生物的防除とは、化学農薬とかを使わずに、天敵となる生物を用いて害虫などを食べてもらって防除を行う方法のことをいう。生物農薬という言い方もある。
基本的には農業で使われる、例えばハダニに対するチリカブリダニとか、コナジラミに対するオンシツツヤコバチとか、農業ではいくつかの成功例はあるのですが、そんな中ニュースにもなりました、環境省発表の鹿児島、奄美大島での特定外来生物マングース根絶宣言。広い奄美大島においてマングースが定着して捕獲根絶するのは世界的にも珍しい例ではありますが、捕獲総数32000頭、こんなに広い所で完全駆除とは並大抵のことではないです。
島民や行政の関係者の方はもちろん大変だったと思います。
しかし同時に死ぬ必要のない32000の命を殺したわけです。
「ホントに馬鹿げた対照法だったと思いますよ」
元々は1910年、渡瀬 庄三郎(わたせ しょうざぶろう)という動物学者によって斑入りマングースというマングースが沖縄に持ち込まれました。その目的はサトウキビ農園に害をもたらすネズミの駆除とハブの駆除。
現在はその時持ち込まれた17頭のマングースの子孫です。その後1979年頃、沖縄から30頭程度のマングースが奄美に持ち込まれました。
今振りかえると「何でこんな愚かなことを」と、思うけど……。
「沖縄にマングースを導入した渡瀬 庄三郎と言う人は生物の分布についての研究の有名な学者なんですよ」
そんな専門家ですら、ほんの100年前まで外来の動物を自然界に導入するこの危険性についてそんなに理解してなかったということが言えますよね。その結果、マングースは昼行性、ハブは夜行性なんで両者は出会わない、出会ったとしてもそんな危険な毒を持ってるハブを食べるワケがない!!
それじゃ、何が襲われたか?沖縄では飛べない鳥『ヤンバルクイナ』20年で40%減少している。
他にも絶滅危惧種のハナサキガエル、オキナワノボリトカゲ、アカヒゲ(鳥)
奄美ではアマミノクロウサギ、ケナガネズミなどの希少種が次々と食べられてしまった。
自然の中で必死に生きようとする命の力を人間はホントに甘く見てきたと思います。
今回の環境省の発表は世界に誇ることのある事例と言いましたが、ただ、何故、その前に、マングースに「本当に申し訳なかった」と一言付け加えなかったのか。付け加えるべきですよ。
もう一つ会見の最後には「今後、持ち込まないことが大切」とそこはしっかり言ってますね。
だから、メディアはそここそ、しっかり報道すべき。
かなり、その部分はあんまり取り上げられませんでした。
「今後持ち込まないことが大切」という部分がイチバン大切なはずなのに。
そこをもっともっと報ずるべきだったと思いますね。
こういう例って他にも結構あって、ヨーロッパオオカミを放して野生のシカを食べてもらおうという案だとか、アフリカヒキガエル(でっかいヒキガエル)を持ってきてサトウキビの害虫を食べてもらおうとか、そういうことをやっても、ことごとく上手くいくワケが無い。ヨーロッパオオカミはまだ持ち込まれてないけども、こういった、失敗例があるもんだから。
遡ること1950年代に中国で毛沢東が行った政策、4害駆除運動。
中国で稲を食い荒らすスズメを徹底的に駆除しようと、稲を食い荒らすスズメを徹底的に駆除した結果、どうなったか?
