宇宙の誕生からわずか3億年後に誕生したと考えられる、重元素量の極めて少ない恒星が発見されました。
これまで考えられていたのは、宇宙で最初期に生まれる恒星は質量の大きな星のみということ。
大質量星は燃料を急速に使い果たすと超新星爆発を迎えてしまうので、現在の宇宙で観測されることは無いはずでした。
でも、ある種の条件のもとでは初期宇宙でも質量の小さな星が作られることが、今回の研究から分かってきたんですねー
質量の小さな星は極めて長い寿命を持っているので、完全にビッグバンで作られた元素だけからなる低質量星が、現在の宇宙に存在しているのかもしれません。
初期宇宙には3種類の元素しかなかった
約138億年前に起こったビッグバンでは、誕生直後の宇宙が冷えるとともに、水素とヘリウム、それにごく少量のリチウムという3つの元素が最初に合成されたと考えられています。
なので、この直後に生まれた第一世代の星は、この3種類の元素だけでできているはずです。
そして、この第一世代の星々の中心核で、水素やヘリウムの核融合反応によってより重い元素が作られた後、その星が超新星爆発を起こすことで、重い元素が宇宙にバラまかれることになります。
第二世代以降の星は、バラまかれた元素を含むガス雲から生まれるので、星の中に重い元素を取り込むことになります。
このようにして星の生死が繰り返されることで、星に含まれる重い元素の量が徐々に増えていきます。
たとえば、太陽はビッグバンから何世代も後に生まれた恒星なので、木星14個分ほどの質量の重元素を含んでいます。
現在の宇宙で最も年老いた恒星
アメリカ・ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、さいだん座の方向約1950光年の距離に位置する恒星“2MASS J18082002-5104378”のスペクトル分析から、この星に暗い伴星が存在することに気付きます。
この伴星“2MASS J18082002-5104378 B”を構成しているのは、ほぼ水素、ヘリウム、リチウムだけ。
星に含まれる金属量は、水星の質量と同じくらいの“超低金属量星”で、これまでに知られている星の中では最も少ないものでした。
極めて少ない金属量から考えられる可能性は、この星がビッグバンの直後に生まれた第一世代の天体か、それに近い天体だということ。
年齢は約135億歳と推定されていて、現在の宇宙に存在する恒星の中で最も年老いたものの1つとみられています。
これまでに30個ほど発見されている“超低金属量星”は、どれも太陽と同じくらいの質量でした。
でも、今回発見された伴星の質量は太陽の14%ほどしか無かったんですねー
さらに、珍しいのは、この星が太陽と同じように天の川銀河の円盤の中を公転していること。
普通の“超低金属量星”は、銀河円盤を横切って銀河面から離れるような軌道を持っている。
初期宇宙で作られた質量の小さな恒星は今も存在している
1990年代後半までは、宇宙で最初期に生まれる星は質量の大きな星のみだと考えられてきました。
こうした大質量星は、核融合の燃料を急速に使い果たしてすぐに超新星爆発を迎えてしまいます。
なので、現在の宇宙で最初期に生まれた星が観測されることは無いはずです。
でも、恒星進化の精密なシミュレーションが行えるようになると、ある種の条件のもとでは、初期宇宙でも質量の小さな星が作られ、ビッグバンから130億年以上たった現在の宇宙にも存在しうるという可能性が示されるようになります。
大質量星とは異なり、質量の小さな星は極めて長い寿命を持つことになります。
たとえば、質量が太陽の数分の1しかない赤色矮星の寿命は、数兆年と考えられているほどです。
今回、研究チームが見つけたことで、質量が非常に小さく金属量も非常に少ない星が他にも数多く存在し、宇宙で最初に誕生した星の一部が現在まで生き残っている可能性が示されました。
今後、さらに年老いた星が観測され、宇宙の第一世代の星について、非常に重要な情報をもたらしてくれるのかもしれません。
今回の観測が正しければ、完全にビッグバンで作られた元素だけからなる低質量星も存在するかもしれません。
天の川銀河の中でそのような天体はまだ発見されていませんが、存在する可能性は出てきましたね。
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初検出! 宇宙最初の星が残した痕跡
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なので、この直後に生まれた第一世代の星は、この3種類の元素だけでできているはずです。
そして、この第一世代の星々の中心核で、水素やヘリウムの核融合反応によってより重い元素が作られた後、その星が超新星爆発を起こすことで、重い元素が宇宙にバラまかれることになります。
第二世代以降の星は、バラまかれた元素を含むガス雲から生まれるので、星の中に重い元素を取り込むことになります。
このようにして星の生死が繰り返されることで、星に含まれる重い元素の量が徐々に増えていきます。
たとえば、太陽はビッグバンから何世代も後に生まれた恒星なので、木星14個分ほどの質量の重元素を含んでいます。
現在の宇宙で最も年老いた恒星
アメリカ・ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、さいだん座の方向約1950光年の距離に位置する恒星“2MASS J18082002-5104378”のスペクトル分析から、この星に暗い伴星が存在することに気付きます。
この伴星“2MASS J18082002-5104378 B”を構成しているのは、ほぼ水素、ヘリウム、リチウムだけ。
星に含まれる金属量は、水星の質量と同じくらいの“超低金属量星”で、これまでに知られている星の中では最も少ないものでした。
天の川銀河の画像。 黄色い枠の位置に今回の伴星が発見された連星系“2MASS J18082002-5104378”がある。 |
年齢は約135億歳と推定されていて、現在の宇宙に存在する恒星の中で最も年老いたものの1つとみられています。
これまでに30個ほど発見されている“超低金属量星”は、どれも太陽と同じくらいの質量でした。
でも、今回発見された伴星の質量は太陽の14%ほどしか無かったんですねー
さらに、珍しいのは、この星が太陽と同じように天の川銀河の円盤の中を公転していること。
普通の“超低金属量星”は、銀河円盤を横切って銀河面から離れるような軌道を持っている。
初期宇宙で作られた質量の小さな恒星は今も存在している
1990年代後半までは、宇宙で最初期に生まれる星は質量の大きな星のみだと考えられてきました。
こうした大質量星は、核融合の燃料を急速に使い果たしてすぐに超新星爆発を迎えてしまいます。
なので、現在の宇宙で最初期に生まれた星が観測されることは無いはずです。
でも、恒星進化の精密なシミュレーションが行えるようになると、ある種の条件のもとでは、初期宇宙でも質量の小さな星が作られ、ビッグバンから130億年以上たった現在の宇宙にも存在しうるという可能性が示されるようになります。
大質量星とは異なり、質量の小さな星は極めて長い寿命を持つことになります。
たとえば、質量が太陽の数分の1しかない赤色矮星の寿命は、数兆年と考えられているほどです。
今回、研究チームが見つけたことで、質量が非常に小さく金属量も非常に少ない星が他にも数多く存在し、宇宙で最初に誕生した星の一部が現在まで生き残っている可能性が示されました。
今後、さらに年老いた星が観測され、宇宙の第一世代の星について、非常に重要な情報をもたらしてくれるのかもしれません。
今回の観測が正しければ、完全にビッグバンで作られた元素だけからなる低質量星も存在するかもしれません。
天の川銀河の中でそのような天体はまだ発見されていませんが、存在する可能性は出てきましたね。
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