ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

クルミのキャビネットの制作 その1

2014年07月30日 | 木工
今夜のお客様はコクワガタ。









ちょっとした意欲作を作っています。




これが図面です。
足のある飾り棚で、中央に前板にアールが付いた引き出し、左右にガラスの観音扉。
材は、天板と引き出し前板はウォールナット、あとはクルミです。
お客様と念密な打ち合わせをして設計しました。







これは側板と足になる部材を仮に付けたものです。
製品になる前のこの状態の方が、構造がよくわかると思います。
私は「凧足構造」と呼んでいます。

木の繊維方向をそろえつつ猫足の箱物を作るために考えた構造です。
(長い足の付いた和凧なんて、今はあまり見なくなりましたねえ。)






猫足に形を作り、面を取り、側板に背着してほぞ穴をあけ、組み立てる前まで作った「凧足」です。








今回の家具で、もっとも苦労をした部品がこの幕板です。

引き出しの前板に外アールがついているので、そのアールに合わせてこの幕板もアールがあります。
しかも、両端が猫足の曲線に接するので、その接する部分を合わせるのが難しいのです。







このように厚偉材から切出してアールを作ります。
厚い材を割くとこのように大きく曲がることがあります。









その幕板が猫足に接する部分の写真です。
横になっているのが足の方で、縦が幕板です。横倒しになっている状態で撮った写真です。

もうここの摺り合わせは現物合わせ、執念の結果です。
執念があればたいがいのことはできるな、と。







仮組をしてみて嵌合を確認します。








組み立ても慎重を喫します。

まず引き出しの付く真ん中の板と地板を組み、一晩置きます。







さらに地板に猫足・側板を組み付けて一日置きます。







最後に天板を組んで一晩置きます。
あわてない、あわてない。








クランプをはずして本体の組み立てはおわり。

この後は引き出しと扉と棚板を作ります。
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米櫃など

2014年07月27日 | 木工
夏本番です。

窓を開けて仕事をしていると、やたらと虫が入ってきます。
小さい虫こそたくさん来ますが、どうしても大きな虫が目につきます。





これはオニヤンマ。出始めです。
晩夏の頃は夕方になると5,6匹くらい工房の中でブンブン飛び回っています。





オオスズメバチ。
こいつの羽音は重量級です。
見るからに危険動物。
本当にカブトムシが飛んで来たくらいの大きさに感じます。
電燈を消して窓を開けて、お引き取り願います。






