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アメリカ宇宙軍の謎に包まれたスペースプレーン“X-37B”が2023年12月に打ち上げへ! 今回もミッションの詳細は明らかにされず

2023年11月17日 | スペースプレーン
2024年1月8日更新
アメリカ宇宙軍は2023年11月8日、同軍とアメリカ空軍迅速能力開発室(Rapid Capabilites Office; RCO)が運用する無人軌道試験機“X-37B”による7回目のミッション“OTV-7”を実施すると発表しました。
図1.“OTV-6”ミッションを終えてケネディ宇宙センター打ち上げ着陸施設(LLF)に着陸した米宇宙軍の無人軌道試験機“X-37B”。(Credit: Boeing / U.S. Space Force)
図1.“OTV-6”ミッションを終えてケネディ宇宙センター打ち上げ着陸施設(LLF)に着陸した米宇宙軍の無人軌道試験機“X-37B”。(Credit: Boeing / U.S. Space Force)
アメリカ宇宙軍の発表によると、X-37BはスペースX社のファルコン・ヘビーロケットに搭載され、フロリダ州のケネディ宇宙センターから2023年12月7日に打ち上げられる予定です。
2023年12月29日(日本時間)、無人軌道試験機X-37Bを搭載したファルコン・ヘビーロケットの打ち上げが成功しました。
X-37Bの打ち上げは、当初12月7日に予定されていましたが、地上側の問題から延期されていました。

X-37Bを搭載したファルコン・ヘビーロケットは、日本時間2023年12月29日10時7分にアメリカ・フロリダ州のケネディ―宇宙センター39A射点を離床。
発射約3分後にファルコン・ヘビーのブースター2機が分離し、その後コア機体の1段目も分離に成功しています。

ブースターは発射約8分後にケープカナベラル宇宙軍基地に着陸。
一方、1段目は大西洋に着水し機体の再利用は行われませんでした。
出典: SpaceX公式Xアカウント
(出典: SpaceX公式Xアカウント)
これまで“X-37B”の打ち上げに使われたのは、アトラスVロケットとファルコン9ロケット。
今回、初めてファルコン・ヘビーロケットが打ち上げに使われることに… 重量が増えているのかもしれませんね。

発表されたのは、“X-37B”が新しい軌道体制“orbital regime”で運用され、宇宙領域把握(Space Domain Awareness; SDA))技術の試験を行うこと。
また、植物の種子が宇宙放射線に晒された際の影響を調べるNASAの実験“Seeds-2”も行われる模様です。
図2.“X-37B”が格納されたファルコン・ヘビーのフェアリング。初めて米国宇宙軍のロゴマークが貼られた。(Credit: Boeing/USSF)
図2.“X-37B”が格納されたファルコン・ヘビーのフェアリング。初めて米国宇宙軍のロゴマークが貼られた。(Credit: Boeing/USSF)
“X-37B”は、ボーイング社が開発した無人の宇宙往還機で完全な自律飛行が可能。
軌道離脱および着陸を自動で行うように設計されています。
また、スペースシャトルのように、整備した上で再使用ができるように造られています。

“X-37B”によるミッションはこれまで6回実施されていますが、“X-37B”は軍事衛星にあたるため飛行経路や投入された軌道など、詳細は明らかにされていません。

6回目の“OTV-6”ミッションでは、“X-37B”はユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のアトラスVロケットで2020年5月17日に打ち上げられ、2022年11月12日に地球へ帰還。
“OTV-6”のミッション期間は過去最長の908日を記録しています。

“OTV-6”ミッションでは、空軍士官学校で開発された小型衛星“FalconSat-8”の放出や、米国海軍調査研究所による宇宙太陽発電(軌道上の発電衛星からマイクロ波に変換した電気を地上へ送電する発電方法)に関する実験などが行われました。

また、このミッションでは初めて“サービスモジュール”が用いられています。
“サービスモジュール”は“X-37B”の機体後方に取り付けるリング状の構造物で、機体内部の格納スペースに加えて機体外部にも実験装置などを搭載できるようになりました。

ミッションに関しては、全ての内容が明らかにされていないので、軌道上で何を行っていたのかは不明。
おそらくペイロードに何らかの装置や機器を搭載し、宇宙空間で試験や実験を行っているんでしょうね。

軌道上の衛星を観測することを趣味にしている愛好家たちによれば、飛行中に何度か軌道変更をしていることが確認されたようですよ。


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インドが再使用型宇宙往還機(試験機)の打ち上げに成功!

