ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

ライティングチェストの制作 その1

2013年02月26日 | 木工
確定申告の相談のため商工会へ行ったついでに、そばの川和神社を訪ねました。



大きな杉があります。
村の集落に生えている木の中では一番大きな木なのではないでしょうか。
自転車と比べてください。
ここには素晴らしいしだれ桜もあり、春にはきれいに咲きます。


まだ寒いけど、鳥たちがそわそわしているのがわかる。
春はもうすぐ。



かなり複雑な箱物家具を作っています。


「ライティングチェスト」は私の造語です。
ライティングビューローとチェストのくっついたような家具です。
蓋を開けると物書きの机になります。
そのほかは扉や引き出しの付いた戸棚のようなものです。

今回のものは、お客様が私の作風をよく研究した上で、はっきりとしたプランを提示して頂いて作っています。





ガラスの引き違い、木の引き違い扉、机になる蓋、
ショウケースになるアクリルの裏板、引き出しなどを作るので、
細かい構造が絡み合います。
場当たり的に作っていけばどこかで破綻が出ます。
気になるところは全て原寸大の図面を描いてチェック。
案の定、いろんなものがせめぎ合う部位ではミリ単位の寸法の取り合いがありました。






上はガラスの引き違いの溝(下側)、下は木の扉の引き違い戸の溝(上側)。
上下の溝の間にホゾ(ドミノ)の穴を開けます。
ガラスの引き違いの溝は硬いサクラ材を埋めて溝が減らないようにしてあります。↓







天板だけは鏡板を枠をで囲んだ構造にしてあります。
ガラスの扉の上側の溝と、アクリル板が入る溝が掘ってあります。










これは蓋の中に仕込む鏡の動作模型です。
蓋の中に鏡があるのですが、その鏡は天井に収納されていて、使うときは前に出てくるという仕掛け。
向かって左が人が座る側です。
鏡の木枠にピンを付け、そのピンが溝に沿ってスライドして鏡が出てくる仕組み。
この模型で動作を確認して、実際の制作に入ります。
わかりづらいですね。
実物が出来たらまた載せます。







仕上げは手鉋で。
機械を使って厚さをそろえた板には機械の刃物の跡が残ります。
ドラムにセットした刃が回転運動をして機械は木を削るので、きれいな肌にはなりません。
それをよく研いだ鉋で削って仕上げてきれいな面を作ります。

鉋で広い板を仕上げるのは、実は結構むずかしいんです。
鉋を調整し、狂いたがる板のご機嫌をとりながらの作業です。





仕上げの鉋をかけるときは何枚かの鉋を研いでおき、切れなくなったら次の鉋に取り換えてゆきます。
今回の家具は2本セットのものですが、4枚の鉋を2回研いで鉋かけは終わりました。




ほぼ半日の作業で出た鉋屑。
この仕事をするようになって、二の腕が太くなったかも。







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都内に納品

2013年02月20日 | 木工
雪が降るのは春が近いから。




雪が木に積もって枝にくっついてそのまま凍った。
まるで花が咲いたように見える。
風が吹くと、氷がぱらぱら落ちてきて痛い。





壊れた雨どいから落ちてくる滴でこんな形のつららができてた。





道路に降った雪に滑り止めの砂を撒く。それが汚くなるけど、油絵のようなテクスチャにも見える。


冬なので寒々しい写真ばかり。
でもみな何日か前のものです。




二度続けて都内に納品の旅。


いつも工房にこもって仕事をしてばかりなので、納品は旅に行くようなのつもり。
失礼ながら、お客様のところに訪ねに行く旅のようなつもり。
遠くの、知らない土地だと楽しくなる。

都内に行くのは嫌いではない。仲間にはとても都内には車では行けない、という人もいる。
この仕事を始めて、だいぶ道を覚えました。
でも学生の時は電車だったから、電車の路線図と上手く合致しなくて困惑はする。
もちろん渋滞は嫌い。


山に住むようになってから日の浅い頃、
都内の友人に会いに行って山に帰ってくるととても変な気持になったことを思い出す。
きらびやかで、文字通り明るい街で遊んだあと、
3時間ほど車を運転すると真っ暗な山家に着く。
この3時間でタイムスリップをするような感覚だった。
たった数時間でこんなに違う世界があるということが不思議だった。
今でもそうだけど、まあ慣れた。




