ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

いろんな木取~山の秋

2014年10月30日 | 木工
秋の山村を楽しんでおります。








雨が降ると山の色合いが深まります。
桜の老木の向こうに私の工房があります。






工房の裏に生えているクルミの木の葉も黄色くなりました。







これはハゼの木。この辺の方言では「オッカド」といいます。







これは蔦。







ノブドウの実。
トルコ石のような、ラピスラズリのような色がお気に入り。







拾った栗をしばらくほっておいたらば、中から虫が次々と出てきます。
クリシギゾウムシの幼虫でしょうか。
栗を食べてただけに、栗を裏ごししたようなおいしそうな色をしています。

雨カッパのポケットに入れたまま忘れていた栗の実に気が付いて見てみたら、
ポケットの中に7匹の幼虫がいました。
一つの実から7匹です。







さて、今年いっぱいの仕事の木取をしました。



晴れの日を待って作業をします。





製材して3年ほど経つこの板の山を検分して材を選びます。






出してみると、思っていたような良い材ではありません。
残念です。
本当に、木材の仕入れは難しいです。
借入して丸太を買い、製材に立ち会い、重い思いをして桟を入れて干し、屋根をかけ、
返済をしながら何年も乾くのを待ちます。

しかしその板は虫食い、腐り、割れ、節などの欠点があり、家具にはならなところも多いのです。


でもいつも思うのですが、木も家具になるために育ったわけではなく、
その不満は人間のエゴなんだろうと思います。
頑張るしかないです。









三日ほどかけて、何とか必要な材は取れました。






無駄のないように気を配っているつもりですが、このような端材はだいぶ出ます。




手がける順の逆に板を部屋の隅に積み上げ、端材を片づけ、掃除をして木取の作業は終わりです。

本棚の納品

2014年10月22日 | 木工
本棚を納品してきました。


不覚にも、仕事で使っているハイエースに一回では載らないことが制作中に判明し、
二回に分けての納品となりました。






こちらが一回目に納品した壁一面の本棚。
材はサクラ。
二回目の納品にお伺いしたら少し本を入れ始めておられました。


この本棚を作るのにあたり、お部屋にお伺いして採寸をしました。
天井までマイナス1cmのぎりぎりのものを作ります。
間口、高さがともにが約240cmあります。
もちろんそんな大きなものは一体では作ることも搬入もできないので、5つの箱に分けて作りました。
下見の時に搬入が可能なのかも確認してあります。




さて、搬入して組み始めてみると、いろいろなことが起きました。

下の箱を置いて、いざ上の箱を乗せようとすると、
箱を持ち上げる先の天井に照明器具があり、真正面からは積み上げられないことがわかりました。
なにしろ天井ぎりぎりの1cmしか余裕がないので、天井に当るまで持ち上げてから水平に差し込まないと上の箱が入らないのです。
そういえば、この照明器具は下見の時にはなかったねー、と施主さんと顔を見合わせて苦笑い。

天井をよく眺めて、何も支障物のないこあたりで持ち上げ、こうずらしてこう差し込む、と、
パズルを解くように上の箱を入れる方法を考えて何とか設置できました。


しかし1cmあるはずの余裕が5mmしかありません。
採寸の間違いか、作った物の精度の問題か?

とりあえずほぼぴったりと本棚は収まり、結果オーライではあります。
上下左右の箱はネジで固着し、棚は天井ぴったりですので地震で揺れても本棚が倒れることはまずありません。
でも本は落ちますね。






三日空けて、お部屋の反対側の本棚+机を納品に伺いました。





この机は長さが1.8mあり、それに対してマンションのエレベーターは奥行が1.5mしかありません。
机を立ててエレベーターに乗せるような搬入になりました。



こちらも机の上の本棚は天井ぴったりです。


この棚をどう付けるか、しばらく悩みました。
L字の金具で横から止めるか、しかしそれでは金具が見えて野暮です。
机の甲板の下からネジで止めるか、いやそれは机の脚があるので不可能。

その答えは搬入前々日に、入浴中にひらめきました。


答えは実に簡単で、机を部屋の真ん中に置き、そこで棚をダボで組み、そのまま壁際に押し込む、というものです。

この机が置かれる方の天井は梁が通っていて、壁際だけ天井が低くなっています。
ですので天井の高いところでならば棚をダボで組むことができるのです。
この方法ならすっきりと棚が組めます。やれやれ。




