ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

ケヤキ玉杢の扉の制作

2012年07月31日 | 木工
通勤路の山百合が咲きましたね。



いつも、これが野生の花かと思うほど華やかなユリです。
一説には一年で一輪ずつ花が増えてゆくとか。
この株には花が七つ。
地元の皆さんにも大切にされています。




工房に入って来るオニヤンマ。大きなトンボです。何匹もやってきてブンブンうるさい。




消防団の練習の照明にやってきたのを拾ったミヤマクワガタ。
かっこいい!

かっこいいから写真をもう一枚。素晴らしい造形。かなわない。




オオムラサキも飛び始めました。写真は撮れず。




作りためた家具をみな納品して、工房が久しぶりに広くなりました。





お客様のお持ちのケヤキの杢板で扉を作る仕事をしました。
板の大きさは約70cm×100cm×2cm。それが3枚。
素晴らしい玉杢の板です。戦時中に伐られた木だそうです。

これは最初から手削り。幅が広くて機械には入らないし、とても貴重な材なので。
木の性がいいのでとても鉋のかけやすい木でした。




こんな木目です。





枠の面取りにはこんなクラシックな鉋を使います。
ネジを回してで面取りの大きさを変えられる鉋です。




こんな風に使います。




出来た面はこんな感じです。




組み立て前の写真。





出来たもの。
右の二枚は引き戸、左の二枚は観音扉。
枠と鏡板はどちらもケヤキなのですが、こんなに色が違います。
この扉は建物につくので、家具の本体のようなものはありません。
お宅にお伺いして取り付ける工事をします。







大きなテーブルの制作 その2

2012年07月22日 | 木工
なんとなく習慣的に、動物ネタを最初に。




毛の生えたでんでんむし、ケマイマイ。初めて見つけました。



今週は一日おきに出かける用事があって、作業はあまり進まず。




テーブルトップを作りながらも足も作ります。
あえてシンプルな四本足。足も長辺が2.2mもあります。
組み立てに使うクランプはポニーという銘柄のアメリカ製で、水道管に取り付けて使うものです。
2mの長さのものも持っているのですが、今回の組み立てには長さが足りません。
そういう時はやはり水道管のジョイント金具を使って延長して使います。


今回のテーブルはちょっと変わった塗装の注文でした。
蜜蝋と荏油の混合したものを塗ります。
市販されているオイルなどは、正直、何が入っているかはわかりません。
蜜蝋も荏油も食用になるもので、究極の自然塗料とでもいえるものでしょうか。




これが蜜蝋。今回使うものは熊本産。牛乳パックで固めたのは明らかだな。
常温ではなかなか硬いです。





こちらが荏油。乾性油です。見た目は普通の油です。





両者を電熱器にかけて溶かします。





溶けているものでも木にのせるとすぐに固まってしまいますので、
ヒートガンであぶりながら溶かして木にしみこませます。
最初は全体に配り、次によくしみこませ、最後に丹念にふき取ります。
今日が暑い日でなくてよかった。





これでだいたい仕上がり。足と甲板と両方で丸一日かかりました。





写真では分かりにくいですが、とてもきれいな木目のクルミです。



大きなテーブルの制作 その1

2012年07月13日 | 木工
工房周辺の生き物2種。



ルリボシカミキリ。
福岡ハカセで有名な虫。材木を食べる害虫?





マムシ。
夜帰る真っ暗な道の真ん中に寝そべる。青大将、ヤマカガシはよく見るけど、マムシは珍しい。
見つかると人が食べちゃうから少ないのかな?



さて、気を取り直して仕事。


ずっとお待たせしていた大作に取り掛かろう。




板を選定して、工房内に取り込み、立てかけて置いてあったテーブルの板。
長さはおよそ2.7m、幅は60cmほど、厚さは7cm、会津から来たクルミの板が2枚。
借り入れをして丸太を買い、何日も秩父の製材所に通って製材したり、
桟を入れて積んで屋根をかけて面倒を見た板で、思い入れが強いです。





とりあえず並べて、傷などを検分。


板の両側を切って、今度は狂いを見ます。
乾燥するときに、板は必ず狂います。
この狂いを取って平らにしないと鉋もかからないし、正確な加工もできません。
しかしこれだけの大きな板の狂いをとる機械は私の工房にはないので、
すべて手作業になります。
板の狂いを取るのは木工工作の基本(のハズ)。





この板はねじれています。
両端に定規を置いて透かして見ると、ねじれがわかります。





ねじれ、狂いを取るためのスミです。


これだけ大きいと動かすのもやっと。持ち上がりません。
加工が始まる前は、歩かせたり(モアイの様に)、引きずったりします。
ちょっと命の危険を感じます。
工程が進んでゆくと傷をつけられないのでまた大変になります。
重すぎて、普通に機械の加工にかからない。
一人だけの作業はこういう時につらい。





狂いを取る作業は電気カンナでどんどん削ります。
どのように狂っているのか、どこを削ればよいのか、よく見ながら作業を進めます。
けっこうイメージが必要。





やっとこさっとこ、板を接着して、テーブル板のもとになりました。


この時点で長さ2.7m、幅95cm、重さは知りません。一人じゃ持ち上がりません。

ここからはひたすら鉋かけの作業。ここまで2日くらいかな。

少し体がきしむ。











工房の黒猫

2012年07月11日 | 動物
工房で飼っていた猫が死にました。尻尾の長い黒猫でした。

今の場所を借りて機械をそろえて、工房を始めた年にこの場所で拾いました。
親に捨てられて、ガリガリに痩せた子猫でした。
年は18歳でした。
最近はすっかり衰えて、だんだんと弱ってゆくのが分かりました。
最後はお気に入りの場所で、眠るように死にました。

工房に来ていただいたお客様にもかわいがっていただきました。
近所の方たちにもかまっていただきました。

工房から山を見上げると、春に一番に咲く山桜の木があります。
その木の根元に弔いました。

ずっとこれからも私の仕事ぶりを見ていてくれるように。
桜が咲いたら想い出せるように。



山から下りるときに撮った写真です、

蛍とヒグラシ

2012年07月09日 | 日記
今日、ヒグラシが鳴き始めました。夏の訪れですね。

この何日か、蛍も飛び始めました。

8時くらいまで仕事をして自転車で帰るころ、川を見下ろすと何匹も光りながら飛んでいるのが見られます。
最初は目の前を飛んでいったので気が付きました。
蛍は見られる期間が短いようです。一週間か、10日間くらい。
しかもあまり遠くにもいかず、出る場所も年によって違うようです。
私の通勤路に出るのは珍しい。
今夜、家族で河原まで行って見てきましたが、ざっと20匹くらいは飛んでいました。
こんなに多く見られるのも初めてです。
はかなくて美しい。

その河原では林間学校のキャンプファイアーを夜ごとやってますが、彼らは蛍に気が付いたかな?

とても蛍の写真は撮れません。



ついでに細かい作業の話しなぞ。




これは丸い面をとる鉋です。





こんな風に鉋をかけます。師匠はこれでできる形状を「蛇腹」とか「カマボコ」などといってたっけ。



出来るものはこんなかんじのもの。




家具にするとこんな感じ。ものは前回アップした家具です。ただの平らな縁よりぐっといい感じになるでしょう?





今日最後にしたのは戸車付け。2cmの厚さの扉に17mmの戸車を仕込みます。
鉛筆で描いたように穴を掘ります。





掘ったものはこんな感じ。