スズメが減ったせいで、イナゴは爆発的に増えて結果、農地が壊滅した。その後大飢饉が起こって少なくとも1500万人が死んでる。一説には5500万人が死んだとも言われている。自然のしっぺ返し、それほど恐ろしい。
もっと身近な例でいうと、外来魚のブラックバスやブルーギルを駆除しようとして池干しをします、池の水を全部抜いてバスやギルを駆除しました。結果どうなったか?バスやギルは居なくなったけど、それまでバスに食われてたアメリカザリガニが爆増します、アメリカザリガニはブラックバス以上に生態系に被害を及ぼします。ブラックバスは肉食だから魚やザリガニは食べるけど、ザリガニは雑食だから植物も食べちゃう、ブラックバス以上にザリガニの方が厄介と言われている。ザリガニは土に潜るから完全に駆除ができない。
そのアメリカザリガニだってもともとは人間の都合で持ち込まれたもの。食用として外国から連れてきた『ウシガエル』の餌として連れてきたもの。コレも人間の都合なんですよ。
命のチカラというものを甘く見てはいけないし、生態系のつながりというものを人間が阻害してはいけないと思います。もうこれ以上、斑入りマングースのような不幸な命を生み出さないということ。
その事例となって欲しい。もう一回過ちを繰り返すようなら、ホントに流石に害獣はマングースではなく、生態系でいえば、「人間こそが害獣である」と言われてしまうと思いますよ。
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「 鉄崎幹人が愛してやまないものについて語りつくす:午後のテッパン」
月曜日は生物や植物、自然、農業などにスポットを当てた『クローズアップ生き物』
(朝日新聞社説)マングース根絶 外来生物の対策徹底を 2024年9月16日
鹿児島県の奄美大島で駆除が進められてきた特定外来生物のマングースについて、環境省が「根絶宣言」をした。外来生物は、生態系や人間、農業への影響が大きく、対策を徹底しなければならない。
マングースは毒蛇のハブや農作物を荒らすネズミの対策として、1910年に沖縄に、79年に奄美大島に放たれた。しかし、昼行性のマングースは夜行性のハブではなく、アマミノクロウサギやケナガネズミなど在来の希少種を襲い、数が増えていった。
90年代前半から駆除が始まり、2000年に環境庁と県が取り組みを本格化。05年に外来生物法が施行され、生態系や人間、産業に被害を及ぼす「特定外来生物」にマングースも指定され、駆除の専従チーム「奄美マングースバスターズ」が発足した。
おびき寄せる餌を工夫し、希少種を含む他の生き物を誤捕獲しないようワナを改良。駆除が進んでからは探索犬を使って根絶に努めた。推定生息数はピークの1万匹が10匹以下になり、希少種も戻ってきた。最後に捕獲した18年から慎重に確認を続け、「根絶宣言」に至った。
持ち込まれたマングースが定着後に完全に排除できたのは、これまで1平方キロ以下の島だけだった。奄美大島は712平方キロあり、これほど大きな島での根絶は前例がない。沖縄県では、本島南部に放たれたマングースが北部にも侵入、県や環境省が駆除を始め、やんばるマングースバスターズも発足。米軍の北部訓練場では日米共同で駆除や希少種保護が行われている。
外来生物被害は、産業にも及ぶ。国際組織によると、農作物への被害や駆除の費用などは、世界で年間62兆円と推定され、10年ごとに4倍に増えているという。
いったん定着した後に駆除するのは困難で、自然界に出さない適切な管理や侵入を食い止める水際作戦の徹底が欠かせない。日本はブラックバスやアライグマなど様々な外来生物が定着しており被害も深刻化している。刺されると人によっては命を落とすこともあるヒアリは定着寸前で、港湾周辺の管理や国内外での輸出入対策が急務だ。
外来生物問題は、アメリカザリガニのようなペットを逃がしたり、飼えなくなって放したりして、思わぬ加害者になる恐れがある。
政府や自治体の対策の徹底はもちろん、「入れない」、飼育・栽培したものを最後まで管理して「捨てない」、定着地域を「広げない」という被害予防3原則を誰もが意識することが大切だ。
基本的には農業で使われる、例えばハダニに対するチリカブリダニとか、コナジラミに対するオンシツツヤコバチとか、農業ではいくつかの成功例はあるのですが、そんな中ニュースにもなりました、環境省発表の鹿児島、奄美大島での特定外来生物マングース根絶宣言。広い奄美大島においてマングースが定着して捕獲根絶するのは世界的にも珍しい例ではありますが、捕獲総数32000頭、こんなに広い所で完全駆除とは並大抵のことではないです。
島民や行政の関係者の方はもちろん大変だったと思います。
しかし同時に死ぬ必要のない32000の命を殺したわけです。
「ホントに馬鹿げた対照法だったと思いますよ」
元々は1910年、渡瀬 庄三郎(わたせ しょうざぶろう)という動物学者によって斑入りマングースというマングースが沖縄に持ち込まれました。その目的はサトウキビ農園に害をもたらすネズミの駆除とハブの駆除。
現在はその時持ち込まれた17頭のマングースの子孫です。その後1979年頃、沖縄から30頭程度のマングースが奄美に持ち込まれました。
今振りかえると「何でこんな愚かなことを」と、思うけど……。
「沖縄にマングースを導入した渡瀬 庄三郎と言う人は生物の分布についての研究の有名な学者なんですよ」
そんな専門家ですら、ほんの100年前まで外来の動物を自然界に導入するこの危険性についてそんなに理解してなかったということが言えますよね。その結果、マングースは昼行性、ハブは夜行性なんで両者は出会わない、出会ったとしてもそんな危険な毒を持ってるハブを食べるワケがない!!
