ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

杢材の円卓の制作 その1

2016年10月21日 | 木工
木の大好きなお客様からタモの杢材をお預かりしました。




テーブルを作った残材だそうです。

耳付きの板を四角に切った残りなので断面が三角形です。








この丸太の皮に近いところが一番木目がいいんです。





この託された材で何ができるかが課題です。


お客様と相談し、ガラスの天板の円卓を作ることにしました。






これが図面です。








材を吟味して、何とか角材をとりました。

といっても耳の部分が残ってしまってます。

これも計算の内。削り込んで無くなる予定です。







さらなる残材です。

木目が良いので、どんな小さなものも捨てるわけにはいきません。








仕口を加工しました。







真ん中のぶっちがいの仕口です。

お互いに半分ずつ分け合って切り込みを入れます。

大きく面を取りたいので留め(45度)の部分を作りました。







組んだらこんな感じ。







補強に角木(すみぎ)を付けるのですが、ただ糊で貼るだけでは芸がないのでちゃんと穴を開け、





角木側にもホゾを付けます。





なにしろこの辺はガラスの天板を通して眺めるところなので手が抜けません。







足はかなり細く削り込みました。

こうしないと取り切れなかった耳が残ってしまうということもありまして。







部材の加工が終わりました。

漆を塗るのでよーく磨いておきます。

部品のまま塗り進めます。

その方が綺麗に上がります。組むのには気を遣いますけど。







今回はお客様のたってのご希望で国産の漆を塗ります。

代用金を木目に入れて木目を強調した塗りに仕上げます。


買ったロットが違いますが、中国産の漆の18倍します、日本産。








漆は空気中の水分を得て乾くので、室の壁を噴霧器で濡らして湿度を保ちます。








一回目の漆を塗りました。

一度塗るだけでも木目が急にはっきりします。

すごい杢です。



どう仕上がるか、作っていてもワクワクします。







譜面台の制作

2016年10月19日 | 木工
製材した材が届いたり、あらたな仕事のための材料取りをするために積んである材をいじったりしたので、何日か外での仕事をしました。

雨が多くてなかなか仕事がはかどりません。






フォークリフトが今はあるのでこのように積み上げられます。

でも私のフォークリフトは骨董品級なのでエンジンがかかりにくくて機嫌を取るのに苦労します。





外にいると生き物が目に入ります。




???

なにこの虫は?

かなり変虫ですが、特徴を観察するにクモではないかと。

オナガグモというクモのようです。

まんまです。








メスのカマキリのそばにオスのカマキリ虫がいました。

がんばれ!

でもみてたら離れて行ってしまった。







外仕事の合間に少しずつ、譜面台を作っていました。





木取りをして厚みを揃えました。
材はサクラです。






これは譜面が乗る盤です。






盤が首を振るための仕組みです。

ノブを差し込む反対側に「鬼目ナット」というメスのネジが埋め込んであります。

材が薄いので壊れないように気を使います。






この小さい部材が盤にホゾで付きます。








その小さい首ふりのための部材を付けるホゾはクサビを打って抜けないように堅牢に付けます。







盤に譜面を乗せる溝のような「受け」を接着します。







その「受け」に譜面を抑えるための棒を付ける仕組みです。






木に穴を開けてそこに直接ネジを入れただけですと使っているうちにネジ山が穴の内側を削ってしまします。
それを防ぐために金属の筒を入れておきます。

ちょうどよいものが売っててよかった。








これは外側の支柱です。

これを磨いて仕上げます。







盤を支える柱に刻みを入れて、筒状に作った外側の支柱に開けた穴に棒を差し込むことで高さを調節します。








支柱の底に刻みを入れて足が付く溝を作ります。






組むとこんな感じ。

直角ではなく、ちょっと角度を寝かしてあります。






くどくど書いてしまいましたが、できたものを見て頂ければ何を作っていたかがお分かりいただけますね。









譜面を乗せればこんな感じ。






この棒を抜いて高さを調節します。






このノブで角度を調節します。





小品ですが手のかかった物になりました。

面倒くさかったけれど、作っていて面白かったです。