徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

少年という希望/「リリア 4-ever」

2009-07-24 02:11:29 | Movie/Theater
リリア 4-ever
Lilya 4-ever/2002/スウェーデン
監督:ルーカス・ムーディソン
出演:オクサナ・アキンシナ、アルチオン・ボグチャルスキー
<旧ソ連のどこかの町。母親に捨てられた少女リリアは、シンナー遊び、酒、生活のための売春と、悲惨な生活を送っていた。そんなある日、ハンサムで優しいアンドレイが、スウェーデンでの新しい生活にリリアを誘う。しかしそこで彼女を待っていたのは、あまりにも過酷な運命だった…。>(シネフィル・イマジカ

4歳違いだがブリトニー・スピアーズと同じ誕生日に生まれた少女。
かたやアメリカ、こなた旧ソ連のどこかの町。
恋人と共にアメリカに行ってしまった母に捨てられた少女の身に、貧困が救いようのない不幸の連鎖を引き起こす。貧困がさらに苛烈な差別と暴力、不理解、不寛容を生み、弱いものがさらに弱いものを叩く、大なり小なりどこの国でも起こり得るの図。遠い昔の雄大なる赤い物語と現在の経済発展は、そんな絶望的な人たちに何の救いももたらさない。さらに終盤、監督のルーカス・ムーディソンは、スウェーデンに送られ、監禁状態で売春させられるリリア目線で、暴力(買春)シーンを繰り返し描き、救いようのない物語を駄目押しする。
かなり重い。全編を通してずっしりと重いが、ラストのシークエンスは<希望>に見えたけどね。
リリアはもう一度、目を開いたじゃないか。
リリアはもう一度、自分の人生を生き直すのだ。清々しい表情で、おばあちゃんがアパートの階段に落としたポテトを拾ってあげて、訳のわからない怪しい男の誘いなんてきっぱり断る。もう一度、自分の人生があったなら、きっとリリアはそうしていたはずだから。そして絶望の町で、唯一の希望であり、未来である少年と一緒にバスケットボールをする。ふたりとも背中に天使の羽をつけながら。
少年はやっぱり遥かな未来であって、微かな希望なんである。

14歳でリリアを演じたというオクサナ・アキンシナという女の子は物凄いと思う。