宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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金属量が少ない低質量星を見つけて分かってきた。宇宙で最初に誕生した星は今でも生き残っている?

2018年11月29日 | 宇宙 space
宇宙の誕生からわずか3億年後に誕生したと考えられる、重元素量の極めて少ない恒星が発見されました。

これまで考えられていたのは、宇宙で最初期に生まれる恒星は質量の大きな星のみということ。
大質量星は燃料を急速に使い果たすと超新星爆発を迎えてしまうので、現在の宇宙で観測されることは無いはずでした。

でも、ある種の条件のもとでは初期宇宙でも質量の小さな星が作られることが、今回の研究から分かってきたんですねー

質量の小さな星は極めて長い寿命を持っているので、完全にビッグバンで作られた元素だけからなる低質量星が、現在の宇宙に存在しているのかもしれません。


初期宇宙には3種類の元素しかなかった

約138億年前に起こったビッグバンでは、誕生直後の宇宙が冷えるとともに、水素とヘリウム、それにごく少量のリチウムという3つの元素が最初に合成されたと考えられています。

なので、この直後に生まれた第一世代の星は、この3種類の元素だけでできているはずです。

そして、この第一世代の星々の中心核で、水素やヘリウムの核融合反応によってより重い元素が作られた後、その星が超新星爆発を起こすことで、重い元素が宇宙にバラまかれることになります。

第二世代以降の星は、バラまかれた元素を含むガス雲から生まれるので、星の中に重い元素を取り込むことになります。

このようにして星の生死が繰り返されることで、星に含まれる重い元素の量が徐々に増えていきます。

たとえば、太陽はビッグバンから何世代も後に生まれた恒星なので、木星14個分ほどの質量の重元素を含んでいます。


現在の宇宙で最も年老いた恒星

アメリカ・ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、さいだん座の方向約1950光年の距離に位置する恒星“2MASS J18082002-5104378”のスペクトル分析から、この星に暗い伴星が存在することに気付きます。

この伴星“2MASS J18082002-5104378 B”を構成しているのは、ほぼ水素、ヘリウム、リチウムだけ。
星に含まれる金属量は、水星の質量と同じくらいの“超低金属量星”で、これまでに知られている星の中では最も少ないものでした。
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天の川銀河の画像。
黄色い枠の位置に今回の伴星が発見された連星系“2MASS J18082002-5104378”がある。
極めて少ない金属量から考えられる可能性は、この星がビッグバンの直後に生まれた第一世代の天体か、それに近い天体だということ。
年齢は約135億歳と推定されていて、現在の宇宙に存在する恒星の中で最も年老いたものの1つとみられています。

これまでに30個ほど発見されている“超低金属量星”は、どれも太陽と同じくらいの質量でした。
でも、今回発見された伴星の質量は太陽の14%ほどしか無かったんですねー
  さらに、珍しいのは、この星が太陽と同じように天の川銀河の円盤の中を公転していること。
  普通の“超低金属量星”は、銀河円盤を横切って銀河面から離れるような軌道を持っている。



初期宇宙で作られた質量の小さな恒星は今も存在している

1990年代後半までは、宇宙で最初期に生まれる星は質量の大きな星のみだと考えられてきました。

こうした大質量星は、核融合の燃料を急速に使い果たしてすぐに超新星爆発を迎えてしまいます。
なので、現在の宇宙で最初期に生まれた星が観測されることは無いはずです。

でも、恒星進化の精密なシミュレーションが行えるようになると、ある種の条件のもとでは、初期宇宙でも質量の小さな星が作られ、ビッグバンから130億年以上たった現在の宇宙にも存在しうるという可能性が示されるようになります。

大質量星とは異なり、質量の小さな星は極めて長い寿命を持つことになります。
たとえば、質量が太陽の数分の1しかない赤色矮星の寿命は、数兆年と考えられているほどです。

今回、研究チームが見つけたことで、質量が非常に小さく金属量も非常に少ない星が他にも数多く存在し、宇宙で最初に誕生した星の一部が現在まで生き残っている可能性が示されました。

今後、さらに年老いた星が観測され、宇宙の第一世代の星について、非常に重要な情報をもたらしてくれるのかもしれません。

今回の観測が正しければ、完全にビッグバンで作られた元素だけからなる低質量星も存在するかもしれません。

天の川銀河の中でそのような天体はまだ発見されていませんが、存在する可能性は出てきましたね。


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彗星の尾の変化を調べていくと、小惑星や月、惑星の形成過程が分かってくる

2018年11月27日 | 宇宙 space
2007年1月に地球に接近し、南半球から昼間でも見える大彗星になった“マクノート彗星”。
当時の観測結果から分かったのは、扇のように広がったチリの尾に太陽風が影響を与えていたことでした。

このことは、今後の彗星の観測研究にとって重要な手掛かりになるのですが、新たな疑問も生まれています。

太陽風は太陽系初期のチリの集まり方に、どれだけの影響を与えていたのか?

