宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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三つ子の衛星“スウォーム”打ち上げ成功!

2013年11月30日 | 宇宙 space
ユーロコット社は22日、ヨーロッパ宇宙機関の衛星“スウォーム”を搭載した、ロコットロケットの打ち上げに成功しました。
“スウォーム”は3機からなる地球の磁気圏を観測する衛星で、そのメカニズムの解明に挑むことになります。
ロコットロケットはロシア北西部にある、プレセック宇宙基地から打ち上げられ順調に飛行し、
約1時間30分後にロコットの上段であるブリーズKMから、“スウォーム”各機をそれぞれ分離し、打ち上げは成功したんですねー

“スウォーム”は、ヨーロッパ宇宙機関とアストリウム社によって開発・製造された衛星で、地球の磁気圏を観測して、
太陽風との相互作用や、地球の内部構造、そして気候や海流への影響などを探ることを目的としています。

3機はそれぞれ同型で、うち2機が高度450キロ-傾斜角87.4度、もう1機が高度530キロ-傾斜角88度の軌道を周回し、各機が連携して観測を行います。

1機あたりの重さは約500キロで、大きさは9.1メートル×1.5メートル×0.9メートルほどの小型の衛星、設計寿命は約4年が予定されています。

ロコットロケットの打ち上げは、今年に入って3機目で、
1月15日に行われた打ち上げでは、衛星は軌道に投入されたのですが、衛星分離後に行われる予定だったブリーズKM上段の軌道離脱が行えなかったんですねー

また、それとの関連は不明なのですが、このとき打ち上げられた3機の衛星のうち1機が、分離直後に機能を喪失したことが分かっています。

でも、前回9月に行われた打ち上げは万事成功に終わっているんですねー
ただ、今回の打ち上げでは、再びブリーズKMの軌道離脱が行われなかった可能性があるんだとか…  今後の続報が待たれますね。

“アイソン彗星”は太陽最接近で大化けする?

2013年11月29日 | 流星群/彗星を見よう
太陽系の果てからやってきた“アイソン彗星”が、
いよいよ29日に長い旅の折り返し地点となる太陽最接近を迎えます。
太陽に近すぎるので地上から見ることはできないのですが、太陽観測衛星による画像で見ることができるんですねー

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたアイソン彗星

太陽に接近するにつれて、夜明けの空に低くなっていた“アイソン彗星”ですが、25日から目撃報告がなくなっていました。

その理由は、太陽のすぐそばに位置しているからで、
最も太陽に近づく“近日点(29日)”を通過してからしばらくは、地上からは眩しすぎて観測することができません。

ただ、彗星が太陽に接近すると、太陽観測衛星の視野に入るので、
NASAの太陽観測衛星“SOHO”のウェブページで、“アイソン彗星”を見ることができるんですねー






11月27日午後
“SOHO”の“LASCO C3”カメラの
視野に入ってきた“アイソン彗星”
(画像中4時方向)





このウェブページでは、視野範囲の異なる2つのカメラでとらえた、太陽周辺のようすが更新されています。







11月27日から12月1日までの、
“LASCO C3”カメラ内での動き






27日にはすでに“アイソン彗星”が、視野の広い“LASCO C3”にとらえられていて、拡大視野の“LASCO C2”も29日の未明から朝にとらえられるようです。







太陽最接近となる11月29日は、
“LASCO C2”の拡大視野で見れる






太陽表面に約120万キロまで近づく“アイソン彗星”は、熱や重力で大きく変化することが予測されます。
核が壊れて消滅する可能性や、ガスやチリの爆発的な放出で明るくなる可能性があるんですねー

直接見ることはできませんが、世界中の彗星ファンが見守る数日間になるようですよ。


っと言う訳で、見守っていたのですが、
NASAの発表によると、“アイソン彗星”は太陽に最接近する前に、熱によって崩壊し蒸発したそうです。
 まぁー 確かに大化けしたかな 残念…

難易度は火星並み? 巨大小惑星“ケレス”の有人探査

2013年11月28日 | 宇宙 space
2030年を目標に、火星と木星の間にある小惑星帯最大の天体“ケレス”への有人探査が計画されています。

アメリカのオバマ大統領は2010年に、「2025年までに人類を小惑星に送る」という目標を掲げました。

これにより、久しく途絶えていた地球周回軌道から先の有人ミッションが、現実味を帯びてきたんですねー

たとえば、NASAではロボット宇宙船で捕獲した小惑星を月まで曳航して、現地に宇宙飛行士を派遣する計画“小惑星イニシアチブ”を進めていて、2021年には実現できると見込まれています。

