天の川銀河の中心には超大質量ブラックホール“いて座A*”があります。
この“いて座A*”周辺に、異常な速度をもつ小さな分子雲が発見されたんですねー
分子雲は、なぜこのような振る舞いをするのか?
疑問を解く鍵は孤立した“野良ブラックホール”にあるようです。
“野良ブラックホール”が巨大分子雲に高速で飛び込み、
重力で引き寄せられた部分が局所的に加速された結果らしいですよ。
恒星質量ブラックホール
天の川銀河内には、
太陽の数倍から十数倍の質量を持つ軽いブラックホール“恒星質量ブラックホール”が、
数億個存在すると理論的に予言されています。
でも、これまでに発見されている候補天体の数は60個ほど…
見つからない理由は、多くのブラックホールが伴星を持たず孤立した“野良”状態にあるようです。
恒星質量ブラックホールは、
その周囲に広がる降着円盤から放出されるX線を検出することで発見されてきました。
ただ、降着円盤を継続的に輝かせるのには、
ブラックホールのすぐ近傍に物質供給源となる伴星が必要になるんですねー
なので“野良”状態だと、降着円盤からX線が放出されず発見が出来ないということです。
中間質量ブラックホールは球状星団の中心に隠れていた
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特異分子雲を発見
今回、研究チームでは、
天の川銀河の中心核“いて座A*”から約30光年以内の領域をサブミリ波で分光観測。
東アジア天文台のジェームズ・クラーク・マックスウェル電波望遠鏡を用いて、
“いて座A*”周辺の分子ガスの運動と物理状態を調べています。
観測の過程では同領域内に、直径3光年程度と小型で、
周囲の既に知られている分子雲とは明らかに異質な運動をしている2つの分子雲を発見。
そして詳細な解析から、これらの特異分子雲はそれぞれが太陽の十数倍の質量を持ち、
太陽が1秒間に放出するエネルギーの約20兆倍もの膨大な運動エネルギーを持っていることが分かります。
超大質量ブラックホールのそばに新種の分子ガス雲を発見
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運動エネルギーはどこから?
膨大な運動エネルギーの起源として挙げられるのは、
超新星爆発との相互作用や重い原始星からの双曲流などです。
でも、2つの分子雲にその痕跡は見当たらなかったんですねー
このことから、既知の天体現象以外の“何か”が、
特異分子雲の駆動源になっていることが示されることになります。
そこで研究チームが考えたのは、
“点状重力源が巨大分子雲へ高速で突入し、
重力で引き寄せられた部分が局所的に加速されることで生じる”
っというシナリオでした。
この“突入モデル”によると、
1.太陽と同程度の質量を持つ天体が、秒速約1000キロの超高速で分子雲に突入。
2.太陽の十倍程度以上の質量を持つ天体が、秒速約100キロの高速で分子雲に突入。
のいずれかの場合に、発見されたような特異分子雲が発生するそうです。
1番目の場合、突入天体の候補としては、
天の川銀河の重力を振り切るほどの超高速度で運動する軽い恒星“超高速度星”が挙げられます。
でも“超高速度星”は、これまで天の川銀河中心部には発見されておらず、
大質量星やブラックホールの数に比べて極めて少ないことが理論的に予言されているので、
可能性は低いんですねー
一方、2番目のモデルでは、
突入天体の候補は大質量星か恒星質量ブラックホールと考えられています。
さらに、分子雲方向に大質量星のような強力な放射源の存在は確認されていません。
なので、今回発見された2つの特異分子雲の駆動源は、
“いて座A*”の周りを飛び交う“野良ブラックホール”という可能性が高いことになります。
今回の研究は、天の川銀河の中心の超大質量ブラックホール近傍を、
複数個の“野良ブラックホール”が飛び交っている可能性を、
初めて観測的に示したものになります。
天の川銀河の中心核から30光年以内の領域には、
1万個以上ものブラックホールが潜んでいるという理論予測もあり、
その一端をとらえたという点で有意義な成果になるそうですよ。
こちらの記事もどうぞ
駆動源は野良ブラックホール? 天の川を打ち抜く超音速の弾丸
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この“いて座A*”周辺に、異常な速度をもつ小さな分子雲が発見されたんですねー
分子雲は、なぜこのような振る舞いをするのか?
