ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

椅子作り いろいろ

2012年12月31日 | 木工
12月27日、雪が積もりました。




飛んでくる風花とは違い、積もるときにはだんだんと雲が厚くなり、
そのうち静かに降り始め、そして積もる雪になります。



朝。
7cm位の積雪。
あまり積もらなくてよかった。雪かきが大変。
子供は大喜びで雪遊びへ。




獣の足跡が点々と。狐か狸か。




このくらいの雪なら構わず自転車通勤。
マウンテンバイクの方が雪にはつよかったなあ。




さて、年内最後の仕事はテーブルセット。

かなりタイトな工期で、あまりまとまったご報告ができません。
とりとめのない話になりますが、、、




背もたれの接着。

接着面を圧着するために、クランプが掛かる部分を作って木取りをしています。
内側の方は写真のような特殊なクランプでないと押さえられません。
外側に使っているよな普通のF型クランプだとハンドルが干渉してしまうから。




実際に切る線はこの通り。
目打ちで穴を開ける印をつけてます。




この椅子を設計した時の実寸大図面が出てきました。
15年以上前のでしょうか。




注文がまとまって、今回は12台ほどまとめてのロットです。




背もたれ両翼の上下にも部材をサンドイッチします。




それをバンドソーで切って形を作っていきます。
バンドソーの定盤を傾斜させて切っています。




切ったものがこれ。前は傾斜、後ろは直角です。




加工が済んだものと加工前のものとを並べてみました。
見に来た人が「捨てる方が多い」とおっしゃいました。そのとおり、ごめんなさい。




とりあえず、4脚先行仕上げになります。
こうして並べておくと、雛鳥が餌をねだっているように見えます。




座繰り作業です。
加工したものと、加工前のものとの比較です。
どこか前の方の記事で座繰りの作業はのせたはずなので割愛。






前回の記事で作っていた仏壇の完成した写真です。












観音扉の仕込み

2012年12月16日 | 木工
寒い日が続きますね。




朝、車の窓に霜が付いています。





こちらは車のボディーの霜。
もちろん同じ車なのですが、同じ条件下でこうも結晶の形が違うのはなぜなのでしょうか?





忙しく作業をすすめていて、途中の写真などを撮り忘れてしまいましたが、
制作中の家具がほぼできてきました。
桑材の仏壇です。



この桑材は丸太で購入して製材にも立ち会い、自分で桟積みなどして手塩にかけた材です。
群馬県の妙義町の産と購入した業者さんが言っていました。
自分で伐採からする人なので間違いないでしょう。
直径が80cmくらいあったかもしれません。まれにみる大きな桑でした。
製材屋と相談してまず半割にし、水槽に漬けてあくを抜き、
その後半年ほど置いてから製材しました。

いい丸太だったとはいえ、挽いてみるとやはり傷も出て、
幅が30~40cmほどの無傷の板がやっと4~5枚取れました。

3年ほど前に、その板を使って半分ほど使ってサイドボードを作りました。
残念ながら、まだ売れずにあります。

そして今回の仏壇に使い、ほぼ使い切りました。
実際、材が足りるか、木取りの際にはドキドキでした。




これが扉になります。
下は2枚の観音扉、上は4枚の折れ戸です。




蝶番は平蝶番と呼ばれるものです。
「ちょうつがい」と呼ぶのは、は蝶の形をした金物をペアで使うからなのでしょうか。
そう思うとかわいい名前かも。
その蝶番を付ける凹みを掘ります。




掘ったところ。
本当は扉と本体と両方に凹みを掘り、蝶番の軸が中心に来るようにするのが良い仕事らしいが、
そこまでやったことはまだないです。
本体の方を掘りこむのはちょっと大変そうです。




扉を付けました。

このスタイルは「インセット」呼ばれます。
本体の箱の内側に扉が入っている様式です。
これを平蝶番で付けるのはけっこう厄介なんです。
まず扉が開け閉めできる範囲内でぴったりできていること。
そして蝶番を付けるのが大変。
木ネジで付けるので、うまく位置が決まらなのです。

インセットに対していわゆる被せの扉が「アウトセット」で、
箱の前に扉が付くので寸法なども鷹揚に作れるし、
蝶番も微調整が可能なスライド蝶番を使えば、仕込みの苦労は激減です。
どちらがいいということはないし、どちらも作ります。
でも、このような家具には、私はインセットにこだわりたい。




