木口が上下を向いた中層板を作ったところからの続きです。
補足的に木材についての蘊蓄を少々話します。
木材とは導管篩管などの繊維の束ねられたらものです。模式的にはストローが束になった様なものとお考え下さい。この構造により木材の素材としての特徴が現れます。
ストローが長くて束ねられたものなら曲げ方向の強度があるのはわかります。これが棒。
ストローを横一列に並べてくっついたものなら、横方向にはふにゃふにゃしますが縦方向に
はわりと曲がりにくい。これが薄い板。
木がストローだと思えば東海楽器がいう音の伝達が繊維方向に早いというのも頷けます。
では今回作ったこの「中層板」は何でしょうか?
モデルとしては短く切ったストローを広く束ねたものです。
短く切ったストローをまとめてくっつける作業がいかに大変かはご想像頂けるとかと思います。
またそれが形状不安定なものなのもわかります。
更に、木材の木口は板目より硬いので削り上げるのがたいへんです。
木の繊維を断ちながら削らなくてはなりません。
束ねたストローの口側を手で撫でることを想像してみて下さい。
私の今まで仕事で使って来た、板を削って厚みを仕上げる『自動送り一面鉋盤』、通称「自動」「プレーナー」ではこの「中層板」の厚みを仕上げることは出来ません。木口はうまく削れないからです。
そこで今回この中層板を作るために、新規に機械を購入しました。
サンドペーパーで厚さを決めたり面を仕上げるドラムサンダーという機械です。粒度の粗いサンドペーパーなら広い木口面を平に仕上げることが出来ます
これを使い厚みと平面を出しました。厚さは3センチ。
2台作るベースの内、1台は「チャンバーボディー」というものにしてみます。
ボディーの中に空洞を設けるとアコースティックな鳴りになると謳った楽器があります。本当でしょうか?
高くて買えないので、自分で作って検証してみます。
メーカー物では「計算された箇所にチャンバーを設けて云々」などとありますが、私のは山勘。(適当)
ボディーもだいぶ普通のものより大きめにしてみます。
鉛筆で描いた部分を切りぬきます。
中心部分はピックアップやプリッジの金具が付くので残します。
ドリルで板に穴を開け、その穴に帯鋸の刃を通してから溶接し、帯鋸盤にセットして切りぬきます。
刃の溶接は慣れていますのでこの作業はすぐすみます。
左が1号のトップとバック材の国産の楓。右は2号のバック材鬼胡桃。厚さは1センチ。
厚材から良い木目になるように木取り、ブックマッチに接ぎ合わせます。
これを位置合わせをして中層板を挟んで張り合わせます。
糊が乾いてからボディーの形に切り仕上げましたが、写真は撮り忘れました。
次はネック製作です。
試作なので、ネックも2種類作ってみます。
弦はナットとブリッジの間に張られるわけですが、弦をしっかり張るために、弦楽器はナットからヘッドに向けて弦に角度がつくようにヘッドを作ります。
指板面を水平に置いた時、糸巻きはその水平面より下にあればいいわけです。
その方法はエレキ楽器ではほぼ2種類、角度付きネックか段付きネックです。その両方を作ってみます。
これは角度付きネックによくあるスカーフジョイントを切るための治具です。
スカーフジョイントとは部材を斜めに切って貼り直し、角度が着いた部材にする工法です。
角度付きネックも様々な作り方があるようです。
今回作るのは、中心はスカーフジョイントで、その両側にへの字の材を接着し、更にヘッドの耳を接着するというもの。スカーフジョイントをどこに設けるかも様々あるようですが、今回のものは接着面がヘッドの中あるタイプです。
スカーフジョイントの接着です。逆断層みたいに見えるのがスカーフジョイント。
これ、ただ圧着すると部材が斜面を滑って力が逃げてしまいうまく着かないので工夫が必要です。
更にへの字の材を用意して、
