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全質量の約91%を鉄のコアが占めている!? 太陽よりも小さく暗い恒星を公転する“GJ 367b”は平均密度が地球の1.85倍もある系外惑星

2023年11月30日 | 系外惑星
今回、トリノ大学の博士課程学生Elisa Goffoさんを筆頭とする研究チームは、ほ座の方向約31光年彼方に位置する太陽系外惑星“グリーゼ367b(GJ 367b)”の平均密度が、1立方センチ当たり約10.2gだとする研究成果を発表しました。

この値は、地球の平均密度(1立方センチ当たり5.51g)の1.85倍。
この値は“GJ 367b”が主に鉄でできている可能性を示しているようです。
研究成果をまとめた論文はThe Astrophysical Journal Letters掲載されました。
太陽系外惑星“GJ 367b”(左)のイメージ図。(Credit: DLR/SPP1992 (Patricia Klein))
太陽系外惑星“GJ 367b”(左)のイメージ図。(Credit: DLR/SPP1992 (Patricia Klein))

太陽よりも小さくて暗い恒星を公転する系外惑星

NASAのトランジット惑星探査衛星“TESS”の観測データを元に、2021年に発見が報告された系外惑星が“グリーゼ367b”でした。

“TESS”は、地球から見て系外惑星が主星(恒星)の手前を通過(トランジット)するときに見られる、わずかな減光から惑星の存在を探る“トランジット法”という手法により惑星を発見し、その性質を明らかにしていきます。

繰り返し起きるトランジット現象を観測することで、その周期から系外惑星の公転周期を知ることができます。
また、トランジット時には、主星の明るさが時間の経過に合わせて変化していきます。
その明るさの変化を示した曲線“光度曲線”をもとに、系外惑星の直径や大気の有無といった情報を得ることが可能になります。
系外惑星のトランジットによって恒星の明るさが変化する様子を示した動画。(Credit: ESO/L. Calçada)
“TESS”が狙うのは、地球からおよそ300光年以内にあり、恒星の明るさによって大気が照らされている惑星。
調査する恒星の多くは赤色矮星という銀河系に最も多いタイプで、太陽よりも小さくて暗い恒星になります。

“グリーゼ367b”が公転している恒星(主星)も、“グリーザ367(GJ 367)”という太陽と比べて半径約0.458倍、質量約0.455倍、表面温度が3522℃の赤色矮星です。

赤色矮星は、表面温度がおよそ摂氏3500度以下の恒星です。
実は宇宙に存在する恒星の8割近くは赤色矮星で、太陽系の近傍にある恒星の多くも赤色矮星になります。

“グリーゼ367b”は、主星から平均約0.007天文単位(※1)離れた軌道を約7.7時間かけて公転。
主星との距離が太陽から水星までの平均距離の約55分の1と近く、“グリーゼ367b”自身の表面温度は約1100℃と推定されています。
※1.1天文単位(au)は太陽~地球間の平均距離、約1億5000万キロに相当。
“GJ 367b”のように公転周期が1日を下回るような惑星は、超短周期(Ultra-Short Period; UPS)惑星とも呼ばれています。
なお、GJ 367星系は、国際天文学連合(IAU)が2022年に主催した太陽系外惑星命名キャンペーンの命名対象に選ばれていて、実施時点で発見済みだった“グリーゼ367b”は“タハイ(Tahay)”、主星の“グリーゼ367”は“アニャニュカ(Añañuca)”と命名されています。

ほぼ鉄で形成されている系外惑星

今回の研究で分かってきたのは、“グリーゼ367b”の半径が地球の約0.699倍、質量は地球の約0.633倍あるということ。
ここから導き出された“グリーゼ367b”の平均密度は、1立方センチ当たり約10.2gもありました。

“グリーゼ367b”の質量を正確に測定するために研究チームが用いたのは、南米チリにあるヨーロッパ南天天文台ラ・シーヤ観測所の口径3.6メートル望遠鏡に設置されている分光器“HARPS(High Accuracy Radial Velocity Planet Searcher)”でした。

主星の周りを公転している惑星の重力で、主星が引っ張られると地球からわずかに遠ざかったり近づいたりします。
研究チームは、この動きによる光の波長の変化“ゆらぎ”を読み取る“ドップラーシフト法”で、“グリーゼ367b”の観測を実施しています。

分光器により光の波長ごとの強度分布“スペクトル”が得られます。
この“スペクトル”に現れる線は、光のドップラー効果によって私たちの方へ動いている物質からの光は短い波長(色でいえば青い方)へ、遠ざかっている物質の光は長い波長(色でいえば赤い方)へズレてしまいます(シフトする)。

