ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

ショウケースの制作

2015年03月20日 | 木工
機械を使わないような静かな作業をしていると、蛙の声が聞こえました。




工房の窓からも蛙が産卵に来る池が見えます。

蛙が鳴いているときは産卵の時なので、何匹ものオスが池でメスを待ちかまえ、取り合いの蛙合戦になります。
しきりに水面からぴょんぴょんと跳んで争っているのがわかります。


ふと、鳴いていないなあと思って見やると、カラスが一羽岸辺に来ていました。
カラスを警戒して蛙たちは水底の泥に身を隠しているはずです。


カラスは水でも飲みに来たのでしょうか?
それとも蛙を食べに来たのでしょうか?



カラスはサギのように静止して獲物を狙うようなことはできません。
常にきょときょと動いています。
水に入るのも嫌いなようです。

そんなカラスには蛙は獲れないのではないかと思いました。



しばらく見ていると、カラスは意を決して池に入っていきます。

そしてぱっと飛び上がって水面に飛び降りると、隠れていた蛙を捉えました。

蛙を咥えるとカラスはすぐに陸に戻り、蛙を八つ裂きにして食べ始めました。




そのうちにもう一羽カラスが飛来しました。番でしょうか。

食べ終えたカラスは嘴をしごいて掃除し、飛び去りました。








カラスはサギのように獲物を丸呑みにはしないようです。
細かく刻んでから食べていました。
巣材や食べ物を運ぶ時は必ず嘴です。
逆に、鷹などの猛禽類はものを運ぶのは足を使い、嘴を使うことはないようです。







ショウケースを作りました。


神戸の西洋骨董品を扱う方からのご依頼です。
お店もお訪ねしましたが、とても品のよいものを扱う素敵なお店で、作るのにも気合が入ります。





このように枠に板が入るような構造です。
板は合板で嵌め殺しです。

このお仕事はお客様の支給のペンキを塗る仕上げです。
普段私が作っている自然の木目を生かす仕事とはだいぶ違います。
ペンキを塗るのですから、合板の方がよいのです。
合板を使うということは、基本的に木の伸び縮みを考慮しなくていいということです。
制作上のセオリーもだいぶ異なります。






この素材はランバーコアという合板です。
無垢の芯材をベニヤで挟んだ構造で、厚さは21mm。
これに前だけ無垢の化粧を張って使います。






このように組んでますが、実は無垢の木ではありえない構造です。

無垢でこれをやったら、木が動いたときにバラバラになって壊れてしまいす。





木地はできました。







これが支給された塗料です。こんな色です。
既製品ではなく、調合してもらったものらしいです。
これを二回塗りました。






塗りあげ、照明器具を付け、ガラスと鏡を仕込みました。
取っ手などはお客様が付けるとのことで、付けずにお届けします。



わたしの普段の仕事にはない華やかさがありますね。
木はきれいな素材だと思いますが、色味は地味ですから。

どんな商品がはいるのでしょうか。楽しみです。



さすがに納品には行けないので、この製品もまた運送屋にお願いしてお届けすることになります。



学習机の制作

2015年03月04日 | 木工
2月末のこと、

1日工房を空けて帰ってみると、材木にかけてあるトタンの屋根が派手にすっ飛んでいました。






乾燥中の板は桟を入れて屋根をかけて庭に干しています。
屋根は一応縛ってあるので、そう簡単には飛びません。
台風くらいでは平気なはずなんですが、こんなにトタン屋根が飛んでしまったことはありませんでした。
写真の屋根は縛りつけてあった何十キロもある材木をひっくり返していました。


ダウンバーストでも起きたのでしょうか?
なにせいなかったので、状況がわかりません。

仕方なく、半日かけて現状に戻し、より念入りに縛っておきました。





3月4日、朝起きたら5cmほどの積雪がありました。





朝日が当たるとすごい勢いで融けて消えた雪でした。







さて、学習机を作って納品しました。



ご入学前の今頃の季節商品とも言えますが、たまたまです。

ご注文を頂いたのは去年の春ですし、お客様は今度もう3年生になる元気な男の子です。







部材の加工が終わって、例のごとく記念撮影。

甲板の下に薄い引出が付くタイプです。
このような型はなかなか複雑な構造になるため、ご覧のようにいろんな仕口を作る必要があります。







このほぞは引出を上下で挟む部材と前足が付く部分です。






甲板を付ける前の写真です。

引出がのるレール、甲板と幕板を止める駒などが見えます。








小ぶりの椅子とキャスター付きの引出がセットになります。






甲板はサクラの良材です。
導管がないサクラはつるつるで、学習机に最適です。

奥に以前お納めしたクルミのキャビネットが写っています。