スカーフジョイントした中心材に貼ります。
更にヘッドの耳を貼りました。スカーフジョイントの剥ぎ目がヘッドの中にあるのが見えます。
段付きネックはウォールナットを挟んだ5ピースです。角度付きネックよりはシンプルな作りです。
ネックの基礎が出来たら、トラスロッドとカーボンの補強を入れます。
トラスロッドとは、弦の張力に負けてネックが反らないようにするための鉄の棒です。
ネジを回して反りの具合も調整する機能があります。
カーボンはやはりネックの反り止めのためです。
赤いのがトラスロッド、黒いのがカーボン。
トラスロッドを調整するための溝も広げておきます。
こんなんでいいのかしら。
アメリカの楽器資材サイトから買ったトラスロッドと溝を掘るための専門の刃物ですが、なぜか少し遊びができてしまうので、マスキングテープを貼って少し太くして遊びが無いように溝に嵌めました。
説明書の通りの深さにしましたが、写真の所が出っ張ります。
仕方がないので指板を彫ってピッタリ着くようにします。
独学なので、臨機応変にやります。
これは丸鋸盤(テーブルソー)という機械です。指板にフレットの溝を切るために購入しました。
フレットを切るための丸鋸がやはりアメリカのものしか見つからず、この刃物をはめる穴が特殊な寸法で、自分の使っている似たような機械には合わないので規格の合う機械を探してわざわざ買うはめになりました。
この金属製の定規に指板を張り付けてフレットの溝を切ります。
加工はあっという間です。
型を使ってヘッドと糸巻き(ペグ)の付き具合を確認します。
端材で作ったモックと実物のペグも使って確認。
角度付きネックの方はヘッドにボディーと同じ楓の化粧板をはります。
ついでに裏にも貼っちゃいます。
裏はボリュートという突起を設けたので、板を曲げて貼ります。薄い板なので熱で曲がります。
化粧板を貼ったヘッドを整形して、
ペグの穴を開けます。
指板の接着。
指板もネックもまだ角材や平板の状態です。
その方がよく接着できるだろうという判断です。
補足的に木材についての蘊蓄を少々話します。
木材とは導管篩管などの繊維の束ねられたらものです。模式的にはストローが束になった様なものとお考え下さい。この構造により木材の素材としての特徴が現れます。
ストローが長くて束ねられたものなら曲げ方向の強度があるのはわかります。これが棒。
ストローを横一列に並べてくっついたものなら、横方向にはふにゃふにゃしますが縦方向に
はわりと曲がりにくい。これが薄い板。
木がストローだと思えば東海楽器がいう音の伝達が繊維方向に早いというのも頷けます。
では今回作ったこの「中層板」は何でしょうか?
モデルとしては短く切ったストローを広く束ねたものです。
短く切ったストローをまとめてくっつける作業がいかに大変かはご想像頂けるとかと思います。
またそれが形状不安定なものなのもわかります。
更に、木材の木口は板目より硬いので削り上げるのがたいへんです。
木の繊維を断ちながら削らなくてはなりません。
束ねたストローの口側を手で撫でることを想像してみて下さい。
私の今まで仕事で使って来た、板を削って厚みを仕上げる『自動送り一面鉋盤』、通称「自動」「プレーナー」ではこの「中層板」の厚みを仕上げることは出来ません。木口はうまく削れないからです。
そこで今回この中層板を作るために、新規に機械を購入しました。
サンドペーパーで厚さを決めたり面を仕上げるドラムサンダーという機械です。粒度の粗いサンドペーパーなら広い木口面を平に仕上げることが出来ます
これを使い厚みと平面を出しました。厚さは3センチ。
2台作るベースの内、1台は「チャンバーボディー」というものにしてみます。
ボディーの中に空洞を設けるとアコースティックな鳴りになると謳った楽器があります。本当でしょうか?