これが上の扉。




このように開きます。
中に作りかけの壇があります。


そもそも仏壇のある家に育っていないので、使い勝手がよく分からないです。
お客様にきいて作っています。







ツマミを決めるのに、過去に作ったもののサンプルを出してみました。
ずいぶんいろいろ作ったものだと我ながらちょっと感心。




今回はこれ。




ろくろで作ります。




上の扉の枠が細いので、小さいツマミも必要です。
小さくて機械にくわえにくいのでこのように棒から作りました。
お尻とお尻が付いた状態で作ります。




面白い形なので、記念撮影。
これを切り離して、仕上げます。




出来たもの。





蝶番などを付けてみて調整を終えた後、全て外してオイルを塗ります。



8点鐘。

仕事を終えて工房を出ると、山の上の空にオリオン座がのぼっています。
凍結を避けるため、元栓を止め、水道管の水を払って帰宅。
今年はよく星が見えます。

椅子の組み立て

2012年12月06日 | 木工
今朝、地面がうっすらと白くなっていた。夜雪が降ったのでしょうか。
今年は本当に雪が早い。困る。


8時ごろには晴れ間が出て、珍しく虹が出ました。










椅子の組み立てが終わりました。
木の座面のものばかり、4脚です。






後ろ脚と背もたれを組んだ時の写真です。少し前の写真ですけど。



組み立てで、クランプをかけて圧着する時の基本は「まっすぐに」です。
曲がったものや、ななめでは力が逃げてうまくくっつきません。
上の写真の場合、背もたれが弓なりになっているので、
圧力をかけるとしなってしまい、付くとこが付かず、最後には破損してしまいます。
それを避けるために、左右を締めているクランプと背もたれにもクランプを掛けて、
力がまっすぐに伝わるような工夫をしてあります。
あー、説明しにくい、、、






座刳りの写真。
今回の材はミズナラです。かなり硬くて大変です。
鉋をずっとかけていると指と木が擦れていつの間にか出血してたりするので軍手をしてやります。






この椅子の場合、肘掛を付ける前に座面を入れなくては組みたてられません。
座面を入れる前に座面の周辺を塗っておきます。
あとから塗れないこともないのですが、この方が塗り残しや拭き残しの心配が減ります。






肘掛の組みつけの写真。
長年の試行錯誤の結晶のノウハウが詰まっているので、詳しい説明は省きましょう。









出来た。
お子さんの勉強用の椅子。
普通のダイニングチェアよりは背もたれを立ち気味にし、勉強の緊張感を持たせています。
1脚の注文でしたが、2脚作って見本に。





こちらはダイニングチェア。
両肘はご主人用、片肘はご婦人用。

ところで、この椅子、かっこよく見えませんか?
いえ、自画自賛でなく。

実はこの椅子は座面高が450mmあります。
つまり足長です。
足が長いので、いつもの椅子よりかっこよく見えます。
普通は座面高は400mmから420mmほどです。
むしろ最近は350mm位のものも作ります。
その方がゆったり使えるという方もいます。
この椅子のご注文主はかなり大柄な方と聞いています。


北欧の椅子などでは座面高が450mmくらいのものが多いです。
しかし多くの日本人には高すぎるはず。靴も脱いで使うことが多いですしね。
椅子を室内で使う人は、お店でも靴を脱いで試してください。
そしてなるべく体格に合ったものを。
かっこだけでは椅子をお選びにならないように。




猟期が始まって、シカ肉をいただきました。
刺身でいただきました。ごちそう様です。




初雪

2012年12月02日 | 日記
初雪が降りました。

こんなに早い雪は20年来初めて。
昨日スタッドレスタイヤに替えておいてよかった。車にはほとんど乗らないものの。



朝は晴れていた。

11時ごろから山に白いものがかかってきたな、と見ていたら風と共にミゾレが降ってきた。




私のいる上野村は群馬県でも実は一番南に位置しています。
群馬の山に住んでいると話すと、さぞかし雪が深いんでしょうと言われることがありますが、
それほど雪には悩まされません。
春先に関東平野で雪が降るのと同じように降ります。


しかし時々気流の気まぐれなのか、長野の天気になったりします。
そんな時には積もるようなことはありません。
そんな雪を、みなさん「はあて」と呼んでいます。
実家のある前橋あたりでは「風花」といってたかな。




今日の雪も一時間ほどでやんで、また晴れました。


真っ白に吹き荒れる中、トンビが七羽も群れて飛んでいるのが見えました。
輪を描いて。
きっと雪の中を飛ぶのが楽しかったのでしょう。



先日仕上げた物が、どうしても気に入らなくて、
今日は一日、それを作り直すことをしました。

材に染みがありながら、代わりの材がなかなか無くて、作ってしまったのですが、
どうしてもやはり気に入らず、夜寝ていても気になって、
とうとう作り直す気になりました。
一等良い材を使って、きれいなものに仕上がりました。


年末の納期の追い込みに追われる中、一日分ロスしてしまいましたが、
気持ちは晴れ晴れです。胸張って納品に行けます。

尊敬する先輩の木工家もご自身のウェブサイトで同じようなことを書いていたな。