鍬と鎌の行商人
”かまかいなー”の小父さん。「鎌を買いなー」と弁慶の七つ道具よろしく、全身に鍬と鎌を付けていた。
鞆から来ていると聞いてた。
屑鉄商人
道に落ちた釘などを集めて、小父さんがくると売っていた。手にした天秤ばかりで計量し、5円ほどもらっていたような気がする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「金光町史・民俗編」 金光町 平成10年発行
農山村の多くは、道も悪くて日用品を買うにも歩いて一日がかりの仕事になるところもあった。
この不便さを補ってくれたのが行商である。
魚売り、昆布売り、小間物売り、塩売り、油売り、金魚売りと季節に応じて行商が来ていた。
玉島や笠岡から来ていた小間物売りは七段の引き出し付きの箱を天秤で担ぎ、草履履きで「ご用はありませんか」
と各家を回っていた。
昆布、わかめ、あらめなどを籠に入れて、頭上に載せ女性が売りに来ていた。北木島方面から来ていた。
薬売りは、富山、総社から来ていた。
大風呂敷に包んで背負ってきていた。
年に1~2回得意先を回り、薬袋の交換、補充と集金をしていた。
子供への土産に紙風船をくれた。
塩売りは、
秋の漬物をするころ、黒崎の人が魚籠に塩を入れ、天秤棒で担いで売りに来ていた。
升で計って売っていた。
海苔売りは、
毎年春と秋、島根や鳥取から来ていた。若い女性が絣の着物に手甲、脚絆姿で風呂敷に海苔を包み背負ってやってきた。
行商の他、職人もたくさん回ってきた。
鋳掛屋、
桶屋、
羅宇屋、
石屋、
時計や洋傘の修理屋。