この周波数の変化量を測定することで、天体の動きやその速度を知ることができます。
ドップラーシフト法の観測データからは、系外惑星の公転周期や最小質量を知ることができるわけです。
系外惑星の公転にともなって主星のスペクトルが変化する様子を示した動画。(Credit: ESO/L. Calçada)
観測データから内部構造を分析して見ると、“グリーゼ367b”は質量全体のうち約91%を、鉄でできたコア(中心核)が占めていることが分かってきます。

これまでに見つかっている系外惑星は5500個以上あり、その中でもこれほど平均密度が高いものは珍しい存在でした。

研究チームは、“グリーゼ367b”がもともと鉄の豊富な環境で形成されたか、あるいは“グリーゼ367b”が形成された後で鉄のコアを取り囲んでいた岩石質のマントルが剥ぎ取られた可能性があると考えています。

さらに、“HARPS”による観測データからは、“TESS”による観測では見つかっていなかった2つの惑星“グリーゼ367c”と“グリーゼ367d”が新たに発見されています。

最小質量は、“グリーゼ367c”が地球の約4.13倍、“グリーゼ367d”が地球の約6.03倍。
公転周期は、“グリーゼ367c”が約11.5日、“グリーゼ367d”が約34.4日。

研究チームでは、超短周期惑星の形成や移動をさらに調査する上で、小さく高密度な惑星“グリーゼ367b”を含むこの惑星系を格好の対象として期待を寄せているそうです。


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土星の環は数億年前に2つの衛星が衝突して作られた!? 衛星の軌道がある位置まで広がると衝突につながるようです

2023年11月29日 | 土星の探査
太陽系では木星に次いで2番目に大きな惑星が“土星”です。

この惑星最大の特徴は何といっても大きな環を持っていること。
ただ、この環は土星が形成された頃から存在するのではなく、地質学的には最近と言える数億年前に形成された可能性が近年の研究で指摘されています。

今回発表されたのは、この土星の環は2つの衛星が衝突したことで形成されたとする研究成果。
研究は、グラスゴー大学/オスロ大学のLuis Teodoroさんを筆頭とする研究チームが進めています。
2016年4月にNASAの土星探査機“カッシーニ”が撮影した土星。(Credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)
2016年4月にNASAの土星探査機“カッシーニ”が撮影した土星。(Credit: NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)

衛星の軌道がある位置まで広がると衛星同士の衝突につながる

今回、研究チームが着目したのは、土星の環が衛星同士の衝突で生じた破片から形成された可能性でした。

研究では、衛星の大きさや衝突の仕方を変えた約200通りのシミュレーションを実施。
すると、2つの氷衛星の衝突によって生じた破片から環が形成されたり、新たな衛星が形成されたりする可能性があることが分かってきます。

土星の環は主に水の氷でできていて、岩は少ししか存在しないことが知られています。

研究に参加したダラム大学のVincent Ekeさんによると、氷衛星同士の衝突では衛星の中心部にある岩よりも、その周りにある氷の方が分散しやすいことから、土星の環が主に氷でできていることを上手く説明できる可能性があるそうです。
今回の研究で実施されたシミュレーションを紹介するNASAの動画。(Credit: NASA/Jacob Kegerreis/Luís Teodoro)
そもそも、長い間存在していた2つの衛星が数億年前に衝突したのは、太陽の重力によるわずかな影響が積み重なった結果、衛星の軌道が他の衛星と交差する楕円軌道に変化したからだと考えられています。

月が少しずつ地球から遠ざかっているように、土星の衛星も少しずつ土星から遠ざかっていて、衛星の軌道がある位置まで広がったときに、こうした衛星同士の衝突につながる変化が生じると予想されています。
月が地球から遠ざかるスピードは1年間に3.8センチ。でも、土星最大の衛星タイタンは年間11センチの割合で土星から遠ざかっている。
興味深いことに、現在では土星の衛星レア(直径1530キロ)が、まさにそのような位置で公転しています。

ところが、古くから存在する衛星であれば軌道が不安定になる影響を受けているはずなのに、レアの軌道はほぼ真円。
このことから、レアは古くから存在する衛星ではない可能性が指摘されています。
土星探査機“カッシーニ”の広角カメラで2009年11月21日に撮影された衛星レア。(Credit: NASA/JPL/Space Science Institute)
土星探査機“カッシーニ”の広角カメラで2009年11月21日に撮影された衛星レア。(Credit: NASA/JPL/Space Science Institute)
今回の研究では、土星の環がまだ新しいとする近年の研究と一致する結果にたどり着いています。
それでも、なお土星とその衛星にはいくつもの謎が残されています。

