ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

材木の桟干しと新築のお宅の家具

2019年03月19日 | 木工
材を棧干ししました。




この材木、実は昨年の年末に製材して届けてもらっていました。

しかし、ずっと新築のお店と新築の個人のお宅のお仕事に掛かりっきりで干す作業ができませんでした。

やっと時間ができて積めました。



木は製材した後、ベタで重ねておくとすぐにカビや菌が生えてきます。

ただ今回のケースは真冬でしたので、放置してあってもなんとか大丈夫でした。





いつ製材したか忘れますので日付を書いておきます。

乾いて使えるようになるのは2,3年先です。





さてその新築のお宅の家具の写真を載せます。

納品施工の時はあまりに忙しく写真を撮ることもままならなかったのですが、「宿題」があったので再度お伺いして撮ってきました。







これはベッド、杉材。

下が収納引き出しになっています。引っ越しのさなかにお伺いしたのでこんな状態。

枠の下に引き出しを仕込むのは経験がなく作るのを躊躇したのですがお客様のご要望ですのでいろいろ構造を考えて作りました。

ベッド本体は専用の金具で組み立て、ヘッドボードと引き出しも別ユニットで現場組み。

特に引き出しの取っ手のデザインは試作を重ねて作りました。






こちらは洗面所の収納。材はシュリサクラ。

高さが2mあります。

戸口の枠より家具が高く廊下も狭かったので搬入は意外と大変でした。

新築ですと下見ができないのでこういうのは盲点ですね。









リビングにある収納戸棚と引き出しです。

材は杉の銘木です。大変な銘木です。元受けになる斎藤桐材店さんの支給。

取手は私の作。


この側板や天板は大工さんが据えたもので、これに扉や引き出しを仕込むという、これまた経験のない工作でした。

よく知られたことで、悪口と取られては困るのですが、大工さんの作るものは家具に求められる精度がありません。

家のような大きなものを作るのですからミリ単位のことは無理なのです。

今回の物も三つある開口部はみな寸法が違い、奥と手前でまた違ったりしました。

いろいろ気を遣いましたがうまくいったと思います。







一番の大物、食器棚です。間口が270cmあります。

表面材はシュリサクラ、構造材にパインの集成材を使っています。

取手はお客様が仕様感にこだわって探したもので、イケヤのものです。


パインの集成材は今回初めて使いました。420×50cmという大きな板で買えます。

あまり反ったりせず、ある種の合板などに比べて強度があり、場合によっては無垢材の様に剥いだりもできるのでなかなか重宝なものだと思いました。







手前にアイランドキッチンがあるので全景が写りません。

これは下の部分。

天板に付いているのは炊飯器の台で、前後にスライドします。





こちらが上の部分。

上部の木の鏡板の扉の上三分の一はダミーで、斜めになっている天井を隠しています。



正味一月でこれだけの家具を一人で作りました。

さすがにちょっとオーバーワークでした。







気が付けば、工房の池のカエルの卵もいつの間にやらオタマジャクシに孵ってました。