ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

オイルフィニッシュ塗装

2012年11月29日 | 木工
もう冬になってしまったと認めざるをえない。

二晩ほど続けて氷点下5度ほどになったようです。
朝、窓が凍って開かない。


昨夜仕事から帰る頃には満月が煌々と地面を照らし、
葉の落ちた木々の影が縞模様をつくる道をひとり自転車で帰りました。

朝には月光が地面にへばりついたような霜が畑地を覆い、
陽光が当たると電線からは溶ける霜が滴となって落ちてきます。
家々の屋根からは湯気が上がります。
工房の庭を歩くと霜柱の感触がさくさく。



川には毎年この時期になるとカワガラスがやってきます。
雀くらいの大きさでこげ茶色の鳥。
留鳥だそうですが、夏には見たことがないです。
早瀬の石の上にいて、時々水に入って虫を取っている。
こんな冷たい川に浸かってよく平気なもんだといつも驚きます。
鷺もずっと水に入って立っている。なぜ凍傷にならないものか不思議。

鳥の写真は私には撮れません。







工房の庭の桑の木も葉が全部落ちました。





アザミのロゼッタ。
秋には私の胸ほどの高さで花を咲かせていたもの。




工房の壁を覆うアオツヅラフジの実






さて、来週納品の家具にオイルフィニッシュ塗装をしました。







これはお子さんの学習机です。これから塗るもので、仮組してある写真です。
引き出しにはキャスターが付いて、机の下に入ります。






組み立て式なので、塗るために分解します。






今回使うオイル。はじめて使う銘柄です。


このオイルは輸入代理店の社員さんから買ったものです。

ある日、製品を紹介したいので、工房に行ってもよいか、と電話が来ました。
いわゆる営業ですね。
このオイルは良い仕事をする木工仲間が使っているので知っていました。
電話をくれたのは若い女性で、言葉から関西の方とわかります。
暗くなってから、私の山奥の工房にやってきました。
さぞかし心細かったと思います。
山姥が出そうなとこですから。
聞けば大阪の本社から来て長野、群馬を回っているそうです。
車には初心者マークが付いています。
若い女性にほだされたわけでなく、製品に興味があったので一缶求めました。
しかし、若い新人女性をこんな遠くまで営業に出すものなのでしょうか。
私はそういうことに関しては世間知らずなので、わかりませんが。
もう会うことはないかもしれませんが、人生に負けるな、と応援したい。
木工屋仲間に悪いや奴はいないけれども、
あまりオイルをどんどん消費するような奴もいないんだよね。





甲版に半分塗って撮影。
塗る前は白っぽいですが、オイルを塗ることで濡れ色になりしっとりとした木の色が現れます。
木に十分オイルを吸わせてから、拭き取ります。
誰でもできる簡単な作業です。





部材をすべて塗り、乾くまで置いておきます。
一度塗りで仕上がり、と説明を受けましたが、
様子を見て必要ならば、軽く磨いて二回塗ります。
このオイルはちょっとテレピン油臭が強いかな。






次に進めている仕事は椅子です。

先日はペーパーコードの椅子をまとめてやりましたが、今度は木の座面の椅子4台。
材はミズナラ。ちょっと重い椅子になるよ。
同じモジュールを使いますが、2種類の椅子の混成工程になります。
部材の上にベニヤの型を置いてみました。





座面の高いもの(SH450)との注文なので、いつも使うベニヤの型に「下駄」をはかせて作ります。






こちらは先日仕上げた片肘ペーパーコードチェアです。


太田・今井酒造 ウッドクラフト展

2012年11月19日 | 木工
ウッドクラフト展 IN 太田・今井酒造の搬入日でした。




朝、車に乗ろうとしたら、フロントガラスに霜が。
普段車に乗らないのでちょっとあわてる。





東雲。
実はそんなに遅くない。もう7時です。 





2時間半かかって太田へ。

みなさん集まってミーティング。
慣れている仲間なので簡単な打ち合わせで搬入開始。





飾り付け前の酒蔵。
大きな琺瑯びきのカメが置いてある。
これらを奥の倉庫まで移動。
ほかにもいろいろ道具や置いてあるものを移動する。
原状復帰してお返しすることを考えるとちょっと頭が痛い。





照明を取り付けて、おおむね物を運び込んだとこ。
まだまだ飾り付けは終わらず。

そのほか案内看板などを設置。





私のブース。
たまにコンサートをするらしく、舞台がある。その上。
家具を見てもらうにはちょっと高い台。
この上で実演と称し座面張りの仕事をする予定。
しかしまだ椅子ができていないので、「実演」は23日から。





今井酒造さんは古い造り酒屋です。
こんな小道を通って会場の蔵へたどり着きます。


会期は11月20日~25日です。



群馬ウッドクラフト作家協会

今井酒造株式会社



椅子作りの治具

2012年11月17日 | 木工
霜が降りました。
いつもの年より遅いかな。









だんだん冬の風情。
工房の庭の向こうはずれにふるーい車が打ち捨てられています。
三菱のミニカでしょうか。





新羽神社の銀杏も葉を落とし始めています。




椅子を作っています。




帯鋸(バンドソー)という機械でアールを切ります。


上下に大きな輪車があり、その輪車に掛けた帯状の刃がぐるぐる回っているのが帯鋸。
細い刃を使えば曲線が切れます。
木工ミシン(スクロールソー)よりも厚い材が切れ、どんどん加工ができます。
切れ肌は荒いです。
私の家具の曲線はみなこの機械から生まれるといっていいでしょう。
へんな言い回しですが、好きな機械です。
直線から解放されて、曲線のある躍動する世界に誘ってくれる気がするから。