その一例として、衛星エンケラドス(直径500キロ)があります。

エンケラドスは氷の外郭の下に地下海が広がっている可能性があり、そこには生命が誕生している可能性が指摘されています。

仮に、土星の衛星の一部がまだ新しいとすれば、エンケラドスに生命が存在するとする研究にも関わってくるはずです。

今回の研究成果は、土星やその衛星をさらに深く理解することにつながると期待されています。
土星探査機“カッシーニ”の狭角カメラで2005年7月14日に撮影されたエンケラドス。紫外線、可視光線、赤外線のフィルターを使用して取得したデータを元に作成。(Credit: NASA/JPL/Space Science Institute)
土星探査機“カッシーニ”の狭角カメラで2005年7月14日に撮影されたエンケラドス。紫外線、可視光線、赤外線のフィルターを使用して取得したデータを元に作成。(Credit: NASA/JPL/Space Science Institute)


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恒星の密度が高い星団内でブラックホールの存在を間接的に観測! 地球に最も近いブラックホールはヒアデス星団に存在しているかも…

2023年11月28日 | ブラックホール
2015年に初めて“重力波”が直接検出されて以来、この宇宙にはブラックホール同士の連星“連星ブラックホール”が、どの程度存在するのかに研究者の関心が集まっています。

特に注目されているのは、恒星の密集度が高い星団内における連星ブラックホールの存在です。

ただ、これまで行われてきたのは、年齢の古い“球状星団”についての研究がほとんど…
もう1つの星団の形態“散開星団”についての研究は行われてきませんでした。

今回の研究では、この種の研究が可能な散開星団“ヒアデス星団(Hyades Star Cluster)”についての調査を実施。
その結果、ヒアデス星団の中心部には2~3個のブラックホールが存在する可能性が高く、仮に星団を飛び出していたとしても、そのタイミングは1憶5000万年以内であることが示されました。

ヒアデス星団は、地球から約150光年彼方に位置しているので、もし本当にブラックホールが存在する場合、地球に最も近いブラックホールになるようです。
この研究は、パドヴァ大学のStefano Torniamentiさんたちの研究チームが進めています。
図1.ヒアデス星団。(Credit: ESO/Dss2, Giuseppe Donatiello)
図1.ヒアデス星団。(Credit: ESO/Dss2, Giuseppe Donatiello)

連星ブラックホールと重力波

時空間の歪みを遠くまで波のように伝える重力波は、ブラックホールなど質量の大きな天体が運動することで生じると考えられています。

一般相対性理論によると、ブラックホールや中性子星といった高密度な天体の周りでは時空(時間と空間)が歪むことになります。

このような高密度な天体が運動することで、歪みが波として宇宙空間に伝播していきます。
これを重力波といいます。

2015年以降、アメリカの“LIGO”や欧州重力波観測所の“Virgo”といった重力波望遠鏡の観測によって、比較的軽い恒星質量ブラックホール(※1)同士の合体などに伴って放出されたとみられる重力波が、何度も検出されてきました。
※1.恒星質量ブラックホールは、大質量星が超新星爆発を起こした後に誕生する、太陽の数倍~数十倍程度の質量を持つブラックホール。宇宙に多数存在している。
重力波の発生源の探索や、宇宙に存在するブラックホールの数を推定する上で、ブラックホール同士の連星は宇宙のどのような場所に、どの程度存在するのかが注目されています。

ブラックホールが重力を介して周囲に及ぼす影響

ブラックホールは、その強力な重力による束縛から光(電磁波)も逃げ出せない天体なので、光学的に観測することはできません。

近くの物質が引き寄せられることで形成された降着円盤(※2)から、間接的に電磁波が放射されることはあります。
でも、そのようなブラックホールはかなり少数派で、宇宙のあちらこちらには降着円盤を持たないブラックホールが眠っていると考えられています。
※2.ブラックホールへ落下する物質は角運動を持つため、降着円盤と呼ばれるへんぺいな円盤をブラックホールの周囲に作る。降着円盤内のガスの摩擦熱によって落下するガスは電離してプラズマ状態へ、この電離したガスは回転することで強力な磁場が作られ、降着円盤からは荷電粒子のジェットが噴射し降着円盤の半径に応じて、可視光線、紫外線、X線と幅広い電磁波が観測される。
ただ、そのようなブラックホールでも、重力を介して周囲に及ぼした影響をとらえることで、間接的に調べることは可能です。

特に影響が顕著に表れると考えられているのが星団内です。

その理由は、星団内は恒星の密度が高いので、ブラックホールの近くを恒星が通過する頻度も高くなり、恒星の運動方向や運動速度に生じた変化をとらえやすいと考えられるからです。

星団内の恒星の密度からブラックホールの存在を間接的に予測する

このような恒星の運動の変化は、恒星の密度が高い“球状星団”(※3)において、かなり顕著に表れると考えられます。
※3.星団のうち多数の恒星が重力で集合し、概ね球状の形をとったもの。数百光年以内に数万個以上の恒星が密集している。
球状星団は中心に近づくほど恒星の密度が高くなり、重力も強くなる傾向にあります。
なので、より重い恒星は中心部に移動し、恒星の密度が高まることで明るさも増すと考えられています。

