宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

太陽の表面で発生する超大型“磁気竜巻”

2012年06月30日 | 宇宙 space
ノルウェーのオスロ大学の研究チームが、
宇宙と地上の望遠鏡観測データを分析して、太陽表面に超大型の磁気竜巻を発見しました。

この竜巻、非常に高温のプラズマが渦を巻いているんですねー
高さは約2900キロ、時速1万4500キロで回転しているそうです。

太陽の表面で発生する竜巻は2008年に兆候を把握していたのですが、
実際に確認したのは今回が初めてです。

調査した範囲は太陽大気の一部なんですが、
結果から全体を推測すると、常に1万1000個程度の竜巻が発生しているようです。

コロナは太陽の表面よりはるかに温度が高く、何かが熱エネルギーを運んでコロナを加熱しているようです。
太陽の表面から離れていけば温度が下がると思うのですが… 不思議ですよねー

熱の運び屋としては、
 絶え間なく太陽から放出される「無数の微小な太陽フレア」と、時速1450キロで太陽の磁力線沿って移動する「アルベーン波」
が候補なのですが、今回この磁気竜巻が加わりました。

研究チームは磁気竜巻の構造を説明するコンピュータモデルを開発。
その結果は、口径1メートルのスウェーデン太陽望遠鏡と、NASAの太陽観測衛星“ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー”による観測データとほぼ一致したんですねー





太陽大気の中で渦を巻く
磁気竜巻の3次元シミュレーション



コンピュータモデルでは、太陽の磁気竜巻は表面付近の高温の粒子が大気中に急上昇し、再び落下するときに発生すると考えられています。
粒子の落下運動により太陽の磁力線に回転が加わり、渦が生れるそうです。

そして乱雑に回転する磁力線は、数千キロも伸びてコロナに到達し、
表面付近の高温プラズマを運び上げます。
超大型の磁気竜巻は約13分にわたって続くそうです。

ただ、現時点ではデータ不足なんですねー
11年の太陽活動の周期で、数や強さがどう変動するのか? など分かっていないこともあります。

最近の観測で巨大竜巻の急増が確認されましたが、2013年5月の極大期が近づいていることが原因かもしれません。

研究チームは現在、さらなる観測データの収集を進めています。
十分なデータ収集まで、コンピュータシミュレーションの結果は太陽系外の調査に活用するそうです。

他の恒星でも磁気竜巻は発生するんですかねー

X線天文学の誕生50周年記念に… “MAXI”X線新星を発見

2012年06月28日 | 宇宙 space
6月14日、国際宇宙ステーション(ISS)の全天X線監視装置“MAXI”が、“へびつかい座”方向に新しいX線源をとらえました。

この天体に気付いたのは自動検出でなく、実は人による目視なんですねー

“MAXI”が1日おきにとらえた画像(1枚目)に、特異な赤色に輝く揺らぎのような新星が現れていたのが見つかっていました。


6月14日からの5日間にMAXIが検出した天体
aが今回のX線新星“MAXI J1647-227”
bは2007年に発見され、
最近再び現れた“IGR J17191-2821”
cは球状星団“Terzan 2”の中の中性子星
dも中性子星の再活動が速報された“さいだん座X-1”


でも、観測条件が悪かったため、画像ノイズとの区別が難しかったんですねー
けっきょく半日分のデータを溜めて、ようやく確認できたとか…
これが“MAXI”による9個目の発見となりました。

この発見を受けて、アメリカのガンマ線観測衛星“スウィフト”でも追跡観測が行われ新X線天体を確認しました。
その後、可視光でも観測され「青みがかった暗い星」であることが分かりました。

このX線新星“MAXI J1647-227”から10度ほど離れた位置にあるのが“さそり座X-1”です。
ちょうど50年前の1962年6月18日に、世界で初めて発見されたX線源なんですねー

当時、ほとんどX線だけで輝いている天体の発見は、天文学者だけでなく世界の科学界に衝撃を与えました。
この結果、天文学の世界に中性子星やブラックホールが登場し、現代天文学の礎が築かれることになります。

今回のX線新星では、中性子星の特徴である「爆発的なX線放射」が見つかっています。
これにより、“さそり座X-1”と同類の天体だと分かったんですねー

MAXIの発見は、X線天文学の誕生50周年に記念すべきものとなりました (^^

隕石から分かった、火星内部の大量の水

2012年06月27日 | 火星の探査
地球に飛来した火星の隕石から、火星内部のマントルに豊富な水が存在することが分かりました。

なんでも、「海」っと呼べるほど大量にあるようなんですねー

調査に使った隕石は2つ、火星内部を起源とするシャーゴッタイト隕石です。

この隕石は玄武岩のため、地下深くのマグマが火山噴火で地表に運ばれて形成したと考えられています。
これが、小惑星の衝突により宇宙に放出、そして地球にたどり着いたということです。

研究チームが隕石を調査したところ、驚くほどの量の含水鉱物(結晶構造の中に水分を含む鉱物)を発見しています。

このデータを基に含水率を“二次イオン質量分析法”という新手法で測定。
その結果から、隕石のふるさとである火星のマントルには、70~300ppmの水が含まれていることが分かりました。

