宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

土星の200倍! 巨大な環を持つ系外惑星。

2015年01月30日 | 宇宙 space
430光年彼方の系外惑星が、
土星の200倍という巨大な環をまとっていることが明らかになりました。

さらに、その中では地球に匹敵する大型衛星が、作られているかもしれないんですねー
“JI407b”の巨大な環(イメージ図)。

2012年のこと、
ケンタウルス座の方向約430光年彼方の若い恒星“J1407”に、土星のような環を持った惑星が見つかります。

惑星が恒星の手前を通過(トランジット)する時に見られる、
わずかな減光から、惑星の存在を検出することができます。

今回の研究では、2007年の57日間にわたって、
惑星の環によるとみられる複数回の減光を突き止めます。

研究チームによる新たな解析から、
この惑星“JI407b”の環の巨大さが明らかになるんですねー

“JI407b”は木星の10~40倍の質量があると考えれ、
30個以上も重なる環の全体の直径は、約1億2000万キロにも及んでいます。

これは太陽~金星の距離よりも大きく、土星の環の約200倍という大きさになります。

もし“JI407b”が土星の位置にあったら…
地球から、その環は月よりもずっと大きく見えるそうです。
土星の位置に“JI407b”があったら…
地球からは月よりも大きく見える。

恒星の光を大きく遮る環は分厚く、大量の物質を含むと考えられます。

さらに、土星の環のように明瞭で大きな隙間があるので、
その部分では、火星~地球程度の質量の大型衛星が、作られているかもしれないんですねー

太陽系外で、これほどの規模の衛星が作られつつあるようすが、
とらえられるのは初めてのこと。

今後数百万年で、この環はいくつかの衛星を生み出し、やがて消えていくそうです。

太陽系の木星や土星が生まれたころ、
その周囲には円盤があり、その中から衛星が生まれたと考えられています。

なので“JI407b”は、木星や土星の昔の姿を知る手がかりになるんですねー

“JI407b”の公転周期は10年で、次回のトランジットは2017年に起きます。

研究チームでは、アマチュア天文家にも“JI407b”の観測を呼びかけ、
さらに詳しく、このスーパーサタン(土星の巨大版)を探っていくようです。

太陽の磁力線の可視化に成功。

2015年01月29日 | 太陽の観測
太陽の上層大気(コロナ)の中では、
プラズマ粒子と磁場との相互作用で、フレアなどの爆発現象が発生しています。

でも、コロナの磁場は弱く大気も不安定なので観測が難しく、
その計測については、太陽表面の磁場からの推定に留まっていました。

今回の研究では、
国立天文台野辺山の電波へリオグラフを用いた観測で、コロナの磁場を直接導き出すことを試みたんですねー

コロナ中のプラズマ粒子は、
磁力線を中心に円運動し、
それが電波の通りやすさのムラ(波の振動方向の偏り)を作ります。

電波へリオグラフでは、
太陽の爆発現象にともなう磁場ループ(ポストフレアループ)を観測し、
その円偏波データから、視線方向の磁場を求めています。

地球近傍にいる衛星“SDO”が、EUVで観測したポストフレアループの磁場。
赤の等高線は、電波へリオグラフで見た視線方向の磁場。

さらに、NASAの太陽観測衛星“SDO”や“STEREO”による極端紫外線(EUV)観測で、
同一のループの立体的な形状や向きを把握。

これらのデータを照らし合わせることで、コロナの磁場と方向の両方を導き出しました。

電波観測からコロナの磁場や、
その向きが同時に得られたのは今回が初めて。

今後、磁場の情報が不可欠なフレアなどの研究に役立つと期待されているんですねー

衛星“STEREO”が地球軌道上の異なる位置から違う角度で見た、
同上のポストフレアループ。



冥王星への接近に向けた第一段階に突入! 無人探査機“ニューホライズンズ”

2015年01月28日 | 冥王星の探査
冥王星は、探査機による詳細な観測が行われたことが無い天体。

これまで、地上の望遠鏡や宇宙に浮かぶハッブル宇宙望遠鏡によってしか、
観測が行われてこなかったんですねー

それが2009年には、人類初の冥王星を含む太陽系外縁天体の探査を行う、NASAの無人探査機“ニューホライズンズ”が登場。

“ニューホライズンズ”は打ち上げ後に、
火星軌道、小惑星帯を通過し、2007年2月28日に木星をスイング・バイし加速します。

続いて土星、天王星の軌道を通過し、2014年8月25日には海王星の軌道を通過。

その後、“ニューホライズンズ”は機器などを温存するために冬眠状態…


地球を旅立ってから9年間も宇宙を航行して、2014年12月に再起動。
今回、接近に向けた準備に入ることになったんですねー

そして、1月25日には冥王星の撮影が行われる予定で、
今はまだ、冥王星はカメラのドット程度の小ささでしか映らないのですが、
航行コースの修正には役立つそうです。
冥王星と衛星カロン
(イメージ図)