この機械は中古で大変安く買ったものです。でもその後のチューニングにはお金がかかっています。
刃がぶれないように支えている、ベアリングが付いているガイドはアメリカから買ったもの。
バンドソーのグレードアップの部品ばかり作っているCarter Productsという会社の製品。
そんな会社があるなんて、アメリカさんは奥が深い。





椅子の座面が前広がりの台形なので、ほぞにも角度が付いています。
この角度が付いたほぞを加工するために、角度を決めた治具を使います。

治具とは英語のjigの訳語で、加工を正確にする助けをする装置のことです。
要はそれに乗っけて加工するガイドのようなもの。
写真のものはフェンス側のクサビ状のものが治具で、
刃で切られるものが加工材になります。





加工が済んだものがこれ。角度の付いたほぞができています。
当然左右があります。





これは肘掛が付く凹みを加工する治具。





この機械(トリマー)でその凹みを掘ります。(ピンボケ失礼)
中央の刃が回って木を切ります。刃の外周にガイドがあります。
そのガイドが合板でできた治具に沿って動き凹みを加工します。





分かりにくいでしょうが、見れば一目瞭然。
治具を加工材に乗っけて機械を当てて切削すれば、





このように加工ができます。





その凹みの位置を決めるのには、ほぞ穴の墨を基準にしています。
治具の印と穴の墨を合わせるだけ。
単純な方法ですが、柔軟性があります。
椅子を作るときには毎回お客様と相談して肘掛の高さなどを決めます。
高さが変わってもこの治具の位置を変えるだけで済みます。
小さい工房ならではの細やかな注文に応じるための工夫です。




ほぞの穴の中もきれいにします。
当然見えなくなりますが、精度を出し、強度を高めるためのこだわりです。








仕口の加工が終わると、面取りや磨きなどして、部品の加工は終わります。
組み立てを待つ部材。
やれやれ。完成までもう少し。








秋深まる

2012年11月13日 | 日記
今年ほど秋に色彩を感じる年はない。

今期の紅葉が特に美しいのだろうか?

何か心境の変化なのでしょうか。







見慣れた自転車での通勤路。

木々の間から差す朝の光がしっとり濡れた路面に縞模様を描く。






人の打ち捨てた家の庭のモミジに透ける光。






峠越えのときに撮った深山の光景。






工房の庭のマムシ草の実。






やはり工房の野ばらの実。











落ち葉。





先日、「苔ってきれいだよね」いったら、家人に「じじむさ。」といわれてしまった。
そういうものに感銘を受けるようになったのは年のせい?






工房の庭の桑の木にキクラゲが生えている。
乾くと干からびてる。でも雨が降るとふっくら生き返る。
「木耳」とはよく言った、まさに木に生えた耳に見える。
きのこ図鑑で調べるとキクラゲには毒キノコはない。つまり食べられる。
しかし高いところにあって、手が届かない。
いつか採って食べてみよう。


仕事は定番のペーパーコードチェアを7台作っています。
近く一週間ほどの催事があるので、座面張りの実演をしながら接客できるようにという考えです。












工房の周りの木々

2012年11月09日 | 日記
工房の薪ストーブを燃やし始めました。




ノルウェーのヨツールというメーカーのものです。(F602)
この場所に工房を構えた冬に買ったのですから、18年使っています。
ちゃんとした薪ストーブ屋から買いました。
「若いのに(当時28歳くらいかな)いいもの買って、えらいねえ」と店主に褒められた覚えがあります。
結局いいものは長持ちしてお得。
一緒に買った煙突もしっかりしたステンレス製です。穴が開きません。
煙突もそのストーブ屋が自分のところで作っているものです。
年に一度くらい、煙突をばらして掃除します。
ストーブの中の鋳物の板と扉のガラスは悪くなって交換しました。
ちゃんとしたメーカーのものは何年たってもちゃんと部品が供給されます。




薪は仕事で出る端材です。よく乾いた広葉樹なので理想的な薪です。
これだけあれば一冬大丈夫、多分。




ストーブを燃すとどんどんお湯が沸きます。
そのお湯を持ち帰ってお昼にはウドンやパスタを茹でるのに使います。
節約節約。
夜は湯たんぽとして布団に入れます。
写真のペットボトルはもう何年も使えています。
ペットボトルも熱湯を入れるとふにゃふにゃになってしまうものがあります。
反対に何年も使えるような丈夫なものもあります。
穴が開いたら新しくします。










工房近くの社に大きな山桜があります。春には素晴らしい花が咲きます。
桜は春が早いせいか、落葉も早いです。
ちょっと社のある丘に登って桜の木を訪ねてみてみました。




後ろの方に工房の建物が写ってます。



立派な木です。皆さんに大切にされています。
直径が1mくらいはあるのでしょうか。
製材したらどんな板が取れるだろうとつい思ってしまうのは木工屋の浅ましさ。




工房の庭にも立派な桑の木があります。カエルが卵を産みに来る池の脇に生えています。
蚕を飼った時には葉っぱをもらいました。
直径は70cmくらいでしょうか。
桑でこんなに大きいものも珍しいはず。
最近は枝が張り出しすぎて、その重さで倒れてしまうのではないかとちょっと心配です。
夏には素敵なこかげができます。
この写真は夏に撮ったもの。草が青々してる。




工房の裏手の山際にも大きなクルミの木があります。
工房の周りにやたらクルミが生えてくるのはこの樹の実をリスが配っているんじゃないかと思ったりします。
この木も直径が80cm位はあります。

この写真の後ろにも工房の建物が写っています。

山里だからといって、そんなに大きな木がたくさん生えているわけではないんですけどね。