ただ、一部の球状星団は、この傾向から外れていて、中心部の恒星密度がそれほど高くないことがあります。

もし、ブラックホールが星団の中心部に存在すれば、近くを通過する恒星の運動が変化し、場合によっては星団を飛び出してしまうことも考えられます。
極端な例としては、逃げ出した恒星で形成されたとみられる恒星ストリームを持つ“パロマー5”のような球状星団も存在しています。

つまり、典型的でない球状星団は、その中心部にブラックホールが存在する可能性が高いと考えることができる訳です。

でも、このような研究は、これまで年齢の古い球状星団のみを対象に行われていたんですねー
もう1つの星団の形態“散開星団”(※4)については行われていませんでした。
星団のうち、1つの分子雲から同時に形成された多数の恒星が集合しているもの。
恒星の密度からブラックホールの存在を間接的に予測する手法は、球状星団の研究では行われていて、散開星団には適用されていません。
その理由は、数百光年の範囲内に数万個以上の恒星が密集している球状星団に対して、散開星団は同じ範囲に数十~数百個の恒星しか存在していないからです。

散開星団では連星(※5)や潜在的な逃亡者(※6)の影響が大きくなるので、ブラックホールの存在を球状星団と同じ手法で予測するのは難しくなります。
※5.連星は遠くから見れば1つの重力源として振る舞うため、同じ重さの恒星2個からなる連星は、2倍重い恒星が1個だけの天体のように振る舞う。恒星数の多い球状星団だと連星の存在がもたらす誤差はわずかになるが、恒星数が少ない散開星団では問題となり、中心部ほど重い恒星になるという傾向とは逆のものになる。

※6、星団の位置にあるものの、実際には重力的に結合していない恒星のことを指す。星団とは無関係な天体なので除かないといけないが、区別することは難しく、恒星数が少ない散開星団では大きな誤差となる。

球状星団と似たような特徴を持つ散開星団

今回の研究で対象となっているのは、おうし座の方向約150光年彼方に位置する散開星団“ヒアデス星団”です。

ヒアデス星団は、中心部に向かうにしたがって恒星の質量が大きくなる傾向にあり、恒星ストリーム(※7)も観測されているなど、ブラックホールを持つとみられる球状星団と似たような特徴がありました。
※7.重力により恒星が移動した跡のことを恒星流(恒星ストリーム)という。星が他の場所から移動してきた証拠になる。
ヒアデス星団の中心部にブラックホールが存在するのかを調べるため、研究チームが用いたのは位置天文衛星“ガイア”の観測データでした。

“ガイア”は、ヨーロッパ宇宙機関が2013年12月に打ち上げ運用する位置天文衛星。
可視光線の波長帯で観測を行い、10憶個以上の天の川銀河の恒星の位置と速度を三角測量の原理に基づいて測定する位置天文学に特化した宇宙望遠鏡です。

その測定精度は10マイクロ秒角(1度の1/60の1/60の1/10マンの角度)もあり、これは地球から月面の1円玉を数えられる精度があります。
つまり、ブラックホールによる恒星の運動に対する影響を、推定ではなく実測で調べることができる訳です。

ヒアデス星団に恒星質量ブラックホールが複数存在する可能性

恒星の位置から星団内のブラックホールを直接調べる試みは、今回が初めてのことでした。

研究チームでは、“ガイア”のデータから調べたヒアデス星団の恒星の運動をもとに、N体シミュレーション(※8)を実施。
※8.物質分布や速度分布を統計的にサンプリングし、多数の質点の位置と速度で表現する手法。
この手法は、コンピュータ上にヒアデス星団を再現した恒星の集団を作り、お互いが与える重力の影響によって、個々の恒星の運動速度や星団全体の大きさがどのように変化するのかを調べるものでした。

このシミュレーションでは、ブラックホールが0個~5個の場合を想定して実施。
すると、ヒアデス星団には星団全体の質量の9%以下を占める3個以内のブラックホールが存在する可能性が高く、シミュレーションでは2個もしくは3個と仮定した場合に最も良い結果が得られました。

いずれの結果でも、ブラックホール1個当たりの質量は太陽の8.7倍~11.0倍になるので、恒星質量ブラックホールになります。

また、ヒアデス星団の中心部からブラックホールが逃げ出している可能性も検討。
その結果分かってきたのは、ブラックホールが逃げ出したのは今から1億5000万年以内だとすると、現在のヒアデス星団の恒星の動きをよく表せることでした。
これは、ヒアデス星団全体の歴史の4分の1に相当します。

