宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

プログレスM-21M補給船、新型ドッキングシステムの試験に成功!

2014年04月30日 | 宇宙 space
国際宇宙ステーション(ISS)にドッキング中だったプログレスM-21M補給船が23日、搭載している新型のランデブー・ドッキング・システムの試験のためISSから分離し、単独飛行に入りました。

ドッキングしていたISSのズヴェズダ・モジュールから出港したあと、
2日後に新型のランデブー・ドッキング・システムを使い、再度ISSにドッキングすることになります。

この新型システムはクールスNAと呼ばれ、自動でISSにランデブーとドッキングを行うためのものなんですねー

現在、プログレス補給船やソユーズ宇宙船には、クールスかクールスAと呼ばれるシステムが使われています。
ただ、このシステムは合計6基ものアンテナを使い、展開するアンテナが多く、またウクライナ製の部品を使用していることが短所でした。

そこで2003年から、アンテナの数を減らし、可動部分と消費電力を少なくしたロシア製のクールスNAの開発が始まります。
ちなみにクールスNAでは、クールスAで使われている6基のアンテナのうち、4基が1基のアンテナに置き換えられていたりします。

クールスNAは、2012年に打ち上げられたプログレスM-15M補給船に初めて搭載。
ISSへのランデブー・ドッキングで試験が行われたのですが、最終的にはドッキングに成功したものの、途中でシステムが落ちるなどの不具合に見舞われたんですねー

なので、今回のプログレスM-21Mは2度目のクールスNAの試験になります。
また、プログレスM-15Mでは予備としてクールスAも搭載されていたのですが、プログレスM-21MではクールスNAのみの搭載になっています。

でも、ISSに50メートルまで接近したところで不具合が発生、
結局バックアップとして搭載しているTORUと呼ばれる手動のシステムを使い、ISSに滞在している宇宙飛行士の操縦でドッキングを果たしています。

失敗の原因は、想定より低かった船内温度なんだとか…
なのでヒーターを全開にし温度を上げて行われた試験は、無事成功に終わったんですねー

クールスNAは、数年以内に登場する予定の次世代のプログレスMS補給船と、ソユーズMS宇宙船で正式採用される予定です。
ウクライナとの関係が悪化しているなか、クールスNAはロシアにとってなんとしてでも、ものにしなければならない技術だったんですねー

ウクライナの技術を排除したロシアの宇宙技術がどの程度のものか…
また、問題にどう対応できるのか?
今回の再ドッキングの試験の成功は満足できるものなんですが、まだ少し不安は残りますね。

原始宇宙で、銀河の作られる様子

2014年04月29日 | 宇宙のはじまり?
すばる望遠鏡を用いた観測で、
宇宙誕生10億年後のガンマ線バーストに、中性水素の兆候が見つかりました。
このことは、中性水素ガスが電離されていった“宇宙再電離”以前の時代に踏み込む研究成果になるんですねー
再電離の経過

138億年前に宇宙が生まれた当初は、原子核と電子がバラバラの電離した状態にありました。

そして、誕生から約38万年経ったころに、宇宙は膨張によって冷え、それによって原子核と電子が結合し、電気的に中性な水素原子が形成されることになります。

およそ10億年後には、宇宙で初めての銀河や星が生まれ、
それらが放つ紫外線で水素が再び電離されていく“宇宙再電離”が起こるんですねー

それから現在に至るまで、宇宙の水素の大半は電離状態の銀河ガスとして存在しています。


再電離がいつどのように起こったのかを探るため、
遠方の宇宙(つまり昔の宇宙)の観測から、再電離が起こる前に存在したはずの中性水素ガスを検出する試みが進められてきました。


今回の研究では、2013年6月に観測された明るいガンマ線バースト“GRB 130606A”が調べられることになります。
この強いガンマ線バーストは、大質量星の爆発現象によるとみられています。

誕生から約10億年経ったころの宇宙から届いたこの光を、
すばる望遠鏡で観測、分析したところ、中性度が10%以上の水素ガスの痕跡がスペクトルから検出。
ガンマ線バーストの図解