液体にすれば、火星全体を深さ200~1000メートルで覆うことができる量です。
これは地球の上部マントルに存在する量と同等以上になるんですねー 
ちなみに地球の上部マントルは50~300ppmの水が含まれています。

また、現在の火星マントルに大量の水が存在する場合、火星の形成時期に水が取り込まれた可能性が高いんですねー
後から彗星や小惑星が水を運んでくる必要はありません。

つまり、火星では大規模な火山噴火があるたびに、大量の水が地表に運ばれてきたことになります。

火星で最も古い地質年代区分“ノアキス紀”は温暖だったので、火山噴火後には地表に液体の水が存在してのかもしれません。

“ノアキス紀”以降の噴火でも一時的に生命に適した領域が出現したかもしれないんですよねー

なので、火星で生命の痕跡を探すなら、火山地帯がおすすめです (^^

H-2Bロケット 3号機打ち上げ (小さな衛星をのせて…)

2012年06月26日 | 宇宙 space
7月21日(土)に鹿児島県の種子島宇宙センターから、
無人補給機“こうのとり”3号機が打ち上げられます。

国産大型ロケット“H-2B”の3号機に搭載されるのですが、
今回は小型人工衛星5基とベトナムの人工衛星“F1”が一緒なんですねー

小型衛星は、
RAIKO(和歌山、東北大)、FITSAT-1(福岡工業大)、WE WISH(明星電気)の国産3基と、
NASA提供の2基。

地球の撮影や高速データ通信実験などに使われ、
大きさは1辺10センチのサイコロ型、RAIKOだけ2つ分の大きさになります。

5基はH-2Bで船内貨物として国際宇宙ステーション(ISS)に送られます。

そして、9月に星出彰彦宇宙飛行士が、
日本実験棟“きぼう”のロボットアームを操作して、宇宙空間に放出するんですねー

衛星は高度350~400キロの軌道を周回することになります。

またベトナムの“F1”は、
2008年から設計・製作を行っていた小型人工衛星。

ベトナム初の独自開発で、
衛星写真の撮影機能を持っていて山火事の監視などに活用予定です。

この衛星も1辺が10センチ、重量は1キロほどしかありません。

海外受注 って思ったんですが、
実は日本の人工衛星打ち上げ計画支援(ODA)によるものでした…

今回の“こうのとり”には、
小型人工衛星を“きぼう”から宇宙空間へ放出する装置が積まれています。

この装置を利用して5基の小型衛星と“F1”は、宇宙に放たれることになります。

国産大型ロッケットが運ぶ、6つの小さな人工衛星…
無事に軌道に乗ればいいですねー

火星の雪は “ドライアイスの霧”?

2012年06月25日 | 火星の探査
真冬に火星の両極で降る雪の話

なんと、1つの結晶が赤血球ほどの大きさしかないことが分かったんですねー

NASAの火星探査機“マーズ・フェニックス・ランダー”の過去のデータから、季節が夏から秋に変わるころに火星の北極付近に降雪があったことが分かっています。

この時期は気温が比較的高かったため、降った氷の結晶は水でできていたようです。

でも、冬になり気温が摂氏マイナス125度に低下すると、
火星の大気中の二酸化炭素が凍るんですよねー
そして、ドライアイスの雲を作り、雲は南北両極から中緯度の地域まで達することになります。

二酸化炭素の雪については、これまで火星の極地付近で冬を過ごした着陸機がないので、
マサチューセッツ工科大学の研究チームは軌道上から調べることにしました。

NASAの軌道周回機が収集した15年分のデータを分析したんですねー

火星探査機“マーズ・リコナイサンス・オービター”が収集したデータをもとに、
二酸化炭素の雪を降らせる雲が作られる“気温”と“気圧”の条件を満たす場所を予測。




火星探査機“マーズ・グローバル・サーベイヤー”が収集した重力データから、
両極地における季節ごとの二酸化炭素の雪の堆積量を推定。

重力データなのは、毎年冬には雪や霜が積もって質量がふえるため、火星の重力場はわずかに変化するからなんですねー

 探査機のデータからは雪雲が反射する光の量も分かるため、雲の密度も特定。

これらのデータを組み合わせることで、雲に含まれる雪粒子の数と大きさを突き止ることができました。

南極付近では二酸化炭素の雪粒子の大きさは4~13ミクロン、大気密度がかなり高い北極でも8~22ミクロンでした。
人の赤血球の平均サイズが6~8ミクロンなので、かなり小さいことが分かります。
このことから、火星の降雪は霧に近いものだと予想されるんですねー

地球では雪の結晶を含む降水粒子は、チリなどの大気中の微粒子を核として周囲に作られます。
でも、火星の二酸化炭素の雪粒子は、チリ粒子を取り込まなくても大気中から作られる可能性があるんですねー

火星の雪の大きさと組成は、雪の結晶が太陽光のどの波長を吸収・反射するかにも影響します。

太陽エネルギーは、火星の気候の原動力となっているます。
雪粒子のサイズ(の範囲)を詳しく調べることは、これを火星はどの程度吸収しているか知る手掛かりとなるんですねー

なので、火星に降る雪の大きさを知ることは、
火星大気の全体的特性を理解するうえで非常に役立つ可能性があります。