研究チームでは、ヒアデス星団には現在でも複数のブラックホールが存在するか、すでに逃げ出していたとしてもまだヒアデス星団の近くに存在すると考えています。

これが正しければ、地球から約150光年先という、観測史上最も近い場所にブラックホールが存在することになります。

この距離は、確実な発見記録としてはこれまでで最も近い、地球から1560光年先に位置するブラックホール“Gaia BH1”までの距離の10分の1以下になります。

研究チームでは、今のところ、ヒアデス星団内のブラックホールが実際に観測される可能性は低いと考えています。

もし、ブラックホールが複数存在する場合は連星を成している可能性が高く、重力波を放出しているかもしれません。

でも、予測される重力波の周波数やエネルギーは、現在あるいは近い将来に実行される手法で検出できる範囲から外れているので、重力波で検出される可能性はかなり低いと考えられています。

また、ヒアデス星団の背景には恒星がほとんど存在しないことから、重力マイクロレンズ法で観測される可能性も低いと考えられます。

重力マイクロレンズ法は、太陽程度以下の比較的低質量の天体が起こす重力レンズの観測から、レンズ源になっている天体の存在を検出する手法です。

暗い天体でも、地球から見た時に偶然遠くの恒星の前を通過すれば、天体の周りのゆがんだ時空がレンズの役割を果たして、遠い恒星からの光を増幅したり曲げたりします。
このような現象を利用して天体を見つけることができます。

一方、これまで未開拓だった散開星団の中にもブラックホールが存在することを証明する手法を示したという点で、今回の研究成果は画期的と言えます。

散開星団にブラックホールがどの程度の割合で存在するかを知ることで、宇宙全体のブラックホールの数や、重力波の発生源がどの程度存在するのかを推定することができます。

また、背景に恒星がある散開星団だと、重力マイクロレンズ法でブラックホールを直接発見できるかもしれませんね。


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海王星の暗い斑点と明るい雲のような構造を地上の望遠鏡で初めて撮影に成功! コストや時間をかけない観測手法とは?

2023年11月27日 | 天王星・海王星の観測
太陽系で最も遠くを公転する惑星“海王星”の表面には、周囲と比べてより深い青色をした“暗斑(Dark Spot)”が現れることが知られています。

でも、暗斑が何なのかは、これまでほとんど分かっていませんでした。

今回の研究では、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が南米チリのパラナル天文台(標高2635メートル)に建設した超大型望遠鏡“VLT”(※1)に搭載された3次元分光装置“MUSE”を用いて、海王星の暗斑の詳細な観測を実施。
※1.超大型望遠鏡“VLT(Very Large Telescope)”は、口径8.2メートルの4基の光赤外線望遠鏡の総称。それぞれ1基ずつ独立に観測でき、ガンマ線バーストをはじめ様々な観測を行っている。4基の望遠鏡を光ファイバーで結合して光干渉計としても活用されている。日本の“すばる望遠鏡”と共に世界最大の光赤外線望遠鏡の1つ。“すばる望遠鏡”と違い、南半球からでしか見えない宇宙を観測している。
すると、地上の望遠鏡で初めて暗斑の撮影に成功するんですねー
さらに、その反射スペクトルの観測にも世界で初めて成功しています。

この観測成果により、暗斑の正体に迫るだけでなく、その近くに存在する“輝斑(Bright Spot)”の発見という予想外の成果もあったようです。
この研究は、オックスフォード大学のPatrick G. J. Irwinさんたちの研究チームが進めています。
図1.超大型望遠鏡“VLT”に設置された3次元分光装置“MUSE”によって各波長で取得された海王星の画像。暗斑と輝斑はほぼ同じ位置にあることが分かる。(Credit: ESO, P. Irwin et al. / 文字と矢印は彩恵りり氏による加筆)
図1.超大型望遠鏡“VLT”に設置された3次元分光装置“MUSE”によって各波長で取得された海王星の画像。暗斑と輝斑はほぼ同じ位置にあることが分かる。(Credit: ESO, P. Irwin et al. / 文字と矢印は彩恵りり氏による加筆)

謎めいた暗い色の斑点“暗斑”

1989年、NASAの惑星探査機“ボイジャー2号”が史上初の海王星への接近探査を行いました。

この時に撮影された多数の画像データには、海王星の赤道付近にあった大きな暗い色の斑点がはっきりと写っていて、“大暗斑(Great Dark Spot:1989年に観測されたことからGDS-89とも言う)”と名付けられました。
図2.1989年8月にボイジャー2号によって撮影された海王星のナチュラルカラー画像。赤道付近(画像左側)に大暗斑が、南半球(画像右下側)に暗斑2が写っている。(Credit: NASA, JPL)
図2.1989年8月にボイジャー2号によって撮影された海王星のナチュラルカラー画像。赤道付近(画像左側)に大暗斑が、南半球(画像右下側)に暗斑2が写っている。(Credit: NASA, JPL)
主にガスでできた惑星の表面に見られる特徴的な大気活動の例としては、木星の“大赤斑”が有名ですが、海王星の大暗斑は大赤斑とは異なる大気現象だと見られています。