バースト源の周囲で、これほど中性度の高い銀河間ガスの兆候が見つかったのは初めてで、
再電離前の中性水素ガスが、バースト発生当時まだ残っていたことを示す結果になったんですねー

遠方宇宙の観測は、再電離よりさらに前の時代に踏み込みつつあります。
次世代望遠鏡などを用いた今後の研究により、原始宇宙で銀河が作られる様子が、さらに明らかになるといいですね。
ガンマ線バースト“GRB 130606A”の
可視光スペクトルに現れた中性水素の痕跡

風が吹いて息を吹き返した! 火星探査車“オポチュニティ”

2014年04月28日 | 火星の探査
今年初めに火星着陸10周年を迎えた、NASAの火星探査車“オポチュニティ”。
太陽電池パネルに積もったチリが、風できれいに吹き払われ、パワーアップしてミッションを続行中なんですねー
3月下旬、再びきれいになった
“オポチュニティ”の太陽電池パネル。
火星で6回目の冬を迎えている“オポチュニティ”の自分撮り画像が公開されました。

今年1月の画像と比べると、太陽電池パネルに積もっていたチリが、風できれいに吹き払われているのが分かるんですねー

太陽電池で動く探査車にとって太陽光は重要なエネルギー源になります。

火星で初めて水の氷を検出した着陸機“フェニックス”は、太陽電池パネルにチリが積もったため、
また、“オポチュニティ”の双子機“スピリット”は、砂地にはまって太陽の方を向けなくなったため電力不足となり、それぞれ運用終了を余儀なくされています。

なので、今回吹いた風によって太陽光を存分に浴びられるようになった“オポチュニティ”は、まさに息を吹き返したと言えるんですねー

発電能力が上がり、得られる電力は1月の375ワットから4月中旬には620ワットにまで増加。
パワーアップした“オポチュニティ”は、冬の間“Murray Ridge”と呼ばれる畝状地形を調査し、
水が豊富に存在したと考えられる、古代の火星の環境を探っていくことになります。

バルジが大きい銀河は赤い

2014年04月27日 | 宇宙 space
バルジと呼ばれる銀河中心部の膨らみ、
この部分の質量と銀河の色とが比較的単純な関係にあることが、50万個もの銀河の解析から明らかになりました。
今回分析された銀河の一部
銀河の星の総質量は下から上へ行くほど大きく、
全体に対する“バルジ”の割合は左から右へ行くほど大きい。

宇宙には数十億個の銀河が存在し、その銀河1つ1つに数十万から数千億個の星が存在しています。

銀河の多くは楕円形で、その色は赤く、ほとんどが年老いた星で構成されているのですが、
渦巻銀河に存在する平均的な星は、楕円銀河を構成する星よりもはるかに若い傾向にあるんですねー

今回、“スローン・デジタル・スカイサーベイ”のデータを用いて、50万個もの銀河を質量や形、色によって分類。
さらに、パターン認識ソフトウェアを使って個々の銀河の形を詳しく調べ、
銀河に存在する赤い星の割合が、他の物理量とどのような関係を見せているのかを確認しています。

その結果、銀河の色と銀河中心部の膨らみ“バルジ”の質量が、
比較的単純な関係にあることが分かったんですねー

これは、銀河円盤の大きさに関係なく、
“バルジ”の質量そのものが銀河全体の色を知る鍵になるということで、
“バルジ”の質量が一定以上の場合、銀河は赤く、そこに若い星は存在しないそうです。

ただ、ほとんどの銀河の中心には超巨大質量ブラックホールが存在しているので、
“バルジ”の質量は、ブラックホールの質量と密接に関係することになります。

そして、ブラックホールの質量が大きいほど、
より多くのエネルギーが強力なジェットやX線放射の形で放出され、
周囲のガスが吹き飛ばされたり、高温になったりして星の形成が妨げられます。

より大きな“バルジ”は、より赤い銀河である…
っという、比較的単純な今回の結果が示している事柄は重要で、
“バルジ”が大きいということはブラックホールも大きく、
結果、ブラックホールの活動によって星の形成が止まってしまう、ということを意味しているんですねー