それじゃ、何が襲われたか?沖縄では飛べない鳥『ヤンバルクイナ』20年で40%減少している。
他にも絶滅危惧種のハナサキガエル、オキナワノボリトカゲ、アカヒゲ(鳥)
奄美ではアマミノクロウサギ、ケナガネズミなどの希少種が次々と食べられてしまった。
自然の中で必死に生きようとする命の力を人間はホントに甘く見てきたと思います。
今回の環境省の発表は世界に誇ることのある事例と言いましたが、ただ、何故、その前に、マングースに「本当に申し訳なかった」と一言付け加えなかったのか。付け加えるべきですよ。
もう一つ会見の最後には「今後、持ち込まないことが大切」とそこはしっかり言ってますね。
だから、メディアはそここそ、しっかり報道すべき。
かなり、その部分はあんまり取り上げられませんでした。
「今後持ち込まないことが大切」という部分がイチバン大切なはずなのに。
そこをもっともっと報ずるべきだったと思いますね。
こういう例って他にも結構あって、ヨーロッパオオカミを放して野生のシカを食べてもらおうという案だとか、アフリカヒキガエル(でっかいヒキガエル)を持ってきてサトウキビの害虫を食べてもらおうとか、そういうことをやっても、ことごとく上手くいくワケが無い。ヨーロッパオオカミはまだ持ち込まれてないけども、こういった、失敗例があるもんだから。
遡ること1950年代に中国で毛沢東が行った政策、4害駆除運動。
中国で稲を食い荒らすスズメを徹底的に駆除しようと、稲を食い荒らすスズメを徹底的に駆除した結果、どうなったか?
スズメが減ったせいで、イナゴは爆発的に増えて結果、農地が壊滅した。その後大飢饉が起こって少なくとも1500万人が死んでる。一説には5500万人が死んだとも言われている。自然のしっぺ返し、それほど恐ろしい。
もっと身近な例でいうと、外来魚のブラックバスやブルーギルを駆除しようとして池干しをします、池の水を全部抜いてバスやギルを駆除しました。結果どうなったか?バスやギルは居なくなったけど、それまでバスに食われてたアメリカザリガニが爆増します、アメリカザリガニはブラックバス以上に生態系に被害を及ぼします。ブラックバスは肉食だから魚やザリガニは食べるけど、ザリガニは雑食だから植物も食べちゃう、ブラックバス以上にザリガニの方が厄介と言われている。ザリガニは土に潜るから完全に駆除ができない。
そのアメリカザリガニだってもともとは人間の都合で持ち込まれたもの。食用として外国から連れてきた『ウシガエル』の餌として連れてきたもの。コレも人間の都合なんですよ。
命のチカラというものを甘く見てはいけないし、生態系のつながりというものを人間が阻害してはいけないと思います。もうこれ以上、斑入りマングースのような不幸な命を生み出さないということ。
その事例となって欲しい。もう一回過ちを繰り返すようなら、ホントに流石に害獣はマングースではなく、生態系でいえば、「人間こそが害獣である」と言われてしまうと思いますよ。
SBS RADIO 鉄崎幹人のWASABI:午後のテッパン
「 鉄崎幹人が愛してやまないものについて語りつくす:午後のテッパン」
月曜日は生物や植物、自然、農業などにスポットを当てた『クローズアップ生き物』
(朝日新聞社説)マングース根絶 外来生物の対策徹底を 2024年9月16日
鹿児島県の奄美大島で駆除が進められてきた特定外来生物のマングースについて、環境省が「根絶宣言」をした。外来生物は、生態系や人間、農業への影響が大きく、対策を徹底しなければならない。