木星の大赤斑と比較して、大暗斑にはほとんど雲が見られません。

また、大暗斑は寿命も短く、“ボイジャー2号”の接近から5年後の1994年に“ハッブル宇宙望遠鏡”が海王星を撮影したときには、すでに消滅していました。

その一方で、大暗斑ほど大きくはない小ぶりな暗斑は“ボイジャー2号”の撮影以来何個も見つかっていて、出現と消滅を繰り返しています。

たとえば、“ボイジャー2号”の画像データに写っていた南半球の小さな暗斑は“暗斑2(Dark Spot 2)”と名付けられましたが、こちらもハッブル宇宙望遠鏡による1994年の撮影時には消滅していました。

このことから、海王星の暗斑は数年で誕生と消滅を繰り返す大気現象だと推定されてきました。

でも、これまでのところ、暗斑に関するこれ以上の理解は進んでいないんですねー

その主な理由は、寿命の短い大気現象であることに加え、海王星という最果ての惑星を地球から観測すること自体が困難なこと、暗斑の様子を知ることができる観測データが不足していたことでした。

このため、海王星の暗斑は木星の大赤斑と同じように低気圧の嵐なのか、それとも雲が晴れて大気の下層部が見えている高気圧なのか、といった正反対な仮説のどちらが正しいのかさえも分かっていませんでした。

史上初めて暗斑の地上観測に成功

ガス惑星と呼ばれる木星や土星、天王星と同様に、水素とヘリウムを主成分とする大気を持っている海王星。
惑星の分類としては木星、土星、天王星と共にガス惑星(木星型惑星)に含まれ、その中でも氷惑星(天王星型惑星)に分類されています。

今回の研究では、2019年に超大型望遠鏡“VLT”に設置された3次元分光装置“MUSE”を用いて、海王星の暗斑“NDS-2018”の撮影を行っています。

“NDS-2018”は、ハッブル宇宙望遠鏡によって2018年に発見された暗斑の1つ。
海王星の暗斑は、高度約540キロを周回するハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたことはあるのですが、これまで地上の望遠鏡で撮影されたことはありませんでした。
図3.超大型望遠鏡“VLT”に設置された3次元分光装置“MUSE”によって2019年に取得された海王星の画像。右上にある薄暗い斑点が暗斑“NDS-2018”になる。今回の観測で、地上の望遠鏡としては初めて撮影した暗斑となった。(Credit: ESO, P. Irwin et al.)
図3.超大型望遠鏡“VLT”に設置された3次元分光装置“MUSE”によって2019年に取得された海王星の画像。右上にある薄暗い斑点が暗斑“NDS-2018”になる。今回の観測で、地上の望遠鏡としては初めて撮影した暗斑となった。(Credit: ESO, P. Irwin et al.)
観測の結果、VLTは地上の望遠鏡としては、世界で初めて海王星の暗斑の撮影に成功。
それだけでなく、波長別の詳細な観測データからは、“NDS-2018”の反射スペクトルを得ることにも成功しました。

反射光の波長ごとの強さを示す反射スペクトルは、暗斑に存在する物質の組成や状態を知るための手掛かりとなるデータです。

観測データを分析してみると、少なくとも雲がなくなる高気圧によって暗斑が生じる可能性は除外されました。

最も可能性が高い説は、海王星の表面(※2)よりも下側で生じた硫化水素の“雲”が原因だとするもの。
※2.海王星のように明確な固体の表面がない惑星では、大気圧が1気圧になる場所を表面としている。
この説では、約5気圧の深さで生じた硫化水素の雲が光(※3)を吸収することで暗く見えていると考えています。
※3.700nm未満の可視光線。これは赤外線に極めて近い赤色を除いた、可視光線の大部分になる。
そして、今回の観測では、予想外なことに硫化水素の雲と同じくらいの大気の深さで、暗斑とは全く異なる“輝斑”を発見。
“DBS-2019”と名付けられたこの輝斑が存在していたのは、暗斑であるNDS-2018のすぐ隣でした。

メタンの固体で構成されていると見られる明るい雲のような構造は、過去の観測でも見つかっていたものの、これほど大気の深い位置で輝斑のような特徴が見つかったのは初めてのことでした。

輝斑(DBS-2019)が暗斑(NDS-2018)のすぐ隣で見つかったことに加え、その深さも一致している…
この事実から考えられるのは、輝斑と暗斑が関連した大気現象であり、大気循環の中で暗斑が維持されるために輝斑が関わっている可能性でした。

観測機器の技術進歩によるコストや時間をかけない手法

今回の観測結果により、海王星の暗斑にまつわる謎をすべて解決したわけではありません。
でも、大きな進歩となったことは間違いないんですねー

特に、暗斑と同じくらいの深さにある輝斑の発見は、暗斑の出現と消滅に関する謎を解明する大きな手掛かりになるはずです。

海王星は、太陽から45億キロの距離にあり、これは太陽から地球間の距離の約30倍に相当します。
このような遠くの惑星の大気活動を詳細に調べるには、当初はボイジャー2号のように惑星探査機を送り込むしかないと考えられていました。

