ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

ハイストゥールの制作

2013年11月27日 | 木工
ハイストゥールを作りました。




今日は完成した写真から。
すっかり枯れ野ですね。

座面高61㎝、全高約80㎝ですので、足載せが付きます。







こちらは一緒に作った普通の高さの椅子です。
足載せから下がないもの。








出来た部材を並べて写真を撮りました。
座面と背もたれはありませんけど。







後ろ脚と貫の接合する仕口です。
足の太さは3cmほどしかありません。
ここが強度の要なので、二枚ほぞを使います。







これは前足間をつなぐ貫と、後ろ脚につながる貫の接合部です。
同じ二枚ほぞでも形が違います。
二つの穴が木の繊維に並行した穴を掘る必要があるので違う形になるのです。






これは前足と後ろ脚を直接つなぐ細い貫を差すほぞ穴を掘っている写真です。
ハイストゥールは足が長く強度が不足しがちなので、この部材がどうしても必要です。
後ろ脚に対して前足の方が幅が広いので、この部材は斜めに付くことになります。
上から見ると台形になります。
そのため、斜めのほぞ穴を掘る必要があります。
写真中央の四角い金属が穴を掘る刃物で、
穴が掘られる角材を斜めに保持して加工するような治具を作りました。
刃物が加工材に対してやや斜めになっているのがお分かりになるでしょうか?









秋深し。いやもう冬か。
工房の庭の山際に柿が生っています。
もいで干し柿にしてみたいのですが、樹高が10mほどもあるのでとても収穫できません。







柿の木の下に池があります。獣のヌタバになっているようです。

ぐんまウッドクラフト展 IN桐生市有鄰館

2013年11月19日 | 木工
桐生市有鄰館での催事が始まりました。
今年最後の展示会です。




搬入の朝。自宅の前。
日の出ですが、7時です。そんなに早くはありません。






車のフロントガラスが凍っていました。
まだスタッドレスに替えてないんですけど。
路面が凍っていてスリップしないか心配です。
桐生まで2時間半かかります。








有鄰館の外観です。



古いものは天保年間の建物もあるらしい。
周りにも歴史的な建物が数多く残っています。



桐生市は私が育った前橋市からそう遠くはないものの、それほど行ったことがない町でした。
保育所の頃に桐生ヶ丘公園に遠足に来ました。
それはそれは楽しみにして来た覚えがあります。
今の子供がディズニーに行けるくらいウキウキしてました。

高校生の時に、スケートに来ました。
町を歩いていると織機の音がカシャカシャ響いていたのを覚えています。

山に住み始めたころ、一人で「七人の侍・完全版」を観に来ました。
随分遠いところだと思いました。
映画も長かった。

「桐生は日本の機どころ」だったですが、今は織機の音はあまりしないようです。
映画館も無いようです。
スケート場もなくなったようです。










家具を並べました。



建物は「煉瓦倉」「塩倉」「酒倉」などと呼ばれています。
とても雰囲気がありますが、今の時期ではちょっと寒いです。





会期の初日、「エビス講」の日にかち合いました。
有鄰館のすぐそばの神社の、商売の神様のお祭りだそうです。




熊手を売っています。
この熊手でお金をかき集めることができるとのことです。
エビス講になると寒くなる、と町の人が言っていました。


その神社の上が桐生ヶ丘公園です。
無料で入れる動物園、遊園地です。




このアジアゾウは昭和30年生(推定)。58歳。女の子。
私が6歳くらいの時に会った象さんがまだ元気なわけです。


(遊んでないで店番しろよ!)

いろいろ出来ています。

2013年11月14日 | 木工
初霜が降りました。




朝、窓が凍って開きません。






工房の庭の桑の木の葉がいっぺんに散ってしまいました。






神社の銀杏の葉も一夜の間に落ちてしまいました。


落ち葉も、落ちてすぐの物でないときれいではありません。
一日経つと縮れてしまうし色も褪せてしまいます。





この葉っぱも昨日はもっときれいだったのですけど。






さて、仕事に興が乗って、いろいろ出来ています。




これは前回のブログで書いていた引き出しです。
材はお客様がお持ちになったサクラ。きれいな板でしたね。
ツマミはウォールナット。引き出しの中は桐。







これはずいぶん前から作っていた座鏡台。
材は上野村のシオジ。とても美しい杢板です。漆塗り。





慳貪扉(けんどんとびら)のツマミは「櫂」の形です。





鏡の柱の幕板は「波千鳥」。
波に見立てた木目の板を選び、千鳥の形を切り抜きであしらいました。








これは小引き出し。
材は上野村のシオジの杢板。
周りの板は木目が繋がっています。
引き出しの前板も一枚の板から切っているので木目が繋がっています。




こんな美麗な杢板!