このことが分かれば、チリが集まって小惑星や月、惑星を形成していった過程を知ることができるかも… 太陽の役割って謎が多いですね。


彗星の尾を調べると太陽の役割が分かってくる

彗星は、太陽系の外側にあるオールトの雲からやってくると考えられていて、約46億年前に太陽系が作られた時から残っている凍ったガスや岩石、チリを含んだ塊です。

なので、太陽系の初期の歴史についての重要な手がかりを含んでいる可能性があります。

彗星は太陽に近づくたびに熱で溶けて、放出されたチリは“ダストテイル”、気化したガスは“イオンテイル”として長く伸びた姿を見せてくれます。

このチリの振る舞いを調べることは、数十億年前にチリが集まって小惑星や月、惑星を形成していった過程を知る手掛かりになるようです。


昼間でも見えた大彗星“マクノート”

2006年8月に発見され、2007年1月に太陽に最も近づく場所“近日点”を通過した“マクノート彗星”は、南半球の空で昼間でも見える大彗星になり、この50年間で最も明るくなった彗星の1つとして知られています。

その尾は、1億6000万キロ以上にもわたって伸び、縞模様に見えるきれいな扇型の“ダストバンド”が印象的な姿でした。
○○○
2007年1月に地球に接近して大きな尾を見せた“マクノート彗星”
これと似たような尾の広がり方を見せた彗星として“1744年の大彗星(クリンケンベルグ彗星)”が知られていて、6本の尾が扇型に広がるように見えたという記録が残っています。
○○○
“1744年の大彗星(クリンケンベルグ彗星)”
1744年3月9日の日の出前に描かれた。
“マクノート彗星”の出現は、こうした尾ができる仕組みや、詳細な構造を理解するのに一役買うと期待されることになります。


尾の縞模様にある不規則な切れ目

イギリス・ミュラード宇宙科学研究所のチームは、太陽観測衛星“STEREO”と“SOHO”がとらえた“マクノート彗星”の画像から、尾の縞模様に不規則な切れ目のようなものを見つけます。

この箇所は、ちょうど太陽の磁場や磁極が変わる境界“太陽圏電流シート”の位置に当たるように見えていました。

でも、これは研究者にとっては不思議なことでした。
それは、“イオンテイル”ならともかく、“マクノート彗星”のチリは太陽風によって吹き飛ばされるには重すぎると考えたから…
ただ、この謎を解くのは容易では無かったんですねー

“マクノート彗星”は、秒速約96キロもの速度で“STEREO”と“SOHO”の視野をせわしく動いていきます。
観測データは豊富に取れたのですが、尾の変化の全体像を見極めるには十分ではありませんでした。

それは、異なる探査機の異なるカメラ、異なる視点から撮影した画像を適切に統合解析する必要があったからです。


彗星のチリの動きに影響を与えていたのは太陽風だった

チリのサイズや物理的条件、彗星の核から放出された時期などを考慮してシミュレーションを行った結果、2週間にわたる彗星の尾の構造と進化が分かります。

尾がどのように崩壊して縞模様が見られるようになったのかが明らかになったんですねー

そして分かったのが、やはり“太陽圏電流シート”が“ダストテイル”にも影響していること。
彗星の尾が曲がっているのは、チリが帯電していて、太陽風がそのチリの動きに影響しているという強い証拠になりました。

この研究の結果は、過去に出現した彗星の尾の性質を明らかにし、今後の彗星の観測研究にとって重要な手掛かりになります。

今回の研究で、太陽風が“マクノート彗星”の尾の位置を変えたことが分かりました。
そうすると、太陽風は太陽系初期のチリの集まり方にどれだけの影響を与えたのでしょうか?

太陽系の形成や太陽系初期に、太陽はどのような役割をしていたのか? っという新たな疑問が生まれましたね。


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天の川銀河の星々の動きを調べて分かったこと。銀河ハローに存在する恒星の大半は、衝突によって他の銀河からやってきていた。

2018年11月25日 | 宇宙 space
位置天文衛星“ガイア”の観測データなどを使った研究から分かったことがあります。

それは、天の川銀河のハローに分布する恒星の大半が、約100億年前に天の川銀河と衝突、合体した銀河“ガイア・エンケラドス”からやってきたということ。

全天に散らばった星々の動きを調べることで、いまの天の川銀河がどうやって形成されたのかが分かってくるようです。


奇妙な動きをする星々

天の川銀河のような大きな銀河は、他の銀河との衝突や合体を繰り返して、いま見られるような姿になったと考えられています。

でも、まだ分かっていないのが、天の川銀河が多くの小銀河の合体で形成されたのか、あるいは比較的大きな数個の銀河の合体で形成されたのかということ。

この天の川銀河の過去については、オランダ・フローニンゲン大学の研究チームが、位置天文衛星“ガイア”が観測した恒星のデータ用いて研究を進めています。
  “ガイア”はヨーロッパ宇宙機関が運用する位置天文衛星。
  天の川銀河に属する恒星の位置と速度をきわめて精密に測定・記録している。