疑問を解く鍵は孤立した“野良ブラックホール”にあるようです。
“野良ブラックホール”が巨大分子雲に高速で飛び込み、
重力で引き寄せられた部分が局所的に加速された結果らしいですよ。
恒星質量ブラックホール
天の川銀河内には、
太陽の数倍から十数倍の質量を持つ軽いブラックホール“恒星質量ブラックホール”が、
数億個存在すると理論的に予言されています。
でも、これまでに発見されている候補天体の数は60個ほど…
見つからない理由は、多くのブラックホールが伴星を持たず孤立した“野良”状態にあるようです。
恒星質量ブラックホールは、
その周囲に広がる降着円盤から放出されるX線を検出することで発見されてきました。
ただ、降着円盤を継続的に輝かせるのには、
ブラックホールのすぐ近傍に物質供給源となる伴星が必要になるんですねー
なので“野良”状態だと、降着円盤からX線が放出されず発見が出来ないということです。
中間質量ブラックホールは球状星団の中心に隠れていた
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特異分子雲を発見
今回、研究チームでは、
天の川銀河の中心核“いて座A*”から約30光年以内の領域をサブミリ波で分光観測。
東アジア天文台のジェームズ・クラーク・マックスウェル電波望遠鏡を用いて、
“いて座A*”周辺の分子ガスの運動と物理状態を調べています。
観測の過程では同領域内に、直径3光年程度と小型で、
周囲の既に知られている分子雲とは明らかに異質な運動をしている2つの分子雲を発見。
そして詳細な解析から、これらの特異分子雲はそれぞれが太陽の十数倍の質量を持ち、
太陽が1秒間に放出するエネルギーの約20兆倍もの膨大な運動エネルギーを持っていることが分かります。
超大質量ブラックホールのそばに新種の分子ガス雲を発見
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運動エネルギーはどこから?
膨大な運動エネルギーの起源として挙げられるのは、
超新星爆発との相互作用や重い原始星からの双曲流などです。
でも、2つの分子雲にその痕跡は見当たらなかったんですねー
このことから、既知の天体現象以外の“何か”が、
特異分子雲の駆動源になっていることが示されることになります。
そこで研究チームが考えたのは、
“点状重力源が巨大分子雲へ高速で突入し、
重力で引き寄せられた部分が局所的に加速されることで生じる”
っというシナリオでした。
この“突入モデル”によると、
1.太陽と同程度の質量を持つ天体が、秒速約1000キロの超高速で分子雲に突入。
2.太陽の十倍程度以上の質量を持つ天体が、秒速約100キロの高速で分子雲に突入。
のいずれかの場合に、発見されたような特異分子雲が発生するそうです。
1番目の場合、突入天体の候補としては、
天の川銀河の重力を振り切るほどの超高速度で運動する軽い恒星“超高速度星”が挙げられます。
でも“超高速度星”は、これまで天の川銀河中心部には発見されておらず、
大質量星やブラックホールの数に比べて極めて少ないことが理論的に予言されているので、
可能性は低いんですねー
一方、2番目のモデルでは、
突入天体の候補は大質量星か恒星質量ブラックホールと考えられています。
さらに、分子雲方向に大質量星のような強力な放射源の存在は確認されていません。
なので、今回発見された2つの特異分子雲の駆動源は、
“いて座A*”の周りを飛び交う“野良ブラックホール”という可能性が高いことになります。
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天の川銀河中心部を飛び交う“野良ブラックホール”(イメージ図) |
今回の研究は、天の川銀河の中心の超大質量ブラックホール近傍を、
複数個の“野良ブラックホール”が飛び交っている可能性を、
初めて観測的に示したものになります。
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1万個以上ものブラックホールが潜んでいるという理論予測もあり、
その一端をとらえたという点で有意義な成果になるそうですよ。
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