ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

群馬の森クラフトフェア

2014年04月22日 | 木工
群馬の森クラフトフェアが終わりました。





会場の雰囲気はこんな感じ。

催事に向けて品物を作れなかったので、こっそりとしたブースを構えました。
お知り合いのお客様が訪ねて来てくださって、とても嬉しかったです。

いろんな分野の方の品物を見ることができて楽しかったです。
なにしに行ってんだ。
運営の手伝いです。



会場の群馬の森には大きな樹がたくさん生えています。
子供の頃から、空に映える樹の姿が好きでした。










ご来場いただいた方々、ありがとうございました。

材の値段、歩留まり

2014年04月16日 | 木工
山桜の開花が山をだんだんと登っていきます。








今日の夕方、月蝕だということで楽しみにしていたのですが、
なにしろ谷間に住んでいるので、月が上った七時半にはもう月蝕は終わってしまっていました、、、
月の上に火星が光っています。





お客様と材の値段の話をしたので、ここでもその話に触れます。


乾燥材を業者から買う場合、材木は体積当たりいくら、という単価で取引されます。
今ではほとんど立米(1m×1m×1m)ですが、
たまには日本の尺貫法、石(こく)の場合もあります。
ちなみに「石」は10尺×1尺×1尺で、
ざっとメートル法に換算すると3m×0.3m×0.3mで約0.27立米となり、1立米は3.6石くらいになります。

立米いくら、と単価が示されますので、買う時の目安になります。

私が普段使う国産材ですと15万円~25万円/立米くらい。
高いものでウォールナットが70万円くらいです。
世の中にはもっと高い材はいくらでもあります。
いままで金額を訊いたもので高かったのがチークの200万(?)とか。
一枚板は時価になります。


さて、ウォールナットを使う仕事の話がありました。
このウォールナットとはアメリカ産の黒いクルミで、その色味の美しさで人気がある材です。

一年ほど前に借り入れをしてちょっと多めに仕入れた物がありますが、
その板は55mmと60mm厚で、今回の仕事に厚すぎます。
そこで34mmの板を新に買いました。






この板は単価が70万円のウォールナット。
四角い板に加工されていて、シラタがほとんどありません。
シラタとは樹木の皮に近い部位で、色が白いのでウォールナットの場合はほとんど使い物になりません。






この板が新たに買った板です。
単価は36万円。





このように両側に使えないシラタがあります。
使えないシラタもしっかり測られて請求に入ってきます。
この板の場合、書かれている「27」(27cmの幅の意)に対して実際に使える幅は21cmしかありません。
白い鉛筆で描いた矢印がその使える21㎝です。

別に業者を責めているわけではありません。
これが業界の慣習なのです。
シラタを除いて計測してくれる材木屋などどこにもありません。
木は自然の物なのでいろいろなものがあります。
たまさかシラタの薄い板が買えると、それは大変な「儲け」になります。
ですから丸太を買うときにはシラタの少ない丸太をなるべく買います。



今回届いた板を、上記の様に計測されて請求書のもとになる数字と
シラタを除いた実際に使える幅を計った数字を比べてみました。
実際は長さもバラバラですが、それは考えないでおきます。

幅は長さの中央で図るのが決まりです。
左が材木屋が測ったもの、右が私が測ったもの。


     24-20
     23-23
     26-20
     27-21
     28-17
     29-21
     21-18
     17-13

合計  195-153



約78%に目減りしてしまいました。
単価にすると36万円でなく46万円になってしまいます。


さらにこの板を作るものの形に切り、さらにさらに厚みをそろえたりするので、
製品になるものは本の体積の半分くらいかもしれません。
これは純粋に損得問題なので、常に無駄がなるべく出ないように心を砕いてはいます。





一点仕上がったものをご紹介します。





小引き出し。材はセン。

前板、側板から天板の板は一枚の板から作っています。
ツマミはウォールナット。
このツマミの様に、小さい材になるまで使い倒します。

椅子の作り変え

2014年04月10日 | 木工
やっと桜が咲き始めました。





これは山桜で、ソメイヨシノはまだちらほら咲いているくらいです。
梅も一緒に咲いていますね。
モクレンもまだ花が残っています。






池を覗いたらカエルの卵隗が10個ほどありました。
4月のあたまに一週間ほど来なかったので、そのあいだに産卵をしたのでしょうか。
大雪で産卵の時期がずれてもちゃんと卵を産みました。
逞しいですね。






しかしこのように、雪崩の跡がまだ山の端に残っています。





椅子の作り変えをしました。






この椅子は国民宿舎のラウンジのために設計・制作したものです。
多少形を変えて何度か作ってきましたが、
これをご覧になって、もう少し座が高いものを、というご依頼がありました。

この椅子の背もたれはなかなか複雑で、たまにやると作り方を忘れていたりします。
それが面倒なので、足だけ作り変えることにしました。







この椅子は足が座面と肘掛を貫いて、肘掛の上でほぞに楔を打って止めてある構造です。
まず、肘掛の下でその足を切って部品をばらします。

足だけを新しく長いものに換装し、肘掛はまた使います。






足は轆轤で作ります。
このような角材から一気に円筒状の部材に加工します。
材はサクラです。





要所要所の太さを先に決めて形を作ります。
左手で太さを計るコンパスのような器具を持ちながら右手で刃物を入れていくと太さが決まります。






出来た物はこんな感じ。
右側の細いところが肘掛けに刺さり、その次の太さのところが座面に刺さります。






右が新しい物。左が古い物。
古いものは陽に焼けて色が濃くなっています。
座面は5センチほど高くなります。









組んで再塗装しました。
足長になったので、やや印象が変わりますね。








これはついでに載せます。
丸太の輪切りを使った衝立です。
こんな変な(失礼)仕事も舞い込んできます。




お知らせを2つ。



催事に出ます。

群馬の森クラフトフェア

注文仕事で手いっぱいで、何も新しく作っていけないのですが、一応スタッフなのでお手伝いに。



先日椅子を納めたお店が開店しました。

かつ吉 日比谷店

名店です。よそにはないようなトンカツが食べられます。

個人のお客様のお宅に納めた物はご覧いただけませんが、お店の物は皆様に見て頂けます。
お近くにいらした方はぜひ寄って私の椅子でお食事をお楽しみください。

学習机の制作

2014年04月01日 | 木工
山はやっと春になったという感じ。




サクラの開花にはもう少し。




さて年度の最後に学習机をお作りしました。
季節商品ともいえます。




天板の下に薄い引き出しが付く机は実はかなり複雑な工作が必要になります。
同じ個所に複数の部材が集中するので、仕口も複雑になります。
原寸の図面を描いてほぞやほぞ穴の位置や形や寸法を確認しておきます。







例えばこんなふうに面倒くさいほぞを作らなくてはなりません。






組み立てたもの。

前に引き出しが入る穴があり、引き出しを支えるレールが前後に通ります。





引き出しの底板なども全て無垢材を使いました。
無垢材は伸び縮みしますので、広い板のままで使うと縮んだ時に隙間ができてしまいます。
それを回避するために板を狭く切って、「やといざね」という組み方で底板を作ります。
これも部品点数がやたら増えて面倒くさいのですが仕方がない。
引き出しの底板を合板でなく無垢にするだけで、加工手間が一日分は余計にかかります。







完成した写真。
サクラ材の学習机です。
かわいい姉妹のために2台お作りしました。

引き出しに鍵も付きます。


忙しく作ったので、あまり写真が撮れませんでした。


お正月以来ここまで、一日も休むことなく仕事をしてしまいました。
やっと、すこし春休みを頂くことにします。