2016年05月30日 | スペースプレーン

インド宇宙研究機関が開発している再使用型宇宙往還機の試験機“RLV-TD”が、
23日に打ち上げに成功したんですねー

RLV-TD(Reusable Launch Vehicle - Technology Demonstrator)
と名付けられたこの無人機の翼長は約1メートル、
質量は3トンで、ロケットを含む全長は約6.5メートル。

“RLV-TD”は、1段式の固体燃料ロケット“HS9”の先端に装着され、
シュリーハリコータのサティシュ・ダワン宇宙センターの第2発射台から打ち上げられました。

“RLV-TD”は高度約56キロで“HS9”を分離、
そして高度約66キロまで到達。

その後、マッハ5で大気圏内を滑空飛行して、
打ち上げから約20分後に無事ベンガル湾に着水したんですねー

今回の飛行では、
地球周回軌道には乗らない、サブオービタル飛行で行われました。


有人のシャトル開発に向けて

さらにインド宇宙研究機関では、
現在、“アヴァター”という再使用ロケットの開発も進めています。

“アヴァター”は、いわゆる“Two Stage To Orbit”と呼ばれる2段式のシステムです。
第1段、第2段共に、打ち上げ後には、翼を使って滑走路に戻ってくることができ、
機体をすべて再使用することができるんですねー

また、“アヴァター”は宇宙飛行士を乗せることができ、
開発が順調に進めば、2025年ごろに打ち上げが行われるようです。

試験機“RLV-TD”は、
その“アヴァター”の第2段にあたる宇宙船部分を、小さくしたような形をしていて、
アヴァター”の開発に必要なデータを取ることを目的としています。

再使用可能なロケットの開発は、段階を踏んで進められていて、
今回の試験飛行は、その一つになるようですよ。


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無人宇宙往還機“X-37B”が4回目の飛行へ

2015年05月26日 | スペースプレーン
“X-37B”はアメリカ空軍の無人宇宙往還機。
今回が4回目のミッションになり、
5月20日にアトラスVロケットに搭載され、無事に打ち上げられたんですねー

今回は、電気推進エンジンの試験や新素材の実験などが行われるようです。
アトラスVロケットは、ケープ・カナベラル空軍ステーションから離昇。

“X-37B”は軍事衛星になるため、飛行経路や投入された軌道は不明…
ただ、打ち上げが成功したことだけが発表されました。

ボーイング社が開発した“X-37B”は、
無人の宇宙往還機で、完全な自律飛行が可能。

また、スペースシャトルのように、
整備した上で再使用ができるように造られています。

これまでに同型機は2機が製造され、
1号機が2回、2号機が1回の飛行を行っているんですねー
今回のミッション“OTV-4”は、2号機の2回目のミッションになります。

1号機の1回目のミッション“OTV-1”は、
2010年4月22日に打ち上げられ、同年の12月3日に着陸。

2号機の1回目のミッション“OTV-2”は、
2011年3月5日に打ち上げられ、2012年6月16日に着陸しています。

そして2012年に12月11日から2014年10月17日にかけては、
1号機の2回目のミッション“OTV-3”が行われています。

“X-37B”の軌道上での滞在可能期間は、カタログスペックで270日でした。

でも“OTV-2”では469日間…
“OTV-3”では、さらに上回る674日間(約22か月間)にもわたて、
飛行し続けているんですねー

この長い滞在期間に“X-37B”が宇宙空間で何を行っているのか?
は、やっぱり不明。

なので、新しい機器や素材の実験から、宇宙兵器の試験といった説まで、
さまざまな憶測がされています。

ただ、今回の“OTV-4”に関しては、
電気推進システムの一種であるホール・スラスターの試験を行うことと、
NASAによる材料実験装置が搭載されることが発表されていたりします。

もちろん、それ以外にも何らかの試験や実験が計画されているはずですがね ^^;

再使用型スペースプレーン験機“IXV” 飛行試験に成功!

