ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

丸太の製材

2015年07月29日 | 木工
山百合の季節です。




あちこちでゴージャスな花が咲いています。






通勤路に齧られたカボチャが落ちていました。

猿でしょうか、齧ったのは?


猿は畑のカボチャを小脇に抱えて逃げていくという話を聞きます。








冬に買った丸太の製材をやっと始めました。



頼んでいる製材所は車で40分ほど走った埼玉県の小鹿野町にあります。
朝早起きして通います。
製材に立ち会い、手伝います。






写真は製材する丸太の一部です。
直径は50cmほど、長さは2m少し。






丸太の木口、切り口です。
左はクリ、右はクルミです。

丸太を買うとき、この木口や皮の様子を観察して検討します。
もっとも、今回の仕入れは提示された丸太の山をまとめ買いなので、
どれがいい、これはいらん、などと選別はしていません。

丸太はすべて福島県の会津地方のもの。
樹種はクリとクルミ。

伐った時期は理想的な秋から冬。
直接仕入れて来た業者さんから聞いたので間違いはありません。
木口を見ても目の詰んだよい木だと思いました。









製材機です。

手前に見えるのが台車。
ここに丸太を乗せて鋼鉄の爪で咥え、大きな力強い帯鋸で板にスライスしていきます。






一日目の最高の丸太の製材風景です。
40~50cm幅の板が何枚も取れました。

なにしろ始まると忙しいので、本当は写真を撮る余裕がありません。




製材所の親父さんはもうすぐ80歳になる方ですが、現役です。
長年木を見てきた頼れる人です。

どう据えてどう鋸を入れればもっともよい板を取ることができるのかを瞬時に判断してくれます。
安全も大事です。
強大な力仕事である製材は危険も多いはず。






フォークリフトの操作も神業です。



今回の丸太は伐採して一年半が経っています。
皮に近い「シラタ」はだいぶ傷んできています。

親父さんの製材した感想は
「木もできているし、狂いも少ない。丸太が乾いている。」

もちろん丸太では木は乾きませんが、伐採したてよりも木がおとなしくなっているということでしょうか。

丸一日挽いて鋸刃を交換しなくてすんだことは珍しいようです。



挽いた中で、クリで三本ほど、クルミで一本、素晴らしい丸太があり、よい板が取れました。
満足です。疲れたけど。








一日後、丸太を売ってくれた業者さんが製材した板を工房まで運んでくれました。

まだまだ運びきれません。
製材もまだ三分の一ほどしか済んでいません。





これに桟を入れて干すことを考えると毎度少々憂鬱です。

でもやらないと!



ぐんまウッドクラフト展 2015

2015年07月16日 | 木工
群馬県ウッドクラフト作家協会の創立20周年記念催事が始まりました。


当協会の創立時に末席を汚し、気が付けば20年経っていることにまず驚きます。




設立は私が独立して2年めだったのでしょうか?

村の協会もまだなく、お付き合いする小売店などもなく、ほぼ孤立無援の私にとって、
県の協会は製品を発表・販売し、同業者との交流・情報交換をする場として大きな助けになりました。
この協会がなければ今の私はなかったかもしれないと思います。



今回は記念回としてのご配慮で、いつもの倍のスペースを頂くことができました。
通常の工房別とテーマ展の二つの展示スペースがあります。

テーマは「暮らしと木材」で、古代から使われてきた「栗」を使った新作を展示しています。








私のブース。






こちらはテーマ展のために作ったクリ材の座敷テーブルセット。






肘なしと、





肘かけありの椅子。

軽いものを作るように苦労してます。







いつもの椅子に畳摺りを付けたもの。






7月20日(月・祝)まで。群馬県庁にてやってます。

籐の座面張り その後

2015年07月11日 | 木工
籐の座面編みの続きです。


二脚編んで、何とか安定した技法が確立できたように思います。

うんちくを書いてみますが、
独学の我流ですので、真似してうまくいかない人がいても知りません。





使ったのは未晒しの生皮籐、4~5ミリ幅。

水に浸けてから使います







ペーパーコードの場合、経糸(たていと)をすべて張ってからその間を捨て巻きするのですが、
籐の場合は経糸を張りながら捨て巻きもします。
その理由は籐には裏表があること、長さがそれほどないこと、
釘に引っ掛けるようなきつい折り返しができないことなどと思われます。






座枠部分にも織りを入れます。
飾りとほつれ防止の意味があるようです。

経糸を張りながら上にしたり下に入れたりするので間違えないように気を使います。






こんな感じ。






経糸を張り終えたら緯糸(よこいと)を張ります。


ウェブで見ていると裏もきれいに編んでいるものを見ますが、
私はあえて座枠の裏で籐を釘で止める方法にしました。


裏もぐるっと籐を回すと緩みやすいような気がします。
籐も余計に使います。
一本一本籐が切れている方が修理もしやすと思います。

いかがでしょうか?