高くて買えないので、自分で作って検証してみます。
メーカー物では「計算された箇所にチャンバーを設けて云々」などとありますが、私のは山勘。(適当)
ボディーもだいぶ普通のものより大きめにしてみます。
鉛筆で描いた部分を切りぬきます。
中心部分はピックアップやプリッジの金具が付くので残します。
ドリルで板に穴を開け、その穴に帯鋸の刃を通してから溶接し、帯鋸盤にセットして切りぬきます。
刃の溶接は慣れていますのでこの作業はすぐすみます。
左が1号のトップとバック材の国産の楓。右は2号のバック材鬼胡桃。厚さは1センチ。
厚材から良い木目になるように木取り、ブックマッチに接ぎ合わせます。
これを位置合わせをして中層板を挟んで張り合わせます。
糊が乾いてからボディーの形に切り仕上げましたが、写真は撮り忘れました。
次はネック製作です。
試作なので、ネックも2種類作ってみます。
弦はナットとブリッジの間に張られるわけですが、弦をしっかり張るために、弦楽器はナットからヘッドに向けて弦に角度がつくようにヘッドを作ります。
指板面を水平に置いた時、糸巻きはその水平面より下にあればいいわけです。
その方法はエレキ楽器ではほぼ2種類、角度付きネックか段付きネックです。その両方を作ってみます。
これは角度付きネックによくあるスカーフジョイントを切るための治具です。
スカーフジョイントとは部材を斜めに切って貼り直し、角度が着いた部材にする工法です。
角度付きネックも様々な作り方があるようです。
今回作るのは、中心はスカーフジョイントで、その両側にへの字の材を接着し、更にヘッドの耳を接着するというもの。スカーフジョイントをどこに設けるかも様々あるようですが、今回のものは接着面がヘッドの中あるタイプです。
スカーフジョイントの接着です。逆断層みたいに見えるのがスカーフジョイント。
これ、ただ圧着すると部材が斜面を滑って力が逃げてしまいうまく着かないので工夫が必要です。
更にへの字の材を用意して、
スカーフジョイントした中心材に貼ります。
更にヘッドの耳を貼りました。スカーフジョイントの剥ぎ目がヘッドの中にあるのが見えます。
段付きネックはウォールナットを挟んだ5ピースです。角度付きネックよりはシンプルな作りです。
ネックの基礎が出来たら、トラスロッドとカーボンの補強を入れます。
トラスロッドとは、弦の張力に負けてネックが反らないようにするための鉄の棒です。
ネジを回して反りの具合も調整する機能があります。
カーボンはやはりネックの反り止めのためです。
赤いのがトラスロッド、黒いのがカーボン。
トラスロッドを調整するための溝も広げておきます。
こんなんでいいのかしら。
アメリカの楽器資材サイトから買ったトラスロッドと溝を掘るための専門の刃物ですが、なぜか少し遊びができてしまうので、マスキングテープを貼って少し太くして遊びが無いように溝に嵌めました。
説明書の通りの深さにしましたが、写真の所が出っ張ります。
仕方がないので指板を彫ってピッタリ着くようにします。
独学なので、臨機応変にやります。
これは丸鋸盤(テーブルソー)という機械です。指板にフレットの溝を切るために購入しました。
フレットを切るための丸鋸がやはりアメリカのものしか見つからず、この刃物をはめる穴が特殊な寸法で、自分の使っている似たような機械には合わないので規格の合う機械を探してわざわざ買うはめになりました。
この金属製の定規に指板を張り付けてフレットの溝を切ります。
加工はあっという間です。
型を使ってヘッドと糸巻き(ペグ)の付き具合を確認します。
端材で作ったモックと実物のペグも使って確認。
角度付きネックの方はヘッドにボディーと同じ楓の化粧板をはります。
ついでに裏にも貼っちゃいます。
裏はボリュートという突起を設けたので、板を曲げて貼ります。薄い板なので熱で曲がります。
化粧板を貼ったヘッドを整形して、
ペグの穴を開けます。
指板の接着。
指板もネックもまだ角材や平板の状態です。
その方がよく接着できるだろうという判断です。