ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

ペーパーコードの座面張り

2012年10月24日 | 木工
山梨に納品に行くために十石峠を上がり、振り返る。(一週間前ですけど)



今更ながら、すごい山奥に住んでいるなと思う。




銀婚式に奥様にプレゼントしたいとのことで、急遽ロッキングチェアを制作しました。





ここまでが木工の仕事で、これにペーパーコードの座面張りをします。




まず経紐を貼ります。紐を貼るのにはL字の釘を使います。
紐の位置に釘をあらかじめ打ちます。




縦紐を貼ったところ。



縦紐を貼ったところに隙間を埋めるように木枠に紐を巻いてゆきます。




裏はこんな感じ。




縦紐を巻き終わりました。




次に緯紐を貼ります。横はみっちりと紐が入りますので、釘もたくさん打ちます。




半分くらい張ったところ。




裏。




完成です。おおよそ4時間の工程です。めいっぱい強く張るので、けっこう疲れます。





これが座面張りに使う紐です。北欧家具でで昔から使われていたそうです。
これは日本製。蔵前の問屋から買っています。
これを売っているところを探すのが大変だった。
今は通販でも簡単に買えますが。



これがL字釘。これも最初は探すのが大変だった。
自作したり、アメリカから買ったり。
やはり今では通販で買えます。



参考書。人に習ったことがないのです。すべて独学です。
何か間違ってたら教えてください。







工房の壁に這う蔦も色づいてきました。



山の樹もなんとなく秋色に。



新羽神社祭典

2012年10月07日 | 日記
今日は自宅と工房の間にある神社のお祭りでした。




いつもの通勤路にもしめ縄が張られています。





新羽神社。上野村で一番由緒正しい神社と言われています。
破風にモモンガの穴が開いています。





珍しい白い鳥居。波打つ石段。




鳥居の横に変わった形の手水場。瓢箪のかたち?





社の横に直径2mほどの杉の切り株。樹齢は1000年ほどだったそうです。
20年以上前に、空洞化して危険なので伐採したという話です。





毎日散々前を通っているのに、入ってそんなにしげしげ見ることはなかったです。






燈明が入る室がなくなっている石灯篭。
柱が竹を模した形になっています。





こちらが完品の灯篭。写真奥に見える白い橋のたもとに私の工房があります。





神社正面の上の彫刻。「瓢箪から駒」の絵柄でしょうか。彩色が残っています。





柱の彫刻。獅子でしょうか。かわいいですね。





これは象ですね。ほとんど創造の動物。







神社の建物の中に、また社があります。
これがすばらしい。木彫の宝庫です。





背面の掘りもの。暗い所なのでぶれています。
松の木の下で巻物を読む二人の人物。





これは左の側面。何の場面なのでしょうか。








各所にこのような彫り物があります。
このような文様もいいです。
材は素晴らしく目の詰んだケヤキ。

古いものを見るのが好きです。


お年寄りに聞いた話。

建造に使ったケヤキは一本だったという。(どんなでかい欅だ。)
制作中、請け負った職人に子供ができ、一度家に帰った。
その人は17年後くらいに子供と帰ってきて、二人で仕上げたという。
いつの時代のものかはわからない。
一説では600年前。(それはいくらなんでも古すぎでは?)
何かの事情で、建造時代が分かる書物は破棄されたという。

お祭りは神輿を担いで川に行き、川の中を歩く「川下げ」、その後神楽の奉納があります。

人を撮らず、ものばかり撮る私は変わり者。








前のブログで作っていたものができたので、報告を兼ねて写真を載せます。
玄関の収納です。
扉の鏡板は板を割いて作った「ブックマッチ」になっています。
この写真と、建物に付けた時とは多少配置が変わります。




合板の本体ですが、前だけは無垢材が貼ってあります。
あまり普段は使わないスライド蝶番を使っています。



お祭りの後、仕事をしていたら工房の庭に鹿が来ました。まだ6時くらいです。
なかなか写真は撮れません。さすがに出てゆくと逃げてしまうから。




















秘密道具 紐

2012年10月02日 | 木工
台風一過。昨日ですけど。
台風の後、急に金木犀が匂いだしました。







川は台風の翌日は茶色に濁っていましたが、一日たってこのような緑色になりました。
地元の人は「笹濁り」と呼んでいる川の色です。






色付いた柿を鳥がつついています。




珍しく合板の仕事をしています。本体の箱だけは合板、扉は無垢材の下駄箱・クローゼットです。
本体は壁の中に入ってしまうので、無垢で作っても見えなくなってしまいます。
合板を使っても、なるべく無垢でできているように見せます。無垢材のところは栗材。





合板(ランバーコア)の木端はこんな感じ。ここに無垢の薄い板を貼ります。





木端に薄い板を貼るのにはのりを付け、このように紐を使って圧着します。

この紐は長い一本の真田紐です。
この道具は仕事を教えていただいた人からの伝授で、東京の和家具職人が使っていたもの。
箱や額、今回の木端張りなど、いわゆるクランプでは固着できないものも縛ることで組むことができます。
ちょっとした秘密道具。
もっとも仲間内では教えあっています。

最初にこの紐を売っているいる店を探したときは大変でした。
浅草橋、蔵前、人形町のあたりをうろうろして訪ねまわり、やっと見つけました。
本当に紐だけ売っている店でした。
鉋やノミや砥石などの道具類、金物、ペーパーコードの紐などの仕入先もみな台東区です。
職人の町なのでしょうね。







こんな紐です。





縛ってノリが乾くのを待っています。





木端に無垢の薄板を貼ったところです。








地元の神社の秋祭りが近く、夜、子供のお囃子の練習があり、仕事帰りに迎えに行きました。