これは本棚。二段に積んで2.4mほどの高さになります。








高い棚から本が降ってこないように「手すり」が付きます。
手すりはご覧のような部品で付いて、取り外しができるようになっています。










これは、、、?
ステンドグラスを使った作品の習作です。
蝶番も木で作りました。
埴輪足(笑)。






開けるとこんな感じ。
厨子ですかね、これは。
高さは60cmくらい。







こんな葉っぱ型のステンドグラスを作ってみました。
ステンドグラスを作っている方のところにお邪魔して作らせていただいたものです。
二枚の板の間にこのガラスを挟みます。






ガラスより少し小さく窓穴を切り取って、その内側にガラスが入るための溝を掘ります。






この溝を掘るのはノミを使って手作業で。






嵌めてみました。
上手くいきました。
ステンドグラスは光を透過しないと本来の色が出ないので、
家具の中に小さなLEDライトを仕込もうと考えています。

木工品はどうしても色が地味になるので、
こんな感じでガラスを差し色に使って、なにか変ったものができればいいなあと考えています。





TVボード、引き出しの制作

2013年11月07日 | 木工
秋深まる。




雨が降ると木々がしっとり濡れて、山がより色濃く見えます。






工房の上に広がる山も色づきました。










これはノブドウ。
色とりどりの実の色がすてき。






これはツタ。
こんな実が成るんだ。






これは紅葉した桑。









ウォールナットのTVボードができました。



なるほど、ウォールナットの家具が人気があるのもわかります。
とても立派な雰囲気があります。








こんな面取りができました。







裏板も無垢板です。




このように外して配線ができるようになっています。






引き出しにはソフトクローズ機能を持つレールを使用しています。
お客様からのご指定でした。
このような金物のレールを付けるのには気を使います。
引き出しと本体との隙間が指定された寸法でないとうまく作動しないからです。
中はCDが3列に入るようになっています。
側板、底板にもクルミの無垢材を使っています。
ツマミはお客様が探してこられたものです。


そういえば、最近はすっかり合板を使わなくなりました。
以前は見えなくなる裏板や、引き出しの底板に合板を使うことはありました。
木で薄くて広い板を作るのは難しいのです。
合板を使用した方が作りやすいし、丈夫な場合もあります。


ではなぜ使わなくなったのか?
いくつか理由があります。

第一の理由は、以前合板を買っていた業者が配達料を取るようになったから。
私のいるところは僻地山村で、確かに配達は業者さんにとっても負担です。
そんなわけで、配達料金をけちるあまり、合板を買うのが面倒臭くなってしまいました。

そしてもう一つの理由。
自宅で使っている食器棚は裏板と棚板に合板を使っています。
無垢の仕事は部材としての板を作るのが大変なので、
棚板くらい合板を使ってみようと思い、作った食器棚です。
ところが、
これが匂うんです。
合板に使われている接着剤の匂いでしょうか?
扉を閉め切っているせいもあるのでしょうが、その匂いが食器にまで移って、
使用頻度の少ない食器に付いた匂いはなかなか取れず、食べ物飲み物の香りまで侵します。
これはあまり好ましくはありません。

そんなことから、合板を使わなくなってしまいました。
結果、家具の見映えも良くなってしまいました。これは結構。

合板の代わりには、家具本体を作る物と同じ材を何枚にか割いて薄い板を作り、
これをフローリングの様に寄せて裏板や底板を作っています。





さて、これは今作っている引き出しです。




材はサクラ。
お客様が材木を持ち込んでのご依頼です。
おとなしいいい木でした。







晴れ間をぬって、年賀状に使う写真を撮りにいきました。



これはボツにした写真。
山村の自然の美しさと、自分の家具を一緒に入れ込みたかったのですが。
なかなか良い写真は撮れないです。








冬桜ももう咲いていました。

ベッド~TVボードの制作

2013年11月01日 | 木工
ミズナラのテーブルができて納品しました。




テーブルの材はミズナラですが、椅子の材はクリです。
椅子は両肘、右肘、左肘、肘なしの4脚です。




床もミズナラのフローリングですね。






テーブルの足はこのように天板の角を向いて放射状についています。






さて、今はベッドとTVボードを作っています。




これはいわばベッドの「骨」です。
これに「皮」を架装してベッドになります。
材はチェリー。





ベッドは2m以上の大きさになりますので、搬入の都合上組み立て式になります。
これは組み立て式ベッド用の金具です。





長い部材なので、「超仕上げ盤」という機械で表面を仕上げました。
この機械はつまり、でっかい鉋です。
写真はその機械で出た鉋屑です。
鉋が下側にあり、上にゴムのローラーがあって部材をすごい力で押しつけて送り、
広い表面を一気に鉋掛けしてしまう機械です。
こんな広い鉋屑はさすがに手鉋では出せません。

見習いの頃もこの機械が研修施設にありましたが、先生に使わせてもらえませんでした。
それはもちろん、こんな機械を使ったら修業にならないからです。
手鉋を覚えないと機械のセッティングそのものができないからだといわれていました。
つまり、どのようにすれば木が刃物によって切れてゆくのかが理解できなければ仕事はできないということなのです。
この機械を買ったのは、結局独立して10年くらいたってからです。
なんでも削れるわけではありません。幅の狭い板だけです。






ベッドがほぼできたところで、TVボードにも着手。
こちらの材はウォールナットで。




天板にこんな面取りをします。
これはちょっと面倒。
ルータービットを駆使し、この複雑な面取りに挑みます。
図面で工程の検討をしてから加工に入ります。
足りない刃物は買い足しました。





まずはこの刃物。
削れた面が、一段下がった紐面の高さになります。





板をひっくり返して、次はこのビット。
去年の夏に買って使いましたが、またこれを使うことがあるとは思わなかったです。
刃が大きくて使うのがコワイ。
もちろん一度にこんな大きな面は取れません。
少しずつ刃を出しながら加工を進めていきました。





板を立てて、最後にこのビット。
このビットは先が丸くなっています。






鉋で細部の面取りをしてサンドペーパーを掛けます。
まだ未完成ですが、だいたい図面通りなものができました。