ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

八本脚ベンチの製作

2016年11月26日 | 木工
私があえて言うことでもありませんが、記録的に早い初雪が降りました。




降ったばかりの柿の木の枝。
幾何学的な美しさがあります。






民家の一本杉。






私の自転車の轍。

楽しみながらの通勤です。

このくらいなら雪掻きはしなくていいので気楽です。







一日経って、



少し融けて固まった雪の表情もまた楽し。






晴れた朝の空に一条の飛行機雲、天空を跨ぐ。






さて仕事の話。

八本脚があるベンチを作りました。

幅が1.4mですが、このくらいのベンチならば普通両側に足があれば強度は十分です。
脚が八本あるのはお客様の要望です。
自分では思いつかない物を作ることができるのが注文家具の醍醐味です。






材はケヤキ。

最近はケヤキの仕事はほとんど無くなってしまったので、材のストックがありません。
材木屋で板を買ってきました。





一枚の板からちょうど足りるだけの脚の材を切り出しました。






部材の加工が終わりました。






穴が通っているこの部材は真ん中の二本の後ろ足です。
背もたれを通し材で作るので穴が貫通しています。






背もたれと後ろの座枠をこの部材に通して決めた位置までもっていきます。

あまりきついと通りませんし、緩いと隙間が出来てしまいます。
その嵌合度が加工の肝です。





通したところ。






その後全体を組み立てます。





その真ん中二本の後ろ足と背もたれの接合部には糊が付けられません。
糊の代わりに栓を打って動かないように固着します。






座面を作ります。

板を作って後ろ足が入る切れ込みを入れます。






座グリをします。

三人掛けなので三つのお皿。



今までベンチには座グリをしたことがありません。

何人どこに座ってもいいのがベンチだと思っていました。






木地は完成です。

漆を塗って仕上げます。







おまけ。



作る過程の写真を撮り忘れたTV台。

材はクルミですが真ん中の引き出しはブラックウォールナットで、左右の引き出しはシオジです。

半月盆の製作

2016年11月05日 | 木工
飲食店からのご注文で、半月盆を作りました。




これが図面。10枚ほど作ります。







40cmの幅の板は今や銘木級なので、今回は板を剥いで作ります。

剥いだ板を丸く切ります。






お尻と、




上面を轆轤で加工します。






直径40cmのお盆ができました。


しかし面倒な作業はこれからです。








丸く加工したお盆をバッサリ切ります。






切った辺に棒材を接着します。

この圧着は輪ゴムでないと固定できません。






付けた物はこんな感じ。

Ω(オーム)みたい。






ただ真っすぐなものをくっつけただけでは円を描いた縁と整合性が取れません。
内アールの立ち上がりが必要なのです。








トリマーで縁を削ります。

トリマーの定規を安定させるためにわざと長いまま材を接着しています。








内アールの立ち上がりを形成する部分を残してあります。




このあとは彫刻刀や鉋を駆使して手作業で加工します。







今回はちょっと変わった塗りをします。


漆を塗ったら乾く前に木の粉を振りかけてます。

漆は糊でもあるので粉はくっつきます。

その木の粉をそのままに漆を塗ってざらざらなテクスチャの塗りにします。



剥いで作った木地を隠すためと、漆をたっぷり塗って丈夫なお盆を作るためです。







木の粉をまぶした後、3回ほど漆塗りを重ねて仕上がりました。

表面積が膨大に増えるので漆をたくさん使う塗りです。







苦労した直線部分の内側の立ち上がりはこんな感じに仕上がりました。。







切り取った端材を二つ着けると葉っぱの形のお皿ができそうです。






「かつ吉 新丸ビル店」というお店で使って頂ける予定です。

開店時に椅子なども作らせていただきました。

どのように使われるのか、食べにいきたいものです。







杢材の円卓の製作 その2

2016年11月04日 | 木工
秋だなー





工房のすぐ横に植えられている冬桜。






カエル池にも柿の葉っぱが積もっています。







最近やたら工房の庭に繁茂する草。
チカラシバかな?
相当な剛毛です。
鹿も食べないから増えるのだと思います。








さて円卓の続き。





漆を下塗りした後、代用金を目止めとして木地に刷り込みます。

金属の光沢と粉っぽさが両方あります。



漆を塗る、金属粉を刷り込む、という作業を三回ほど繰り返していきます。

その後、漆を10回ほど塗り続けて仕上げました。






金属が下地に入っているのでやや黄色がかった色味に仕上がりました。

我ながら恐ろしいほどの光沢仕上がり。





こんな風に木目に金が入りました。




組み立てにはとっても気を遣いました。







納品にお伺いし、お客様のお部屋で写真を撮らせていただきました。