徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

ピナ

2009-07-01 07:30:34 | Movie/Theater
<ピナ・バウシュさん(ドイツのバレエダンサー・振付師)30日、ドイツ西部ブッパータールで死去、68歳。がんを患っていた。 現代舞踊の担い手で、米国のバレエ団で活動後、73年にブッパータール舞踊団の芸術監督に就任。04年には埼玉県で公演した。アカデミー脚本賞に輝いたスペイン映画「トーク・トゥ・ハー」(02年)で踊りを披露。07年に優れた芸術家に贈られる京都賞を受賞した。>(時事通信 7月1日付

格好いい女というのは実在する。
5年前にヴッパタール舞踊団の「バンド・ネオン」を観た。ピナ・バウシュは格好良かった。そのとき買ったポスターはもちろん部屋にある。シャープで美しいピナである。
先月21日まで舞台に立ち、5日前に癌を宣告され、昨日亡くなったという。
やっぱり、強くて格好いいなあ……。



ビム・ベンダース×ピナ・バウシュ。夢のコラボで世界初3Dダンス映画製作(eiga.com)

何か、最近はこんなニュースばかりだな。20年前もそうだった。

男だらけのロシアンルーレット大会/「13ザメッティ」

2009-07-01 06:09:53 | Movie/Theater
13/ザメッティ
13 Tzameti/2005/フランス=グルジア=ドイツ
監督:ゲラ・バブルアニ
出演:ギオルギ・バブルアニ、オーレリアン・ルコワン、パスカル・ボンガール、フィリップ・パッソン
<仕事先で偶然、パリ行き列車の切符を入手した22歳のグルジア移民セバスチャン(ギオルギ・バブルアニ)は、次々と現れる“13”という数字に導かれ、不気味な屋敷に辿り付く。そこは大金を賭けられた13人のプレイヤーが一斉に銃の引き金を引いて生死を競う邪悪なゲーム“集団ロシアン・ルーレット”を行う賭場だった。そのゲームに強制参加させられた彼は…。>(シネフィル・イマジカ

これほどあらすじを簡潔にまとめやすい映画というのもないだろう。意味ありげにプレイヤーの控え室にジム・モリスンのポスターが貼ってあったりするのだけれども、もう、まったくあらすじのまんまのオフビートな設定勝負。
何かに似ているなあ…と思ったら、要するに、これカイジの世界である。しかもカイジでさえ(福本先生でさえ)物語に風俗や人物の背景を(ベタに)織り込んでいくのに、ゲームの緊張感を強調させるモノクロームの映像はそんなベタな装飾はまったくなし。ほぼ序盤以外は女優も出てこない、男だらけのロシアンルーレット大会。
ここまで徹底していると、監督は本当にロシアンルーレットだけを描きたかったんだろうとしか思えない。実際に、<業界に何のコネもない彼がまず資金集めのため私財をはたいて撮ったのが、本作のハイライトとなるロシアンルーレット・シーンだ。>(「13/ザメッティ」新人監督らしからぬ腰の据わった語り口)というのだからさもありなん。故に、シンプルで緊迫したストーリー、濃密な映像共にこのロシアンルーレット映画の完成度は実に高い。
そしてハリウッドでのリメイクは蛇足になる可能性が高い、かも。
人は金がないとき、シンプルで純度の高い作品を作る。

7月のシネフィルは、なかなかいいタイトルが並んでいるよ。