納品したキャビネット、前側。
上の扉と下の扉の間にTVが入ります。
右側は本立て。





後ろ側。


一番大きな躯体はH1800mm×W840×D400。
ベランダから吊り上げて2階への搬入。
なかなか大変だった。
まだまだ修行が足りないぞ。








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両面使いのキャビネット

2013年02月13日 | 木工
また雪が降りました。




朝の工房に向かう道。
左側は人、右は動物の足跡。

寝るときにはまだ星が出ていたのに。起きたら積もっていた。空ももう晴れていた。
とても軽い雪。10センチくらい積もった。
ご近所が雪かきをしていたのであわてて私もする。




お昼過ぎには融けてしまった。
淡い雪。




両側から使うキャビネットの制作中。






片側は
・TV台
・雑誌置き
・食器棚、ガラスの引違扉と木の鏡板の引違扉
・引き出し
・棚




(ピンボケ失礼)


裏側は
・掃除機入れの観音開き扉
・タオル掛け
・棚

というもの。
複雑で、作るのが面白い。



でもその複雑さ故、間違えて加工してしまうの恐れがあるので、
全ての部材の付くところや溝などを、一度鉛筆で板に書いて確認してから加工に入りました。
普段はそこまでしません。






久しぶりに和式の作業台「あて板」を出す。
躯体が大きいので、立って使う洋式の作業台の上に載せて鉋がかけられないから。
この「あて板」は20年くらいは使っている。
サクラ材です。長さも1.8mあります。
さらに洋式の作業台は長さが2.5mあります。
どちらもかなりの重さです。





これは雑誌を置くところ。
すこし斜めになっています。

テレビのケーブルを通す穴が開いています。






こんな治具を使ってほぞ穴を加工しました。

L字の部材が付く鉛筆の印が見えます。



これから扉や引き出しを作ります。








おまけ。

やっと撮れた。

川面に立つアオサギ。
首をすくめています。寒いのかな?

彼らは本当に目が良くて、警戒心が強い。
木の陰から撮ったけど、この後気づかれて、すぐに飛んで逃げてしまった。

木の上に営巣し、夜中にも鳴きながら飛ぶ。












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神社の結婚式

2013年02月11日 | 日記
お昼になって工房から家に帰る途中、普段は静かな神社の前を通ると人だかりがある。



石段の下から見上げると、どうも結婚式のようだ。
よく見るの新郎は去年越してきて消防団に入った人だった。

自転車のスタンドを立てて、のこのこ覗いてみることに。






参列者は20~30人くらいでしょうか?知った人の顔もある。
近所の人はみな普段着のまま集まっている。

聞けば、現在の宮司さんになって、ここで結婚式を挙げるのは初めてとのこと。




そのうち、新郎新婦が菓子を撒きはじめた。





参列者は歓声を上げて楽しく菓子を取り合う。
わたしもちょっといただく。
干し芋も投げていて、これは当たるとちょっと痛い。




幸せのおすそ分け。


天気も穏やかで、とても素敵な結婚式に出会えてよかった。









おまけ。

やっと撮れたカワガラス。






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ベッド・家具の納品

2013年02月10日 | 木工
二段ベッド、そのほかの家具を納品に行きました。



火曜日。

翌日に雪の予報が出ていたので製品を積み込むことにする。
かなりの量になるので、何からどのように積めばよいのかよく考えてからかかる。
平らになるものは下に。段を作ってしまうと上に物が載せづらくなる。
傷つけないようにすることが第一。

かなりの量の工具も持ってゆくので、それをどこに載せるかも考えて考えて。




水曜日。

幸いに、雪は5センチほど積もって雨になり、昼過ぎには止んだ。
工具類を積む。

現場での組み立てがあるので、クランプを何十本と持ってゆく。
丸鋸、電気ドリル、ドミノ、トリマーなどの電動工具。
鉋、鑿、鋸、スケール、玄能などの手道具。
糊、養生シート、テープ、などの副資材。
金具、ネジ、ドミノチップ、細かい部材。