でも、NASAの計画では小惑星のサイズに限界があり、もっと大きな小惑星に人類が降り立つ方法を考える研究者もいるんですねー

狙いは、現在準惑星に分類されている天体“ケレス”。

“ケレス”は初めて発見された小惑星で、直径はおよそ975キロもあり、自らを球形に形成する引力を持つほど大きい天体です。
映画などに出てくる小惑星が、ジャガイモのようないびつな形をしているのは、
サイズが小さいからなんですねー

下から順に、小惑星ベスタ、準惑星ケレス、月、水星、火星の大きさを比較したイメージ図


さらに“ケレス”の外郭の内側には、大量の氷が存在する可能性が指摘されています。
液体の水もあり得ない話ではなく、ことによると地球外生命体が見つかるかもしれません。


“ケレス”への旅には、電気的に推進剤を放出するイオンエンジンの採用と、
電力源として、重量が軽く電力を安定供給できる、原子力エネルギーが良いと考えられています。

旅は3つのパートに分けられ、
まず、無人の補給機が“ケレス”に先乗りし、宇宙飛行士が現地で過ごす物資や、帰還用の設備と推進剤を持ち込みます。
次に、有人用の探査機を無人の状態で、楕円軌道に乗せて加速。
最後に、小型のカプセルに乗った宇宙飛行士たちが追いかけて、探査機とランデブーして“ケレス”を目指すんですねー


ケレス・ミッションの総重量は、国際宇宙ステーションと並ぶ450トン程度になるのですが、
重量物運搬用ロケット4基で、すべて軌道に乗せることが可能なようです。
これは、現在研究が進められている、火星有人探査計画とほぼ同じ規模になります。

要は「“ケレス”も火星も難しさは、さほど変わらない」 っと言うことになります。

今後、克服すべきボトルネックは、原子力電池が12メガワットの電力を安定供給できるかという点になります。
でも、この数値はいまの技術では不可能なんですねー

ただ、推進剤を増やせば8~9メガワットで済むし、
月の重力で加速する方法や、“ケレス”の水分を電気分解して推進剤に利用する手も考えられます。

計画では、2026年10月に補給機を打ち上げて、2030年8月~2032年5月に有人ミッションを行うそうですよ。

巨大天体“ヒミコ”は、形成中の原子銀河?

2013年11月27日 | 宇宙 space
すばる望遠鏡が4年前に発見した、宇宙誕生初期の「謎」の巨大天体“ヒミコ”。
この巨大天体が、「巨大な水素ガス雲が、一直線に並んだ3つの星団を包み込んでいる」構造をしていることが分かったんですねー

3星団は、合体してさらに大きな天体を作ろうとしているところで、
今回の研究は、銀河が作られる最初の過程を明らかにする上で重要な成果になるそうです。




原始的なガスの中で、
3つの星団が形成され、
さらに合体して
銀河に成長していく
らいしい…
ヒミコのイメージ図



くじら座の方向129億光年彼方にある、非常に明るい巨大なガス雲が“ヒミコ”です。
137億年前に宇宙が誕生してから、わずか8億年後のもので、
古代宇宙に輝く天体として、邪馬台国の女王“ヒミコ(卑弥呼)”の名が付けられました。

“ヒミコ”の広がりは5万5000光年。
これは、わたしたちの太陽系がある天の川銀河の半径にも匹敵する大きさで、同時期に存在した一般的な天体に比べて約10倍も大きいんですねー

さらに、太陽の数百億倍という大質量をもつことが分かってきたのですが、これほど巨大なガス雲を高温で輝かせるエネルギー源などについては謎のままでした。

南米チリにあるアルマ望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡、スッピツァー宇宙望遠鏡を使って、
詳しく観測を行ったところ、
“ヒミコ”は巨大なガス雲の中に、3つの星団が一直線上に長さ2万光年以上にわたって並んでいることが分かりました。
どうやら、この激しい星形成活動が、“ヒミコ”のガス雲を温めるエネルギーと考えられるんですねー

でも、アルマ望遠鏡による電波観測では、
星が活発に作られている“爆発的星形成銀河”で観測される、固体微粒子が発する電波や、
星形成活動の指標となる炭素原子ガスが出す電波が、いずれも検出されませんでした。

宇宙創成のビッグバンによって、水素やヘリウムの軽い元素が合成され、
その後形成された星の中での核融合反応によって、さらに重い炭素や酸素などの元素が作られたとされています。

なので、今回のアルマ望遠鏡の観測で、
重い元素からなる固体微粒子や炭素原子が検出されなかったということは、
“ヒミコ”は水素やヘリウムを主体とする、まさに「形成中の原子銀河」なのかもしれませんね。