ただ、そのためにはコストも時間もかかるという問題があるんですねー

でも、ボイジャー2号による海王星接近観測の数年後には宇宙望遠鏡で、そして今回は地上の望遠鏡で詳細な観測が行えました。
このことは、コストや時間をそれほどかけない手法でも惑星科学上の謎を解明できることを示す好例になりそうです。

2021年12月25日に打ち上げられたジェームズウェッブ宇宙望遠鏡は、赤外線望遠鏡として優れているだけでなく、見た目の移動速度が速い太陽系内の天体を追跡して詳細な観測が行えることも強みにしています。

遠方の深宇宙だけでなく、太陽系内の天体… 海王星の観測にも威力を発揮してくれるのかが気になりますね。


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天の川銀河の中心周りで高速で移動している分子雲を確認! 気になるのは巨大ブラックホールに運ばれていくメカニズム

2023年11月26日 | 銀河と中心ブラックホールの進化
ほとんどの銀河の中心には、太陽の100万倍から100億倍の質量を持つ巨大ブラックホールが存在すると考えられています。

私たちの天の川銀河の中心にも、太陽の400万倍の質量を持つ巨大ブラックホール“いて座A*(エースター)”が存在しています。

今回の研究では、この巨大ブラックホールから少し離れたところにある巨大分子雲の3次元位置と速度を、国立天文台の電波望遠鏡ネットワーク“VERA”によって精密に測定することに成功しています。

天の川銀河の円盤から巨大ブラックホールへと、物質がどのようにして運ばれるのか?
このことを理解する上で、今回の研究は重要な情報を与える結果になるようです。
この研究は、国立天文台水沢VLBI観測所の坂井大裕特任助教を中心とする研究チームが進めています。
図1.天の川銀河中心ブラックホールを取り囲む分子雲領域の概念図。高密度な分子雲が軌道に沿って並び、一部の分子雲は非常に活発な星形成活動を示している。(Credit: 国立天文台)
図1.天の川銀河中心ブラックホールを取り囲む分子雲領域の概念図。高密度な分子雲が軌道に沿って並び、一部の分子雲は非常に活発な星形成活動を示している。(Credit: 国立天文台)

渦巻銀河と棒渦巻銀河

星形成が活発な銀河の半数以上に円盤構造があり、そのような銀河は円盤銀河と呼ばれています。

さらに、円盤銀河には2種類あり、それが渦巻銀河と棒渦巻銀河になります。

渦巻銀河は、図1(左)のように、文字通り渦を巻いた構造(渦巻腕と呼ばれる)が見られる銀河。
棒渦巻銀河は、渦巻銀河と似ていますが図1(右)のように、中心を貫く棒構造が見られるのが特徴です。

円盤銀河の約半数から3分の2は棒渦巻銀河といわれていて、私たちが住んでいる天の川銀河も棒渦巻銀河と考えられています。
図2.(左)渦巻銀河“M51”と(右)棒渦巻銀河“NGC 1300”。(Credit: NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA); Acknowledgment: P. Knezek (WIYN))
図2.(左)渦巻銀河“M51”と(右)棒渦巻銀河“NGC 1300”。(Credit: NASA, ESA, and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA); Acknowledgment: P. Knezek (WIYN))

4か所の電波望遠鏡を用いた位置天文観測

銀河の外側の円盤部分にある天体は円運動に近い運動をしている一方で、棒構造の影響で内側では複雑な動きが確認されています。

特に中心から約300光年の位置には、都市圏を取り囲む環状線のように高密度な分子雲が集中する領域が存在することが知られています。

これまで電波や赤外線、X線などの観測を通して、分子雲の3次元的な位置関係や運動を明らかにする研究がされてきましたが、定説は未だに得られていません。

この問題を解き明かす手法の一つとして、VLBI観測の高い空間分解能を活かした年周視差測定による距離決定と、天球面上の天体の動きである固有運動の測定による3次元速度の決定があり、重要な役割を果たすと考えられています。
図3.VERAによる位置天文観測の結果。(a)2014年から2016年までの“いて座B2”の水メーザーの位置の変化。(b)東西・南北方向の位置変化を時間に対して示したもの。(c)位置変化から年周視差による成分のみを抽出したもの。(Credit: Sakai et al.)
図3.VERAによる位置天文観測の結果。(a)2014年から2016年までの“いて座B2”の水メーザーの位置の変化。(b)東西・南北方向の位置変化を時間に対して示したもの。(c)位置変化から年周視差による成分のみを抽出したもの。(Credit: Sakai et al.)
今回の研究では、VERA望遠鏡を用いて天の川銀河中心にある分子雲“いて座B2”の3次元の位置・速度を精密に測定しています。

