ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

とんかつ屋の椅子の制作 その2

2015年09月01日 | 木工
ずっと霧雨ばかり降るような日々が続いています。





椅子の部材の加工が終わりました。

例によって並べて記念撮影。






組み立て工程に入ります。





後ろ足。





前足。





糊が乾いてから前後の足の組み立て。

椅子らしくなってきました。







万力で挟んで肘掛けのほぞの加工をします。






このように丸ほぞにします。小刀、鑿を使った手加工です。





肘掛けはこのような収まりです。



この肘掛けはまだ組みつけず、部品で漆を塗ります。
座面も部品で塗って、塗りあげてから組み立てます。






座面の加工は四角の板から始まります。

まず後ろ足がはまる掻き込みを切り、座枠にのせてみます。





肘掛けが付くところを切らなければなりません。

このような加工の印は現物合わせが一番確実です。
ご覧のようにおっつけて鉛筆で書きます。







こんな感じ。





座面の座繰りを加工します。





「四方反り鉋」「船底鉋」などと呼ばれる、下が丸くなった鉋で彫っていきます。

鉋の台が座繰りのアールを作る定規になります。






お尻が当たるところを彫りました。






太ももの当たるところも彫りました。




見た通り、鉋で削っただけでは滑らかな座繰りにはなりません。
サンディングペーパーで仕上げる必要があります。
しかしただペーパーをかけても駄目です。
鉋の跡や木目の強弱が残った見苦しいものになります。

今回は漆仕上げなので特に丁寧な仕上げが必要になります。

きれいに仕上げるのには、「あて木」にペーパーを巻いて磨きます。





これが「あて木」です。
もちろん自分で作ります。

座面のアールに合わせて3種類ほど使い分けます。





機械も使います、もちろん。

あて木を使って滑らかな曲面ができた後、仕上げの磨きに使います。






照明を工夫して、どのような座面に加工したのかがわかるように撮ってみました。













仮組ですが、木地は一応完成です。





自分の頭の中で考えたものが、自分の手を使って形になる瞬間。

この仕事の醍醐味です。






しかしまだ、漆塗りの工程が残っています。


この椅子には少々入れあげてしまい、予定より一週間ほど多く時間がかかってしまいました。






この椅子の肘掛けが妙に短いことお気付きででしょうか?

お店にお伺いして打ち合わせをしたところ、
椅子に合わせるカウンターがやたらごついということがわかりました。
普通の肘掛けではカウンターに当たってしまいます。
でも是非肘掛けが欲しい、とのご要望でしたので、肘掛けがあってもお客様が座れるよう、
片方だけで、しかも小さい肘掛けにすることになりました。