ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

ウォールナットの小椅子~材干し~菜園~雹

2014年05月28日 | 木工
ウォールナットで小椅子を作りました。




上野テレビ(通称うってれ)という地元のケーブルテレビのカメラマンが一週間ほど工房に来て、
この椅子の制作過程を一部始終撮影していきました。
自分が撮られているせいか、自分で写真を撮ることに思いが及ばす、
作っている途中の写真がありません。あしからず。

しかし、カメラの前で説明しながら工作をするということの面はゆさよ。
上手くしゃべれないし。
編集ができたらYOUTUBEにも上げるから、とカメラマンは言っているが、どうしたものやら。




このウゥールナットという木、出来たものを見ると風格があって、
作った自分でもすこし腕が上がったのではと思ってしまうようなできばえです。



ウォールナットが人気があるのがわかります。




やっと製材した板を干し終えました。





私はフォークリフトを持っていないので、この仕事は重労働、大変です。

仲間からリフトをお借りしようかとも思いましたが、今回は人力で頑張りました。
置いてあった材を使うとだんだん隙間ができます。
そこにえっちらおっちらとまだずっしり重い板を運び、桟を入れながら積み上げていきます。

7つほど材の山を作りました。

これが家具になるのは2,3年後です。





山に越してきて20年ほどですが、ほとんど初めて菜園を作りました。

工房の建物の前にほんのわずかです。



田舎に住んでいるのなら、畑はやらないのか、とよく人に言われました。
実は最初の頃ちょっとだけ、野菜の苗を買ってきて工房の庭先に植えてみたことがあります。
もちろんそんなことで収穫があるはずありません。
仕事にかまけているうちに雑草の中に埋もれてどこかにまぎれてしまいました。

今回は開き直って、ちゃんと地面を掘り返し、土と肥料を買い、説明書を読んでそれらを配合し種を撒きました。




バジル、ルッコラ、コリアンダー、左から。

順調に育って、うれしい。



農業は最大の人類の発明だとも言います。
畑とは自然とは全く違うものだと、この手のひらほどの菜園を作ってつくづく思いました。
私の身の回りはほぼ自然そのものの山ですが、春先の山菜などを除けば、その中にはほとんど食べられるものはありません。
もしこの山から採れる物だけを食べて生きていけということになったら、これは困難なことです。
食べられる植物を見つけ、それを改良し、その植物が育つ畑という環境を作り管理するということは
ものすごい英知であり、テクニックであり、コストと手間暇がかかることなんだなと身に染みて感じます。


私の仕事の素材である木材をどのように人の使う器物に加工していくかという方法も、
人間が長い年月をかけて確立してきたのだと思います。
様々な樹種の中から用途にあった木を見つけ出し、
しかるべき時期に伐採し、製材し、乾燥させる。
それを木の性質に逆らわず製品に加工する。
私がしているやり方は、動力が電気になったり糊や塗料が化学的なものになってはいても、
何百年もあまり変わっていないのだろうなあ、などと、
日差しの暑い中、板を運びながら考えていたのですが、、、


夕方になって雷雨が来そうなので野外の作業は切り上げました。




あやしい空だなあと写真を撮ったりしてたら、
レースのカーテンを引くように驟雨が来ました。



そして大嵐になって、雹が降り始めました。






雹はそれほど珍しくはありませんが、こんな激しい雹は初めてでした。

強風とともに親指ほどもある雹が30分ほども降り続きました。





地面が白くなるほど、雹がたまっています。





もちろん、私のかわいい菜園も壊滅状態です。






農家の被害も心配です。
ただでさえ、今年は大雪の被害があったのに、、、



今は暗くなり、被害の様子はわかりません。

サクラの座卓の制作

2014年05月17日 | 木工
サクラ材でかわいい座卓を作りました。




長さが120cm、幅が70cmくらい。
デザインはお客様と相談してお作りしました。



丸い足、天板は小判型。




足を作ります。



角に加工してほぞ穴を掘ってのち、旋盤で丸く加工します。




回して刃物を当てれば、




このような形に。
幕板が付く面は強度のために重要な部分なので残してあります。





これに幕板を組んでからのち、外側を手加工で丸く仕上げます。
丸い形だと圧着する力が逃げて組みにくいという理由もあって、
組んでから足を丸める方が合理的な作り方になります。


天板は4メートルの長さの板を三つに切って作りましたので、色も木目も揃っています。
この辺りの板は丸太で一番きれいな木目がでるところだよ。

サクラは硬くて導管がないので平滑な天板ができます。
特に書き物、勉強には向いていると思います。






同じお宅にペーパーコードの椅子もお納めしました。
材はクルミとクリで、同じデザインです。
左がクリ、右がクルミ。





今回、メーカーのサイトを見つけたので、ペーパーコードをそこから買ってみました。
そのメーカーでは色つきの物があるようなので、見本も取り寄せてみました。





右はいつもの生成り、左は黒です。





この黒で座面を編んだらどんな感じか、当ててみました。
商品で使うのは見本で編んでみてからにします。





こんな色があります。
白、生成り、青、緑、赤、セピア、そして黒。(色の名前は私流です。)