マングースは毒蛇のハブや農作物を荒らすネズミの対策として、1910年に沖縄に、79年に奄美大島に放たれた。しかし、昼行性のマングースは夜行性のハブではなく、アマミノクロウサギやケナガネズミなど在来の希少種を襲い、数が増えていった。
90年代前半から駆除が始まり、2000年に環境庁と県が取り組みを本格化。05年に外来生物法が施行され、生態系や人間、産業に被害を及ぼす「特定外来生物」にマングースも指定され、駆除の専従チーム「奄美マングースバスターズ」が発足した。
おびき寄せる餌を工夫し、希少種を含む他の生き物を誤捕獲しないようワナを改良。駆除が進んでからは探索犬を使って根絶に努めた。推定生息数はピークの1万匹が10匹以下になり、希少種も戻ってきた。最後に捕獲した18年から慎重に確認を続け、「根絶宣言」に至った。
持ち込まれたマングースが定着後に完全に排除できたのは、これまで1平方キロ以下の島だけだった。奄美大島は712平方キロあり、これほど大きな島での根絶は前例がない。沖縄県では、本島南部に放たれたマングースが北部にも侵入、県や環境省が駆除を始め、やんばるマングースバスターズも発足。米軍の北部訓練場では日米共同で駆除や希少種保護が行われている。
外来生物被害は、産業にも及ぶ。国際組織によると、農作物への被害や駆除の費用などは、世界で年間62兆円と推定され、10年ごとに4倍に増えているという。
いったん定着した後に駆除するのは困難で、自然界に出さない適切な管理や侵入を食い止める水際作戦の徹底が欠かせない。日本はブラックバスやアライグマなど様々な外来生物が定着しており被害も深刻化している。刺されると人によっては命を落とすこともあるヒアリは定着寸前で、港湾周辺の管理や国内外での輸出入対策が急務だ。
外来生物問題は、アメリカザリガニのようなペットを逃がしたり、飼えなくなって放したりして、思わぬ加害者になる恐れがある。
政府や自治体の対策の徹底はもちろん、「入れない」、飼育・栽培したものを最後まで管理して「捨てない」、定着地域を「広げない」という被害予防3原則を誰もが意識することが大切だ。
わんちゃんのご意見等はありませんが、関西でもテレビや新聞などで報道されました。
私は社説に述べられていた被害予防三原則「入れない」、「捨てない」、「広げない」をだれもが認識することが大切だと・・そのとおりだと思いますが、奄美大島は徳之島、沖縄北東部、西入表島とともに、最近(2021年7月)に「世界自然遺産」に登録された、この島に、36億円の経費・予算をかけて、短期間(2005年~2018年)にマングース3万匹以上が駆除され、今年の9月3日に根絶宣言のニュースが報道された、これを見て、私は違和感を感じました。
島には特別天然記念物のアマミクロウサギなどや、豊かなマングローブ林などがあり、生物多様性の豊かな島であると認識しているからである。ハブや野ねずみ対策でマングースが移入された歴史がありますが、その生物的防除の方法が失敗なのかどうなのか色々と意見等があるようです。
私は短期間に根絶したことに、今後、色々と生態系などに悪影響がでないように、他の特定外来生物(哺乳類、昆虫、植物等)にも、予防三原則の認識もひつようだが、これを実践、実行、定着することが日本全体に必要なことと思いました。
話はかわりますが、佐藤栄作元首相の政府方針「非核三原則・・・持たない、作らない、持ち込ませない」は、今、どうなりましたかな!!
読んでくださった皆さんがそれぞれについて考えていただければいいんじゃないかと……。