2015年02月13日 | スペースプレーン
ヨーロッパ宇宙機関の再使用型スペースプレーン実験機“IXV”を搭載した、
ヴェガロケットの打ち上げが成功したんですねー
ヴェガロケットVV04で
打ち上げられる“IXV”

“IXV”は地球の大気圏に再突入して、
予定通り太平洋に着水しミッションは成功となりました。

ヴェガロケットはギアナ宇宙センターから打ち上げられ、
順調に飛行し、高度340キロの地点で“IXV”を分離します。

“IXV”は地球を回る軌道には乗らず、
サブオービタル飛行と呼ばれる、地球を1周する前に大気圏に落ちてくる飛行経路へ。

その後“IXV”は、慣性で上昇を続け、
高度412キロまで到達。

そこから降下を始め、
高度120キロ付近で秒速7.5キロの速度に達し、大気圏に再突入するんですねー

そして滑空飛行を行い、
パラシュートを開いて降下を始め、
ガラパゴス諸島のすぐ西の太平洋上に着水しました。

機体の状態は正常で、
飛行中のデータも予定通り得られたので、
ミッションは完璧に成功したと言えるんですねー


新型機“PRIDE”の開発へ

この成功により、ヨーロッパ宇宙機関は“PRIDE”と呼ばれる新型機の開発に移ることになります。

この機体は“IXV”と同じくヴェガロケットで打ち上げられ、
無人での自律飛行を行います。

ただ、“IXV”とは違い主翼を持っているので、
滑走路に着陸することができるんですねー

他にも、地球周回軌道上で、
ロボットアームなどを用いたミッションが可能になるようです。

現在は検討段階で、
2017年に開発が始まり、順調に進めば2020年に打ち上げられる予定だそうですよ。


打ち上げ準備中。 ヨーロッパ宇宙機関のスペースプレーン“IXV”

2015年02月09日 | スペースプレーン
ヨーロッパ宇宙機関のスペースプレーン実験機“IXV”。
2月11日に宇宙へ向けて飛び立つため、打ち上げ準備が着々と進められているんですねー
すでにヴェガロケットの頭の部分に搭載されたようです。


“IXV”はヨーロッパ宇宙機関が開発したスペースプレーンの実験機で、
将来の再使用宇宙機の開発に向けた実験を行うことを目的にしています。

見た目は巨大な革靴のような恰好をしていて、スペースシャトルのような大きな翼は持っていません。

この胴体の形状はリフティング・ボディと呼ばれ、この形によって胴体全体で揚力を発生させることが出来るんですねー


また、後部に装備された2枚の大きなフラップを使うことで、
大気圏内でもある程度飛行を制御することが可能になっています。

機体の全長は5.0メートル、全高は1.5メートル、全幅は2.2メートルで、
打ち上げ時の質量は2トンになります。

打ち上げに使用されるロケットは、
アリアンスペース社が運用する小型の固体ロケット“ヴェガ”。

打ち上げ後に、高度340キロでロケットから分離され、
単独で412キロまで飛行した後、秒速約7.5キロで大気圏に再突入します。
なので、地球を回る軌道には乗らない、
サブ・オービタル飛行(弾丸飛行)と呼ばれる飛行経路を取るんですねー

そして、パラシュートで太平洋上に着水し船で回収、
後で分析などが行われることになります。

打ち上げから着水までにかかる時間は1時間40分ほど…
ほんの短い宇宙旅行ですね。


すでにロケットも“IXV”も、
打ち上げ場所である南米のギアナ宇宙センターにあり、1月28日には“IXV”をアダプターの上に搭載し、両側から包み込むようにフェアリングをかぶせる作業が行われています。


打ち上げに向けた準備が進むなか、
2月2日には、フェアリングがかぶせられた“IXV”はロケットの先端へ。

そして、日本時間の2月11日22時00分に打ち上げられるんですねー