていたようです。
 これからしばらくするとシリアゲコバチという蜂もやってきます。変わった姿の蜂で、木に産卵管を刺し、他の幼虫に寄生する蜂です。長い産卵管を持った蜂も寄生する虫を探してよく集まります。私が見かけるだけでもいろんな虫が木を利用しています。借り入れまでして私が買った木を食べる虫は憎いですが、自然の輪の中にある素材としては当たり前のこととして受け止めるしかないという思いがあります。虫に食べられ、腐っていつか土に還るから木はいいのだとも思います。でも、大事な材をなるべく虫に食べられないように戦う日々は続きます。

虫の穴の話 その1

2011年05月19日 | 
 この季節、晴れると虫がうるさい。
 クマバチ、このあたりではタマバチなどと呼ばれている蜂が巣作りをしていて盛んに飛んでいます。大きな蜂で、黒いお腹にお洒落な黄色い上っ張りを着ています。大きい虫ですがホバリングをして静止しているので、自転車の私とぶつかりそうになります。同種どうしてで縄張り争いなのか、こんがらがって飛んでたりします。
 そんなやつら、巣は木に穴を開けて卵を産みます。

 巣穴を掘るところは屋根の裏側の梁や干してある木材の柔らかい部分です。具体的には杉やシラタなど。材を入れてある倉庫の屋根はかなり穴だらけにされています。巣穴の下には木屑が落ちているのですぐに分かります。夜暗くなってからも穴にしがみつき、カリカリかじっている音がします。堅い材木のシラタに掘る場合はかなり痛んで柔らかくなったものにしか穴は開けられないようです。赤味には穴は掘れないようです。仲間の木工屋には彼らを嫌って片っ端から殺虫剤をかけたり網を材にかけたりする人もいますが、私は放ってあります。

 写真はクルミの板のシラタに掘られた巣穴です。時々板を切っていて巣をバッサリ切ってしまう事もあります。ごめんなさい!私もこの板を切って品物を作って家族を養っているんです!巣の中は卵や幼虫、エサの花粉のようなものが一列に並んで一匹ずつお部屋が出来ています。彼らの卵は昆虫最大らしい。奥の部屋の子が先に育つはずですが、入り口の方の子が羽化して穴から順番に出てゆくのをじっと待っているとファーブル先生の本には書いてあります。

 3ミリくらいの穴に通う蜂もいます。見た目はミツバチそっくりです。しばらく見ていると黄色い花粉のようなものをお尻に付けて穴にやってきてもぐりこみ、花粉を付けずに穴から飛び立つので彼らも子育ての巣を作っていると思われます。




 我が家にある図鑑では蜂の名前は分かりません。
 この蜂の利用している穴は彼らが自分で開けた穴ではありません。その穴は誰が開けたのか?「虫の穴 その2」に続く。乞うご期待!

蚕と桑の木

2010年07月01日 | 
 飼ってた蚕が繭になりました。



 去年日本絹の里でもらった蚕が卵を産んでこの春に孵った子達です。春早く生まれてしまいましたが、あわせてもらっていた人工飼料が残っていたので一齢、二齢幼虫時代はそれで飼いました。その後このあたりの桑の木も芽吹きましたので、桑の葉っぱをあげました。大きくなるにつれ、食べる量はどんどん増えました。本当は娘の蚕なのですが、私が三食せっせと葉っぱを採って運びました。桑なんてあちこち生えていますし今は誰も養蚕はしていないので気兼ねすることはないと思うんですが、畑の際に生えている桑の葉を切って持ち歩くのはなんとなく気が引けます。



 ざっと150匹。眉毛の濃い子は「イモト」とか、成長の遅くて小さいのは「チビコ」などと自然に名が付きます。でもそのうち混ざってわかんなくなります。なぜかかわいく感じます。えさを欲しがるしぐさもかわいい。



 これは桑の実。おいしくて好きなのですが、梅雨時期に実がつくのと、すぐ実が落ちるので、存分に食べられないで時期が終わってしまいます。気をつけないと、たかっている虫を一緒に食べてしまいます。子供の頃よく食べたな。


 工房の庭にも一抱え以上ある桑の大木があります。来た人がみて驚くような大きな桑の木です。そこにいたのか、うちの蚕が半分くらい繭になった頃、工房の庭で見つけました。



 野生の蚕、クワコです。初めて見ました。蚕よりだいぶ小さめ、色も茶色っぽいです。早速箱に入れておくと繭になりました。繭もだいぶ小さめです。