緯糸はあらかじめ必要な長さに切ってしまい、どんどん入れていきます。

最初は簡単に差し込めますが、最後の方はテンションが強くなってなかなか入れにくくなります。
最後の数本は縫うようにして一本ずつ入れます。






両側に未処理の端がピンピン出ています。






座枠に巻きながらこの端を小釘で止めていきます。

籐は割れやすいので、なるべく細い釘を使うのがみそです。

籐一本に小釘一本で止まっているのは何とも心細いように見えますが。
座面として編まれると座った時の力は面として受け止められますし、
細い籐も織りの組織となると一枚の布のように丈夫になります。


籐は端が鋭くて、切り傷が絶えません。
指先の力はペーパーコード張りよりもいるのではないでしょうか。

なかなか根気のいる作業です。








肘掛けあり、無しのセットが出来ました。

ばんと張のある座面が出来ました。
軽くて扱いやすい椅子です。


この椅子四脚とテーブルをセットにして催事に出品します。

恥ずかしながら、催事のために物を作ったのは久しぶりです。




この籐の座面にどのくら耐用年数があるのか、正直わかりません。
お客様の扱い方でも寿命は違います。

籐の家具がこれだけあるのですから、そんなにやわなはずはありません。

しかしある程度使ったら張り替えるのが前提の椅子です。


布張りの椅子もほぼ10年でファブリックは擦り切れます。
そのくらいもてばよいのでしょう。



木の座面でしたらメンテナンスはいりませんけど。

座敷用椅子 籐の座面張り

2015年07月09日 | 木工
梅雨真っ盛りです。




工房の庭に転がっている3年前ほどに切り倒したアカシアの丸太にキノコがびっしりと生えていました。







栗もかわいい実が付いてきています。





栗よりも先に花を咲かせていたクルミはもうこんなに実が大きくなっています







今まで見向きもしなかったヨウシュヤマゴボウを鹿が急に食べるようになりました。

不味いか毒があるかで食べなかったのでしょうに。
山には鹿が食べるものがないのでしょうか?






夜仕事をしていたらぶんぶんと飛んできてカブトムシかと思ったら、大きなカミキリムシでした。

ノコギリカミキリかニセノコギリカミキリか、触覚で区別するらしいんだけど、
写真ではもうわかんないよ。

虫は奥が深い。










催事の会期中に実演と称して会場で作業をしようと、定番のペーパーコードチェアを作っていたのですが、
必要な資材であるL字の釘が仕入れ先で欠品であることがわかりました。
これがないと座面を張ることができません。困りました。


もっと困るのは、この催事のために作っていたテーブルセットも作り上げることができないことです。


考えました。


この際、前からやってみたかった籐の座面張に変更してみよう。




ペーパーコードの方が籐より丈夫ですが、なんとなく野暮ったい感じがあります。
籐の方がすっきりとしててかっこいいと前から思っていました。
しかも籐の方が軽くできます。



籐の座面を作っている仲間に電話をし、仕入れや技法についてアドバイスを乞いました。







取り寄せた籐の素材です。
一束500gを二束。
幅は4mm。
これで4脚編めるのでしょうか、思ったより少ない荷物です。






洋書のテキストを解読しながら、自分なりにも考え工夫し、とりあえず一脚編んでみます。
見た目はペーパーコードの物と同じ「カノコ編み」というものですが、工程はけっこう違います。

籐は植物そのものですので長さが限られています。
表裏もあります。
強くは曲げられず、引っ張っても伸びません。

紙紐とはだいぶ勝手が違います。






とりあえず一脚仕上げることができました。


ほぼ一束使ってしまった。4脚分に足りないじゃないか。また買わないと。

しかし材料費がかかりすぎで、思っていた値段では売れなくなってしまった。



しかし自然素材とはいえ、来た籐は色もまちまちですし、カビたような染みもある。

籐とはこんなものなのだろうか?



木材も買えば染みも虫食いも諦めて切り捨てていますが、籐もそのくらい選別するのでしょうか?

白いものを見ますが、それは漂白してあるのでしょうか?




わからないことだらけです。


とりあえず、軽くて座りやすい椅子はできそうです。