こんな色で座面を編んだ椅子が欲しい方はご連絡くださいませ。




お知らせ。

三月にお納めしたトンカツ屋さんのブログに作った椅子のことを書いていただきました。

かつ吉 菩提樹ブログ

木の座のロッキングチェアー

2014年05月15日 | 木工
カエル池のその後。




先に産まれた卵が孵ってオタマジャクシになった後に、また産卵があったようです。
その卵隗に、先に産まれたオタマが群がっていました。
どうも食べているようです。
一週間ほどでその卵隗はなくなってしまいました。
遅いタイミングで産卵すると、その卵は生き残れないということです。
今年は大雪でタイミングを逃した個体がいたのだとは思いますが、自然界は厳しいです。
樹上の水たまりでオタマジャクシを養うヤドクガエルは、母親が餌として卵を産んであたえるといいますし。
気のせいでしょうか、今年のオタマジャクシは成長が早いかも。







製材した板が来てしまった。
積んで干さなきゃ!
しかし忙しくてできない。困った。重いし。







さて、10脚ほどの椅子がやっとできそうです。
ちっと時間がかかりすぎですね。



板の間がいっぱいになりました。


今回はいくつか工程に工夫をしてみました。

今までは、例えば磨きなら磨きをまとめてして、組み立ては組み立てでまとめてしていました。
今回は3脚くらいを磨いて、組み立てて、といったように進めてみました。
この方法の利点はいくつかあります。
まず、飽きにくい。同じ工程を何度か繰り返すので、作業の流れをつかみやすい。
そして組み立てに使うクランプなどの道具が足りなくならない、など。



もう一点の工夫。
今まで枠を組み立ててから仕込んでいた木の座面を枠を組む時に入れてみました。




枠を組んでしまうと、曲がった肘かけの柱が邪魔で、座面を入れるのがなかなか面倒でした。
では今までなぜ先に入れなかったかというと、寸法をきちんと出すことに自信がなかったから。
出来た物に実物を入れる方が間違いはありませんから。
しかし、これもちゃんと寸法を追って作ればいいだけのことで、やってみればそうたいしたことではありませんでした。





もちろん、座繰りも加工しておきます。




座繰りについて、思うことを少々。

お尻とか、背もたれのフィット感は、曲率が大事だと思っています。
座面のカーブとお尻や背中が合えば良いわけです。
座面をうっすらと掘って、縁だけ皿状になっているようなものを見ますが、それではかっこだけです。
しかしあまり深すぎる座繰りも、座る人の自由度を邪魔するので問題です。
中心に峰がある座繰りもかっこうはいいですが、お尻に痛いです。私はやめました。



出来たもの。




左がロッキングチェアー、右は普通のダイニングチェアー。
ロッキングチェアーは弓状の背もたれの部材が幅広で、座面の部材も厚いものを使っています。
これはもちろん見た目をゴージャスにするためなのですが、座面が厚いのは深く座繰りをするためです。
ロッキングチェアーは安楽椅子で、ゆったり座るものだからです。
逆にダイニングチェアーはあえて座面を薄く作っています。
それはなるべく軽くするためです。
ロッキングは持って運ぶような使い方はしないはずですが、ダイニングは座るたびに引いたり動かしたりします。
軽く作らないと奥様方に叱られます。





せっかくですので、ペーパーコードのものと並べてみました。
座面以外は同じ形です。
しかし座高を同じにする必要があるので木の座面が乗る分、枠を下げて作ってあります。
ペーパーコードの座枠は下に弓なりになっていますが、木の座の枠の方は上に弓なりに削ってあります。






こちらは両肘と片肘のセットのもの。
ご夫婦のご注文です。






材をさがして

2014年05月01日 | 木工
ソメイヨシノは散りましたが、山里は花盛りです。




通勤路の山吹です。





工房の隣の畑に咲く、これはヤマナシでしょうか。





工房の建物に絡まるアケビ。







池にもいつの間にやらオタマジャクシがひしめいています。
オタマが孵ると池の水がきれいになるような気がします。






秩父の製材所に材をさがしに行きました。
さがしているのは(栃)トチです。お客様の指定の材なのですが、手元に在庫がありません。

提示された板は厚すぎました。
それは製材機で挽きなおしてもらえばいいことです。製材所なので。
少々染みがあるのが気になりましたが、決めて製材してもらいました。






製材すると、中はさらに染みがあることがわかりました。





こんな感じです。
う~む。


板を見て購入を決めていますので、思ったようなものでなくても返品ができません。


この染みは菌糸が入ってできた物です。
実は、このような菌糸が入ってできた模様は一部ではとても珍重されています。
面白い模様だということで、キャビネットの扉の鏡板に使われたりします。
なので一概にこの仕入が失敗だったとはいえないのですが、、、
今回の仕事にははたして使えるのでしょうか。
お客様と相談です。


この製材所で、秋に買った丸太の製材もお願いしてあります。
丸太を検分して厚さなどの製材方法を指定し、あとはお任せすることにします。
製材は丸太が用材に変わる劇的な瞬間に立ち会うとても楽しい作業なのですが、
工房での作業も立て込んでいるので今回はお任せすることとしました。




クルミとクリの丸太です。
会津から来ました。
この量でで製材は2日間くらいで終わるそうです。









で、いま制作中なのは椅子10脚、6種類の混成ロット。
基本的には似たような形ですが、座面のタイプ、肘掛の高さ、ロッキングチェアなど、
少しずつ仕様の違う椅子を一緒に作っています。
あたまがこんがらがります。
間違えないように気をつけよう。