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今年の4月に公開された“ガイア”の第2期データ“DR2”には、約17億個の恒星の位置や運動の情報が含まれていて、特にそのうち700万個の星については3次元的な速度も測定されています。

そのデータを使って行われたのが星の動きを描画していくこと。

すると、3万個ほどの星の動きが、天の川銀河に含まれる約1000億個の星の大部分とは反対方向であり、細長い軌道を描いている様子が明らかになってきます。

また、スローン・デジタル・スカイサーベイの装置“APOGEE”を使った分光観測で得られたデータで星の化学組成を調べてみると、奇妙な動きの星々は共通して、天の川銀河の星々とは異なる性質を持っていることも分かります。

さらに、この奇妙な動きをしている星々は、銀河を球状に取り巻くハローと呼ばれる部分の大半を占めていました。
  ハローは銀河全体を包み込むように希薄な星間物質や球状星団が、
  まばらに分布している球状の領域。

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シミュレーション結果と観測データをもとに作られた、
変わった動きを見せる星々の位置や運動を示したイラスト。


若い天の川銀河が経験した大きな衝突

研究では、過去に行われたシミュレーション研究の結果との比較もしています。
その結果考えられることは、これらの星々が約100億年前に若い天の川銀河と衝突、合体した銀河からやって来たということ。

この衝突したとされる銀河は、研究チームによって“ガイア・エンケラドス”と名付けられます。
  “エンケラドス”はギリシャ神話の巨神で、女神“ガイア”の子になる。

“ガイア・エンケラドス”の質量は小マゼラン雲よりも少し大きい程度。
ただ、“ガイア・エンケラドス”は100億年前のまだ小さかった天の川銀河に対して、4分の1ほどの質量になるので衝突は相対的にかなり大きかったといえるんですねー

また、この衝突によって天の川銀河の円盤部が過熱され、厚みが増したそうです。

神話では“エンケラドス”はシチリア島のエトナ火山の下に埋められていて、地震が起こるのは彼のせいだとされています。
“ガイア・エンケラドス”の星々も、位置天文衛星“ガイア”の観測データの中に埋められていました。
その星々が天の川銀河を揺らして、厚い円盤を形成したというわけです。

さらに、“ガイア・エンケラドス”由来の星々と同じような軌道で動く、数百の変光星と13個の球状星団も見つかっています。
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“ガイア・エンケラドス”由来と考えられる天体の全天分布図。
カラースケールはふつうの星で、紫は太陽に近く黄色が遠い。
白い円は球状星団、星マークは変光星。
今回の研究で、全天に散らばった星々の動きを調べることで、天の川銀河の歴史を巻き戻して、銀河の形成過程における大きなマイルスストーンを発見できることが分かりました。

それを可能にしてくれたのが、2014年から天の川銀河の恒星を観測し続けてくれている“ガイア”なんですね。


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いまだ解明されていないエウロパの熱的地質活動ってなに? アルマ望遠鏡から得られた熱放射マップから分かること

2018年11月24日 | 宇宙 space
地下には海があって、そこには生命が存在する… っと考えられている木星の第2衛星エウロパ。
その衛星エウロパの全球をカバーする熱放射マップが、アルマ望遠鏡による観測から始めて作成されたんですねー

そして分かってきたのが、北半球の一部には低温の領域があること。
温度にばらつきが生じる理由は分かっていませんが、どうやら表面にある物質が場所によって異なっていることが原因のようです。
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エウロパの表面は場所によって温度のムラがある

カリフォルニア工科大学の研究チームが、アルマ望遠鏡を使った観測で、木星の衛星エウロパの全球をカバーする熱放射マップを作ることに初めて成功しました。

マップの解像度は、エウロパ表面にある長さ約200キロの構造を見分けられるほど高いもの。
地上からの電波観測で、これほどの解像度が得られるのはアルマ望遠鏡ならではのことなんですねー
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アルマ望遠鏡で得られたエウロパの表面画像。
左から2015年11月17日、25日、26日、27日に観測されたもの。
研究チームはアルマ望遠鏡を使ってエウロパを4回観測した後、1990年代にNASAの木星探査機“ガリレオ”で得られたエウロパの温度モデルと比較。