ということで二日にわたった納品は無事終わりました。

サクラ材の本棚の制作

2014年10月16日 | 木工
台風が過ぎて、秋が深まりました。




サクラの老木の葉っぱもかろうじて残っています。





どうどどどどおう。栗の実も落ちている。
通勤の時に拾うのが楽しみ。





工房の庭のヨウシュヤマゴボウ。
この紫色はなかなか得難い。おいしそうだけど食べられない。






引出を納品しました。




お客様に手伝っていただいて苦労して二階のお部屋に収めました。





サイドテーブルも。
ベッドも私のお作りしたものです。








作り付けの本棚を作っています。
お部屋の壁二面を覆うような大きなものです。






材を買いました。サクラです。秋田県から来ました。
27mm厚の板が約1立米、45mmが約0.5立米。
27mmの方はすべて使っても結局足りず、手持ちのものを追加してなんとか間に合わせることになりました。






板を検分しながら、作るもの+アルファの大きさに切り、それを接着して板を作っていきます。






この板を作る作業が、無垢材を使う木工仕事では大きなウェイトを占めます。
届いた材を見定めながら切り、狂いを取り、板を剥ぎ、厚さをそろえ、幅を決め、長さを切る。
出た端材をストーブに入る長さに切って束ね、おが屑を掃除する。
この作業にほぼ一週間かかりました。






耳や割れなどを切って捨てますので、端材が山のように出ます。
端材は冬場の薪になります。
これからの季節は端材もうれしい。






板の表面を「超仕上げ盤」という機械で削ります。
いわば、でかいカンナです。
こんな幅の広いカンナくずは人の手では出せませんね。






組み立てが始まります。

本棚は扉も引出もないので、家具としては見せ場がありません。
ただの箱のようなものです。
見た目が地味なので、制作期間途中にブログを書く気がしません。
でもこのような家具はやたら材を使うし、意外と手間なものです。






ただの板だったものが箱になり、やたら空間を占拠し始めます。
限られた工房の空間を片づけ、いろいろ工夫し、時には動かし、なんとかやりくり。






これは机。机の上にも棚が載ります。
切り込みは配線のための穴で、この穴がある方が壁につく辺です。






オイルを塗って一段落。
あとは棚板をつける金具をとり付けて、納品に行けば終わります。




しかし、作ってみると、自車のハイエースでは一度に乗らないことが、今さらながら判明。

お客様と相談して二回の納品となりました。









チェリー材の引出チェストの制作 その2

2014年10月01日 | 木工
だいぶ秋ですね~。




工房の庭のススキ。





チカラシバ。ごついネコジャラシだね。





ソメイヨシノ。いつもの年よりこの時期にしては葉が残っているような気がします。
秋が涼しかったからかな。









催事があったりして止まっていた引出の制作の続きをやっています。






組み立てです。
内側の部材を組んで圧着し、糊が乾いてから次を組みます。





天板と地板を組みます。





足を作ります。

右側の方が機械で加工をしたところ。
手道具やペーパーを使って左のように仕上げます。





足が付くほぞ穴はルーターで荒掘りします。





穴掘りの仕上げはノミで。
糊を付けてクランプで固定します。







糊が乾いたらひっくり返して本来の向きに置きました。
こんな足です。お客様の提案されたデザインです。








引出を作って仕込みました。
引出を作っているところは割愛。というか写真がない。

天板、底板、側板で囲まれた中に引出の前板が収まるようなデザインです。
引出を支える棚板や引出を左右に分ける束(つか)を前板で隠しています。





引出を出してみればこんな感じ。





このままではやや淡泊なので、引出の前板の4周にうっすらと面を取ります。





これはつまみ。お客様の提案されたデザインです。材はウォールナット。






つまみを付けて、オイルを塗ってやっと完成。





こちらは同時に作っていたベッドサイド用の引出です。
同じ部屋でお使いになるので、同じ材、同じデザインのもの。




やはり作り始めたとき感じたとおり、だいぶ予算を大きく外れたものになってしまいました。
予算ありきのお仕事にせよ、手を抜くわけにはいかないところが辛いところではあります。
そんなお仕事はできません。
しかしいろいろと勉強しなくてはならないことがあるとは思いました。










おまけ。

夜の帰り道にいたミヤマクワガタ。
いつみてもかっこいいね。