ミヤマクワガタかな~。メスはよくわからない。








先日、通勤途中に大きな鳥がいました。





トンビです。飛ばないところをみると、ヒナでしょうか。
写真を撮ろうと近づくとギャロップで逃げます。

トンビは全く珍しくないですが、ヒナは見たことがありませんでした。
ヒナですがさすが大きくて翼を広げると1m以上あります。





さて仕事ですが、

箱を作るのにこんな仕口を使いました。




「あられ組み」とでも呼ぶのでしょうか。
写真にあるようなT定規に釘を打った物を作って墨をします。






縁になるところは留(とめ・45度)に切って体裁を作ります。
留の加工は手道具でします。






作っていたものはお台所の収納棚。

上は米櫃。
下二段はジャガイモやら生ネギの箱だそうです。




同じお客様のところに行く家具です。




下の大きな引き出しはキャスターの付いた新聞紙入れです。









いろんな収納棚。
左側の細い縦のスペースにはアイロン台が入ります。







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山梨への納品

2014年07月21日 | 木工
工房の庭の材木の上にルリボシカミキリがいました。




番っております。

私の材木に卵は産まないでおくれ。






山梨県に納品に行きました。



あさ7時発。




まず峠を越えて長野県へ出ます。
霧が巻いていました。




標高が上がると、季節がさかのぼります。







道端のマタタビの葉がまだ白く、花が咲いていました。






ヤマアジサイが咲いています。






トチの木の新芽でしょうか、赤く映えています。








さて、納品したのは、




カウンターとストゥールのセット。





こちらは引き戸のある台所側。

写真に写っているのは施主さん、ではなくて建てた大工さん。
ガーデンハウスの宮川さん御夫妻。




あと、座卓。




全て材はクルミです。




あいにくの梅雨空で、八ヶ岳も富士山の見ることができませんでした。
ですが家具を運び込む時には降られず、幸運でした。

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カウンター食器棚の制作

2014年07月16日 | 木工
オオムラサキが飛び始めました。
大きな蝶が特徴のある羽ばたきで飛翔するので遠目でもすぐにわかります。
でも写真に撮れない、、、






食器棚が組み込まれたカウンターと椅子のセットを作っています。






高さ80㎝のカウンターに合わせたストゥールをまず作ります。
写真は図面と墨出しに使ったケヒキ。印をする工具です。







形を作りホゾ、ホゾ穴などを加工して、組み立ての前に記念撮影。







最終の組み立てです。
座面は高さが50㎝なので、10㎝の高さに足載せがあります。







カウンターは長さ160㎝、幅が80㎝あります。
かなり大きいです。
これだけ大きいと溝を突いたり穴を開けたりする加工がかなり困難になります。

そこで、




板を剥ぎ合わせる前に引き戸のレールの溝を突くことにしました。


前面をまず決め、それを基準に正確に鉛筆で墨をして溝の位置を決めておき、
加工は板を剥ぐ前の軽いうちにします。
その後、板を接着して長さを決めたり幅を決めたりします。
剥ぐときには前面をハタガネで傷つけないようにベニヤを当てて養生します。






組み立てにも工夫が要ります。
まずツカ(縦の板)を接着し、その後地板と帆立(側板)を接着します。
この際、直角が出ているかをよく確認します。
直角、平行がちゃんとしていないとその後の組み立てがうまくいかず、悲惨です。







天板を組む前に裏板を入れます。
裏板も無垢材です。
扉のない側は地板が無く、天板から下は床になります。
ここにストゥールを置いて座ります。






最後に天板を組みます。
クランプのハンドルが回せるように、台を置いて少し高くしておきます。
この辺はよく段取りを考えておかないと、糊をつけてから慌てることになったりします。

写真では何を作っているのか、よくわからないかも。







何日かに分けて、納品にもお伺いしました。





クリのテーブルセット。





クルミの小さい食器棚。



納品にお伺いして、お客様とお話しするのがとても楽しいです。
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クリのテーブルセットの制作 その3

2014年07月09日 | 木工
お昼に食事に帰ろうとしたら、工房の庭に何かいます。





アナグマの子供でした。(また!?)




近づいても逃げません。
しばらく腹ばいになってアナグマの子供と遊びました。
フガフガ鼻を鳴らして、アナグマも私に興味があるようでした。






椅子ができたのでテーブルを作りました。









この2枚の板を剥いでテーブルトップを作ります。
材はクリ。厚さは7cmの板です。
長さは1.8mですが、幅が1mというお客様のご希望です。
板を剥ぐとき、普通は幅をそろえて平行に接着します。
例えば50㎝と50㎝で1mとか。

しかし今回の板はそれほど幅がありません。
そこで縦長台形の板を互い違いにして剥ぎます。
狭い方と広い方をくっつけて、なんとか1mの幅の板を作ります。





板は大きく捻じれています。
捻じれを確認して、平らな面を作るとこから作業は始まります。
板の両端に定規を置いてみました。
2㎝ほど隙間ができるほどの捻じれです。





高いとこから削ります。
削ったところが白く見えるので、捻じれているのがよくわかります。





苦労して2枚の板を平らにして厚さをそろえて剥ぎ合わせます。
7㎝の厚さの板が5㎝になってしまいました。





四隅をそろえ、鉋で仕上げ、面を取ったりしてテーブルトップを仕上げ、オイルを塗りました。




この板、木口を検分した時に染みがあったので、それほど良い板ではないかもと思ったのですが、
仕上げてみると個性的な木目の素晴らしいテーブルになりました。

この「木の味」のようなことはなかなか写真ではお伝えしにくいです。
実物を見て、触れていただければ、この木の持つ表情や質感の美しさがお分かりになっていただけると思います。
このような素材に出会ってお客様にお渡しすることができるのが、
無垢の仕事をする者にとっての大きな喜びの一つです。



せめて木目のわかる写真を載せてみましょう。











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