ケンペル「江戸参府旅行日記」 訳者・斎藤信 東洋文庫 昭和52年発行
1691年(元禄4)
第一章・参府旅行の準備
すべての大名は、年に一度将軍の居城に参勤する。
彼らは直接将軍に恭順の意を示すのである。
わがオランダ東インド会社の代表者たる商館長もそれに従っている。
彼は1~2名の書記と1名の外科医をこの旅行に伴うことができるが、
そればかりでなく身分や官位の異なる一群の日本人に護衛されるのである。
これらの日本人は長崎奉行所の支配下にあり、奉行がその役を任命する。
この護衛の裏にある意図は全く別で、スパイや捕虜と同じようなものなのである。
私は参府旅行に加わる楽しみを持った。
二度の旅行で重要と思われたことを、この本に毎日順を追って記そうと思う。
若干の一般的な注釈を、前もって行う。
この旅行の準備。
将軍と閣老および江戸・京都・大坂にいる数人の高官に対する、一定の金額の進物を選ぶことから始まる。
贈物の選択は長崎奉行が行い、幕府に喜んで受け取ってもらえそうなものの中から決める。
彼らはそれらの品を早い時期に商館長を通じて注文するか、あるいは現に倉庫にあるものを取り出す。
しかし、こういう時に彼らは中国人が贈ってくれた自分の持物を紛れ込ませるのに、この機会を利用し、非常に高い値を付けたり勝手な値段をつけて売った。
それらの品は他のすべての旅行の必需品と一緒に船に積み込まれ、3~4週間かかって海を渡り、下関という小さな町まで先に運び、陸路を行くわれられの到着を待っている。
上に述べた船は、ただこの旅行にだけ使用し、長崎の港内に少なからぬ費用をかけて置いておかねばならない。
護衛として付けられる上級および下級の使用人
長崎奉行は与力から1人を選ぶ。指揮官である。
彼の後ろには鎗もちが従う。
与力には同心が付く。これに捕り方が加わる。
通詞は大通詞と小通詞がいる。
費用はすべてわが社(東インド会社)。
出発前に出島で少しばかり顔見知りになることが許されている。
次に荷物運搬人と馬匹を手配しなければならない。
1691年(元禄4)
第一章・参府旅行の準備
すべての大名は、年に一度将軍の居城に参勤する。
彼らは直接将軍に恭順の意を示すのである。
わがオランダ東インド会社の代表者たる商館長もそれに従っている。
彼は1~2名の書記と1名の外科医をこの旅行に伴うことができるが、
そればかりでなく身分や官位の異なる一群の日本人に護衛されるのである。
これらの日本人は長崎奉行所の支配下にあり、奉行がその役を任命する。
この護衛の裏にある意図は全く別で、スパイや捕虜と同じようなものなのである。
私は参府旅行に加わる楽しみを持った。
二度の旅行で重要と思われたことを、この本に毎日順を追って記そうと思う。
若干の一般的な注釈を、前もって行う。
この旅行の準備。
将軍と閣老および江戸・京都・大坂にいる数人の高官に対する、一定の金額の進物を選ぶことから始まる。
贈物の選択は長崎奉行が行い、幕府に喜んで受け取ってもらえそうなものの中から決める。
彼らはそれらの品を早い時期に商館長を通じて注文するか、あるいは現に倉庫にあるものを取り出す。
しかし、こういう時に彼らは中国人が贈ってくれた自分の持物を紛れ込ませるのに、この機会を利用し、非常に高い値を付けたり勝手な値段をつけて売った。
それらの品は他のすべての旅行の必需品と一緒に船に積み込まれ、3~4週間かかって海を渡り、下関という小さな町まで先に運び、陸路を行くわれられの到着を待っている。
上に述べた船は、ただこの旅行にだけ使用し、長崎の港内に少なからぬ費用をかけて置いておかねばならない。
護衛として付けられる上級および下級の使用人
長崎奉行は与力から1人を選ぶ。指揮官である。
彼の後ろには鎗もちが従う。
与力には同心が付く。これに捕り方が加わる。
通詞は大通詞と小通詞がいる。
費用はすべてわが社(東インド会社)。
出発前に出島で少しばかり顔見知りになることが許されている。
次に荷物運搬人と馬匹を手配しなければならない。