ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

サクラ材のサイドボードの制作 その1

2016年06月29日 | 木工
何日か前から蛍が飛び始めました。

仕事帰りに眺めながら毎晩楽しみに見ています。

今年は多いかも。



ヒグラシも鳴き始めました。

初夏の風物です。

まだ蝉しぐれというほどではありません。

山奥でかすかに一匹鳴いているくらいです。




だんだん夏になっていきます。









サイドボードを作っています。





図面はこれ。


何回もお客様とやり取りをして決まったデザインです。

こういうものを作るのが一番楽しいかな。


材はサクラです。





糊の在庫がなくなって急遽取り寄せたボンドです。






天板になる板です。
綺麗に耳の残った一枚板です。傷もありません。
幅も50cmくらいありました。

広くて機械に入らないので全て手作業で削って平らにします。
けっこう捻じれていました。


この材は、材木屋さんが買い手がないので安くするからとお願いされて買った丸太でした。
それほどでもないと思って買ったのに、製材されて届いたら素晴らしい板でびっくりしました。
ヤマザクラでこんなに真っすぐで傷がない板はとても珍しいです。

長さも4mあり、その中で一番良かった板を半分に切って一枚はこのサドボードに、もう一枚は机にします。
どちらも同じお宅にお作りするものです。

お買い得でした。







いつも作るような足の生えた側板です。

足の材は40mm厚さがあります。
側板の下端もわずかにアールがあるのがミソ。






接着してから切り揃えたいのですが、鋸をいっぱいに上げても80mmある足が切りきれません。





切れなかったところは鑿で取ります。










最初の組み立て。










順番に、焦らず組んでいきます。






本体は組み上げました。

精度よくできたと思います。











これは引き出しの前板です。

横に並んだ板は木目がつながっています。







左右の引き出しの前板を薄くしてあります。

真ん中の引き出しの前板を厚くして家具の前面に立体感を持たせるためです。
段差は滑らかなカーブで繋ぎます。







引き出しや扉も組んでいきます。




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TVキャビネットの制作

2016年06月23日 | 木工
一件、納品に遠出しました。




とんかつ屋さんの椅子。

工期がタイトで、作っているところの写真を撮るのを忘れてしまった。



かつ久 無庵 横浜高島屋展

お近くにいらしたらおいでください。
改装時に収めた椅子もずっと使って頂いています。





帰りがけに、上野の東京国立博物館に無理して行ってきました。
東洋館にて、上海博物院所蔵の明代の家具を期間限定で展示しているのを観るためです。



文人の机、椅子、棚が主な展示品です。
写真撮影は禁止でした。


材は「鉄梨木」(タガヤサン?)黄花梨(ニオイシタン?)とありましたが、当方あまり唐木関係はわかりません。
雲南などの南方に産する固くて赤い樹種です。


椅子は四出頭官帽椅子、いわゆる曲録(キョクロク)で座面がとても高いのが特徴です。
座っても足が床に付かず、足載せが必ず付いています。
合わせて置いてある机も高く、合わせて置いてあると初めてその高さの意味が分かります。
偉そうに見えるから!

棚ですが、部材の接合部はチリを取らず面がそろっており、面腰ホゾにしてあります。

天板は薄いのですが、生留めでの接合がまるで唐木の座卓のようです。


言葉でこのようなことを説明するのは困難です。リンクを御覧ください。



このような中国の椅子は北欧に紹介され、高名なハンス・ウェグナーの数々の名作椅子のデザインの源となりました。

棚に見る面取りや仕口は朝鮮半島の李朝家具、そして海を越えた日本に伝播し、
やはりいわゆる和家具の様式の基調になったと思われます。

特に大阪で作られる唐木家具などはまさにこの明朝家具の系統です。
用材ももろに同じですものね。

中華文明の影響恐るべし。






さてTV台を一つ作りました。




これが図面です。

ご相談することほぼ2年、やっとの着工です。





こんな変な形の部材。




このようにくっつきます。
地板です。






この障子の桟のようなものは?






扉と引き出しの前板です。







ドロップ蝶番という金具を使います。

組む前に穴を開けておかないと。
あとからは開けられません。





こんな風につきます。






これは引き出しのレールです。

板に対して直行して付くので、板が伸び縮みしても平気なようにネジ穴を横長にする必要があります。





このように付きます。
細かいことですが重要なことです。





引き出しに溝を付き、溝にレールが収まります。







アールがある方が後ろです。

部屋の角に置くのですが、置く角度が自由になるようにとアールにしました。
お客様からの提案です。







扉、引き出しを付けて完成です。

扉を格子状にしたのはリモコンが使えるように。





その扉に合わせた引き出しの前板。





上下ともDVDが入る寸法です。




お客様との念入りな打ち合わせでご要望をお聞きし作ったものです。

自分だけの考えではできないものが出来たと思います。
















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カエルの靴ベラ

2016年06月04日 | 動物
庭に置きっぱなしだった材を梅雨になる前に整理して屋根下に入れる作業をしました。


板の山を崩していると、




あー、スズメバチが巣を作っていました。

気の毒ですが駆除です。







巣には丸々とした蜂の子がいましたが。





さらに板をどけると、



へんな生き物が。

ネズミの親子ですが、母親が動くと子供たちがそのあとを電車ごっこの様にくっついて動くしぐさが妙に可愛い。

正確にはネズミではなくトガリネズミの一種らしい。








カエルの靴ベラを作りました。

ずいぶん前に作ったことがあるものですが、お客様がホームページで見つけてご注文頂きました。

カエルが靴ベラのスタンドになっているものです。

無事に帰るという意味もあります。







ヘラを先に作っておき、二つのブロックに挟むようにヘラが刺さる形に穴をうがちます。











そのブロックを接着したものがカエルになりますが、

そのままではヘラが斜めに生えてしまうので、





ヘラが立つように下を切ります。






カエルの形に線を描き、帯鋸で大まかに切ります。






この後はひたすら手作業。

鑿や彫刻刀で形を作っていきます。








こんなカエルになります。

我ながらプリミティブ~!






これはカエルの伸びたベロ、つまりヘラ取っ手に着く虫。

洒落です。




漆塗りで仕上げます。











トンボに鋲を打ち、ヘラには磁石を付けて、トンボが止まるようになっています。










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レンジ用のキャビネットの制作 その2

2016年06月03日 | 木工
その1の続き。





漆塗りが終わりました。

部品塗りです。






マスキングテープをはがします。







傷を付けないように慎重に慎重に組み立てます。







組んでからも一回塗りました。







部品で塗ってあった扉も組み立てて仕込みます。

普通は木地で作って調整してから塗りに入ります。

今回は寸法だけの工作でしたのでやはり塗った後、ちょっと削ることになりました。

納期は余裕があったので大丈夫です。



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