“VERA”は国立天文台が運用するVLBI観測網の望遠鏡です。

遠く離れた複数の電波望遠鏡が協力して同時に観測すると、口径の大きい電波望遠鏡を使うのと同様の性能を得ることができます。
このような観測を行うことを“VLBI(Very Long Baseline Interferometry : 超長基線干渉計)”といいます。

国立天文台では口径20メートルの電波望遠鏡を水沢局(岩手県)、入来局(鹿児島県)、小笠原局(東京都小笠原)、石垣島局(沖縄県)の4か所に設置。
この4か所の電波望遠鏡を用いた高い解像度の観測によって、天体までの距離や運動を精密に計測する“位置天文観測”を行っています。

そして、これら位置天文観測データを用いて進めているのが、天の川銀河の3次元立体構造のほか、星の形成や進化、銀河中心の超大質量ブラックホールや超高速ジェットなどの研究です。
図4.国立天文台が運用するVERA望遠鏡の配置。岩手県奥州市水沢、鹿児島県薩摩川内市入来、沖縄県石垣市、東京都小笠原村父島の4か所に口径20メートルの電波望遠鏡を設置し、それらを連携しVLBI(Very Long Exploration Interferometer)技術を用いた観測をすることで口径2300キロに及ぶ巨大望遠鏡と同じ分解能を引き出す。(Credit: 国立天文台)
図4.国立天文台が運用するVERA望遠鏡の配置。岩手県奥州市水沢、鹿児島県薩摩川内市入来、沖縄県石垣市、東京都小笠原村父島の4か所に口径20メートルの電波望遠鏡を設置し、それらを連携しVLBI(Very Long Exploration Interferometer)技術を用いた観測をすることで口径2300キロに及ぶ巨大望遠鏡と同じ分解能を引き出す。(Credit: 国立天文台)

天の川銀河の中心周りでは分子雲が高速で移動している

“いて座B2”は、天の川銀河の中心に位置する巨大ブラックホールから約300光年離れたところにあり、そこでは新しい星が大量に生まれています。

研究チームは、VERAの特徴である2ビーム観測※1によって、“いて座B2”から発せられている水メーザーのモニター観測を実施。
すると、“いて座B2”までの距離は約24,000(-5,500/+10,000)光年であり、巨大ブラックホールに対して秒速約140キロメートルの速度で動いていることが明らかになります。(図2)
※1.4つのVERA電波望遠鏡の特徴は、同時に2つの天体を観測できる2ビーム電波望遠鏡であること。ひとつの受信機の視野を観測天体に、もうひとつの受信機の視野を観測天体の近くにある参照天体に向けて、同時に観測することによって大気揺らぎを補正し、天体の位置決定精度を向上させている。この観測手法は相対“VLBI”と呼ばれている。
この結果は、これまでの先行研究で提唱されていた距離や運動と矛盾せず、VERAによる直接的な測定が先行研究を裏付けることになりました。
そう、天の川銀河の中心周りで、分子雲が高速で動いている様子を確認するこができたんですねー
図5.左:“いて座B2”から発せられた水メーザーの運動を示したもの。星が生まれている場所から発せられているアウトフローに付随した水メーザーの動きが見られる。色付きの矢印は、矢印の大きさが水メーザーの固有運動、色が水メーザーのドップラー速度を示している。背景の等高線はアメリカの電波干渉計VLAによって観測されたダスト放射の強度。右:電波で観測した天の川銀河の中心部分。(Credit: 左図:Sakai et al.、右図:MeerKAT/SARAO)
図5.左:“いて座B2”から発せられた水メーザーの運動を示したもの。星が生まれている場所から発せられているアウトフローに付随した水メーザーの動きが見られる。色付きの矢印は、矢印の大きさが水メーザーの固有運動、色が水メーザーのドップラー速度を示している。背景の等高線はアメリカの電波干渉計VLAによって観測されたダスト放射の強度。右:電波で観測した天の川銀河の中心部分。(Credit: 左図:Sakai et al.、右図:MeerKAT/SARAO)
今後、VERAに東アジアの電波望遠鏡を加えた東アジアVLBI観測網を用いて、より高感度な観測を行うことで、“いて座B2”以外の分子雲に対しても3次元位置と速度の測定を行うことができるそうです。

天の川銀河中心にある分子雲が、どのように動いているかを把握することで、巨大ブラックホールに物質が運ばれていくメカニズムが明らかになると期待されます。
本研究の中心となった酒井大裕特任助教は、国立天文台と株式会社 岩手日報社との包括的連携協定に基づいて採用されています。
なお、今回の研究成果は、日本天文学会欧文研究報告(PASJ: Publications of the Astronomical Society of Japan)において、“Water maser distributions and their internal motions in the Sagittarius B2 complex”として掲載されました。


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