ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

杉材の食器棚の制作 その2

2014年08月23日 | 木工
本体の組み立てが終わり、扉や引出を作ります。






この板は扉の鏡板になるものです。お客様からの支給材です。
幅が90cm近くもある、杢のある立派な板です。
この一枚の板から4枚の鏡板を取ります。





扉も作って本体に合わせて仕込みます。








取っ手を作ります。材はウォールナット。

引違扉の取っ手は出っ張ったものはつけられません。
扉をスライドした時に当ってしまいます。
必ず掘り込んだものにします。
これが結構厄介です。デザイン的、工作的にも制約があります。





今回はこんな感じにしてみました。






このように扉の框に穴を掘って取っ手を埋めます。







塗装をして戸車をつけ、ガラスを嵌めました。
これは上台です。








こちらは下台。この上に上台が乗ります。
組み立ては現場に運んでからになります。







引出、扉を開けたところ。




杉の古木の色合いは素晴らしいです。



今回の家具のデザインはかなりクラシックな感じにしました。
お客様とお会いしてお話しをして、
そのお客様のお好みをくみ取って、どのようなものを作るか考えるのも大事な仕事の一面だと思っています。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

杉材の食器棚の制作 その1

2014年08月15日 | 木工
晩夏です。
蝉しぐれが初夏のヒグラシからミンミンゼミやツクツクホウシになっています。
コオロギなども鳴きだしました。




杉の材で食器棚を作っています。

杉というと安物のように思われますが、この材は違います。




柾目で幅が45cmもある板です。
丸太で直径が1m以上あったのではないでしょうか?

樹木の伐採をする業者さんが自分で伐った材を持ってきてお作りするといいう仕事です。







これが図面。
上がガラスの引違扉。
真ん中に引出があって下が木の鏡板の扉です。





いろんな板の奥行や扉の収まりを現した図です。
板の厚み以外の寸法は適当に略してあります。
結構複雑なので、ちゃんと図にしてから作らないと間違えます。







大変きれいな木ですが、杉は柔らかく傷つきやすいので、養生に大変気を使います。
刃物もよく切れないときれいに加工ができません。
正直、杉の家具の制作はあまり経験がありません。








あわてず、部材を一つ組んでは糊が乾くのを待ち、また次を組む。
組み立ても傷を付けないようにと、ゴムの玄能ではたいたりすることもできず、
クランプをかけるときにも必ず木をかってから締めます。

軽いので持ち上げたりするのは楽です。
でも動かすときはぶつけないようにそろそろと。






組み立て中の写真を見ても、何を作っているのかよくわかりませんね。






このくらい組み立が進むと、何ができてくるのかがわかります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クルミのキャビネットの制作 その2

2014年08月12日 | 木工
パソコンが故障してしまい、しばらく更新ができませんでした。

写真のファイルがまだ復旧できず、途中の工程の写真がないものがあります。




なので、キャビネットの引出、扉の制作写真がありません。






つまみを作ります。




これは扉のつまみ。




こちらは引出のつまみ。
材はローズウッド、たぶん。


四角いうちに取り付けの穴や指のかかりを加工しておきます。







これができたもの。






引出の前板はわずかに外アールになっています。
つまみの側はまっすぐなので、このままではつけられません。






前板にサンドペーパーを置き、前板のカーブにつまみがなじむようになるまで擦ります。












前板とつまみがぴったりと付きました。







塗装し、扉と引出を仕込み、つまみとガラスを付けて完成です。
簡単に言っていますが、仕込みは微調整がいろいろあってなかなかめんどうな作業です。






足や前板のアールの様子はこの角度からの方がわかります。






お客様のお宅にて。





少々作品の能書きを。

主材はクルミですが、天板と引出の前板はブラックウォールナットを使って彩りをつけています。
天板の前縁には緩やかなカーブがあります。
引出の前板にもわずかにアールがあり、前から見た姿に立体的な抑揚を与えています。
猫足と共に幕板にも曲線を用い、全体に優雅なフォルムをもたせました。

Pヒンジという蝶番を使うことにより、引出と扉の間にあるはずの束(つか)を隠し、
扉と引出を天板、猫足、幕板で囲まれた一つの面に作ってすっきりとしまとめました。

つまみはウォールナットよりさらに色の濃いローズウッドを使って作ったものです。




ああ、自分で解説するなんて、こっぱずかしいことだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする