木を食う虫は木工屋の天敵です。
蜂が巣を作っていた穴は明らかにカミキリムシの開けた穴です。木工屋的には害虫カミキリムシは大まかに二種類あるといえます。それは生木を食う奴と「死んだ」木を食う奴です。
生木を食ったか、切られた木を食ったかは見た目ですぐ分かります。生木の方は穴が大きく、私の小指がスポスポ入るくらいで穴の色も黒い。これは明らかに木が生きていて、動物で言う生体反応があるからだと思います。虫にかじられた時に木が生きていて樹液がそこに染み出たから穴が黒いのではないかという、これは本当に調べたわけではなく、私の単なる勘です。この穴が困るのは、木目や木の組織などに無関係に縦横無尽に虫が食べ散らかすので材が台無しになることです。材木関係者では「テッポウ」と呼ばれています。私は今まで材木を扱っていて、この虫の生きている幼虫に出くわしたことは一度もありません。
木が切られてから、あるいは枯れてから付くカミキリムシももちろんいて、上記の虫とは明らかに種類が違います。こちらの虫は木が伐採されて樹としての命が終わった後にやってきて卵を生みます。卵は皮に産むようなので、卵を産まれないように、取れる皮ははがすのですが、上手く取れない皮もありますし、荒皮はとっても薄皮が残っていれば虫が入ってしまうこともあります。かと思うと全く虫が付かないこともあります。その原因は木を切った時期やその後の管理など、条件はいくつか考えられます。幼虫はしばらくは皮を食べ、やがてシラタ(辺材)に入り、場合によっては赤味(芯材)まで食べ進みます。せめてシラタで止まっていてくれればいいのに、赤味まで虫食いになると材としては使い道がなくなります。
こんな幼虫です。かなりのアップ。ちょっとウマソウな気もします。飢饉になったら食べてみようと思います。
この虫が入った板はカリカリと虫が木をかじる音が聞こえることがあります。硬い木をかじることのできるこの虫の口は一体どんなしくみなのでしょうか?その研究でトンネル工事にでも応用できる技術でも開発できそうです。食べ物の中で暮らす気分はどんなものでしょう。ギネスブックには世界一長生きの虫として、何十年も木のなかにいた幼虫が載っています。切っも切っても虫のつけたトンネルが取りきれないと、がっかりとなります。不覚にも虫に気づかず製品を納めてしまい、お客様に「虫が出たよー」といわれることもあります。無垢の家具がお好きな方は虫のことでそんなにお叱りになる方は少ないのが救いです。農薬もあるそうですが、あまり使いたくありません。
カミキリ類で虫が出る、ということはすなわち成虫が羽化したということです。その穴に蜂が巣を作るわけです。やっと話がつながりました。
カミキリムシが開けた穴を蜂が利用するということに、連綿とした自然の営みを感じずにはいられません。穴に巣をつくる蜂もいろいろいるはずです。だいぶ前、草刈機のエンジンがどうしてもかからず修理に出したところ、不調の原因は蜂がマフラーに巣を作ったせいだということがありました。先日も久しぶりにエアガンを使ったところ、筒先から黄色いものが噴出しました。やはり蜂が巣を作っていたようです。
これからしばらくするとシリアゲコバチという蜂もやってきます。変わった姿の蜂で、木に産卵管を刺し、他の幼虫に寄生する蜂です。長い産卵管を持った蜂も寄生する虫を探してよく集まります。私が見かけるだけでもいろんな虫が木を利用しています。借り入れまでして私が買った木を食べる虫は憎いですが、自然の輪の中にある素材としては当たり前のこととして受け止めるしかないという思いがあります。虫に食べられ、腐っていつか土に還るから木はいいのだとも思います。でも、大事な材をなるべく虫に食べられないように戦う日々は続きます。
蜂が巣を作っていた穴は明らかにカミキリムシの開けた穴です。木工屋的には害虫カミキリムシは大まかに二種類あるといえます。それは生木を食う奴と「死んだ」木を食う奴です。
生木を食ったか、切られた木を食ったかは見た目ですぐ分かります。生木の方は穴が大きく、私の小指がスポスポ入るくらいで穴の色も黒い。これは明らかに木が生きていて、動物で言う生体反応があるからだと思います。虫にかじられた時に木が生きていて樹液がそこに染み出たから穴が黒いのではないかという、これは本当に調べたわけではなく、私の単なる勘です。この穴が困るのは、木目や木の組織などに無関係に縦横無尽に虫が食べ散らかすので材が台無しになることです。材木関係者では「テッポウ」と呼ばれています。私は今まで材木を扱っていて、この虫の生きている幼虫に出くわしたことは一度もありません。
木が切られてから、あるいは枯れてから付くカミキリムシももちろんいて、上記の虫とは明らかに種類が違います。こちらの虫は木が伐採されて樹としての命が終わった後にやってきて卵を生みます。卵は皮に産むようなので、卵を産まれないように、取れる皮ははがすのですが、上手く取れない皮もありますし、荒皮はとっても薄皮が残っていれば虫が入ってしまうこともあります。かと思うと全く虫が付かないこともあります。その原因は木を切った時期やその後の管理など、条件はいくつか考えられます。幼虫はしばらくは皮を食べ、やがてシラタ(辺材)に入り、場合によっては赤味(芯材)まで食べ進みます。せめてシラタで止まっていてくれればいいのに、赤味まで虫食いになると材としては使い道がなくなります。
こんな幼虫です。かなりのアップ。ちょっとウマソウな気もします。飢饉になったら食べてみようと思います。
この虫が入った板はカリカリと虫が木をかじる音が聞こえることがあります。硬い木をかじることのできるこの虫の口は一体どんなしくみなのでしょうか?その研究でトンネル工事にでも応用できる技術でも開発できそうです。食べ物の中で暮らす気分はどんなものでしょう。ギネスブックには世界一長生きの虫として、何十年も木のなかにいた幼虫が載っています。切っも切っても虫のつけたトンネルが取りきれないと、がっかりとなります。不覚にも虫に気づかず製品を納めてしまい、お客様に「虫が出たよー」といわれることもあります。無垢の家具がお好きな方は虫のことでそんなにお叱りになる方は少ないのが救いです。農薬もあるそうですが、あまり使いたくありません。
カミキリ類で虫が出る、ということはすなわち成虫が羽化したということです。その穴に蜂が巣を作るわけです。やっと話がつながりました。
カミキリムシが開けた穴を蜂が利用するということに、連綿とした自然の営みを感じずにはいられません。穴に巣をつくる蜂もいろいろいるはずです。だいぶ前、草刈機のエンジンがどうしてもかからず修理に出したところ、不調の原因は蜂がマフラーに巣を作ったせいだということがありました。先日も久しぶりにエアガンを使ったところ、筒先から黄色いものが噴出しました。やはり蜂が巣を作っていたようです。
これからしばらくするとシリアゲコバチという蜂もやってきます。変わった姿の蜂で、木に産卵管を刺し、他の幼虫に寄生する蜂です。長い産卵管を持った蜂も寄生する虫を探してよく集まります。私が見かけるだけでもいろんな虫が木を利用しています。借り入れまでして私が買った木を食べる虫は憎いですが、自然の輪の中にある素材としては当たり前のこととして受け止めるしかないという思いがあります。虫に食べられ、腐っていつか土に還るから木はいいのだとも思います。でも、大事な材をなるべく虫に食べられないように戦う日々は続きます。