ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

小さいストゥール

2017年06月29日 | 木工
蛍が飛び始めました。

ヒグラシも鳴きました。

ニイニイゼミも鳴き始めました。

山の夏の気配がじわじわと迫っています。




台所で家事をするときにちょいと腰を下ろすストゥールをご注文頂きました。

立ったまま軽くお尻を置くような使い方なので座高は63cm、

なるべく小ぶりな物をと思い、座面の大きさは直径20cmとしました。

ついでに普通の高さ、42cmの物も作ってみました。








これが図面。

私のこだわりとして、座面が足の踏ん張りより小さく作るようにしてます。

足は四点で接地しますが、その四点を結んだ中に座面が入るようにします。

安定、安全のためです。

でも足を広げすぎると邪魔になります。

そのために、一見同じようですが座高63cmと42cmのものでは足の付く角度が違います。

具体的には63cmの方は9度、42cmの方は11度の角度で組んでいます。








組み立て前の部材。

小っちゃくてかわいいです。

ちゃんと強度を出すために小さくても仕口は二枚ホゾです。








結局、一本のご注文なのに高いのが二台、低いのが五台出来てしまった。

端材を適当に出してみたらそれだけ出来てしまいました。

どうせ機械のセッティングは同じですから。

材はクルミです。








私の尻で座り心地を試す。

長く座るには確かに小さい。

でも邪魔にならず置いとけてちょいと腰掛けるにはいいかも。

値段も安くしよう。

花台にもなるかも。







こんないい木目の物も何本かあります。


古材のベンチ

2017年06月23日 | 木工
催事の写真を少々。





テーブルのセット。

われながら、椅子・テーブルのセットを作って催事に持って行ったのは初めてかも。







綺麗な会場で飾ると家具もよく写ります。







古材でベンチを作りました。


古材とは、私がお世話になった母校の寮の階段板です。

老朽化で建て替え・解体になったところを無理にお願いして預かったものです。


その寮は木造で、私が住んだ時でもすでに築35年ほどで、ずいぶんくたびれた雰囲気でした。

男子寮生はラグビーやサッカーなどして砂が付いた服のまま中に入るので部屋が傷みます。

私が出てから約20年。とうとう建て替えとなったのです。




新しい寮が建ち、かつてあった寮を偲ぶ記念品として、旧寮に使われていた板で作った物を収めることになりました。




預かった材を見ると、フローリング材はナラ、階段の板は一枚板のタモでした。

もちろん当時の私には何の材かなんてわかりませんでしたが、階段の板などは印象に残るような良い板でした。

木工屋になった私が解体の話を聞いてまず、「あの板は救わねば!」と思ったのでした。









これがその階段の板。樹種はタモ。

幅は約30cm、長さは120cmほど。






裏には反り止めのために蟻桟の溝があります。

この溝は鑿を使って大工が手作業で刻んでいます。




お預かりしてからもずいぶん経ち、はっきり言ってかなりばっちい。

しかしこれをきれいに削ってしまったのでは意味がありません。

多くの人たちが住み、踏みしめ、使ってきた痕跡を残したこの板の味を生かさなくてはなりません。

しかし塗料が剥げ、ささくれ、ネジや釘の入ったままで作っては使用に支障があります。

その辺をどのくらい手を入れるかが悩みどころです。

また、使い込んだ材には砂が入っているので、刃物を当てたくないというのも正直なとこです。








裁断し、仕口を作り、古い塗料を剥がし、ペーパーで磨きます。







組み立て。






こんなベンチになりました。






誰がやったか、ずいぶんへこみがあります。

人がよく踏む真ん中あたりの傷みが激しいですね。






蟻棧の溝なども残してあります。






階段の作るための溝などがありますがそのままです。





最近建てられる家ではこんな板を階段に使うのは稀になりました。

やはり材木は枯渇しつつあるのでしょうか。




催事用の小物の製作

2017年06月13日 | 木工
催事があるので小物を作りました。






何かを作った時のあまりの板で木べらを。





以前途中まで手掛けていた物もやっつけて、40本ほどできました。

材はサクラ、ブナ、ブラックウォールナット、クルミ、クワ、ムクノキなど。
荏胡麻油を塗ります。

荏胡麻は食用油で乾く油です。






洒落でこんなスプーンも作りました。

大きく曲がった木を使い、曲がりなりに作りました。

何に使うのかって?

さあ、、、、







これは額。







これは手鏡。クワ材。

ずいぶん前に鏡だけ10枚ほど買ってしまっていたので作らないと。





明日は積み込み。

下屋の建て替え

2017年06月07日 | 木工
そもそも私が立て替えたものはなんという名前なのかがはっきりせず調べてしまった。

「下屋」、ゲヤと呼ぶのでいいようです。

建物にくっつけて作る屋根のある構造物です。





工房の入り口にあった下屋です。

私がこの建物をお借りしてから25年、それ以前からあったものです。
杉の丸太を直接地面に置いたものを柱にして出来ていたので腐る、白アリ食べる、だんだん下がるという状態。

いつ崩れても不思議はない様子でしたので立て替えました。


写真左手は二年ほど前に作った単管を組んでポリカーボネート波板を載せた下屋です。

以前あった物は大雪で倒壊したので作りました。



これを拡張して作ります。








フォークリフトで引っ張って古いものを倒しました。

電線や電話線などが付いていたので外してからです。


ネジや釘を外しながらすべてを解体して片づけました。








新しい入口。

ポリは透明なので明るい!






3m×6でおおよそ18m間口の材料置き場、入り口が出来ました。








ニガウリが食べたくて植えてみました。






パクチーも食べたくて種を蒔いてみました。

どうも畑は苦手なんですが。











催事用にテーブルを作りました。

椅子に合わせてデザインを考えました。

長さ160cm、幅90cm。







二枚剥ぎのテーブルトップです。材はクリ。

ブックマッチのようですが正確にはそうではありません。
丸太の芯の両側から取れた二枚の板です。
ブックマッチでは板を本を開くように使うので木表+木裏となりますが、
この甲板は木表+木表になっています。





幕板を留め(45度)に切り、足を挟んで付けたデザインです。

ちょっと組み立てが難しいのですが、足が45度の角度で生えるの立体的な造形になります。




その催事のお知らせ