ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

丸太の検分

2014年11月28日 | 木工
雨上がりの朝、深い霧が出ました。









墨絵のようです。電線が邪魔ですが。

朝日が当たると霧はみるみると消えていきます。














ブログを書かなかった間もいろいろ作っていましたが、定番商品やこまごました物が多くて、写真を撮りませんでした。


ちょっとだけですが、





ピアノ教室の記念品の部品。
音符はやっぱり8分音符でしょう。



時計を作りました。
このブログを見てのご注文です。
このような製品の方が木そのものの美しさがわかりますね。
ムーブメントはちょっと高いけど電波時計。





サクラ。




トチ。




クリ。




トチの菌糸入り。


このような木はspalted(スポルテッド)といって、わりと珍重されています。

画像参照


木に菌糸が入っている、つまり腐りかけなのですが、面白い模様になります。
ただ脆くなっています。
決して椅子の足のようなところに菌糸が入った材を使ってはなりません。
失敗を経験済み~。





納品に行き、ついでに声のかかっていた材木屋に丸太を見に行ってきました。







樹種はクリとクルミ。
出所は福島県の桧枝岐(ひのえまた)付近。
伐採時期は理想的な初冬。
山奥の木目の詰んだ木で、虫食いも見当たらず。
良い木だと思いました。





木口と皮をしげしげと観察。虫食いなどはやはり無し。




欲しいのは欲しい。

今、本当に木材の資源は終わりつつあるのを感じます。
あるときに買わないと、なかなか良い木は手に入らないのです。

木を伐るのはあまり良くないとは思います。
でも、木で物を作るのは人間の根源的な活動だと思います。
木で物を作るのを否定されたら、人間の物作りは終わりです。
せめて、自分が仕事を続けて家族を養う必要があるうちは、木を買わせてほしい。
どうせ作るなら、いい材で仕事がしたい。




この仕事を始めたころ、時間を作って同業の先輩たちのところを訪ねて話を聞いて回りました。


その中のある方に「仕事が来てから材を探しているようじゃ、この仕事はなりたたないよ」といわれました。
ほほう、なるほどと思い、無理をしてでも材を集めるようにしてきました。

材を持つと、確かに仕事を進めるには有利です。
打ち合わせをしながら手持ちの材をお勧めすることができます。
仕事を頂いたのに材が無くて右往左往するのはほんとに情けないことです。


ビジネス書などを読むと、在庫を多く抱えることは最も経営を圧迫する最低のことのようです。
ですので、材木をストックしないと成り立たない木工屋とは、なんと因果な商売なのでしょう。
まあ、たくさんお金が儲かると思って入った世界ではないので、自業自得です。
負け惜しみを言えば、楽しくやりがいのある仕事ですので。


この丸太もたぶん買うことになると思います。
まだ値段を訊いてないのですけど(笑)。



そういえば、この20年来、私の付き合ってきた材木屋さんはほとんどが「催促なしのあるとき払い」でした。

ふつうは「月締めの翌月末払い」です。
つまり2か月くらいのうちには払う必要があります。

この「催促なしのあるとき払い」がどれほどありがたいことだったのか、今になってよくわかります。
支払期限にお金がなければ会社は倒産ですものね。


もっとも、期限があると自分の支払い能力をよくよく考えて、買うのが控えめになったでしょうから、
業者のうまいセールストークともいえるでしょう。

山鳥訪問

2014年11月17日 | 動物
霜が降りました。








時計をお作りしたお客様が完成したものの写真を送ってくださいました。






結婚の記念品として、一枚の板から三つの時計を作り、本人たちとと親御さんで分け合うとアイデアです。
文字盤や字、絵、塗装や組み立てもご自分たちでなさったものです。

2014年9月18日


素敵な絵付けですね。参考になります。







催事期間中でしたが、14日の金曜日は店番をお休みして会場に行かず、工房で仕事をしました。


朝、工房に行くと、建物の裏側の窓ガラスがこなごなに砕けていました。
風が入ってきて、寒々としています。

裏はもう使われていない畑で、人が来ることはほとんどありません。
投石?とも思いましたが、恨まれたりいたずらされるような覚えもない。
なにしろ人がいないので。

飛び散ったガラスを片づけていると石が落ちていることもなく、ひとひらの鳥の羽が落ちていたので、
鳥がぶつかったのであろうということになりました。
擦りガラスなんですが、そういうことがあるのですね。
鳥の姿がないので、割れた窓からすでに逃げたのだろうと思われました。

仕方ないので、目立たないところの窓のガラスを外して交換しました。




さて、月曜日。

催事が済んで工房に帰り、片づけなどしていると、部屋の隅からいきなり鳥が現れ、びっくり仰天。




材木の陰に隠れてはいます。



つつかれないよう軍手をはめて捕獲。
弱っているのか、すぐに掴まりました。









鳥を小脇に抱えて、片手でカメラを持って液晶が見られないままの自撮りですので、まずい写真ですが。

抱くと鳥ってあたたかい。


山鳥のメスのようです。

逃がしてやったら山に飛んでいきました。


ほぼ三日間絶食してたはずですが、よく飛べました。


そう思って工房内を見渡すと、フンが落ちているし、棚の物も落っこちている。



ということは、金曜日、私が仕事をしている間、彼女は工房のどこかでびくびくと隠れて過ごし、
土日は室内をすきっ腹を抱えてうろうろしていたわけです。



狩猟も始まり、あわてていたのでしょうか?



逃がさないで食っちまうという手もあったのかなあと、ちょっと思ったりしました。

ウッドクラフト展IN桐生有鄰館

2014年11月13日 | 木工
今年はなかなか葉が散りません。気温が高いのでしょうか?







霧が出ると幽玄な雰囲気になりますね、まあ、かなりの山奥に工房はありますので。




日が差すとモミジの紅葉が映えます。



自転車がパンクして、何度か歩いて通勤しました。
歩くと普段見えないものが見えてきます。




これは山芋か?調べる調べる。
ヘクソカズラでした。ひどい名前である。
臭いらしい。







ぐんまウッドクラフト展 IN 桐生市有鄰館が始まりました。


主催→群馬県ウッドクラフト作家協会


会場→桐生市有鄰館





これは会場の一つ、レンガ蔵。
ここに製品を並べます。





飾りつけ後。











私のブース。







9月に作ったキャビネット。
置く会場でまた違って見えます。






だいぶ前に作った文机。
写真をウェブに載せたのは初めてかも。


片道2時間半の通いはちょっと辛いです。

おいでくださいませ。
16日まで。






以下おまけ。


納品で宇都宮に行ってきました。

宇都宮には大谷磨崖仏というものがあるのを思い出して、納品の前に行ってみました。


中国で主な石窟寺院を見て回り、帰国後機会があると日本の石像を見に行っていた時期があります。







駐車場。
岩肌に龕(がん)があります。祠の柱や梁を付けるための穴も穿ってあります。
ここにも何か祭られていたのでしょうか?





駐車場から観音様の後ろ姿が見えます。
後ろ姿しか撮らないない、私はへそ曲がり。





石切り場の雰囲気にはきりりとしたものがあります。
ここは大谷公園。





崖があり、そこに千手観音や阿弥陀仏が彫ってあって、そこにお堂が掛けてあります。




仏像は古いもので平安時代のものだそうです。

作った人たちのことや、往時の姿を想像して楽しみました。