その結果明らかになったのは、エウロパの表面は場所によって温度のムラがあり、北半球の一部には低温の領域が存在すること。

表面温度にばらつきが生じる理由は分かっていませんが、表面にある物質の温まりやすさが場所によって異なっているのかもしれません。


表面の温度から地質活動の発生場所や範囲が分かる

エウロパの表面には割れ目や裂け目といった複雑な地形があります。

これらの地形ができたのは2000万年前から1億8000万年前だと推定されていて、太陽系の46億年の歴史から考えると非常に若い地形といえます。

また、表面の薄い氷の層の下には塩水の海が存在していて、岩石質の核と接触しているという強い証拠もあります。

そのため、エウロパの表面や内部では、いまだ解明されていない熱的な地質活動が起こっているようです。

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エウロパは地質学的に活動が活発で、地下に海を持つ天体だと考えられています。
なので、表面の温度から地質活動の発生場所や範囲を特定できるかもしれないんですねー

その意味でも、アルマ望遠鏡がもたらしてくれたエウロパ全球の熱放射マップは、大変重要なデータになります。


温度の低い天体の熱放射は電波望遠鏡だから観測できた

エウロパの表面は、最高でも摂氏マイナス160度以上の温度になることはありません。
なので、エウロパからの熱放射は電波望遠鏡の観測対象といえます。

それは、彗星や小惑星、衛星といった温度の低い太陽系天体が放射する熱放射は、アルマ望遠鏡のような電波望遠鏡やミリ波望遠鏡でないと検出することができないから。
光学望遠鏡で惑星や衛星を観測する場合には、これらの天体が反射した太陽光しかとらえることが出来ないんですねー

エウロパの表面で何が起こっているのか?
エウロパの熱的な性質を調べていけば、現象を理解するヒントが得られそうですね。


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惑星状星雲の中心にお互いが非常に近づいている連星を発見! 数千年のうちに新星爆発が起こるかも…

2018年11月22日 | 宇宙 space
間接的な証拠から中心に連星が存在していると考えられていた惑星状星雲に、連星が見つかりました。

この連星系の公転周期はわずか3時間強で、惑星状星雲の中心に存在するものとしては最短の部類に入るもの。

ただ、接触しそうなほど接近しているので区別することが難しかったんですねー
連星だと分かったのは、片方の星がもう一方の星の手前を通過する時の明るさの変化からでした。

数千年以内には、物質の流れ込みによって新星爆発を起こり、連星系の明るさは一時的に100万倍にもなるそうです。


中心に連星を持つ惑星状星雲

太陽のような比較的軽い恒星は、一生の最後の段階に外装を放出して、ガスやチリからなるシェル構造を形成します。

こうしたシェル構造が、恒星からの紫外線で照らされて輝くのが“惑星状星雲”と呼ばれる天体です。

惑星状星雲の複雑な構造の形成には、多くの場合で伴星が重要な役割を果たしていることがあります。

その一例になるのが、おおいぬ座の方向約1万4000光年彼方にある惑星状星雲“M3-1”。
“M3-1”には、連星の相互作用による典型的な特徴になる、明るいジェットとフィラメントが見られるんですねー

このことから、“M3-1”の中心星に連星が存在していることは間違いないと考えられてきました。
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ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた惑星状星雲“M3-1”


今後数千年のうちに新星爆発が起こるかもしれない

今回の研究では、スペイン・カナリア天体物理研究所のチームは、ヨーロッパ南天天文台の複数の望遠鏡を使って“M3-1”を数年間観測しています。

そして、観測から確認できたのが、惑星状星雲の中心には連星系があること。

ただ、“M3-1”の連星はお互い非常に近づいているので区別することができず…
連星だと分かったのは、片方の星がもう一方の星の手前を通過する時に変化する明るさからでした。

この連星系の公転周期は、わずか3時間強。
惑星状星雲の中心に存在するものとしては最短の部類に入るそうです。

さらに分かったことは、この連星が白色矮星と軽い主系列星のペアだということ。

この組み合わせでは、主系列星から白色矮星へと物質が流れ込むことで“新星爆発”が起こる可能性があるんですねー
流れ込んだ物質の量が臨界に達すると激しい熱核爆発が起こり、連星系の明るさは一時的に100万倍にもなるはずです。

観測で得られた十分なデータから、連星について質量や温度、半径といった特徴が分かってきました。
互いの星は接触しそうなほど接近しているので、今後数千年のうちに新星爆発が起こるかもしれません。

でも、このことを現在の理論で説明するのは困難なようです。

それは、惑星状星雲ができる頃には、連星はお互いに非常に離れてしまい、新星爆発に至る相互作用が起こるほどに再び近づく頃には、周囲の星雲はとっくに雲散していると考えられるからです。

2007年に発見された、こぎつね座の新星は惑星状星雲の中で発生しました。
ひょっとすると、こぎつね座の不思議な現象の数千年前の姿が“M3-1”なのかもしれません。

研究チームでは、新星や超新星の起源や物理的プロセスの理解に役立てるため、今後も“M3-1”や似たような天体の研究をさらに進めるそうですよ。


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