観測機器を使った本格的な観測は2015年2月ごろからで、徐々に接近して、2015年7月14日には冥王星と衛星カロンに最接近することになります。

通過後はデータを地球に送信しつつ、
太陽系外縁のエッジワース・カイパーベルト天体の観測へ。

ゆくゆくは、ボイジャー1のように太陽圏を脱出し、星間空間に旅立って行くんですねー


ミラ型変光星“うさぎ座T星”の周期光度関係の確立に成功

2015年01月27日 | 宇宙 space
VERAを用いたミラ型変光星“うさぎ座T星”の水メーザー観測で、
変光星の周期光度関係をより高精度に導くことに成功したそうです。
ミラ型変光星“うさぎ座T星”

VERAは、銀河系の3次元立体地図を作るプロジェクト。

VLBIという電波干渉計の手法を使って、
銀河系内の電波天体の距離と運動を高精度で計測しています。

ミラ型変光星などの長周期変光星は、
太陽の1~8倍の質量を持っています。

星の進化の末期に差し掛かっていて、質量の放出が激しく、宇宙の化学組成を理解する上で重要な天体になっているんですねー

また、この種の星には、
明るさの変化と周期の間に比例関係(周期光度関係)があることが知られています。

この周期光度関係を用いると、変光星までの距離が分かるのですが、
そのためには関係を精度良く求めておく必要があります。

何らかの方法で距離を正確に測定すれば、周期光度関係の精度を向上させることができます。

ミラ型変光星“うさぎ座T星”の水メーザー放射分布。
中央の光が星のイメージ。

今回の研究では2003年から2006年にかけて、
VERAを用いて天体の距離と運動を高精度に測定。

約370日周期で明るさが変わる、
ミラ型変光星“うさぎ座T星”の水メーザー観測を行っています。

周期光度関係のグラフ。
横軸は周期(単位は「日」の対数で2.6が約400日、縦軸は絶対等級。
T Lepが今回のターゲットになった“うさぎ座T星”。

この結果、“うさぎ座T星”の年周視差が3.06±0.04ミリ秒と測定され、
太陽系からの距離が約1070光年と求められました。

さらに、これらの値や変光星の観測結果を用いることにより、
ミラ型変光星の周期光度関係が精度良く導かれたんですねー

今後、VERAによって多くのミラ型変光星の距離を決定し、
高精度な周期光度関係を確立することが期待されています。

なぞの高速電波バーストを初めてリアルタイムで観測

2015年01月26日 | 宇宙 space
オーストラリアのパークス64メートル電波望遠鏡を使った観測で、
数ミリ秒という短い現象である、高速電波バーストが初めてリアルタイムでとらえられたんですねー
パークス電波望遠鏡が
高速電波バーストをとらえる様子

高速電波バーストは、数千分の1秒という短い現象で、これまでリアルタイムで観測されたことがありませんでした。

過去に観測されてきたバーストの数も、
たった7つとひじょうに少なく、
初めて観測されたのは、2007年のことになります。

ただ、これまで観測された7つのバーストは、発生から数週間や数か月、場合によっては十年以上経過してから観測されたもの…

それが今回はリアルタイムなんですねー
パークス電波望遠鏡での観測後、世界中の望遠鏡や人工衛星“スイフト”が、
バーストに向けられることになります。

観測で得られたデータから、
バーストの発生場所は地球から約55億光年離れていることが分かり、
その距離から電波バーストは、ひじょうに明るいと推測。

数ミリ秒の間に、太陽が1日に放つエネルギーが放射されたと考えられています。

さらに、今回の観測では、
これまでバーストの起源と考えられてきた候補のいくつかが除外されることに…

正体は、まだ分かっていないのですが、
強い磁場を持つ中性子星“マグネター”を起源とするショートガンマ線バーストや、
中性子星が崩壊してブラックホールへと変化する現象などの可能性があるようです。