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銀河同士の衝突は正面でなく斜めから? 6億年延期された天の川とアンドロメダの衝突

2019年03月04日 | 銀河・銀河団
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位置天文衛星“ガイア”による星の動きの観測から分かったこと。
それは、天の川銀河とアンドロメダ座大銀河の衝突が起こるのが約45億年後ということでした。
これまでの見積りよりも6億年も先になるようです。


近づきつつある2つの銀河同士はどう衝突するのか?

私たちのいる太陽系は“天の川銀河”の中にあります。
その“天の川銀河”も、50個ほどの銀河からなる“局部銀河群”と呼ばれる銀河のグループに属しているんですねー

この“局部銀河群”に含まれているのが、“天の川銀河”から約250万光年ほど離れたところにある渦巻銀河“アンドロメダ大銀河(M31)”や“さんかく座銀河(M33)”です。

“天の川銀河”と“アンドロメダ座大銀河”は近づきつつあり、数十億年後には衝突することが、これまでの研究で分かっています。
ただ、銀河の3次元的な動きははっきりと分かっていないので、銀河同士がどう衝突するのかは不明確でした。


衝突は45億年後に起こる

そこで、アメリカ・宇宙望遠鏡科学研究所のチームが進めているのが、ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星“ガイア”の観測データを用いて、銀河がどのように動いているのかを調べる研究です。

“ガイア”の主目的は“天の川銀河”に含まれる恒星の位置と動きを調べること。
でも、“アンドロメダ座大銀河”や“さんかく座銀河”は近距離にあるので、それぞれの銀河に含まれる大質量の明るい星は観測できました。

そのデータから、これらの星が銀河内をどのように公転しているかを調査しています。
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“アンドロメダ座大銀河”内の星の動き。
黄色い矢印は、それぞれの位置にある星の平均的な運動の方向を表している。
銀河の画像はNASAの紫外線天文衛星“GALEX”がとらえたもの。
さらに、“ガイア”のデータと既存の観測データとを合わせることで、“アンドロメダ座大銀河”と“さんかく座銀河”が過去未来の数十億年間でどのように運動するのかを計算。

これまで、“さんかく座銀河”は過去に“アンドロメダ座大銀河”と接近したかもしれないと考えられたこともありました。
でも、今回の研究によりこの説は否定されることになります。

また、今回の結果で示されている“アンドロメダ座大銀河”の動きがこれまでの推定と異なっているので、“天の川銀河”と“アンドロメダ座大銀河”の衝突のタイミングも以前の予想とは異なる可能性が出てきたんですねー

これまで40億年後とされていた銀河同士の衝突は、今回の研究結果により約45億年後に起こることになり、正面衝突ではなく斜めからぶつかるような動きになるようです。
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“天の川銀河”(青)、“アンドロメダ座大銀河”(赤)、“さんかく座銀河”(緑)の移動経路。
>印は25億年後、Ⅹ印は45億年後の位置(スケールバーの単位は100万光年)。



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水星の棒磁石はなぜ北にズレているのか? 自発的に生成・維持していることがシミュレーション研究で解明

2019年03月02日 | 水星の探査
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水星内部のダイナモ作用のシミュレーション研究から、水星磁場の“棒磁石”が中心から北にズレている理由が解明されました。
中心核内部の磁場が自己調整機構によって対流をコントロールすることで、自発的に生成。維持されているそうです。


水星の固有磁場

2008年のこと、NASAの水星探査機“メッセンジャー”の観測により、水星が地球のような固有磁場を持つことが明らかになりました。

大規模な固有磁場は、水星内部の中心核のダイナモ作用によって磁場が作られている証拠になるので、この発見は水星の起源や進化を明らかにするうえで重要な成果でした。

さらに、その後の観測から分かったのが、水星磁場の双極子(棒磁石)が北に大きくズレていること。

地球の磁場では、双極子はほぼ地球の中心にあります。
この双極子のズレは、“メッセンジャー”の観測成果の中でも最も重要な発見の1つなんですが、その原因は一切明らかになっていません。
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地球と水星内部の仮想的な棒磁石の位置。
地球の磁場は地球中心に置いた棒磁石でよく表現できるが、
水星では棒磁石を水星半径の5分の1にあたる約500キロ北にズラさないと、
観測結果を説明できない。


棒磁石のズレは自発的に生成・維持されている

今回の研究では、水星中心核の熱化学的状態を模した最新の実験や理論計算をもとに、新たな水星内部構造モデルを作成しています。

このモデルを“ダイナモモデル”に組み入れ、水星中心核の対流とそれに伴うダイナモ作用を数値的にシミュレーション。
すると、特定のモデルで、北にズレる双極子をはじめとする水星磁場の特徴をすべて再現するシミュレーション結果が得られたんですねー
  ダイナモ作用は、天体が大規模な磁場を生成・維持するためのメカニズム。

さらに、詳細な解析によって明らかになったのは、中心核の対流で作られた磁場が、電磁場中で運動する荷電粒子、電流に作用する力になる“ローレンツ力”を通じて対流構造を調整することによって、北にズレた双極子を自発的に生成・維持していること。
  研究グループでは、これを「自己調整(self-regulation)」と命名している。
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自己調整が働く場合(上)と磁場によって自己調整が働かない場合(下)の、
水星表面での磁場動径成分の分布図。
赤色が内向き、青色が外向きの磁場、磁場により自己調整機構がオフになると形態が維持されず、
全く異なる磁場構造になることが分かる。
地球磁場と水星磁場の相違を明らかにすることは、水星だけでなく地球を理解することにもつながる重要な研究テーマになります。

昨年10月には、日欧共同の水星探査計画“ベビコロンボ”によって、日本の水星磁気圏探査機“みお”が打ち上げられ、いま水星に向かっているところです。
  水星磁気圏探査機“みお(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)”

今回の研究成果や、将来の“みお”の観測による詳細な磁場データによって、水星ダイナモのメカニズムが明らかになり、水星の起源や進化に関する理解が飛躍的に深まることが期待されますね。


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