どうやって作業を進めるのか、頭の中で何度もシュミレーションして、
持ってゆくものに漏れがないか考える。
なにか予定外の作業があった時に必要なものは何かも考え積み込む。どうせ車で運ぶんだから。

何しろ工房を離れて作業することが怖い。


こんなにハイエースに積んだことはない、くらいの荷物になる。



木曜日。

5時に起きて出発。
前日に雪のち雨で、路面がツルツルかと思いきや、山道も凍っておらず、まことに安堵。
10時前に現場に到着。
お客様にご挨拶して、打ち合わせをして搬入開始。
ひとりで行ったので、お客様にもお手伝いいただいての作業。


まず廊下や階段を養生する。

今回の現場は一階と三階。
それぞれの部屋に部材を運び込み、クランプや工具も運ぶ。
ベッドの部材は大きいので、階段では運べず窓から吊り上げることになるかもという杞憂があったが、
階段で上げられることがわかって安心する。
組み立てて圧着して一晩置くので、クランプはそれぞれに必要な分を配置。
そのほかの工具はもちろん一組だけ。
工具が必要になるたび一階と三階を上り下りする。


二つのお部屋にそれぞれ二段ベッドと机・本棚のユニットを組み立てる作業がはじまります。


机は一面の壁を埋めるもので、現場で寸法を測って仕込む段取り。
お部屋を測って、少し長めに作ってあったものを切る。
壁と床の間にある幅木の分を掻き込んだり、寸法の最終調整に鉋をかけたり、
間柱を探して金具を付けたり。
正直、このような作業はあまり得意ではない。建築のことが勉強不足なので。


いろいろすることがあって、組み立てができるように準備ができたのが夜8時ごろ。


ここでちょっと、全体の組み立て工程の話。

ベッドは部屋で組み立てるともう出すことはできない。
もちろん中で組まなくてはならない。
部屋は広くはない、上下2段を平らに置いて組み立てるのにやっとの程。
さらに机は脚を付ける組み立てがあり、これも同じ室内で組まなくてはならない。
机はと何とか廊下には出すことができる大きさ。


組み立て工程は、

まずベッドを上下2段分をそれぞれ組み立てる。
そのベッドの上で机に脚を付ける組み立てをする。
ここで一晩置く。
翌日、まず机を廊下に出す。出さないとベッドが組めないから。
そしてベッドの上下を組み立てる。
ベッドを部屋の隅に寄せて、机をまた部屋に戻して机のユニットを組む。


これはまるでパズルだ!パズルや知恵の輪が好きでよかった。
パズルの本は経費に認められるべきだ。仕事の役に立ってるから(笑)。



さて、予定していた組み立て作業が終わったのは夜中の11時前。

食事をして宿にたどり着いてお風呂に入ってばたんキュー。




金曜日。

都会のカラスに起こされ、9時には現場に出勤。

クランプを外し、工具やその他もう使わないものを片づけて、最後の組み立てに備える。
ここでちょっとしたミスが発覚。
ベッドの上下の組み立ては、横倒しにして組んでから90度転がすつもりなのだが、
組み立てて置いておく位置が左右反対だった。位置を入れ替えねばならない。(眠かったからなー)
簡単にたとえて言うなら、靴箱の中で左右反対の靴を直すような感じ。
これはすぐに解決。それぞれのベッドを縦長に立てて、位置を入れ替えて、また寝かすだけ。
ベッドが部屋で縦に立つ大きさでよかった。

ベッドを横倒しに置いて梯子を付ける。
ベッドを起こす時に上下が外れると危険なので、お客様にお願いして助っ人を頼んだ。
陽気な青年がやってきてくれて、楽しく作業が進む。
ベッドの組み立てが無事終り、すのこや収納引き出しを付けてベッドは終了。(祝)

机を廊下から部屋に戻し、本棚も運び込む。
机・本棚のユニットの仕込みは前日に済んでいたので、それほど時間も掛からず終了。

工具やいろいろ片づけ、車に積む。簡単に掃除をする。


5時。終わった。




いろいろお手伝いして頂いたお客様、本当にありがとうございました!
本来なら業者である私が全てしなくてはならないのですが。

ここまで字だけブログを読んでくださった方、ありがとうございます。
作業中の写真はありません。そんな余裕はなかった。
出来たものの写真だけ。↓















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